著者
稲葉 益巳 金箱 房枝
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.177-178, 1953

Utilizing anti-C, anti-D and anti-E sera, which were donated by A. S. Wiener, tthe authors examined 90 Japanese persons for their Rh types. The following is the result of their examinations.<BR>Phenotypc<BR>CDe type 59<BR>CDE type 11<BR>cDE type 7<BR>cdE type 6<BR>Cde type 4<BR>cde type 2<BR>cDe type 1<BR>Total 90
著者
島内 節
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.189-201, 1986-04-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
20

パーキンソン病患者は神経難病の中で最多であり, その多くが在宅療養者であるにもかかわらず在宅ケアの実践例からケア課題やケア効果をとらえた研究例は, きわめて少ない.そこでパーキンソン病患者の社会環境条件と在宅ケア顆題の特徴を明らかにし在宅ケアについて評価を行った.東京都立神経病院在宅診療班が1975~1983年の期間に在宅ケアを開始していたパーキンソン病患者69例について在宅ケア開始期を中心として患者の属性・社会環境条件, 症状・障害, 病状経過ADL, 精神能力, 介護実態, 介護困難を分析した.その際, 一般寝たきり老人, 寝たきりでない疾病老人をコントロール群とした.その結果次のようなことが明らかになった. (1) パーキンソン病在宅ケア患者は難病, 障害者, 高齢の条件が重なり身体障害者手帳1, 2級所持者は28例 (40.6%) を占め, 全例にADLが著しく低下し, 大多数にコミュニケーション障害, 精神症状, 痂呆, 意欲低下など精神能力も障害されていた.2) 在宅ケアの対象となり, その効果が期待できる症状・障害は, 失禁・排尿障害, 蒸下障害, 精神症状 (幻覚, 失認, 徘徊など) , 意識障害, 呼吸異常, 褥瘡などであり, また処置としては経管栄養, 膀胱留置カテーテル, 吸引, 呼吸管理などであった. (3) パーキンソン病老人は一般寝たきり老人に較べて, 平均年齢は5.5歳低いにもかかわらず前記症状・障害, 処置の必要度が有意に高く認められ, 介護困難も有意に高い. (4) パーキンソン病患者のADL, 精神能力のいずれも女よりも男において有意に低い.この傾向は他文献とも一致した. (5) 介護能力・介護条件は, 介護者によって異なる.このうち緊急問題解決能力は嫁・娘>妻>夫・その他 (老母, 老姉妹) の順で, 日常介護能力・条件は, 妻・嫁>娘>夫・その他 (老母, 老姉妹) の順である.そこで介護者が男性や高齢者の場合に介護上の問題が多い. (6) 介護上の問題は症状・障害に伴う介護知識や技術に困難度が強い. (7) 在宅ケアにおいては上記の問題への対応の他に, 医療費など諸制度の活用, 専門職・非専門職への照会など医療上, 生活上の諸問題や介護者の心身の健康管理などの対応課題があげられる. (8) 専門家による在宅ケアの効果は患者の医療確保に合わせてケアによって症状・障害の緩和, 病状進行を遅延させうることがわかった.また介護者の健康管理によい結果をもたらしていた.
著者
奥村 昌恵 齊川 真聰 山浦 卓 小口 勝司 中山 貞男
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.229-236, 2002-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
14

アトピー性疾患は, 近年増加の一途をたり, その難治化は世界中で大きな問題となっている.特に, アトピー性皮膚炎はTh1型, Th2型アンバランスにより起こる皮膚アレルギー炎症で, 再発性のある事が知られており, その治療法も多岐にわたっている.今回我々は, 鍼刺激の, 皮膚アレルギー炎症モデルマウスに対する効果について検討を行った.まず, ICRマウスをオキサゾロンによって感作した後, 誘発時より鍼刺激を開始した.皮膚アレルギー炎症の指標として, マウスの耳介腫脹率の変化, 耳介重量及び, サイトカイン類はELISA法にて測定した.その結果, 鍼刺激群は対照群と比べ, マウスの耳介腫脹率及び耳介重量を抑制した.血清サイトカイン類の検討では, 鍼刺激群ではIL-2, IFN-γ, 及びIL-10産生を抑制した.また, 耳介組織サイトカイン類の検討では, IL-4, Ig-E及びIFN-γ産生の抑制を示した.以上の結果から, 鍼刺激はICRマウスの皮膚アレルギー炎症に対して抑制的に作用することが示唆された.
著者
中村 直文
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.321-334, 1982-06-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
33

急性膵障害を作製し, その初期像から進転に至る過程を明らかにする目的で実験病理学的研究を行なった.膵障害作製の為に高アミラーゼ血症を来たすことで知られるサソリ毒 (Leiurus quin-questriatus) を家兎に対しては耳静脈より致死量に近い量の2.44×10-4mg/gとその1/2量を3時間, 6時間, 12時間, 24時間間隔で投与した計8群, モルモットに対しては皮下より2.44×10-4mg/g, その1/2量, 1/4量の連日投与および1/2量を隔日にて週3回注射し, 1カ月後に1/4量を増量した計4群, 総計12群に対して投与した.これら投与群に対して, 膵を中心として病理組織学的検索を行なうとともに, 生化学, 電顕的検索, 数種の膵刺激剤を用いた対照実験を加えて行なった.病理組織学的には, 静脈投与では各群において膵における間質の水腫, 毛細血管および導管の拡張, 部分的には腺房細胞の濃縮, 膨化を認め12時間間隔2.44×10-4mg/g投与群, 3時間, 6時間間隔の1/2量投与群では, これらの所見に加えて腺房細胞の空胞形成から崩壊に至る組織像が認められた.皮下投与群では, 恒常的変化は毛細血管網の拡張による目立ちと腺房細胞の変性性障害であり, 長期投与群になるに従いこれら変化が高度になり, 多数の腺房細胞の空胞形成, 脂肪浸潤を認めた.電顕的には耳静脈投与家兎, 皮下投与モルモットの両方に, チモーゲン顆粒の減少, 腺房腟拡大, 粗面小胞体, ミトコンドリアの変性, 空胞形成が種々の程度で認められた.生化学的検索では, 膵腺房細胞の変性性病変が高度の場合には血清および尿アミラーゼ値が漸次上昇する傾向がみられ, 上昇したアミラーゼは3: 8程度で唾液腺型アミラーゼの優位な上昇を示した.以上.サソリ毒投与により, 主に膵においてその腺房細胞に変性性病変を主体とする過分泌を伴う膵障害を起こさしめ得ることを確認した.そしてサソリ毒の短期大量投与群では, 主に水腫を中心とする変性性病変を認め, 長期投与の場合は緩徐な持続分泌による機能亢進の為の細胞疲労, 消耗と思われる変性性変化の過程であり, 両者とも急性膵炎の組織表現と思考する.また当教室における膵障害分類では, 急性障害の内の変性型, すなわち急性実質性膵炎に相当するものである。
著者
渡邉 壮一郎 大坪 天平 田中 克俊 中込 和幸 上島 国利 鳥居 成夫 吉邨 善孝 宮岡 等
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.340-350, 2001
被引用文献数
2

パニック障害患者の6年後の転帰を調査し, パニック障害の転帰に関連する因子について検討した.1993年9月から12月に昭和大学病院精神科を初診で受診し, DSM-III-Rのパニック (恐慌性) 障害の診断基準を満たした166例のうち, 我々が1994年10月から12月に行った1年後の転帰調査に回答を得た100例 (男性37例, 女性63例, 初診時年齢39.5±13.6歳) を今回の調査対象とした.6年後の転帰調査は2000年4月から5月に行った.当科に通院中の患者には担当医が本研究の主旨を説明し文書による同意を得た上で評価した.当科に通院していない患者には手紙により本研究の主旨を説明し, 同意を返信にて確認した後, 指定の日時に電話調査を実施した.評価項目は調査前3カ月間のパニック発作の頻度, 広場恐怖症性回避と予期不安の重症度, 服薬状況, 受診状況, 心理社会的ストレスの強さなどである.当科に通院中の6例と電話調査の51例, 計57例 (男性15例, 女性42例, 年齢47, 5±15.6歳) から回答が得られた.そのうち, 36例 (63.1%) が調査前3ヵ月間に症状限定発作を含むパニック発作を1回以上認め, 38例 (66.7%) が広場恐怖症性回避を認め, 42例 (73.7%) が予期不安を認めた.24例 (42.1%) が当科を含めた精神科に通院中であり, 14例 (24.6%) が他の診療科に通院中であった.41例 (71.9%) が抗不安薬か抗うつ薬を何らかのかたちで服用していた.調査前3ヵ月に1回以上のパニック発作を認めるか, 中等度以上の広場恐怖症性回避か予期不安を認めることを転帰不良の指標とすると, 57例中25例 (43.9%, 95%信頼区間: 31.0~56.8%) が転帰不良と判定された.この転帰不良・良好を目的変数とし, 性別, 初診時の婚姻状況, 初診までの罹病期間, 初診時のパニック障害関連症状の重症度, 性格傾向を説明変数としてlogistic回帰分析を行ったところ, 「初診時に未婚であること」, 「初診時の息切れ感または息苦しさが強いこと」, 「初診時の動悸, 心悸亢進または心拍数の増加が弱いこと」が転帰不良と関連があった.
著者
齋藤 克幸 坂本 英雄 七条 武志 小川 良雄 吉田 英機
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.141-148, 2007-04-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
21

精漿inhibin Bと造精機能の関係を評価し, 精漿inhibin Bが造精機能の有用な指標であるか検討した.対象は不妊症患者81名 (平均年齢36.4歳) で, 精液検査で13名は無精子症33名は乏精子症, 35名は精子濃度が正常であった.血清inhibin B, LH, FSH, testosterone, 精漿inhibin B, transferrin濃度を測定し, 精液検査を行い総精子数精子濃度を検討に用いた.精漿inhibin B濃度は1111±1665pg/ml, 血清inhibin B濃度は149.4±83.42pg/ml, 精漿transferirn濃度は86.88±99.87ng/mlであった.無精子症群, 乏精子症群, 正常精子群の3群間の比較で血清inhibin B濃度, 精漿inhibin B濃度transferrin濃度に有意差 (p<0.001) を認めた.血清inhibin Bは総精子数 (r=0.33) , 精子濃度 (r=0.451) , 血清LH (r=-0.434) , 血清FSH (r=-0.580) , 精漿transferrin (r=0.370) と有意な相関を認めた.精漿inhibin Bは精子濃度 (r=0.395) , 血清FSH (r=-0.259) , 精漿transferrin (r=0.647) と有意な相関を認め, 精漿inhibin Bは造精機能の指標と考えられた.しかし, 精漿inhibin Bは血清inhibin Bより精漿transferrinと強い相関を示していたが, 血清inhibin Bに比べ血清FSHと精子濃度との相関は弱く, 血清inhibin Bに比し造精機能を評価する上で有用性に欠けると考えられた.
著者
友安 茂
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.554-559, 2000-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
7
著者
村上 雅彦 清水 喜徳 普光江 嘉広 李 雨元 李 雅弘
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.334-336, 1993

上部消化管内視鏡検査後に発症した急性胃粘膜病変の1例を経験したので報告する.症例は37歳男性.検診にて上部消化管内視鏡検査施行したが, 4日後突然に激しい上腹部痛出現し当院来院.再度内視鏡検査施行し, 前庭部を中心に出血性, 多発性の浅い小潰瘍が観察された.絶食, 補液, 抗潰瘍剤投与により1週間後には症状消失し, 1カ月後にはわずかな瘢痕を残すのみで, ほぼ完全に治癒した.近年, 上部消化管内視鏡検査の普及により, 本症は増加の傾向にあり, その発症に関してH.P.感染が有力視されており, 今後内視鏡機器の洗浄, 消毒に対し十分な注意が必要と思われた.
著者
山口 正志
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.621-627, 1980

近年の医学の急激な進歩により感染性疾患による死亡率が激減し, 遺伝性, 体質性, 先天性疾患による死亡率が徐々に増加している.<BR>現在遺伝性疾患は約3, 000種類近く報告されている.<BR>今回著者は過去2年2カ月間に亘り遺伝相談センター (東京市が谷) に於て実際に相談にたずさわった155例をまとめ報告した.<BR>内訳は, 近親婚がもっとも多く24例, 続いて精神分裂病・そううつ病が20例, 精神薄弱が15例, 口蓋裂・唇裂が14例の順であった.内興味ある3, 4例について詳述し遺伝相談の必要性を強調した.
著者
川手 信行 水間 正澄
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.437-442, 2003
被引用文献数
1

在宅脳卒中患者の介護保険での介護給付について調査した.方法) 要介護認定を受けた脳卒中患者17名を対象に, (1) 要介護度, (2) 実際の介護支給額, (3) 介護給付内容, (4) 支給限度額まで利用しない理由など, 患者及び家族に調査した.結果) 介護度I; 4名, II; 4名, III; 7名, IV; 1名, V; 1名で, 16例が支給限度額半額以下の介護給付であった.給付内容はヘルパー, 訪問看護, デイサービスなどで, 全く給付のない症例も5名認めた.介護未利用理由は, 介護給付施設の不備・不足が多かった.また, 介護支援専門員から主治医へ介護情報の連絡は全くなかった.考察) 在宅患者の介護は, 地域の医療・保健・福祉及び介護の連携が必要と思われた.
著者
守屋 修二
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.179-185, 1991-04-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
14

口唇口蓋裂児の外鼻ならびに上顎の成長発育を調べる目的で, 鼻梁線, 耳介付着線および耳介長軸の三者間の角度の検討を行った.研究対象は正常な三カ月児21名と生後三カ月, 一部5~10カ月の片側あるいは両側の口唇口蓋裂児術前例69名である.結果: 1.耳介付着線と鼻梁線とのなす角度は, 正常三カ月児, 片側口唇裂児, 片側唇顎口蓋裂児, 両側唇顎口蓋裂児, の順に小で, 各々の間に有意差が認められ, 口蓋裂を合併するものは外鼻の成長が小となる傾向が認められた.2.耳介付着線と耳介長軸とのなす角度は, 披裂度の増加に伴い減少の傾向が認められ, 三カ月正常児と両側唇顎口蓋裂児との問にのみ有意差が認められ, 何らかによる耳介の発育障害が考えられた.3.耳介長軸と鼻梁線とのなす角度でも上記2者と同様の傾向が認められたが, 三カ月正常児と片側口唇裂児, 片側口唇裂児と片側唇顎口蓋裂児の間には有意差は認められなかった.すなわち, 耳介長軸は基準線として不適当と考えられた.以上のことから, 口唇顎口蓋裂児中とくに口蓋裂児に上顎の劣成長が強く, 外鼻の発育も抑制されている傾向は認められるものの, 耳介長軸を発育の基準にすることは不適当と推測された。
著者
安斎 勝行 竹内 治男 青木 明 八田 善夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.493-499, 1991-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
15

原発性肝細胞癌 (肝癌) を中心とした各種疾患において血中PIVKA-II (protein induced by vitamin K absence or antagonist-II) 濃度を測定し, その臨床的意義について検討した.肝癌におけるPIVKA-IIの陽性率は56.1%で, α-fetoprotein (AFP) の73.7%に比して低値であった.しかし他の疾患での陽性率は極めて低く, PIVKA-II陽性症例の91%が肝癌であった.PIVKA-IIはAFPとは相関せず, 両者を組み合わせることにより肝癌の診断率は向上した.またAFP非産生肝癌の26.7%にPIVKA-IIが陽性を示した.以上よりPIVKA-IIは肝癌に特異性の高い腫瘍マーカーであり, 肝癌のスクリーニング検査に不可欠であると考えられた.一方PIVKA-IIは, ある程度進行した症例に陽性となる傾向がみられ, 肝癌の早期診断のマーカーとしては限界があると考えられた.PIVKA-IIは肝癌治療によって低下することから治療効果判定や経過観察のモニタリングの指標として応用され得るものと考えられ, とくにAFP非産生肝癌には有用と思われた.PIVKA-IIはビタミンKの投与により低下することから, 判定に際してはこの点を留意する必要があると考えられた.
著者
福井 章 韓 啓司 長嶺 安哉 狩野 充二 羽山 忠良 風間 和男 後藤 晃
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.495-499, 1971-09-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
14

A 50 year-old man was admitted to our clinic because of abrupt severe headache and vomitting.The diagnosis of subdural hemorrhage was made.Results of examination on admission, : hemoglobin concentration 14.5gr per 100 ml, red blood count (RBC) 5, 410, 000, white blood count (WBC) 5, 100, platelet count 194, 790.Another laboratory studies were not remarkable except that occult blood test was positive in feces. He had past history of hemorrhoid.Hemorrhages in the skin and mucous menbranes were absent.From the second days after admission, the patient was treated with chloramphenicol (CP) Igr daily for nineteen days because of fever.The patient improved gradually and could walk alone.Twenty-six days after admission, he had fever again, and then RBC (3, 010, 000) and WBC (1, 900) showed the striking decrement comparing with these on admission.At that time, the myelogram demostrated that myeloblasts were 21.8% and lymphocytes were 62%.The nucleated cells was 19, 000.In spite of being treated with adreno-corticosteroid hormones and blood tranf usions, platelet (5, 500) and WBC (1, 300) decreased markedly.Explosively, hemorrhagic manifestations were aggravated and the patient died.The autopay performed. Aleukemic-leukemia was made in view of the pathologic findings of widespread necrosis of bone marrow and immature leukocytes in the various organs. But, there were no immature leukocytes in the organs of hemorrhages.In the present case, we suggest that the onset of leukemia might be caused by CP.
著者
穗坂 路男 星山 佳治
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.522-529, 1996

在宅酸素療法home oxygen therapy (H.O.T.) 患者のquality of life (Q.O.L.) を改善する目的で, diazepamを投与し, その効果をdouble-blind, crossover, Placebo-diazepam clinical tria1によって評価した.調査対象は, H.O.T.導入後3カ月をすぎ, 呼吸不全状態の安定期にあるI型呼吸不全の患者とし, diazepam及びplacebo 0.1~0.2mg/kgを1カ月毎に計4カ月間double blindで投与した.あらかじめ, 性格特性, 人格特性等を心理テストにて把握するとともに, 様々な身体的, 精神的検査を, 各1カ月の前後にそれぞれ行った.その結果, diazepam投与の前後において, 呼吸機能の有意な変化は認められなかったが, 呼吸困難感は有意に改善した.また, 患者の抑うつや不安感に関しては, Placebo投与群では増悪傾向が見られたにもかかわらず, diazepam投与群においては改善傾向が認められた.同様に, Q.O.L.評価においてもplacebo投与群では増悪傾向がみられたにもかかわらず, diazepam投与群は改善傾向が認められた.また, placebo投与群では身体的機能障害と精神的機能障害ともに増悪傾向が見られたのに対し, diazepam投与群では身体的機能障害は増悪傾向がみられたが, 精神的機能障害は改善の傾向が認められた.また, diazepamを投与した結果, 呼吸困難感が改善した患者群と不変増悪の患者群の2群の間で, 判別分析を行った結果では, 呼吸困難感が強く, MMPIの1ie scaleおよびY-G性格検査のthinking extroversionの高い患者ほど, diazepam投与による呼吸困難感軽減の効果が現れやすいことが示唆された.
著者
久代 裕史 岡松 孝男 八塚 正四 角田 ゆう子 岡本 信也 松村 光芳 五味 明 菅野 壮太郎 鈴木 誠 飯島 忠 中田 雅弘
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.445-449, 1990-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
20

小児の異物誤飲に遭遇する機会は少なくない.特に, 最近ではボタン型電池に代表される金属性の異物が増加の傾向にあって, その対処にはさまざまな方法がある.私どもは過去6年間に10例の金属性胃内異物に対してマグネットチューブを使用し, 全例入院を要さずに摘出でき, その有用性が確認できた.この摘出法は透視下で施行する必要があるものの, 簡便で安全に誰もが習得でき, 多くの磁性体金属性異物に対して推奨すべき摘出法と考える.
著者
柳沢 宏実
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.349-361, 1984

各種皮膚疾患における浸潤リンパ球のT, B cell分類及びT cellのsubsetを組織レベルで解析・同定する手段として近年A.N.A.E.染色 (acid α-naphtyl acetate esterase) やanti T cell monoclonal antibodyを用いた方法が行なわれる様になり, 浸潤細胞をfree cellの状態ではなく精細に, その機能面に至るまで解析することができる様になったが, これらに関する報告はまだ数少ない. (1) 正常扁桃組織, 各種皮膚疾患60例 (湿疹・皮膚炎・痒疹群17例, 扁平苔癬6例, 尋常性乾癬・類乾癬8例, 皮膚アレルギー性血管炎2例, 多形滲出性紅斑1例, D.L.E.2例, 深在性エリテマトーデス3例, 環状肉芽腫2例, 顔面播種状粟粒性狼瘡3例, 皮膚良性リンパ腺症2例, 尋常性天疱瘡1例, 悪性リンパ腫群7例, 皮膚悪性腫瘍6例) の皮膚組織浸潤細胞について, A.N.A.E.染色を施行し, 検索した. (2) さらに, 正常扁桃組織扁平苔癬については, anti T cell monoclonal antibody (OKT3, 4, 8) による染色を行ない, その成績を検索し, A.N.A.E.染色成績と比較検索した. (3) 扁桃組織のA.N.A.E.染色, anti T cell monoclonal antibody染色の検索成績から, A.N.A.E.陽性細胞は, helper T cel1であることが示唆された. (4) 各種皮膚疾患の浸潤細胞のA.N.A.E.染色所見は次の通りであった.a) A.N.A.E.陰性, Bcell優位の所見を呈した疾患群とそのT/B比は以下の通りであった.湿疹・皮膚炎・痒疹群 (0.5) , 皮膚アレルギー性血管炎 (0.9) , 多形滲出性紅斑 (0.4) , 環状肉芽腫 (0.2) であった.b) 湿疹・皮膚炎・痒疹群では, 平均値でB cell優位の所見であったが, 各症例間にかなりの差異がみられた.これは, 病態の時間的な問題と関連があることが示唆された.c) 環状肉芽腫では, とくにB cell優位であったが, 血管壁への免疫複合体沈着という既報告成績と合せ, 液性免疫機序の関与が示唆された.d) A.N.A.E.陽性, Tcell優位の所見を呈した疾患群とそのT/B比は以下の通りであった.扁平苔癬 (5.5) , 尋常性乾癬・類乾癬 (1.3) , D.L.E. (5.5) , 深在性エリテマトーデス (2.7) , 顔面播種状粟粒性狼瘡 (1.7) , 皮膚良性リンパ腺症 (2.5) , 尋常性天疱瘡 (1.2) , 悪性リンパ腫群 (2.6) , 皮膚悪性腫瘍群 (2.1) であった.e) 皮膚悪性腫瘍周囲の浸潤細胞は, T cell優位であったが, macrophageの存在と総合して, 腫瘍排除の機序に関与するものと考えられた. (5) 扁平苔癬6例のanti T cell monoclonal antibody染色所見で, 表皮直下の帯状浸潤細胞は, A.N.A.E.染色所見と同様にT cellが主体(平均86%)である所見であった.さらに, OKT 4所見で, それらのT cellの70%がhelper T cellであるという成績であった.また, 表皮に隣接する部位程, このhelper T cellの密度が高いという新知見が認められ, これは, 表皮基底細胞が, 本症の発症に重要な因子となっていることを示唆すると考えられた.
著者
長谷川 幸祐 諸星 利男 福井 俊哉 河村 満 杉田 幸二郎
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.69-78, 1997-02-28 (Released:2010-11-19)
参考文献数
30

パーキンソン病の運動及び知的精神機能障害には数多くの修飾因子が関与している.今回, われわれはパーキンソン病の臨床症状に関わる諸因子; (1) パーキンソン病患者の生活機能予後の悪化に関与する因子, (2) 痴呆を伴うパーキンソン病患者にかかわる因子, (3) 死因について, 1992年~1996年の4年間にわたり追跡し, 検討を加えた.対象は昭和大学神経内科に受診中のパーキンソン病患者, 49例, 平均年齢67.9歳 (51~89歳) .男性16例, 女性33例 (男女比1: 2.1) である.方法は (1) 1992年時に初発症状, 罹病期間, Hoehn-Yahr重症度, 抗パーキンソン病薬の内容と用量, X線CT上の脳萎縮所見, MRIT2強調画像上の高信号病変 (大脳基底核は除く) , 及び知的精神機能を検討し, 1996年の生活機能を障害程度から5段階に区分し, 上記諸因子と生活機能予後の関連性について重回帰分析を用いて分析した. (2) 4年間の観察期間中に, 新たに痴呆が発症した群における上記諸因子の特徴, 死亡例の死因を検索した.4年間の追跡の結果, 加齢, 高い重症度, かな拾いテストの低得点が生活機能予後を悪化させる要因であった.受診時高齢者・高齢発症者に痴呆の発現率が高く, 運動機能の低下に伴い知的機能が平行して高率に低下した.死亡例は10例, 死因発症前のHoehn-Yahr重症度は, いずれもIII度以上で, IV度以上が50%を占めていた.直接死因は肺炎6例, くも膜下出血2例, 転倒による急性硬膜下血腫1例, 麻痺性イレウス1例であった.以上よりパーキンソン病の予後悪化には, 加齢や運動機能の低下の他に前頭葉機能の低下が関与すると結論づけられた.
著者
斎藤 隆三 横山 定助
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.141-146, 1957-05-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
11

In the present work, a few observations were made on the fixation of the tissues, particularly on the time between the collection and fixation of the tissues and its procedures, and the preparation of extra-thin sections with ultramicrotome, which are most essential for obtaining superior histological pictures in the electron microscopy.In the cases of the tissues obtained in the animal experiments, several drops of OsO4 solution were dripped on the tissue when the material was collected and the tissue shall be cut into oblong slices; slices shall be placed in OsO4 solution and cut into fine blocks of approximately 1 mm3 20-30 minutes later. The fine blocks of approximately 1 mm3 shall be obtained by 2-3 cuts with razor blade. On some occasions, autolytic changes are observed in the picture of the material prepared from the centre of the fine blocks fixed for 1-2 minutes. This is considered due to the time required for the OsO4 solution to penetrate the tissue. When mechanical force was added to this, the picture thus obtained might be misinterpreted. In the case of human tissue, surgical specimen is preferable, but, if too long time was spent for the operation, fine structures of the cells was lost, and conglomeration and sissolution of the granules contained in the nucleus were observed. These phenomena were particularly eminent in the cases of tumor cells. In the cases of autopsy material, unless the material was collected within 1 hour at the latest from the death, the significance of electron microscopy will be lost.
著者
石原 里美 有泉 裕嗣 矢持 淑子 塩沢 英輔 佐々木 陽介 瀧本 雅文 太田 秀一
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.71-78, 2011-02-28 (Released:2011-09-01)
参考文献数
28

成人T細胞性白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma; ATLL)は, 臨床的にヒトT細胞好性ウイルス(human T-cell lymphotropic virus type-1; HTLV-1)感染細胞のモノクローナルな増殖を証明しない限り,組織形態学的には末梢性T細胞リンパ腫–非特定型(PTCL-NOS)との鑑別は困難である.しかし免疫組織学的にATLLとPTCL-NOSの発現に違いがあれば,HTLV-1の感染情報がない場合でも,両者の鑑別が可能と考えられる.1983年11月~2009年9月末までに昭和大学病院でWHO造血器・リンパ系腫瘍分類第4版に基づきATLL又はPTCL-NOSと診断された37例のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を免疫組織化学的に以下の抗体を用いて発現の違いを検討した.CD7,CD25,CD56,CCR4,TIA-1においてATLLとPTCL-NOS間で有意差が認められた.ATLL症例は全例でCD7の減弱が見られた.CD25はATLL症例の72%で陽性で,PTCL-NOSより有意に多かった(P=0.005).CCR4はATLL症例の72%で陽性で,PTCL-NOSより有意に多かった(P<0.001).PTCL-NOS症例はATLL症例に比べてCD56,TIA-1陽性例が有意に多かった(CD56,P=0.01; TIA-1,P=0.03).以上より,ATLLとPTCL-NOSを鑑別する上でCD7,CD25,CD56,CCR4,TIA-1の免疫組織化学検索が有用と考えられた.またATLLのCD25およびCCR4発現率は高く,ATLLの治療法として抗CD25抗体,抗CCR4抗体の有効性が期待された.
著者
渡辺 喬 高木 康 五味 邦英 岩田 隆信
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.512-517, 1995-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
16

脳神経疾患における血清CKおよびCKアイソザイムの変動をクモ膜下出血, 脳内出血, 脳梗塞, 脳腫瘍, および頭部外傷を対象として検討した.診断は, 病歴, 症状, 髄液所見やCTスキャン, 脳動脈撮影により行った.血清総CK活性は, クモ膜下出血, 脳内出血では症例によるバラツキが大きく, 健常基準値より異常高値となる症例はそれぞれ4例 (20%) , 3例 (33.3%) であった.これはCKアイソザイムについても同様であり, 非CK-M活性はクモ膜下出血では症例によるバラツキは大きいが, 平均値は健常対照群の約2倍であり, 3例 (15%) に電気泳動法でCK-BBが検出された.これらに対して脳腫瘍や脳梗塞では血清総CK活性は健常対照群とほぼ同値であり, 異常高値となる症例もほとんどなかった.また, 外科的治療による経時的変動では術後1~1.5日で血清総CK活性は1, 500~2, 500IU/lの極値となった後に漸次低下し, 術後1週間でほぼ健常基準値に復する経過であった.これは非CK-M活性, CK-MB蛋白量も同様であり, 症例によっては術後1~2日に電気泳動上でCK-BBが検出された.CK-BBと疾患の重症度, あるいは手術時の侵襲の程度との間の関係については詳細な分類による検討は行わなかったが, 直接的な因果関係はないように思われた.