著者
林 浩一
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-146, no.10, pp.1-8, 2018-10-13

戦略コンサルティング会社に由来するロジカルシンキングの手法は,説得力のある提案や報告の作成に効果的なことから,広く普及しているが,学術的な基礎が不十分なために,経営企画の領域に適用範囲が限定されている.本研究はロジカルシンキングの手法において,推奨される手法の妥当性について,客観的な比較調査により検証することをねらいとしている.本論文ではロジカルシンキングで導入される基本的な概念である,MECE という分類指針が適切なものかどうかについて疑問を提起するとともに,その妥当性検証の検証を試みる.政令指定都市で立案された ICT 戦略の骨子について MECE の観点から比較検討を行い,その結果を踏まえ MECE に代わる分類指針として分類再現性を提案する.
著者
鶴田 直之 吉村 賢治 橋本 浩二 高橋 伸弥 廣嶋 道子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2012-CE-117, no.14, pp.1-8, 2012-12-01

深さ優先探索とスタックの利用を学習する CS アンプラグド教材を試作した.高等学校への出張講義で実践した結果を主に用いて評価を行い,その有効性について報告する.具体的には,迷宮に隠されている宝物を全て集めて帰ってくるアクティビティを試作した.これを導入として用いることにより,逆ポーランド表記の四則演算がスタックを用いて省スペース (少ないメモリ) で計算できることの理解を高めることができた.
著者
中野 由章 米田 貴
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2013-CE-122, no.10, pp.1-9, 2013-12-07

「LINE 外し」 のロールプレイングをオフラインで行ない,それによっていじめや人権等に対する意識を向上させることで,情報社会に参画する態度の育成を試みた。以前ならば小さな衝突で済んでいたと思われる生徒間のトラブル事案でも,SNS や LINE 等のコミュニケーションツールを介してやり取りをすることにより,問題が急速に拡大・悪化することがある。そこで,「LINE 外し」 をロールプレイすることで,生徒の倫理観を向上させ,情報社会に参画する態度の育成をめざした筆者らのその指導内容について報告する。
著者
二村 朱美 渡邉 景子 榎本 竜二 辰己 丈夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2017-CE-139, no.15, pp.1-8, 2017-03-04

大学生に小学校から大学までの ICT に関する授業内容についてアンケートを行ったところ,その授業内容は基礎的なことの繰り返しのため,高度な ICT スキルは身につかず,社会に出てから業務に合わせて学び直しをしている場合が多いことがわかった.
著者
高岡 詠子 杉浦 学 小宮 仁志
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2014-CE-125, no.9, pp.1-14, 2014-05-31

本研究ではタッチタイピングのできるタイピング中級者に焦点を当てて実験を行い,タッチタイピング初心者の打鍵特性と比較や分析を行った.その結果,中級者も初心者も同じような文字を得意とし,同じような文字を苦手としている,中級者は初心者に比べ誤打鍵のミスの割合が減り,入れ替えや挿入のミスの割合が増える,中級者は左右の交互打鍵が速く,初心者は一つの指による連続打鍵のほうが左右の交互打鍵より速い,中級者は左手より右手による打鍵のほうが打鍵間隔が短い,多く打鍵すれば速く打鍵できるようになるが,正解率が高くなるとは限らない,正解率をあげるためにはある程度の速度を保ったまま多く打鍵する必要があるなどの結果が導かれた.これをもとに,有効なタッチタイピング学習方法や問題文を検討することが可能となる.
著者
鈴木 常彦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-145, no.9, pp.1-5, 2018-06-02

FreeBSD の OS パーティショニング機能である Jail とネットワーク仮想化機能 VIMAGE を操作し,自由に仮想ネットワークをプログラミングできる Ruby ライブラリ VITOCHA を作成した.VITOCHA による仮想ネットワークは DNS キャッシュポイズニングの解明に大いに役立ったほか,ネットワーク技術者を集めた DNS 勉強会 「DNS 温泉」 においても VITOCHA による DNS シミュレーション環境は重要な役割を担っている.また本学においては遅延やパケットロスを変化させ TCP のスループットを測定する工学実験の授業に役立てている.これらの実践について VITOCHA の解説を交えて報告する.
著者
本多 佑希
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-160, no.13, pp.1, 2021-05-29

高校生を対象に,スマートスピーカーのアプリケーション開発を題材とした授業を行った.授業は全部で7回行い,前半は一つの単語に対して返答するものから,複数の単語を聞き分けて返答したり,乱数を用いてランダムに返答する題材を扱った.後半では,ユーザからの問いかけに応じて全国各地の天気データをWebAPIから取得し,晴れ・曇りなどの天気情報や,気温や湿度などの適切な情報を取得して返答する題材を扱った.開発したプログラムやスマートスピーカー,WebAPIなど複数のシステムが連携して動いている様子から情報システムを意識させることができた.今回は授業で扱った環境やプログラム例とともに,生徒へのアンケート結果やサポートを担当した教員へのインタビューについて紹介する.
著者
作花 一志 江見 圭司
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-134, no.20, pp.1-6, 2016-02-27

R プログラミングを用いた数値計算法について述べる.例として非線形方程式の解法,微分方程式の解法,3D 図形描画などを挙げる.
著者
井手 広康
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-158, no.9, pp.1-8, 2021-02-06

2020 年 11 月に大学入試センターから平成 30 年告示高等学校学習指導要領に対応した大学入学共通テスト「情報」試作問題(検討用イメージ)の提供があり,その翌月に情報処理学会がこれをホームページ上に公開した.本研究では,試作問題のうち第4問「交通渋滞シミュレーション」をシミュレーションの授業で取り上げるとともに,授業の前後で二度生徒に試作問題(第 4 問)を解答させた.生徒の解答を分析した結果,「複数のグラフを比較することができ,そこから情報を正確かつ瞬時に読み取る分析力」および「文章を正確に読み取り,何が問われているのかを瞬時に把握する読解力」が今後の授業において育成すべき資質・能力であることが明らかとなった.
著者
上田 和志 富永 浩之
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2010-CE-103, no.4, pp.1-8, 2010-02-27

レポートのオンライン提出においては,学生が安易に答案の剽窃を行いやすい.そこで,類似性に基づくレポート剽窃の検出ツールを開発し,各種の教育支援システムにプラグインとして提供する.類似性の判定には,編集距離および圧縮比率に基づく 2 つの手法を併用する.適切な事前処理を行って,実用的な判定精度と効率化を目指す.特に,ソースコードの自動採点システムに導入し,不正行為の摘発だけでなく,レポート提出時の警告にも利用する.
著者
香西 省治 角谷 良彦 西田 知博 植原 啓介 萩谷 昌己 萩原 兼一
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2020-CE-153, no.24, pp.1-10, 2020-02-08

文部科学省の大学入学者選抜改革推進委託事業(情報分野)で研究開発した CBT (Computer Based Testing) システムを実装面から概説する.本事業の目的は,思考力・判断力・表現力を評価する「情報科」の試験問題を研究することである.この評価のためには,紙による出題よりプログラミング能力などを効果的に評価しやすい CBT による出題の方が試験問題の幅を広げることができると考えた.この CBT システムは,「CBTならでは」の試験問題を受験者に出題することを重視して,実際に作成された「CBTならでは」の模擬試験問題を一般化・仕様化し,その後発生する仕様変更にも柔軟に対応できるブラウザ型の専用システムとして開発した.この CBT システムは,出題する試験問題を確認する作問機能部,受験者が受験するための機能を持つ試験機能部,試験結果を採点・集計する採点・集計機能部の 3 論理サブシステムから構成される.CBT システムによる試験実施運用シーケンスに基づく各論理サブシステムの動作と,プログラミング問題,ゲームブック型問題等の特徴的な 5 形態の試験問題の処理を示すことを通して,開発した CBT システムがこの事業で研究した「CBTならでは」の試験問題を出題できることを示す.尚,2017 年と 2018 年に実施した実証実験では,主にサーバ負荷の面で問題は発生していない.
著者
石山 琢子 楠 房子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2012-CE-114, no.4, pp.1-7, 2012-03-09

本稿は美術大学のプログラミング初心者に向けた「美術デザイン作品の作成に役立つプログラミング」スキルの獲得を目的にした演習の実践報告である.美大生は作品作りに強い情熱を傾けるため,作品作りに役立つ技術,ヒントとしてプログラミングを教える事で,プログラミングに慣れ,興味を持つきっかけとなれば考え演習を構成した.具体的にはプログラム(ソフトウェア)と切り離す事の出来ないマウスやキーボードの仕組みを紹介し,プログラムとデバイスの組み合せでアイデアが膨らむような演習を行った.他にも様々なサンプルを紹介することでプログラミングの可能性を学生に感じさせるとともに実際に学生に書かせ動く楽しさを体験できるような演習を行った.
著者
東 奈々 江見 圭司
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-143, no.2, pp.1-4, 2018-02-10

クリエイターの育成システム (もしくは Web サイト) を制作するにあたり,効果的な教育方法を考察した.Pixiv に sensei という e ラーニングサイトがあり,sensei と pixiv 自体にもアクティブラーニングのための機能があるが使われておらず,パッシブラーニングのみの状態になっている.クリエイターの育成には,パッシブラーニングとアクティブラーニングを合わせたブレンディッドラーニングが最も効果的であるため,今回,アクティブラーニングを合わせたブレンディッドラーニングシステムを試作した.
著者
北村 美貴子 中谷 多哉子 村上 祐子 辰己 丈夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-135, no.5, pp.1-8, 2016-06-25

すべての都立高等学校が Web ページを開設して 8 年になる.東京都は Web サーバーを導入したり,CMS を導入したりして,学校現場に負担の少ない管理運営をさせるような予算措置を講じ,後押しをしてきた.しかし,都立高等学校の学校 Web ページは必ずしも満足に機能しているとは言えない学校が少なからず存在する.そのような学校が減少し,いかなるステークホルダもある程度満足できる学校 Web ページを構築するために何が必要か明らかにしたい.
著者
高岡 詠子 田村 啓 杉浦 学
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2013-CE-120, no.9, pp.1-8, 2013-06-29

本研究ではタッチタイピングのできないタイピストに焦点を当てて実験を行うことで、初心者の苦手な文字の傾向などを分析した.その結果、文字ごとの正解率と打鍵速度には相関があること、打鍵速度に関わらずミスの種類は誤打鍵が最も多いこと、左下のキーが打ちづらく、ホームポジション左のキーが打ちやすい、右手の打鍵については文字位置によってばらつきがあること、打鍵頻度が大きい文字は打鍵速度が速い傾向が見られるが、文字の打鍵頻度が少ない文字が必ずしも文字打鍵速度が遅いわけではなく、同じ打鍵頻度が少ない文字でも文字位置によって速度が大きく異なるなどの結果が導かれた。これをもとに、タイピング教育ソフトにおける問題文の適切さなどを評価したり、有効なタッチタイピング教育法の検討などを行うことが可能となる。
著者
竹植 正和 髙橋 健一 稲葉 通将
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2014-CE-124, no.17, pp.1-8, 2014-03-07

e -ラーニングでは,学習場所の制約を比較的受けずに自分のペースで学習を行うことができる.一方,学習を進めるうちに次第に飽きてくる傾向がある.本研究では,学習の合間に気分をリフレッシュさせる方法のひとつとして,休憩時間に楽しさを取りいれたゲームを行うことを取り上げ,実験によりその効用を調べる.実験においては.休憩時間に比較的忙しいゲーム,ゆったりとしたゲームをするグループと何もしないグループに学習者を分けて,数式を解く問題を被験者に行わせる.これらのグループの実験結果とアンケートによりこれらのゲームの影響について考察する.
著者
光永 法明
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2020-CE-153, no.21, pp.1-4, 2020-02-08

インターネットがインフラとして普及しその仕組みを中学校段階でプログラミングを通して学ぶよう次期学習指導要領で求められている.そのため,その教育に将来携わる中学校技術・家庭科技術分野の教員を目指す学生には十分な理解が求められる.そこで CGI プログラムの書き換えを通して動的なサービスを作り,学生が自分の PC でサービスを提供する経験ができる教材を作成したので紹介する.プログラミング言語は Python とし,ウェブサーバには Python の http.server モジュールを利用する.教材は CGI プログラムのサンプルとプログラムを解説するテキストから構成される.大学生向けの講義 (2 回生向け,受講生 11 名)で教材を利用したところ,教材に大きな問題はないと分かった.また受講生全員がプログラムのサンプルを改良し作品を作成する課題を提出できた.
著者
中鉢 直宏
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-135, no.12, pp.1-4, 2016-06-25

現在,ビックデータやビジネス・インテリジェンスなどの取り組みにより積極的なデータ利用が行われる様になってきた.データ従事者の日々の業務で入力されるデータの質が重要になってきている.そこで,本論文では,大学の一般情報教育において,データベースを学習するにあたって,情報システムにおけるデータベースの役割を理解するとともに,データ従事者として,彼らが入力するデータへの質について理解を促す学習方法を試みた.