著者
岩崎 洋平 岩井 智成
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-8, 2013-06-17

本研究では,複合現実感 (MR) を用いた図書館利用者のための MR サービスシステム:MR Librarian System (MRLS) を開発するためのフレームワークについて検討する.MRLS では,MR Librarian (MR 司書:MRL) と名付けたアバターを介して,2 つの図書館サービス (蔵書検索および入館・貸出履歴管理) をユーザに提供することを目指している.蔵書検索サービスでは,ユーザの探している図書が置かれている書棚までのナビゲーション情報を MR 表示された MRL によってユーザに呈示する.また,入館・貸出履歴管理サービスでは,ユーザの入館履歴や貸出履歴のデータを分析して,貸出図書の嗜好や入館の傾向などを MRL の変化として呈示する.さらに,本システムを図書館利用率向上のための (金銭や物品を伴わない) インセンティブ・プログラムとして機能させることについても検討を進めている.本稿では,それぞれのサービスシステムの開発について述べるとともに,本システムのインセンティブ・プログラムとしての有効性を検討するために行ったアンケート調査の結果についても述べる.We have developed a MR Librarian System (MRLS) using Mixed Reality (MR) technology. This system provides users two kinds of services called library search and admission and lending history management, which introduces an avatar called MR Librarian. Former service is composed of the system that provide navigation for bookshelf on which the target book is placed with MR technology. Admission and lending history management services is supply an avatar visualization engine, which can customize the dress and accessory of an avatar according to the preference of borrowed books. By offering these services, MRLS aims to increase the users' incentive and improves the library services. This article reports the development of MRLS, and experimentally evaluate its validity through questionnaire survey.
著者
小川 文夫 馬場 雅志 日浦 慎作 浅田 尚紀
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-5, 2010-11-01

広島への原爆投下によって発生したきのこ雲の高さについては様々な議論がなされてきた.我々はきのこ雲の写真をその特徴により分類し,爆心地に高さを変えた物体を仮想的に配置し,推定されたカメラ位置からの画像を生成することによりきのこ雲の高さを推定した.その結果,きのこ雲が成長していく過程が確認され,高さは最大で約 16km となることが分かった.推定には様々な誤差を含む要因が考えられるため,推定結果の精度を増すにはさらなる検討が必要である.The height estimation of mushroom cloud after the A-bomb explosion at Hiroshima has been a controversial issue for many years. We have tried to classify there pictures by their feature, and measure the height of the cloud from a single picture by superimposing a vertical object on the picture projected in the same geometry. In the result, we confirm the growing of the mushroom cloud, and the height of mushroom cloud is estimated up to 16 kilometer. There is necessity of consideration for accuracy because the result involve error by various reason.
著者
北村真紀 金森由博 三谷純 福井幸男 鶴野玲治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.24, pp.1-6, 2013-11-21

リミテッドアニメーションとは,同じ絵を 2 コマあるいは 3 コマ連続して用いることによって,毎秒 24 コマのアニメーションを構成する表現手法である.本研究ではモーションキャプチャのデータを入力とし,このデータからフレームを間引くことで動きのタイミングを制御し,「中無し」 と 「コマ撮り」 の効果を模倣する.具体的には,動きが特に速いフレームを削除することで中無しのように速さを強調し,動きの小さいフレームを更新しないことでコマ撮りのように微小な動きを低減する.適用結果の動画により,リミテッドアニメ風のモーションタイミング調整が実現できたことを示す.Limited animation is a hand-drawn animation style that holds each drawing for two or three successive frames to make up 24 frames per second. In this paper, we propose a simple method for automatically converting motion capture data to imitate the unique expressions of limited animation. Especially, we focus on the following two features related to motion timing; one is that limited animation does not show subtle motion because it omits almost-static inbetween frames. The other is that it exaggerates motion speeds by omitting inbetweens. The accompanying movie with animating cartoon characters demonstrates that our method can imitate the expressions of limited animation.
著者
今間 俊博 齋藤 隆文 神谷 由季
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-7, 2011-08-28

実写動画映像と比較して,アニメーションは元々動作における誇張・省略が多く,動きが記号化されている.キーフレームをそのまま補間して動画を作成する欧米のアニメと比較して,日本アニメには,動きの記号化傾向が顕著である.日本では,毎年多くの新作アニメが公開されている.その多くは手描きセル (タッチ) アニメであるが,3DCG 使用アニメの公開も増加している.しかし,記号化傾向が大きい日本のアニメは,動きに関しては 3DCG 化すると全く違ったテイストになってしまう.本論文は,それらの問題点と,解決法に対する取り組みである.It compares with the live action movie, as for the animation, there are originally much exaggeration and omission in case of operation and a movement is symbolized. The animation in the Europe and America does Key-Frame as directly to go to in-between and create the video. It compares with that and as for the Japanese anime, the symbolization tendency of the movement is remarkable. In Japan, a lot of new animation movie is made every year. The almost movie is cel anime by hand-drawing. The made on 3DCG animation, number is increasing. However, it has become a completely different taste when making anime in Japan with lot of symbolization tendency 3DCG about the movement. This paper is those problems and efforts to the approach.
著者
安倍満
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2013-CG-153, no.19, pp.1-14, 2013-11-21

局所特徴量を二値ベクトルで表現する手法について紹介する.これは,キーポイントの特徴量記述を実数のベクトルで表現せず,数十~数百個程度の 0 と 1 の列 (すなわち二値のベクトル) で表現するというものである.この方法により,計算速度・メモリ消費量の問題が飛躍的に改善されたことから,コンピュータビジョンの研究者の幅広い関心を集めるようになった.今では,SIFT や SURF に代わる新たな局所特徴量として急速に普及しつつある.本稿では,キーポイント周辺からコンパクトな二値特徴量を抽出する手法について体系的にまとめる.また,研究目的に利用可能なソフトウェアライブラリについても紹介する.
著者
石川 知一 Yonghao Yue 岩崎 慶 土橋 宜典 西田 友是
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2011-CG-144, no.7, pp.1-8, 2011-08-28

本稿では,磁性流体に注目する.磁性流体は,流体と磁性体の両方の振る舞いをし,この特性により,磁場に沿った 「スパイク状」 の形を生成する.磁性流体は,芸術作品として多用される.我々の目標は,磁性流体の芸術作品をシミュレーションすることです.しかしながら,磁性流体のスパイク形状は,完全に物理ベースの方法ではシミュレーションすることが困難であることが知られている.そこで,我々は SPH(smoothed particle hydrodynamics) 法と手続き型のアプローチを組み合わせた,視覚的にもっともらしい手法を提案する.結果として,磁力が印加されるときに磁性流体にスパイク形状が生成される様子をシミュレーションできることを示す.
著者
井村 誠孝 大城 理 千原 國宏
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2010-CG-138, no.11, pp.1-5, 2010-02-04

コンピュータビジョンを用いた画像解析の研究においては,前処理として連結領域ラベリングが利用されることが多い.本研究の目的は,連結領域ラベリング処理を,GPU を用いて並列処理するアルゴリズムを開発することである.本稿では,ラスタベース連結領域ラベリング手法を取り上げる.特にラスタセグメントの抽出に関して,画像の各ピクセルにスレッドを割り当てる並列性の高いアルゴリズムを提案し,連結領域ラベリングにおける GPU の利用可能性について検討する.
著者
坂口 寛典 宮田 一乘
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2013-CG-150, no.5, pp.1-6, 2013-02-11

本報告では日常の中で女性が身に着けるストッキングの質感を, CG で表現する手法を提案する.ストッキングは伸縮によって構造や質感が変化するという特徴を持ち,女性の表現には欠かせない要素の 1 つであるため,その質感を表現することは重要である.提案手法では,ばね質点モデルを使用することによってストッキングの構造を再現し,足形状へのフィッティングを行った.その情報を用いてレンダリングすることで,ストッキングの構造に基づいた質感の表現が可能となる.
著者
Xiaoxiong Xing Yoshinori Dobashi Tsuyoshi Yamamoto
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2012-CG-147, no.2, pp.1-6, 2012-06-15

We present a real-time framework for rendering hair under environment lighting. We precompute the diffuse and specular irradiance environment maps for Kajiya-Kay model with a given environment map, thus reduce the runtime shading computation to simple texture lookups, and we simulate hair self-shadowing by using offline ambient occlusion. In addition, we further achieve runtime editing of the environment map by using spherical harmonic lighting to accelerate the computation of irradiance maps.
著者
豊浦 正広 五十嵐 哲也 齋藤 豪 寺田 貴雅 茅 暁陽
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2016-CG-162, no.1, pp.1-7, 2016-02-01

カラー写真などの任意の画像から多色織ジャカード織物パターンを生成する.ジャカード織物は数百本から数千本の並列化された経糸と緯糸が交差して構成され,各格子点での経糸と緯糸の上下を定義することで模様を作り出すことができる.多色織パターンは,各行各列の経糸色・緯糸色と格子点での上下関係を示す二値画像によって表現できる.従来法ではグレースケール画像のみを対象にしたり,カラーチャンネルごとに独立に処理したりしていたために,入力画像が持つ色調や陰影を十分に保つことができなかった.本研究では多色織パターンの生成のために (1) 任意色の経糸・緯糸による画像二値化,(2) 入力画像に適切な糸色の自動選択を提案する.実験では,生成されたパターンから製織した結果を示し,提案手法の有効性を示す.
著者
坂東 敏和 三淵 啓自
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.11, pp.1-5, 2009-10-29

現在、世界的に利用者が拡大している 「SecondLife」 に代表されるインターネット 3D 仮想空間の機能を利用して、仮想空間上における教育機関の構築について研究を行っている。そして約 2 年にわたる運用実績から、新しい教育インフラとしての 「メタバースラーニング」 を提唱する。「メタバースラーニング」 では従来の現実世界の学校や e ラーニングとは違った、全く新しい体験を我々にもたらすことになり、まさにインターネットを使った全世界的で地理的制約を越えた教育インフラの幕開けとなる。We have been promoting a research and development in formulation of educational institution in SecondLife which provides us unique qualities of a 3D virtual world. Based on our 2 years of performance, we now propose the metaverse learning as a new educational infrastructure. The metaverse learning provides us rich sensory immersive experiences, authentic contexts and activities for experiential learning which are totally different experiences not only from conventional school in real world but also from so called web 2.0 e-learning. The metaverse learning could certainly usher in a new era of educational infrastructure beyond the geographical constraints throughout the web network globally.
著者
稲垣 智 井村 誠孝 池田 聖 眞鍋 佳嗣 千原 國宏
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2010-CG-138, no.14, pp.1-6, 2010-02-04

映画やゲームにおいては,炎を写実的かつリアルタイムにレンダリングする手法が求められている.炎の CG はエンタテインメントのみならず,防災のための火災シミュレータなどにおいても有用である.本論文では,炎を粒子ベース流体シミュレーションに基づき,写実的かつリアルタイムにレンダリングする手法を提案する.炎を写実的にレンダリングするには,三つの条件を満たすことが重要である.一つ目の条件は,炎が風のような力の影響を受けて変形することである.二つ目の条件は炎の明るさと色が正確であることである.三つ目の条件は,炎の周辺に陽炎が発生することである.提案手法はこれら三つの条件を満たすように粒子ベース流体シミュレーションすることで,炎を写実的かつリアルタイムにレンダリングする.提案手法を実験し,写実的かつリアルタイムにレンダリングできることを確認した.
著者
佐藤 周平 土橋 宜典 山本 強 安生 健一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.15, pp.1-6, 2009-10-29

近年,流体シミュレーションに基づいた自然現象のシミュレーション手法が多く提案されている.その一つとして,爆発のシミュレーション手法が提案されているが,その形状は多くのパラメータに依存しており,ユーザの意図した形状を得ることは困難である.我々は,これまで,ユーザの指定した単一の目標形状に一致するよう爆発のシミュレーションを制御する手法の開発を行っている.本稿では,この手法を拡張し,複数の目標形状をキーフレームとして指定することで複数回の爆発の制御を可能とする手法の開発を目指す.提案手法により,異なる目標形状に制御された複数の爆発のシミュレーションを連続して行うアニメーションの生成が可能である.Recently, many simulation methods for natural phenomena based on fluids simulation have been proposed. A method for explosion is also proposed, but the shapes of the simulated explosions depend on many simulation parameters. Therefore, it is difficult to create a shape of explosion that users specified. In this paper, we propose a method for controlling explosion simulations to form shapes that users specified. The user specifies the multiple shapes of the explosion at several key frames. Using the proposed method, the animation of explosions controlled into specified shapes can be generated.
著者
山口 周悟 古澤 知英 福里 司 森島 繁生
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.14, pp.1-6, 2015-02-20

手描きアニメーション制作において、背景画像の作成は多大な労力を必要とする.そこで本研究では,実写の風景画像をアニメ背景画像へ自動変換する手法を提案する.提案手法では,各アニメータの個性的な "色使い","輪郭","ブラシの塗り方" を再現するために,アニメ作品中の風景画像の特徴を任意の実写風景画像に転写する.各領域の色調,塗り方の違いを考慮することで,従来研究で不十分であった輪郭の保持と,各領域の特徴を考慮した転写の両立を可能とした.
著者
中村 陽介 三上 浩司 渡辺 大地 大圖 衛玄 伊藤 彰教 川島 基展 竹内 良太
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2012-CG-146, no.6, pp.1-8, 2012-01-31

近年,スマートフォン向けアプリやソーシャルゲーム等新しい市場に向けたゲームの普及により,その開発スタイルも市場に合わせ多様化する傾向にある.特に,短期間でのゲーム開発は,従来の家庭用ゲーム機向けの大規模な開発とは必要なノウハウが大きく異なっている.この様な新しい開発スタイルにも対応できる人材を育成するため,東京工科大学と日本工学院が合同で行った,短期開発による開発スキルとコミュニケーション能力の向上を重視した新しいスタイルの教育カリキュラムについて,その結果をアンケートと評価データを元に報告を行う.
著者
今井 新太郎 玉木 徹 Raytchev Bisser 金田 和文 曽根 隆志 木内 良明
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2015-CG-158, no.11, pp.1-6, 2015-02-20

白内障手術の際に眼内レンズが挿入されるが,後遺症として光源とは別の位置に光のぎらつき (グレア) を知覚することやコントラストの低下が挙げられる.Quality of Vision (QOV) の向上のために眼内レンズ挿入眼の見え方の質について調査することは重要である.本研究では,遠近に焦点を合わせることができる多焦点眼内レンズの見え方の質について調査することを目的とし,光線追跡シミュレーションに基づく網膜像作成手法と Modulation Transfer Function (MTF) を算出する方法を開発した.網膜像による定性的評価と MTF による定量的評価により,多焦点眼内レンズの見え方の質を単焦点眼内レンズと比較検討した.
著者
坂東 敏和 三淵 啓自
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2009-CG-137, no.11, pp.1-5, 2009-10-29

現在、世界的に利用者が拡大している 「SecondLife」 に代表されるインターネット 3D 仮想空間の機能を利用して、仮想空間上における教育機関の構築について研究を行っている。そして約 2 年にわたる運用実績から、新しい教育インフラとしての 「メタバースラーニング」 を提唱する。「メタバースラーニング」 では従来の現実世界の学校や e ラーニングとは違った、全く新しい体験を我々にもたらすことになり、まさにインターネットを使った全世界的で地理的制約を越えた教育インフラの幕開けとなる。
著者
吉柳 俊佑 蔡 東生
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2012-CG-146, no.26, pp.1-7, 2012-01-31

本研究では,ユーザの視線に応じてリアルタイムに変化する被写界深度効果を没入型 VR 上で再現し,VR システムの没入感の向上を図る.今回,動的被写界深度の具体的な実装手法と,リアルタイム性の検証を行った結果について報告する.
著者
櫻井 快勢 宮田 一乘
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2012-CG-147, no.7, pp.1-6, 2012-06-15

本報告では,綿やウールのような短繊維で構成された凝集体の表現手法を提案する.多くの繊維の凝集体の表現手法は,毛皮など密に集まった繊維を対象としているが,本手法では,埃など比較的疎な集合を対象とする.そのため,集合の外観よりも,繊維の形状が見た目を決定する要素となる.短繊維は捲縮性があり,本手法では,これを制御することでさまざまな短繊維を表現する.端点を連結させた線分で短繊維を構成し,線分の連結部の角度を変えることで,短繊維を捲縮させる.その角度を制限することで捲縮性を設定する.
著者
松田 宗 田中 法博 市川 拓磨 望月 宏祐 室屋 泰三 北村 仁美
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2014-CG-155, no.1, pp.1-7, 2014-06-21

分光的な光反射モデルに基づいた工芸作品の CG 再現手法を提案する.本研究では東京国立近代美術館に所蔵されている 「十二の鷹」 を対象とした.この工芸作品は明治期に鈴木長吉によって制作された金工作品である.最初に 「十二の鷹」 の一つの頭部をレーザレンジファインダで形状計測する.このとき欠損部分は複数のレンジ画像から合成して補完する.2 番目に金工作品の各材質をレンダリングするために分光的な光反射モデルを構築する.このモデルは金属,合金,不均質誘電体の反射を記述することができる.本稿では,合金として朧銀の反射特性をこのモデルで記述した.3 番目に RGB カメラ出力から分光反射率を推定するアルゴリズムを提案する.そして,工芸作品の材質はこの分光反射率に基づいて判別される.最後に推定した材質の情報で工芸作品の CG を生成した.