著者
板谷 浩男 夏川 遼生 守屋 年史
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.185-191, 2022-10-24 (Released:2022-10-31)
参考文献数
27

都市部における人口増加に伴い,人為活動が都市近郊に生息する猛禽類に悪影響を与えることが懸念されている.本研究では,東京都内の都市近郊に生息するオオタカ Accipiter gentilis の繁殖成功率を調査し,立入制限区域内外での占有巣間の繁殖成功率を比較した.その結果,立入制限区域内の巣では区域外の巣よりもおよそ3倍高い繁殖成功率を示した(63.6% vs. 21.4%).この結果は,都市近郊に生息するオオタカであっても人為活動に対して寛容であるとは限らないことを示唆しており,営巣林での人為活動を制限することが重要と考えられる.
著者
田ヶ谷 浩邦
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.169-176, 2008-04-10 (Released:2008-10-06)
参考文献数
55
被引用文献数
4
著者
水谷 浩明 結縁 祥治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.481, pp.43-48, 2012-03-06

本稿では,Ruby on Railsアプリケーションのソースコードをモデル規範形式仕様記述言語Alloyによる記述に変換して検証することで,不具合の効率的な検出を支援する手法を提案する.Alloyではスコープを指定することにより,短時間で限られた探索範囲を自動的に解析することが可能である.ソースコードをAlloyによる記述に変換するツールを作成し,Alloyを用いてRuby on Railsアプリケーションの開発を支援する.
著者
田ヶ谷 浩邦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.42-46, 2007-01-01
被引用文献数
1 3

不眠はありふれた訴えであるが,その原因はさまざまで,睡眠薬以外の治療法が適切な不眠や,睡眠薬により悪化する睡眠障害があるため,薬物療法開始前に十分な鑑別が必要である.催眠作用をもつ薬物として,バルビツール酸系睡眠薬,非バルビツール系睡眠薬,ベンゾジアゼピン系睡眠薬,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬,抗ヒスタミン作用をもつ薬剤がある.慢性の非器質性不眠症に対して効果・安全性とも優れているのはベンゾジアゼピン系睡眠薬,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬である.健忘,転倒などの副作用や常用量依存の防止のため,1)治療目標を控えめに設定する,2)少量を毎日服用する,3)エタノールと併用しない,4)患者の自己判断で用量を変更しない,など服薬指導を行う.不眠への不安・恐怖感を緩和し,不眠を悪化させる習慣を是正するため,「眠くないのに無理に布団の中で過ごさない」など認知行動療法の併用が有効である.<br>
著者
中澤 高志 神谷 浩夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.560-585, 2005-08-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
71
被引用文献数
6 2

本稿は,金沢市と横浜市の高校を卒業した女性のライフコースについて,高校卒業時および最終学歴修了時の進路決定のプロセスとそれ以降の就業にみられる差異を把握し,そうした差異をもたらすメカニズムを明らかにする.金沢対象者は,学校側の積極的な介入の下で進学先を決定していた.そのことは,自分が学んだ分野と就職したい分野の葛藤に悩む学生を生んだ反面,教員や看護士の職に就く者を増やし,結婚後の就業率を高める一因となっていた.さらに金沢対象者では,結婚・出産後も女性が働きやすい環境にも比較的恵まれている.横浜対象者が通った高校では,進路について教師からの働きかけはほとんどなかった.そのため生徒は就職時の有利不利はあまり考慮せずに,進学先を決定していた.就職についても,民間企業を中心にイメージを重視した就職活動を行った.こうした進路決定は,現実との齟齬による離職を生んだ.これに加え,横浜対象者は家事や育児と両立しながら就業を継続することが難しい環境にある.このように,個人のライフコースは,地域が付与する固有の可能性と制約の中で,過去に規定されつつ,形成されてゆくのである.
著者
松永 拓也 柴田 和也 室谷 浩平 越塚 誠一
出版者
日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.20160012-20160012, 2016-05-11 (Released:2016-05-11)
参考文献数
20

本研究では, 粒子法を用いた非圧縮性流れの数値シミュレーションにおける圧力ポアソン方程式の解法として適するAMG法を用いた線形ソルバーについて検討を行った. 粒子法では, 格子法の場合と比較して, 係数行列が多くの非ゼロ要素をもち, なおかつ, 時間の進行と共に大きく変化することが特徴として挙げられるが, これに即する手法としてPA-AMG法ならびにK-cycleマルチグリッド法をBiCGSTAB法に対する前処理として適用することを考え, 数値実験に基づく性能検証を実施した. 基礎検証として2次元ポアソン方程式にMPS粒子間相互作用モデルを用いて離散化した線形方程式を対象に解析を行った. なお, 擬似乱数を用いることにより粒子分布のばらつきを模擬した. 検証の結果, 対象とする問題サイズに依らずおよそ一定のcoarsening ratio (3.9から4.0) を有する安定なコースグリッド生成が実現された. また, 求解にかかる計算時間について前処理なしBiCGSTAB法と比較したところ, 問題サイズnに対して, 前処理なしの場合ではnの1.5乗に, PA-AMG前処理付きの場合ではnの1乗に比例する傾向を示した. また, n > 10^4では前処理なしBiCGSTAB法より高速であり, n > 10^6では10倍以上の速度が得られた. 実問題に対する有用性を検証するため, MPS法を用いた2次元ダムブレイク問題の非圧縮流れの解析を行った. MPS法の計算において現れる圧力ポアソン方程式の解法として前処理なしBiCGSTAB法とPA-AMG前処理付きBiCGSTAB法を適用し, シミュレーションに要する全体の計算時間の比較を行った. その結果, 検証を行った粒子数範囲 (7000~130万) では総じてPA-AMG前処理付きBiCGSTAB法を用いた場合の方が高速であり, 最大で約16倍の高速化が得られた. 更に, 全体の計算時間に対する圧力ポアソン方程式解法が占める割合は粒子数が大きな問題に対してもおよそ一定に保たれる結果となった. 以上の結果より, PA-AMG法を前処理としたBiCGSTAB法は, 流体シミュレーションにおいて, 粒子分布の不均一化や複雑な境界形状変化に対する堅牢性を有し, 安定して高い計算速度を実現できることから, 粒子法の圧力ポアソン方程式に適する一解法であると結論付けることができた.
著者
中澤 高志 由井 義通 神谷 浩夫 木下 礼子 武田 祐子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.95-120, 2008-03-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
43
被引用文献数
9 6

本稿では, 日本的な規範や価値観との関係において, シンガポールで働く日本人女性の海外就職の要因, 仕事と日常生活, 将来展望を分析する. 彼女たちは, 言語環境や生活条件が相対的に良く, かつ移住の実現性が高いことから, シンガポールを移住先に選んでいる. シンガポールでの主な職場は日系企業であり, 日本と同様の仕事をしている. 彼女たちは, 日本においては他者への気遣いが必要とされることに対する抵抗感を語る一方で, 日本企業のサービスの優秀さを評価し, 職場では自ら日本人特有の気配りを発揮する. 結婚規範の根強さは, 海外就職のプッシュ要因となる可能性があるが, 対象者の語りからは, こうした規範をむしろ受け入れる姿勢も読み取れる. 彼女たちは, これら「日本的なもの」それ自体というよりは, それを強制されていると感じることを忌避すると考えられ, 海外就職はこうした強制力から心理的に逃れる手段であると理解できる. 日本の生活習慣や交友関係のあり方は, むしろ海外での生活でも積極的に維持される.
著者
神谷 浩夫
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.221-237, 2002
被引用文献数
1

これまで日本の医療に関する研究では,社会的な平等性の重視が日本の医療の特色であると指摘されてきた.しかし空間的な観点からみると,自由診療制度を採用している日本では医療資源の地域的な不均衡が生じている.本稿では,精神科診療所の立地パターンを把握し,近年における大都市で精神科診療所が急増している背景とその意味を明らかにしようと試みた.まず,日本の戦後における精神医療の変遷を概観し,現在の精神医療制度が形成されてきた過程を考察した.戦後の日本では「社会防衛」の観点から低コストで患者を収容するために民間精神病院が大量に建設され,その多くは市街地から離れたところに立地した.精神医療が次第に開放医療,地域医療へと向かう中で精神科診療所も増えていったが,それはターミナル駅周辺の地域に開設されることが多かった.1980年代後半に入ると,診療報酬制度の度重なる改訂によって次第に精神科診療所の経営が安定するようになり,診療所の開設が相次ぐようになった.開設された診療所の多くは,従来のターミナル駅指向,駅周辺の商業ビル指向,商業地区.繁華街指向というパターンを強めるものであり,その背景には,利便性を重視して立地する診療所側の要因とともに,通院していることを周囲に知られたくないという匿名性を優先する患者側の要因も存在していた.こうした診療所立地の傾向は,アメリカにおいて精神病退院患者が都市計画規制の緩やかなインナーシティに集積している傾向と類似していた.
著者
奥谷 浩一
出版者
札幌学院大学
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.83-118, 2007-03-07

マルティン・ハイデガーが1933-34年の間,フライブルク大学の学長を務めたことはよく知られている。しかし,そのおよそ1年の間,彼は国民社会主義ドイツ労働者党,すなわちナチスの党員として,同大学のナチ化のために精力的に活動したことはあまり知られていなかったが,近年ヴィクトル・ファリアスとフーゴ・オットの研究によって,ハイデガーとナチスとの関係がこれまで考えられていた以上に密接で深刻であることが理解されるようになった。フライブルク大学学長ハイデガーは,その任期期間中にさまざまな諸事件にかかわっているが,そのなかで見逃すことができないのは,彼がいくつかの密告事件に関与したことである。そのうちのひとつが,世界的な化学者ヘルマン・シュタウディンガーにかんする密告事件である。この事件は,国家秘密警察,つまりゲシュタポによって「シュテルンハイム作戦」と名付けられた。この「シュテルンハイム作戦」は長い間歴史のなかに封印されてきたが,この封印を解いたのがオットの研究である。本論文では,このオットの研究と原典資料を踏まえながら,「シュテルンハイム作戦」,言い換えればシュタウディンガー事件の歴史的真実を明らかにするとともに,この密告事件を主導したハイデガーの思想と人格の暗部に迫ることにしたい。
著者
杉谷 巌 吉本 世一 三谷 浩樹 保喜 克文 苦瓜 知彦 川端 一嘉 鎌田 信悦 柳澤 昭夫
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41-46, 2000-03-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

甲状腺濾胞癌のすべてを術前に濾胞腺腫と鑑別することは不可能であるが, 遠隔転移を生ずる可能性の高い濾胞癌を区別することができれば臨床上の意味は大きい。濾胞癌34例 (1985~1999年, 男11, 女23, 27~76歳) を対象に遠隔転移例の臨床病理学的特徴を検討した。遠隔転移例は11例 (骨7, 肺2, 骨+肺2)で, うち4例が原病死しており, 非遠隔転移23例 (原病死0) より有意に予後不良であった。遠隔転移例では非遠隔転移例と比較して, (1) 術後血中サイログロブリン値が正常化しない (全例)。(2) 割面の肉眼所見で広範浸潤型を呈し (11例中10例), 厚い被膜を持つ症例が多い (11例中8例が1mm以上の厚さの被膜)。(3) 組織学的に脈管侵襲陽性 (全例) で, 低分化成分を持つ症例が多い (11例中10例)。といった特徴があった。これらの特徴を有する症例については, 例え初診時に遠隔転移がなくとも長期の経過観察が重要と考えられた。
著者
恒次 祐子 芦谷 浩明 嶋田 真知子 上脇 達也 森川 岳 小島 隆矢 宮崎 良文
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.347-354, 2005-08-15
被引用文献数
3 1

5種類の味と香りの異なるチョコレートに対する主観的快適感と被験者の性別およびパーソナリティの関係を検討したところ, 以下の結果が得られた.<br>1) 女性群においては,<br>i) チョコレート全体に対する快適感が男性群よりも有意に高いこと, ならびに個別のチョコレートについては, 苦みを強くしたチョコレートにおいて快適感が男性群よりも有意に高く, オーク材抽出物を添加したチョコレートにおいても高い傾向にあることが認められた.<br>ii) 快適感に対する男性性ならびに女性性の有意な正の影響が認められた.<br>2) 男性群においては,<br>i) 快適感に対するタイプA型傾向の有意な正の影響が認められ, 特性不安の有意な負の影響が認められた.<br>3) チョコレート別の快適感とパーソナリティとの関係について,<br>i) 男性群においてはオーク材抽出物添加チョコレートの快適感と女性性との間に有意な正の相関が認められた.<br>ii) 女性群においてはオーク材抽出物添加チョコレートならびに甘みを強くしたチョコレートの快適感と男性性との間に有意な正の相関が認められた.<br>以上により, チョコレートの快適感に評価者個々人のパーソナリティが影響を与えていることが明らかとなった. 今後個人の価値観や好みを重視したチョコレートの創造を検討していく上で, 有用な示唆を与えるものと考えられる.
著者
内藤 明美 森田 達也 神谷 浩平 鈴木 尚樹 田上 恵太 本成 登貴和 高橋 秀徳 中西 絵里香 中島 信久
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.255-260, 2021 (Released:2021-08-24)
参考文献数
20

【背景】医療において文化的側面への配慮は重要である.本研究は沖縄・東北を例に首都圏と対比させ国内のがん医療・緩和ケアにおける地域差を調査した.【対象・方法】沖縄,東北,首都圏でがん医療に携わる医師を対象とした質問紙調査を行った.【結果】553名(沖縄187名,東北219名,首都圏147名)から回答を得た.地域差を比較したところ,沖縄では「最期の瞬間に家族全員が立ち会うことが大切」「治療方針について家族の年長者に相談する」「病院で亡くなると魂が戻らないため自宅で亡くなることを望む」などが有意に多く,東北では「特定の時期に入院を希望する」が有意に多かった.東北・沖縄では「がんを近所の人や親せきから隠す」「高齢患者が治療費を子・孫の生活費・教育費にあてるために治療を希望しない」が多かった.【結論】がん医療・緩和ケアのあり方には地域差があり地域での文化や風習を踏まえた医療やケアに気を配る必要がある.
著者
澁谷 浩一
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.608-572, 2011-12

The peace agreement between Qing and Zunghar of 1740 was a historical turning point in which the two parties established for the first time peaceful and amicable relations, but the understanding of the circumstances and contents of the agreement has been insufficient. This study of the process of the negotiations for a peace agreement and the content of the peace agreement through a detailed examination of newly discovered Manchu language sources addresses the peace agreement from the viewpoint of international relations in central Eurasia and focuses in particular on the influence of the conclusion of the Treaty of Kyakhta of 1728. From the opening of negotiations both sides were strongly conscious of their relations with Russia. From the start the Yongzheng emperor attempted to determine the national boundary in manner of the Treaty of Kyakhta in which the details of the national border in the region was decided after the agreement. The Qing side thus advocated establishing a buffer zone and the permanent guard posts, karun, in the negotiations on the basis of the experience of negotiations with Russia on determining the border. On the other hand, the Zunghar side, while exploring the strengthening of ties with Russia in the early stage, stressed to the Qing that amicable relations with Russia existed even though the border had not been settled, and thereafter it consistently upheld the position that the settling the border was not desirable. The Qianlong emperor, who succeeded Yongzheng, yielded to Galdan Tseren who rejected the Qing proposal for a national border set at the Altai Mountains, and agreed to a peace that left the national border undemarcated. The ultimate peace agreement involved mutual recognition of maintenance of the current pasture lands that did not go beyond the Altai mountains or Zavkhan River, and additionally recognition of status quo in regard to the Zunghar Ulyanhai tribe, located on the northern side of the Altai range, which is an important clause that has not previously been recognized. This clause reflected the intention of the Qing side to confirm a resolution with the Zunghar the issue of sovereignty over the Ulyanhai that had been resolved with the Russians in the Treaty of Kyakhta. It is fair to say that the peace agreement made at this time was predicated in its entirety on the conclusion of the Treaty of Kyakhta between Russia and the Qing and established under its influence as can also be seen in the stipulations on emissaries and trade that were made at the same time during which relations with Russia and the Treaty of Kyakhta were in mind throughout.
著者
清水 久央 原谷 浩司 宮崎 将行 掛樋 善明 長見 周平 片浪 雄一 川端 寛樹 高橋 信行
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.495-498, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
9

症例は38歳男性.ダニ刺咬後2ヶ月経過してから片側顔面神経麻痺を呈した.ベル麻痺としてステロイド,アシクロビルを投与し2週間で症状は消失.ライム病の可能性も考慮しドキシサイクリンなどの内服を2週間行った.2ヶ月後に頭痛,発熱などの髄膜炎症状が出現.髄液検査では単核球優位の細胞数上昇を示した.アシクロビルの投与で症状は軽快したが血清ボレリア抗体が陽性でありライム病による髄膜炎と考えた.セフトリアキソンを点滴静注し以後再発はない.抗菌薬を投与したにもかかわらず髄膜炎に進展する症例はまれである.ライム病は本邦では症例が少なく診断が難しい疾患であるが,治療効果の判断にも注意が必要であると思われ報告した.