著者
和田 信哉 中川 裕之 岩田 耕司
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.69-80, 2017 (Released:2020-01-26)
参考文献数
21

本稿は,算術から代数への移行に関し,「初期の代数」の観点から算数へアプローチする研究の一環として,小学校第3学年「□を使った式」の授業構成について実証的に検討するものである。具体的には,児童の□の意味,式の見方,演算の相互関係の認識それぞれの変容を分析し,そこで現れる代数的推論を同定し,それらの変容とのかかわりを明らかにすることを目的とした。その結果,本授業構成では,一般的な指導とは異なり□を一般数として導入することで,児童たちは自然と□を使っていた。また,□の意味や式の見方,演算の相互関係の認識が相互作用的に変容して高まる姿がみられた。そしてその高まりには,代数的推論が密接にかかわっていることを示した。
著者
鈴木 重人 池田 典子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.41-45, 1992

わが国には「以上」「以下」という語いがあるが、一般には気軽にまたは不用意に使用されることが多い。本来「以」には「と」とか「ともに」という意味がある。例えば、「5以上」は「more than 5」ではなく「5以下」は「less than 5」ではない。児童は2年生算数の授業で不等号記号を、4年生国語で漢字の「以」を、6年生算数で「以上」・「未満」の併用を学習する。しかし、学校で正しく習得した知識が、彼らの成長の過程でテレビ、ラジオ、雑誌などの影響により、あいまいになりがちとなる。学校教育では「以上」・「以下」の併用は禁物であることを力説する必要がある。児童・生徒は「以上」・「未満」の併用の学習と同時に、実用法律用語にみられる「超」・「以下」の併用をも学習するよう指導されることが望ましい。
著者
宜保 真喜子 浅井 玲子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.41-47, 2007-12-25
被引用文献数
3

研究目的は,家庭科教育における高齢者に関する学習経験が高齢期思考度・支援度に及ぼす影響を明らかにすることである。沖縄の高校生1200人余にアンケート調査を行った。これまでの学習経験が1番多かったのは「高齢者に関する知識の説明・講義」,2番目に「体験グッズ」であった。興味関心がある学習で,1番多かったのが「体験グッズ」で,2番目が「地域の高齢者との交流」であった。家庭科教育において高齢期に関する学習経験「有」と答えた高校生は,「無」と答えた高校生に比較して高齢期思考度・支援度共に高くなっていた。また,高齢者と直接ふれあう学習経験の方が,直接は触れ合わない学習経験に比較して高齢期思考度・支援度共に影響が大きい事がわかった。
著者
西川 純 岩田 亮
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.1-8, 1999
被引用文献数
2

本研究では2つの調査を行った。第一調査では,4種類の調査問題を作成した。理科A問題は,単位を付けたオームの計算問題である。理科B問題は,数学では使わない記号E,R,I)を使ったオームの計算問題である。理科C問題は,単位を付け,数学では使わない記号を使ったオームの計算問題である。数学問題は,以上の理科問題で用いた計算を含んだ問題である。それぞれの問題の解答行動における文脈依存性を比較した。その結果,理科の計算が難しい原因は単位であることが明らかになった。第二の調査では,3種類の調査問題を作成した。数学問題は,分数に関する問題である。理科問題は,分数計算を含んだ,オームの計算問題である。社会問題は,分数計算を含んだ人口密度の問題である。それぞれの問題における文脈依存性を比較した。その結果,各教科における認識の文脈依存性は,内容と個人特性に依存することが明らかとなった。
著者
久田 隆基
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.43-53, 1981

事象のある特定の状態や関係を示すときに使われる「一定」と事物の異同関係を示す「同じ」,「等しい」などの用語の意味・用法を明らかにするために,3種類の中学校理科教科書を用法のモデルとして,それらの中で使われている各用語の用例を調べた。各用語の用例から,意味・用法の分析を行なったところ,「同じ」と「等しい」は,大まかに分けて,それぞれ2通り,また「一定」は4通りの意味に使われていることがわかった。各用語の用法についての明確な規則性は見い出されなかったが,各用語の主体となっている語の種類によって,それぞれの用語の使い方に制限があることがわかった。理科で多く使われ,多義的であり,また用法も複雑であるこれらのような用語の意味・用法は科学的読み書き能力の育成という観点からも,理科教育の中で教えられるべきであることを示唆した。
著者
田中 博晃 山西 博之
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.39-48, 2004-03-30

英語学習動機に関する研究は膨大だが,いまだ英語学習動機がどのようなものか十分に捉えきれていない。特に英語学習動機の全体像は見えても,(1)それが織りなす複雑なダイナミズムが今ひとつ明確ではなく,また(2)研究の成果が現実の教育現場と乖離してしまっている。そこで本論では,ある中学校1年生の少女の「語り」から,ある授業活動における学習者の動機づけだけではなく,家庭環境や学校外での学習なども内包したありのままの姿の動機づけを,生々しい形でリアルに描きだす試みを行なうことを目的とする。その結果,(1)教師に誉めてもらいたいのに,それを妨げる学級の雰囲気から生じる,満たされない欲求,(2)授業レベルは簡単すぎて面白くないが,その一方で良い成績を収めることよって得られる教師からのフィードバックを失いたくないという葛藤,(3)英語学習の社会的必要性を認識している一方,個人的な学習理由が見出せない矛盾,という英語学習動機の実態を浮き彫りにした。
著者
安藤 明伸 安孫子 啓 杵淵 信 鳥居 隆司
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.1-7, 2007-03-20

本研究では,対面型授業における匿名発表方式が学習者にどのような影響を与えているかを明らかにするために,電子メールを利用した匿名発表を可能にするシステムを利用し,記名発表と比較しながら学習者の意識を調査した。匿名発表と記名発表に対する意識を比較した結果では,「言いにくいことを伝えやすい」,「意見を伝える時に恥ずかしさを感じさせない」,「授業の内容を理解できるように感じる」,「意見を表明することに意義を感じる」,「授業へ参画する気持ちが強まる」ということが明らかとなった。授業に匿名発表を導入することに対しては,大勢の学生が肯定的に評価していた。特に,授業に積極的に参画したいという意欲や,発表の苦手意識や恥ずかしいと思う不安意識が肯定的な影響を与えていた。また匿名での発表や通信料金を気にするという実施上の問題を改善したいという意欲は,否定的な影響を与えていた。全体的な傾向として匿名発表には,発表に対する抵抗感を軽減し,意見の表明をしやすくする効果かおるといえる。結果として積極的な授業参画を促し,多くの意見を期待することができることがわかった。
著者
森 秀夫
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.93-98, 1980-04-30

現在,世界的な規模で教師教育革新のための多くの試みが進められているが,特に,伝統的な教育実習についての問題が,多くの国々でとりあげられている。本論では,まず本学を中心として,戦前ならびに戦後の教育実習の歴史的な変遷をたどり,これに基づき,教育実習の新しい履習形態のあり方を検討したい。また,教科教育との関連のもとに,教育実習改善のための課題についても考察を進めたい。
著者
多ゝ納 道子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.127-137, 1995-12-25

本報では,現在小・中規模校が大部分を占め,将来においてはさらに学校規模の縮小が予測されている島根県の技術・家庭科担当教員の指導実態と意識を明らかにし,男女共学の技術・家庭科を推進するための課題を把握することを目的としている。調査結果として,つぎのようなことが明らかとなっている。技術・家庭科担当教員には,無免許者が多く,特にその傾向は,小規模校の教員に顕著である。小規模校の教員は,技術・家庭科のほかに,1〜2の教科を担当しているのが一般的である。技術・家庭科の免許所有者と無免許者では,男女共学による担当希望に差異が認められ,免許所有者の方がより強く希望している。また,男女共学による指導経験のない教員は,男女の生徒の学習能力により大きな差異があると理解している。その傾向は,技術系列担当教員に明確に認められる。伝統的な性別役割意識をもつ教員と民主的な考えをもつ教員では,家庭科観が異なっている。これらの結果からみて,島根県の教育環境の特徴としてあげられる小・中規模校においても免許所有者が技術・家庭科を担当することが重要であるといえる。
著者
千種 民江
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.31-36, 1993-03-20

本研究は我が国の学校音楽教育のルーツと変遷に関する継続研究の一過程である。我が国の学校音楽教育は明治初期に発足した音楽取調掛に端を発するが,当時そこへはペスタロッチ主義の音楽教育法がアメリカを経由して取り入れられたと言われている。スイスで始められたこの音楽教育法のオリジナルな内容については,先の研究において既にその概要を明らかにした。今回はそのアメリカ導入と変化について,ネーゲリー,プファイファーの「ペスタロッチ主義の原理による歌唱教授法」とL.メーソンの「ペスタロッチ主義の音楽教師」との比較を中心とした研究を行った。両者間には種々の類似点,相違点が見られるが,特に次の2点から後者はより改良された形のペスタロッチ主義音楽教育法と云ってよい。(1)リズムとメロディーの結合により生徒は音楽本来の美と楽しさを獲得しうる。(2)メーソンは彼独自の方法で子供の発達及び心理学的側面をより深く追求した。
著者
松浦 伸和
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.81-89, 2005-09-20 (Released:2018-05-08)

本稿の目的は,ローマ字知識やローマ字処理力は英語学力にどの程度影響を及ぼすのか,その影響は時間の経過に伴ってどのように推移するのか,それは指導方法によって異なるのかなど英語入門期におけるローマ字力と英語学力の直接的な関係を実証することにある。英単語の読み書き能力とローマ字知識の間には強い因果関係があることが確認されている。その後の課題について,中学1年生を対象として半年間にわたる調査を行い,以下のことが明らかになった。ローマ字力は,筆記学習開始後3ヶ月程度は英語学力に強い影響を及ぼす。その後影響は弱くなるが,依然その相関は0.3前後で継続的に維持される。
著者
本多 満正 田邉 康夫 村石 幸正 小松 寛 前田 香織 山岡 寛人
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.37-42, 2005-12-01 (Released:2018-05-08)

中学校理科の学習項目である「電磁誘導」と技術・家庭科の電気領域の学習項目である「エネルギー伝送」と「交流」について視覚をともなって学習する教材を開発し,実験授業でその学習効果を調べた。開発した教材は,豆電球2個を抵抗値の大きいニクロム線で並列に接続した回路に交流を流す実験,そのニクロム線部分の前後に昇圧用・降圧用の変圧器を組み込んだ回路に交流と直流を流す実験,および電磁誘導の実験から構成される。変圧器によって高電圧・低電流で送電した場合には電圧降下が少なく,豆電球2個の明るさの違いが目立たない。変圧器の有無によって,明るさが違うことから変圧器の働きを理解する。変圧器に直流を流し豆電球が点灯しないことから変圧器の仕組みと交流の作用を学習する。本教材による実験授業の結果,送電における変圧器の働きと仕組みに関する認識の定着が向上することが明らかとなった。
著者
尾形 一樹 森 千鶴
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.65-74, 2018 (Released:2020-01-26)
参考文献数
20

本研究の目的は,日本人大学生を対象として既習の文法知識を活用に導くためのディクトグロスの効果を,ディクテーションと比較して明らかにすることである。そのために,ディクテーション群とディクトグロス群を設け,事前テスト(文法と英作文),6回に渡るディクテーションまたはディクトグロス,事後テスト(文法と英作文)を実施した。その結果,ディクトグロス群における事後の文法テストに特に有意な伸びが見られ,ディクトグロス群における事後の英作文でより多くの文法項目を正しく活用できる傾向が示された。また,ディクトグロス群におけるペア・グループ活動における対話を分析した結果,本研究におけるディクトグロス群の再構築でLREs(language-related episodes)の重要性などについて教育的示唆が得られた。
著者
花野木 政信 磯崎 哲夫 林 武広
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.85-93, 2017 (Released:2020-01-26)
参考文献数
7
被引用文献数
3

大学進学を目指す高校生が文系・理系の選択をどの時期にどのような要因で行うか,文系選択者が中学校理科のどの単元で学習に困難を感じているかを明らかにするために,中学校3年生~高校2年生(N=307),高校1年生,2年生(N=503)を対象に2種類のアンケート調査を行った。その結果,中学校3年生から高校1年生の時期に文理選択をする生徒が多いこと,教科の得意・不得意がコース選択の大きな要因となっていることが分かり,特に中学校段階での数学,理科の学習が重要であることが分かった。文系と理系の比較では,文系選択者の方がコース決定時期が遅く,得意・不得意教科の偏りも大きいこと, さらに文系選択者の場合,理科については割合の計算を含む内容および,不可視な現象に関する内容への理解に課題を有することが明らかとなった。
著者
相原 豊 西川 純
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.57-65, 2000-06-30 (Released:2018-05-08)
被引用文献数
3

本研究は,理科の実験時のグループ活動において,グループ内で自発的に発生した役割を分析した。その中で「傍観者がいるグループ」に注目することにより,グループ内の生徒たちによる協同的学習の実態を明らかにした。調査Iでは,理科の実験時において自主的なグループ編成を行った。その結果,4人グループが多くなり,「傍観者がいるグループ」が少ないことを明らかにした。調査IIでは,通常の授業における,2〜4人グループの協同的学習の実態を明らかにした。すなわち,4人グループでは授業の時間進行に伴い「傍観者がいるグループ」が増加することを明らかにした。調査IIIでは,通常の授業に全員参加の話し合い活動を取り入れた授業を行った。その結果,4人グループでは授業の時間進行に伴い「傍観者がいるグループ」が減少することを明らかにした。
著者
森 敏昭
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.89-95, 2016 (Released:2020-01-26)
参考文献数
3
被引用文献数
1

学習科学は学習と教育について科学的に研究する新しい学問分野であり,認知心理学,発達心理学,教育心理学,脳科学,教育学,社会学,文化人類学,教育工学などの多様な学問分野を総合することによって急速に発展しつつある学際的科学である。すなわち学習科学が目指しているのは,学習を促進する認知的・社会的条件を明らかにし,研究で得られた知見を人々がより深く,より効果的に学ぶことができるように学校の教室や他の学習環境を再デザインすることである。本稿では,学習科学の最近の幅広い研究成果を精査し,教科教育の改革に向けて提言を行う。
著者
宮迫 靖静
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.11-20, 2013 (Released:2020-01-26)
参考文献数
26

高等学校新学習指導要領・外国語編は,英語コミュニケーション能力の養成を鮮明にしている。「実際のコミュニケーションの場面」(文部科学省,2010)となる授業において,技能統合的な活動によるコミュニケーション能力育成を目指す中で,「ライティング」科目は「英語表現」科目に形を変え産出力を養成するが,「リーディング」科目は消滅する。本論は,新学習指導要領施行後のリーディング指導を探ることを目的とし,Grabe(2009)の包括的リーディング指導への提言に基づき,現行学習指導要領における「リーディング」科目と新学習指導要領における「コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ」科目におけるリーディング指導に関する記述を比較・検討する。また,「コミュニケーション英語Ⅰ」検定教科書におけるタスクを予備調査する。この結果,(a)「リーディング」科目と「コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ」科目におけるリーディング指導に関する記述には本質的な違いはなく,(b)「コミュニケーション英語I」検定教科書は,語彙・文法・内容理解に関するタスクが中心で技能統合タスクは十分ではなく,流暢さ育成に難があることが示される。併せて,新学習指導要領施行後のリーディング指導への示唆も示される。
著者
土井 徹 林 武広
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.79-86, 2015 (Released:2020-01-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究の目的は,小・中学校理科授業の円滑な接続を検討するための基礎資料を得るために,小・中学生の理科授業に対する認識と要望を明らかにすることにある。小学校6年生(以下,小学生),中学校2年生(以下,中学生)を対象に行ったアンケート調査の結果から,以下のことが明らかになった。① 小・中学校ともに,児童・生徒の情意面に配慮した教師のていねいな指導と問題解決が行われていることが推察される。相違点は,小学校では,一人で考えることと小グループで話し合うことが大切にされ,中学校では,受験への対応,新たな情報の提供,教師の「待つ」姿勢が大切にされている傾向が見られることである。② 理科授業への共通する顕著な要望は,「実験がしたい」である。小学生では発展的な内容への要望,中学生では刺激や面白さを求める要望が目立つ。③ 中学生の多くが理科の授業で困っていることは,学習内容の難しさであり,周りの人と相談させてほしいと思っている。
著者
森保 尚美
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.11-24, 2020 (Released:2021-07-11)
参考文献数
37

本研究の目的は,小学校の音楽科鑑賞授業において,児童が舞踊の様式的運動の一部を経験することを通して,どのように舞踊音楽の「拍」概念の多様性を知覚・感受するのかについて,児童の気付きから構造的に明らかにすることである。この目的を達成するため,民俗舞踊と宮廷舞踊というルーツの異なる3拍子の舞踊音楽を比較鑑賞する授業を計画した。まず,2つの舞踊音楽を聴き,3枚の舞踊写真から組み合わせを予想した(Step 1)。次に2つの舞踊ステップを経験し(Step 2),「拍」の質的な違いについて考え(Step 3),2つの舞踊音楽のよさについて記述する(Step 4)。授業は,公立小学校2校において実践し,ワークシートの記述から児童の知覚・感受の状況をグラウンデッド・セオリー・アプローチに基づいて構造化した。その結果,2つの舞踊音楽に関して,「拍」の質への知覚・感受,先人への共感的想像,動きと構成要素との関連等が述べられ,音楽文化や社会に関する情動が伴って「拍」概念の多様性に気付く様相が確認できた。
著者
川上 昭吾 多鹿 秀継
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.75-80, 1987-09-30 (Released:2018-05-08)

中学校第1学年生徒が花の形態を学習するについて,先行オーガナイザの有無が及ぼす学習効果を,成績の上位群と下位群とて比較した。その結果次の二点が明らかになった。1.保持テストでは,成績上位と下位群間で遂行の差が見られ,先行オーガナイザの有無では差が見られなかった。2.転移テストでは,成績上位-下位群間,および,先行オーガナイザの有-無群間で遂行の差が見られた。上記の結果から,先行オーガナイザを用いた一つの授業の有効性が明らかにされた。