著者
伊藤 良子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.463-467, 2010-12-28 (Released:2011-06-30)
参考文献数
20
著者
飯田 有作
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-6,64, 1953-03-01 (Released:2010-09-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1

The author took measurements in 5 heights and 3 widths on the faces of 2, 374 boys and 2, 350 girls raging from 4 to 12 years of age who are residing in Yokohama, thereyr after he worked out the indices and the primary and the secondary both facial formulae derived therefrom according to Ogawara's method, thereby to observe the pattern of the morphological changes of the face by the infants' development. When the morphology of the face was studied by means of the facial formulae, the author learnt that it is changing slightly by the development of the infants, but it was found to be not in conformity with the formulae of the adults. The difference by sex was also not recognized. When the facial formulae were worked out by the author basing on the earlier anthropometric reports, the formulae of the above infants were found to be quite similar to those of the infants residing in the south western part of Shikoku Island, but they were found to be remarkably different from those of the “ Frutigtaler Kinder” indicating that the shape of the Japanese children is not more slender compared with the former. Thus, the presence of the racial difference in the morphology of the face even in the childhood is easily and clearly expressed. Consequently, it is concluded that this formulae is one of the extremely significant ones for the morphological study.
著者
森田 亮 森 雄作 李 相翔 平野 勉
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.490-498, 2009-12-28 (Released:2011-05-20)
参考文献数
34

Chronic kidney disease(CKD)の治療に,スタチンの腎保護作用が注目されている.スタチンは主作用の血清コレステロール低下と独立して腎保護的に働く多面的作用を有するが,各スタチン間の差は明らかではない点が多い.本邦で開発された強力なコレステロール低下作用を有するピタバスタチンの多面的作用としての腎保護作用を検討した.スタチンはラットではコレステロール低下を示さないため,コレステロール低下作用を介さない腎保護効果の検討が可能である.CKDモデルとして左腎臓2/3と右全腎臓を摘出して5/6腎臓摘出ラットを作成し,スタチン群(ピタバスタチン3mg/kg/day)と非スタチン群に割り振り12週間観察した.非スタチン群とスタチン群で食事摂取,体重,および血清脂質の差を認めなかったが,スタチン群は血清クレアチニン値(1.1±0.8 vs. 1.9±0.7mg/dl),尿蛋白量(175±45 vs. 273±35mg/ml・Cre),尿アルブミン量(968±95 vs. 1483±214μg/ml・Cre)が低値,クレアチニンクリアランス(23±7 vs. 13±4ml/min/g)が高値であった.残腎の組織学的所見ではスタチン群は糸球体硬化指数(2.5±0.4 vs. 3.2±0.4)と間質線維化度(24.3±3.8 vs. 34.8±5.8)の改善を認めた.Quantitative real-time PCR法による検討では非スタチン群で認められたtransforming growth factor-beta (TGF-β)とconnective tissue growth factor (CTGF)の過剰発現がスタチン群では抑制された(TGF-β:1.52±0.33 vs. 2.32±0.56,CTGF:1.32±0.34 vs. 2.16±0.52).組織学的所見と血清クレアチニン値,クレアチニンクリアランス,尿蛋白量,尿アルブミン量は有意な相関を示し(r=0.684~0.913クレアチニンクリアランスのみ負の相関),TGF-β,CTGF mRNAの間にも相関を認めた(r=0.469~0.690).5/6腎臓摘出ラットにおいてピタバスタチンは血清脂質の変動を伴わない腎保護作用を示し,TGF-βとCTGFの過剰発現是正を介した糸球体硬化と間質線維化の抑制による効果であることを示している.
著者
長谷川 真紀子
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.833-842, 1987

股関節屈曲の主作動筋といわれる腸腰筋 (大腰筋と腸骨筋) の筋線維構成を観察し, 両筋を比較するとともに, ヒトの他筋と比較して, その機能的特徴を検討した.研究対象は10%ホルマリン水注入屍から得られた大腰筋左右11対 (男性: 6, 女性: 5) と腸骨筋6側 (男女各3) で, これらはセロイジン包埋, HE染色を施した.また, 45歳女性の未注入屍から大腰筋と腸骨筋を採取し, Sudan BlackB染色を施し, 筋線維を分別し, 前者と対比した.結果: 1.Sudan BlackB染色による所見1) 3筋線維型の比率は, 白筋線維が大腰筋では41.3%で最も高く, 腸骨筋では38.3%で中間筋線維 (40.5%) とほぼ等しく, 両筋とも赤筋線維が少なかった.2) 3筋線維型の太さの平均値は, 両筋ともに, 赤筋線維, 中間筋線維, 白筋線維の順に大で, 赤筋線維の太さは白筋線維の約3倍であった.3) 筋線維密度は, 筋線維型別に見ると大腰筋では赤筋線維が, 腸骨筋では中間筋線維がそれぞれ最も高く, 白筋線維の密度は低かった.これは本筋群の持続的収縮傾向を示すものである.II.HE染色による所見1) 筋腹横断面積は大腰筋では男性が女性よりも優ったが, 腸骨筋では性差を認め難く, 両筋問では男性では差がなかったが, 女性では腸骨筋が大腰筋よりも優る傾向が見られた.これは骨盤部形態の性差に基くものと考えられた.2) 1mm<SUB>2</SUB>中の筋線維数は, 大腰筋では性差なく, 腸骨筋よりも多く, 後者では女性の方が男性よりも優る傾向が見られた.3) 筋腹横断面における筋線維総数は両筋とも上腕二頭筋あるいは前脛骨筋に匹敵し, 男性では大腰筋が, 女性では腸骨筋がそれぞれ他よりも多かった.4) 筋線維の太さは腸骨筋が大腰筋よりも優り, 大腰筋は上腕二頭筋, 胸鎖乳突筋, 咬筋等に, 腸骨筋は僧帽筋尾側部, 小菱形筋, 肩甲挙筋等にそれぞれ匹敵し, 両筋とも男性が女性よりも優る傾向が見られた.その分布型は大腰筋では単峰性の左方推移型が, 腸骨筋では多峰性の右方推移型がそれぞれ多く, 大腰筋では退縮傾向が著明であった.5) 筋線維の密度は両筋とも80%前後で, 大腰筋では男性が女性よりも優り, 男女とも加齢的に低くなる傾向が認められた.6) 以上の事から, 本筋は主として股関節の屈曲位の維持に働き, それぞれ大凡上腕二頭筋に近い筋力を有し, 歩行に当って腸骨筋は大腿の外旋にも働き, その傾向は女性で著しいと考えられた.
著者
臼井 充郎 宮本 二一 山田 浩隆 吉川 望海 八田 善夫 石井 博 小池 正
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.563-567, 1991

症例は81歳, 女性.貧血, 便秘を主訴に入院した.注腸X線造影にてS状結腸から下行結腸にかけ約18cmの腸管狭窄像を認めた.CFにては, 肛門輪より12cmの部位に周提形成し, 同部位より口側には挿入不可能であった.生検でGoupVのため, 左半結腸切除, 高位前方切除術施行した.切除標本では, 狭窄部の肛門側に浸潤潰瘍型大腸癌が認められ, 正常部をはさみ, stricture typeの閉塞性大腸炎が口側に認められた.<BR>本症例は, 既往歴にmicroangiopathyを惹起するような疾患はなく, 入院一カ月前に突然の腹痛はあったものの, 下血, 下痢等の閉塞性大腸炎の典型的な症状を欠いていた.大腸癌の口側に発症した閉塞性大腸炎が, stricture typeであり, 非可逆性変化を起こしていた場合は, びまん浸潤型大腸癌との鑑別は困難であり, その診断には, 細心の注意が必要である.
著者
大西 司 足立 満
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.34-40, 2012-02-28 (Released:2012-12-14)
参考文献数
15
著者
石川 岳
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.104-119, 2000

3次元コンピユータ動作解折装置を用いてゴルフスイングを動作解析した.対象はプロゴルファー8名, アマチュアゴルファー10名である.方法はゴルフスイングを2方向からのビデオカメラ撮影を行い, それをもとに3次元コンピュータ動作解折を施行した.ゴルフスイングにおいては, 正確にかつ遠くヘボールを飛ばすといった, 2つの相反する目的を達成させなければならない.今回のプロとアマのゴルフスイングを動作解折し, 比較検討した結果は, アドレス地点とインパクト地点との重心の飛球線方向への移動距離が, プロ群平均9.5±4.5cm・初心者群平均3.2±6.0cmとプロの方が大きく体重移動をたくさん行っていた.また, 両肩甲帯と骨盤帯のバックスイング時の捻転もプロ群平均75±13.9°・アマ群平均61.4±10.2°とプロの方が有意に大きかった.これはパワーの蓄積と考えられる.また, 蓄積されたパワーを体重移動と共に下半身から肩甲帯へ, 肩甲帯から肘関節へ, 肘関節から手関節へと体幹から末梢へ運動連鎖を正しく行い, そのパワーをクラブヘッドに伝える事が重要である.そして, アドレス地点とインパクト地点の左膝角度は, プロではその差の平均は4.1±3.8°でアマは11.5±7.2°であった.インパクトの正確性を高める為には左膝の角度をアドレスと同等にする必要がある.また, インパクト時の肩甲帯の向きは, プロにおいて飛球線と平行に近いが, アマにおいてはその向きが一定せずボールに正対してインパクトを行っていなかった.これもインパクトの正確性を低くする原因であると考えられた.これらを実現させるには, 骨盤帯をしっかり固定する下肢筋力と, 肩甲帯を捻り上げる傍脊柱筋及び肩甲帯周囲筋の筋力増強が必要であり, 正しい運動連鎖と効率良く筋力を発揮できるタイミング作りが重要であると考えられた.
著者
広田 曄子 星山 佳治 川口 毅
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.30-36, 1997

初生養護が小児科領域の医書の中でどのように記載されているかについて歴史的流れの中で文献学的に検討した.その結果, 初生養護は小児科領域の医書において治療や臨床医学的処置だけでなく予防医学の観点からも重要なこととして古くから詳細な記載がされてきた.中国の「千金方」をはじめ「小品方」などの医学の伝承を受けて平安時代に丹波康頼によって我が国で最初に編纂された「医心方」に記載されており, 以来江戸時代にいたるまで多くの医書においてもほぼ同様の記載となっている.しかし, 江戸時代後期になると従来の初生養護にかかわる処置を継続しようとする古方派と従来の考え方を否定し新しい知見に基づいた有持桂月等をはじめとする新しい日本独自の初生養護に対する考え方の台頭など江戸時代にはかなり自由な思考が数多くなされており, まさに百家争鳴の感がある.さらに, この時期には離乳や臍ヘルニアの治療といった新しい治療などの記載や予防的観点から厚着をさせないことや満腹するまで乳を与えない, あるいは日光浴をさせ風邪の予防に心掛けるなど今日の予防医学においても通用するいくつかの知見がみられた.このように我が国の医書にみる初生養護の変遷について振り返ってみることにより現在の新生児に対する保健予防や治療においても通用する知見も多く見られ今後の医療発展にも大きく貢献する事が期待された.
著者
小出 良平
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.5-7, 1999-02-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
4
著者
勝又 義直
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-11, 2006-02-28 (Released:2010-09-09)
著者
依田 光正 高崎 幸雄 笠井 史人 水間 正澄
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.129-133, 2002-04-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

症例は57歳女性.くも膜下出血に脳梗塞を併発し, 発症5カ月後に当院へ入院.左半側空間無視・左片麻痺を認め, 左下肢は痙性亢進のため屈曲共同運動が著明で伸展が困難であった.運動療法, 薬物療法は効果が上がらず, 局所麻酔薬による坐骨神経ブロックを計10回施行した.次第に膝屈曲筋群の痙性は減弱し, 膝伸筋群の収縮がみられ, 下肢の支持性は向上し歩行可能となった.神経ブロックで一過性に膝屈筋群を弛緩させ, 相反性抑制を解除することが伸筋群の収縮を可能とし, 伸筋群に収縮が生じることで逆に屈筋群へ相反性抑制がかかり屈筋群の痙縮が軽減, その結果, 左下肢の支持性・歩行能力が向上したと考えられる.
著者
小田川 寛子 白土 なほ子 長塚 正晃 千葉 博 木村 武彦 岡井 崇
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.155-161, 2008
被引用文献数
2

近年, 若年者の月経随伴症状に対する医学的ケアーの重要性が指摘されている.今回われわれはMDQ (Menstrual Distress Questionnaire) に項目を追加した独自のスコア (修正MDQ) による定量的基準を作成し, それに基づき若年者の月経随伴症状について検討した.対象は文書による同意を得た15~20歳の若年女性345人である.アンケート内容は, (1) 背景として身長, 体重, 日常生活状況, 月経歴など, (2) MDQに含まれる月経随伴症状に関する質問事項47問に月経前症候群 (PMS) に多い症状として7問 (腹部膨満感, 食欲変化, いらいら, 会社 (学校) を休む, 自信がない, 死にたい, よく涙がでる) を加えた54質問項目である.それぞれ月経前, 中, 後の3時期について調査し, 各項目を0~3点に配分し54項目の合計点 (M点) で評価した.統計学的解析はBonferroni法を用いた.背景に各年齢間で有意差はなかった.M点は月経前, 中, 後で各々27.0, 36.2, 9.7であった.月経後のM点は年齢間で有意差はなく, 月経前のM点は加齢と共に増加する傾向を認めた.月経後のM点をベースの症状と考え, 平均値である10点を基準として, 以上を高値未満を低値とし, 月経前高値で月経後低値を月経前症状群 (P群) , 両者が低値を正常群 (N群) , 両者が高値を月経前後症状群 (Q群) としたところ, P群及びN群の月経中のM点はそれぞれ37.2, 14.3でありP群で有意に高かった.N群の割合は加齢とともに有意に減少 (15歳61.1%, 20歳19.3%) し, P群は加齢とともに有意に増加 (15歳22.2%, 20歳47.4%) した.一方Q群は15歳で11.1%であったが加齢とともに増加し20歳では33.3%であった.また各質問項目を, からだの症状・こころの症状・日常のトラブルと分類し, 各症状の平均点を求めたところ, 「下腹痛・腰痛」, 「胸の張り・むくみ」, 「疲れやすい」, 「肌荒れ」, 「いらいら」, 「憂うつ」, 「感情の不安定」, 「怒りっぽい」, 「食欲変化」, 「居眠り・不眠」, 「仕事などやる気の低下」などの症状の平均点が高かった.修正MDQを用いた定量的基準による検討で, 月経前症状が強い女性は月経中の症状も強く, 頻度も加齢とともに増加すること, 及び身体的, 精神的各症状と生活上の障害を有することが明らかとなった.また修正MDQに基づく点数化は客観性があると考えられるが, 本法によるPMS抽出に対する妥当性は今後の検討を要すると思われる.
著者
溝呂木 忠 吉池 将弘
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.618-628, 1999-12-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
13
被引用文献数
2

日常生活の活動度の低下が換気機能に及ぼす影響について研究した.対象は呼吸器疾患を持たない65~99歳 (平均77.7±8.2歳) の自宅で生活する者, 施設入所者など計163名で, そのうち85名については生活時間構造の分析も行った.活動度は厚生省日常生活自立度判定基準をもとにして作成し, N (正常) , J1 (電車・バスで外出) , J2 (隣近所へ外出) , A1 (屋外は要介助) , A2 (屋内も要介助) , B (長時間ベッド上で過ごす) の6段階とした.検査項目は%肺活量 (%VC) , 一秒率, ピークフロー (PEFR) , V25/Ht, 最大呼気圧 (MEP) , 最大吸気圧 (MIP) , 胸郭の可動域, ADL及び生活時間構造であった.%VC, PEFR, MEP, MIP, 胸郭の可動域は活動度の低下に伴って有意に減少した.とくに深呼吸時の胸部の可動域はNとJ1で既に有意差があり, 下胸部の可動域ではJ1とA1, J2とA2の間でも有意に低下した.%VCもNとJ2との間で有意に減少し, その後も低下し続けてJ1とA1, J2とA2, A1とA2との間で有意差があった.また拘束性換気障害 (%VC<80%) の者の割合は活動度の低下とともに増加し, N, J1で0%だったものが, J2で42%, A1で61%, A2で96%, Bで91%であった.呼吸器疾患や呼吸器症状がない者を対象にしていることから, これら変化は廃用によるものと考えられた.一秒率とV25/Htは活動度の違いによる有意差はなかった.閉塞性換気障害 (一秒率<70%) の者の割合が活動の低下により増加あるいは減少することもなかった.%VCへの影響が大きかったのは活動度の他に, 下胸部の可動域, MIP, 趣味・家事時間, 縦になっている時間であった.反対に%VCへの影響が少なかったものは, 年齢, 一秒率, MEP, 起床・就寝時間であった.これらの事実から, 呼吸器疾患がなく日常生活が自立していても活動度が低下すると極めて早期から拘束性換気障害が進行すること, そのための呼吸理学療法と生活の活性化が必要であることが明らかになった.
著者
蜂須 貢 村居 真琴 田中 正明 瀬川 克己 武重 千冬
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.543-550, 1979

1.D-フェニルアラニンのペプチダーゼ阻害作用を生物学的に検定した.モルモット空腸の収縮はエンケファリンで抑制されるが, この抑制はペプチダーゼを含む脳の抽出液が存在する時は消失するが, D-フェニルアラニンを添加すると消失しないで, 脳の抽出液を熱処理して酵素活性を失わせた時と同じになる.<BR>2.ラットの脳室内に投与したエンケファリンによる鎮痛はD-フェニルアラニンの腹腔内投与によって著しく増強される.<BR>3.ラットの尾逃避反応の潜伏期を痛覚の閾値として, 針麻酔の刺激を加えると, 5%の危険率で有意の差のある鎮痛が現われるラットと現われないラットがあり, それぞれ針鎮痛有効群, 無効群とに区分できる.<BR>4.D-フェニルアラニンを投与すると, 針鎮痛無効動物の針鎮痛は著しく増強され, 有効群にD-フェニルアラニンを投与した時のわづかに増強された針鎮痛とほぼ等しくなり, 針鎮痛の有効性の個体差は消失する.<BR>5.針鎮痛有効群ラットは中脳中心灰白質刺激による鎮痛も有効で, 針鎮痛の有効性の個体差と中脳中心灰白質刺激による鎮痛の有効性の個体差はよく並行する.D-フェニルアラニンを投与すると, 針刺激ならびに中脳中心灰白質刺激無効群ラットの, 中脳中心灰白質刺激による鎮痛は増強し, D-フェニルアラニン投与後わづかに増強された針刺激有効群ラットの中脳中心灰白質刺激による鎮痛とほぼ等しくなり, 中脳中心灰白質刺激による鎮痛の有効性の個体差は消失する.<BR>6.モルヒネ鎮痛の有効性の個体差も針鎮痛の有効性の個体差と並行するが, D-フェニルアラニン投与後はモルヒネ鎮痛は増強され, 鎮痛の程度は両群ともほぼ等しくなり, モルヒネ鎮痛の有効性の個体差は消失する.<BR>7.針鎮痛, 中脳中心灰白質刺激による鎮痛, モルヒネ鎮痛何れにも鎮痛性ペプタイドの内因性モルヒネ様物質が関与し, これら鎮痛の有効性の個体差はぺプチダーゼの活性の個体差に依存していると考察した.
著者
佐多 祐策 酒井 朗 唐木 保照 土持 綱治
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.31-36,53, 1952-03-01 (Released:2010-09-09)
参考文献数
13

Congenital anal atresia is a malformation which is fairly frequently encountered in the clinic. Recently, the authors happened to fall upon a case of simple anal atresia and a case of complicated vesical anal atresia accompanied by female spurious hermaphrodism in the Department. Therefore, the cases are reported and discussed in the present paper for the purpose of comparative considerations.Most cases of simple anal atresia or complicated anal atresia are usually first diagnosed on the occash, n when the clinical symptoms of ileus have appeared. Plastic operation for the case of simple anal atresia, and artificial anus for the case of complicated vesical anal atresia was indicated. Surgical treatment of plastic operation of anus was performed on these cases 4 months after the first operations.In the case of vesical anal atresia, the fact that it was accompanied by female spurious hermaphrodism was discovered during the second operation. Therefore, a review on the embryological pathology of complicated anal atresia was attempted, and discussions were made on the genesis of hermaphrodism with reference to the past literatures on the subject.
著者
野田 弘二郎 保阪 善昭 村松 英之 上田 拓文
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.325-336, 2005
被引用文献数
4

顔面骨骨折の診断と治療方針決定に役立てるため, 過去10年間に当院を受診した症例について統計的検討を行った.1994年度より2003年度までに当院を受診した顔面骨骨折1415症例を対象とした.患者数は増加傾向にあり形成外科全患者中の割合も増大していた.平均で7割が救急外来を初診していた.性差は3: 1, 年齢平均は33.3歳であり受傷原因は男性では暴力, スポーツが, 女性では転倒・転落, 交通外傷が多かった.10歳代ではスポーツと暴力が, 高年齢層では転倒・転落が多かった.部位別では鼻骨, 頬骨, 下顎骨, 眼窩, 上顎骨の順に多かった.鼻骨骨折は若年層に多く, 高年齢層では頬骨骨折, 下顎骨骨折が多かった.下顎骨骨折では関節突起, 頤, 下顎角, 体, 筋突起, 歯槽突起の順で多かった.複数骨折での組み合わせは片側関節突起と頤が最も多かった.手術を行った症例が56.3%, 保存的治療は43.7%で, 手術は鼻骨骨折, 眼窩骨折, 下顎骨骨折の約半数で, 頬骨骨折, 上顎骨骨折ではより多く行われていた.症例数は単一施設としては本邦の報告中最多であった.患者数の増加傾向は顔面骨骨折治療の重要度が高まりを示している.受診経路は7割が救急外来でありプライマリケアの重要性が裏付けられた.年齢, 性別は他の報告と概ね一致していた.受傷原因は暴力が多く当院の立地等に影響されていると考えられた.受傷原因の性別, 年代別の差異は社会生活における行動傾向, 社会活動の活発さ, 反射的回避能力, 骨強度の年齢による変化等に起因すると考えられた.骨折部位別頻度は他の報告と同様の結果であったが, 当院の症例では鼻骨骨折の占める割合が高く, 上顎骨骨折も49例の受診があり軽傷から重症例まで幅広く扱う当院の性質を表しているものと考えられた.若年層で鼻骨骨折が特に多く, 中年以降では頬骨骨折の割合が高いが, 若年層ではスポーツや暴力による比較的軽傷の症例が, 高年齢層では転倒・転落など不慮の事故に関わる比較的重症な症例が多い傾向があると言い換えることも出来る.下顎骨骨折の部位別骨折頻度は他の報告と概ね一致していた.下顎骨骨折における複数骨折は, 関節突起や頤との組み合わせが多く, これらの骨折では高率に複数骨折があり注意を要する.全症例の56.3%が平均受傷後8日で手術されており再手術を要した症例は0.7%に過ぎなかった.
著者
鈴木 悟 藤森 師雄 岡本 途也 木村 通彦
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.77-80, 1981-02-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

突発性難聴の診断は比較的容易であるが, 我々は突発性難聴と診断し治療を行った後に, 心因性難聴に気付いた2症例を経験したので報告する.症例 (1) は23歳女性, 症例 (2) は17歳女性である.症例 (1) は左耳難聴, 症例 (2) は両耳難聴を訴えて当科を受診した.共に突然発症しており, 難聴耳は両例共ろうの状態であった.突発性難聴と診断し, 直ちに治療を開始したが, 両例とも特異な経過をたどって治癒した.
著者
松井 住仁
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.271-284, 1981
被引用文献数
3 1

入院患者の至適温熱環境を求めるため, 内科病棟において1年間温湿度測定, 患者への温冷感等のアンケート調査及びカルテ調査を実施し, 以下の知見をえた.至適温度は秋22~23℃, 冬20~21℃, 春21~22℃, 夏24~25℃, と季節差があった.若年者は, よりより凉しい室温でより涼しく, より暖かい室温でより暖かく感じる傾向にあった.温熱環境に対して類似の温冷感申告を呈する傾向を有す患者を1群として, 5群の疾患群に分類した.この傾向から疾患毎の至適温度を求めることが望ましいと考えた.夏の冷房しすぎ, 冬の暖房しすぎ等, 冷暖房時期, 時間, 実施方法について再考の余地を認めた.湿度感においても季節差があり, 特に冬は乾燥感の申告が増加していた.患者は病室内温熱環境の変化に対して, 衣服, 寝具等によって個々に体温調節を行っており, これによって現在一般的な空調設備は満足しえるものと考えられたが, 個々調節不能な重症者, 幼児等では依然問題が残されている.