著者
田中伸二
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.6, pp.1-1, 2012-10-06

広島に原爆が投下されて67 年。広島の人々はこれをどのように乗り越え、新しい世代に引き継いでいるのであろうか。特別な体験を継承し、学ぶ意欲を体系化するための工夫を紹介することで、福島へのメッセージとしたい。
著者
長瀧 寛之
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.3, pp.1-8, 2010-07-03

本稿は,著者が現在岡山大学にて開講中の授業科目 「テレビゲームからみる情報科学概論」 の実践についてその概要と現在までの実践結果を報告するものである.本科目は学部 1,2 年生を対象とした教養教育科目であり,工学系の知識に馴染みが薄い学生も履修生となり得る.そのため,情報科学の学問的側面を直感的に伝える方法として,テレビゲームを具体例として多用する講義スタイルを考えた.現在進行中の科目であるが,アンケート結果からは,情報科学への興味や学習意欲の向上について学部を問わず好意的な反応が得られている.This paper presents an abstract of "Introduction to Computer Science through video games", an introductory course of computer science for liberal arts. This course provides students with basic knowledge of computer science through many examples of video games. This course is designed for students who are interested in video games or computer science. This is an on-going class of 2010 liberal arts at Okayama University. Many students attending the class evaluate that connecting computer science with video games helps them to understand computer science easily.
著者
上田 和志 富永 浩之
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2010-CE-107, no.9, pp.1-8, 2010-11-13

類似性に基づくレポート剽窃の検出ツールを開発し,各種の教育支援システムにおいて,オンライン提出モジュールのプラグインとして提供する.類似性の判定には,編集距離および情報距離に基づく 2 つの手法を併用する.特に,プログラミング課題への応用を目指し,効率性と精密性の両立を目指して,適切な事前処理を導入する.ソースコードだけでなくアセンブルコードの組に対しても類似度を算出する.実際の学生の答案として,ポーカーの戦略プログラムの課題に対して適用した結果を報告する.また,軽微なコード変更による隠蔽行為についても,対策を検討する.
著者
後藤 洋信 坂本 雅洋 江見 圭司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.15, pp.51-56, 2009-02-20

数学教育をウェブ上で行う場合,数式表示が課題となる。 「数式表示可能なウェブ上でのコミュニケーションシステムの構築」 と題して発表したが,今回は数式表示可能なブログを用いた教材開発の一端について報告する。ブログによる教材の提供は,通常のウェブと同様の操作性で利用することができ,コミュニケーション機能も備えているので,学習者・指導者の双方にとって有効な e-Learning システムとして活用することができる。また,ブログは無料提供されている場合が多く,システム構築の作業が軽減される。本研究では,ブログなどのコミュニケーションシステムを用いたインストラクショナル・デザインについて述べる。When we carry out math education on the Web, it is necessary to display math equations on Web pages.Formerly, we had a report whise title is "Constructioning communication system that can display math equation on the web". We have developed math-communication system, such as Bulletin Board System, Wiki and Blog. We are going to discuss about instructional design for math with blog sytem that can display math equation on the Web.
著者
前田 健太朗
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-171, no.4, pp.1-7, 2023-10-14

令和 7 年度大学入学共通テストで「情報 I」の出題が決まり,令和 4 年度以降に高校へ入学した生徒に対しては大学入学共通テストを受験する可能性があることを踏まえた「情報 I」の指導が必要となっている.東京書籍株式会社が行った調査によると,それまでは授業において実習の割合が多かったが,現在では座学の割合が多いという結果が報告されている.しかし,重要な用語などを暗記させるのではなく実体験を通して知識や思考力を身に付けることが科学的な理解につながると考え,筆者が勤務する高校では従来通り実習を中心に授業を行い,大学入試センターが公表した問題の一部を生徒に取り組ませた.その結果,大学入試センターが公表した問題を解くために必要な知識や思考力などを多くの生徒が身に付いていると推測できた.
著者
井手 広康
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-169, no.20, pp.1-6, 2023-03-04

本研究では,「情報Ⅰ」のプログラミング教育にマイコンボードの micro:bit を用いて授業実践を行った.さらに,令和 3 年度に実施したプログラミング教育と結果を比較し,マイコンボードを用いたプログラミング教育の学習効果について検証した.ARCS 評価シートと事後アンケートを比較した結果から,マイコンボードの micro:bit を用いたプログラミング教育が,「情報Ⅰ」の教科書に使用されている四つのプログラミング言語(Python,JavaScript,VBA,Scratch)による授業実践と,同等あるいはそれ以上の学習効果が期待できることがわかった.他のプログラミング言語とは異なり,実際に手元で操作できるマイコンボードを用いたことで,生徒の興味・関心を効果的に引き出せたことが大きな要因であると推測する.
著者
渡辺 勇士 竹林 暁 吉川 綱希 藤原 尚聡
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-169, no.30, pp.1-11, 2023-03-04

2020 年に起こったコロナウィルス感染症の流行は,世界中の学習スタイルに影響を与えた.多くの教育機関が従来の対面の授業スタイルからオンラインでの授業スタイルに切り替えることを余儀なくされた.2023 年現在,with コロナの生活も定着しつつあり,教育機関でも対面の授業スタイルに戻す状況が多く見られる.しかし,学習者の学習の利便性を考慮したとき,オンラインの教育も選択肢として発展せるべきである.その中で,オンラインでのアクティブラーニングをどのように行うかは議論の余地がある.本研究では,オンラインでのアクティブラーニングに特化した,コミュニケーションツール noiz を開発した.そして,予備的なものになるが,大学生に実際に使ってもらいアンケート調査を実施した.その結果,大学生は従前のビデオ会議システムよりも noiz の方がグループワークにおいてコミュニケーションがとりやすいと感じることがわかった.一方で,オンラインでのアクティブラーニングを成功させる要因として,ツールだけでなく,ファシリテータの存在が要望されていることもわかった.
著者
渡邉 景子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-169, no.31, pp.1-6, 2023-03-04

未就学児の段階で,遊びの中での「学びの芽生え」が小学校における「自覚的な学び」につながると言われている.本稿では,幼稚園において遊びとして行うプログラミング体験が,「学びの芽生え」につながるのではないかと考え,幼稚園年長児を対象に,一人 1 台のタブレットを用いて,ビジュアルプログラミングツール Viscuit によるプログラミング実践を,一斉指導方式で行った.その結果,あるクラスでは半数以上の園児が意図する方向に既存の部品を動かすことができていたことがわかった.これは活動の中での「気づき」による成果といえるのではないか.しかし,自分で描いた絵を使ったプログラミングでは,絵を残せない(消してしまう)子や,プログラミングに到達しない子も複数おり,プログラミング遊びによって,「学びの芽生え」がすべての園児にもたらされるわけではないようであった.今回の実践で,プログラミング遊びによって「学びの芽生え」に繋がる可能性があることが示唆された.今後は,保育者や園児自身への聞き取りなどを行って,さらに調査を進めていきたい.
著者
下山 滉平 渡辺 拓哉 清原 良三
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-167, no.9, pp.1-7, 2022-11-26

COVID-19 の流行により,オンライン授業を余儀なくされた大学は多い.学生の授業に対する意識の問題は意識の高い学生から,単位を取得して卒業することだけが目的となる勉学意欲のない学生まで様々である.大学入学時の偏差値に違いから,大学によってはその分布はかなり違うと予想される.しかしながら,どのような大学でも意識が低く,単位のみ取得できれば良いと考える学生が一定数いる.オンライン授業では聴講を実施にしているかどうかもわからないうえ,IBT 形式のオンラインテストには監督官がいないため,監視外となり容易に不正行為を行うことが可能である.そこで,実際どの程度不正が行われるかのテストアプリケーションを開発して調査した.また,本論文ではこのアプリケーションを用いて,IBT 形式のオンラインテストでの不正行為の抑止手法を提案する.
著者
越智 亮太 多川 孝央 山田 恒夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-167, no.10, pp.1-8, 2022-11-26

現在,若年層をはじめとして,様々な健康被害へつながりうるインターネット依存傾向が問題とされている.そこで,本研究では,インターネット依存傾向の対策方法としてインターネット上の利他的情報発信に着目し,研究目的としてインターネット依存傾向のリスク要因となるインターネット利用動機を明らかにし,インターネット上の利他的情報発信に対する態度が大きなリスク要因である逃避動機の改善につながる可能性について検討するために,事前調査にて絞り込んだ質問紙項目を利用して,九州大学の大学生 121 名を対象に調査を行った.まず,インターネット依存傾向の分布を調べたところ,突出して高いとされる人は少なく,今回の調査は一般的な大学生の傾向を示す調査として考えられた.インターネット利用動機とインターネット依存傾向との関連性を調べたところ,逃避動機が p<0.01 で有意にインターネット依存傾向との有意な正の関連性が見られ,その関連性は大きく,インターネット依存傾向へのリスク要因として影響が大きいことを確認した.一方で,知的動機,コミュニケーション動機,利他動機は有意な関連性は見られず,インターネット依存傾向へのリスク要因ではないことが示唆された.次にネット利他発信態度とインターネット依存傾向やリスク要因との関連性について調べたところ,ネット利他発信態度の尺度においてはインターネット依存傾向や逃避動機との関連性の可能性が考えられたが,特定の項目(行動)においてはリスク要因である社会的スキルの改善やインターネット利用動機の変化につながり,インターネット依存傾向のリスク改善につながることが示唆された.ネット利他発信態度の高群は,低群と比較してインターネット依存傾向の大きなリスク要因である逃避的インターネット利用動機の割合が小さいことからもリスク要因の改善につながる可能性があることが示唆された.
著者
小池 誠
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-167, no.19, pp.1-2, 2022-11-26

第二次世界大戦中に米国海軍に従軍したウィラード・ヴァン・オーマン・クワインは,1951 年に「経験主義の2つのドグマ」という論文を発表したのだが,2 つのドグマとは分析・合成のドグマ及び還元・検証のドグマを意味する.分析・合成のドグマは最高傑作「純粋理性批判」のカント道徳哲学を「神の声」ないし幻聴として実装するとともに,還元・検証のドグマは哲学者カントの「実践理性批判」で提唱した定言命法を実装する.ここで,還元はリモート・センシングで計測した脳波を解読して言葉に変換することであり,その検証として,論理機械ないし人工知能から電磁波ビームを頭部に照射して対象者の脳波及び行動を変更し,言葉と脳波と行動が対応することを実証する.定言命法の実装は記号論理の実装であり,対人レーダーに搭載された人工知能にゲーム理論が応用されている.バートランド・ラッセルなどの分析哲学,ルートヴィッヒ・ウィトゲンシュタインなどの論理実証主義は秘密にされている人工知能の機能を解説するものであり,カントが提唱した理念は,200 年以上に渡る秘密国家プロジェクトで次第に実現していった.フォン・ノイマンは,ゲーム理論に関する秘密の機械の一側面について哲学として開示するのでなく,経済学者モルゲンシュテルンとの共著「ゲームの理論と経済行動」を通じて経済学として開示した.ノバート・ウィーナーはサイバネティクスとして無線通信とコンピュータが一体化した機械を開示した.罪刑法定主義に起因して慣習刑法は禁止されるべきであるが,自然法による制裁が世界各国で慣習刑法として秘密裏に実行された結果,統合失調症が発症する.
著者
稲子 翔太 中野 裕司 杉谷 賢一 久保田 真一郎
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2020-CE-154, no.9, pp.1-8, 2020-03-07

我々はブラウザの拡張機能と記録サーバを組み合わせ,学習時に閲覧した Web ページから得た頻出語等を学習履歴として記録するシステムを開発してきた.しかし,集めた頻出単語等は,ダッシュボード上にキーワードとして羅列されるだけにとどまっており,自己学習の振り返りに効果的な可視化ではなかった.自己学習の振り返りにおける効果的な可視化として,知識の変化を自己認識できることが望ましいと考え,本研究ではブラウザの拡張機能により収集した Web ページ内の文章を分析し,Wikipedia の文章をもとにした共起グラフを表示し,キーワード同士の関連性や知識の変化を表現することで,学習者にとって効果的な学習履歴の可視化を目指した.
著者
鈴木 大助
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-164, no.12, pp.1-4, 2022-03-05

コロナ禍下での対応のため,大学では妥当な評価が可能なオンライン試験の実現に向けて,様々な試みが行われている.筆者は,授業内小テストとして減点方式の正誤判定問題を利用したオンライン CBT 試験を行った.受講生数が多くても採点が容易であること,どのような科目にも応用可能であること,受講生個々人の理解度を測定できる試験であることを目指した.本試験は,制限時間 60 分,満点 40 点で,学習管理システムの小テスト機能を利用して実施した.問題は,減点方式の正誤判定問題 40 問からなり,全問解答必須である.受講生は,各設問の文章を読み,その文章が正しい場合は「正しい」,誤っている場合は「誤り」,自信が無いので解答したくない場合は「解答しない」をそれぞれ選択する.また,「誤り」を選択した場合は,対応する解答欄に正しくなるように修正した文章を記述する.修正した文章の記述が無い場合または修正した文章が誤っている場合は,誤答となる.採点は,正答数から誤答数を引いた数を得点とし,得点がマイナスとなる場合は 0 点とする.「解答しない」を選択した設問は正答数にも誤答数にも数えない.30 人が本試験を受験した結果,得点は 10~15 点の得点区間をピークとし,0 点から 33 点の範囲に広く分布する結果となった.また,「解答しない」選択数の分布からは,受講生が確実に得点するために「解答しない」という選択肢を戦略的に利用している様子がうかがえた.以上のことから,本試験は受講生の達成度を識別する能力を有しており,受講生個々人の理解度を測定できていると期待される.また,工夫は加えているものの基本的には正誤判定問題かつ CBT であるため,採点も比較的容易である.減点方式の正誤判定問題を利用したオンライン CBT 試験は,妥当な評価が可能かつ実践が容易な試験になりえると言える.
著者
中鉢 直宏 稲垣 知宏 河村 一樹
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-166, no.6, pp.1-7, 2022-09-24

本研究では,IPT の背景,設問作成,その実施方法について,また成績の傾向について分析を行う.特に分析では,点双列相関係数を使用して,項目難易度のほかに識別力を踏まえて設問の見直しについて例を挙げて説明し,IPT を今後,プレースメントテストとして実施する際の問題点や改善方法を提案する.
著者
浦山 優樹 齋藤 雄人 塩野 駿 竹林 晃 谷口 翔一 門地 翔太 江見 圭司
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-149, no.4, pp.1-6, 2019-02-23

IT エンジニアがプログラミングを始めて間もない頃,一人で統合開発環境のエラーメッセージと向き合ったつらい経験をすることが多い.ここでは初級レベルから中級レベルになるために,統合開発環境へのプラグインでプログラマーにアドバイスを行うことで上達を加速できるようにした
著者
喜多 敏博 長岡 千香子 平岡 斉士 松居 辰則
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-162, no.10, pp.1-4, 2021-11-27

多様な事故が世界中で起きている現状において,安全教育を行うことが事故防止の非常に有効な手段となる.「子どもの傷害予防」や「環境安全工学」等の分野における安全教育の事例を踏まえ,効果的な事故防止教育を行うためのプラットフォームとして,高度化された UI や機能により学習者に効果的・能動的に作用することができる「能動的 LMS」を開発した.能動的 LMS が持つ「能動的機能」は,LMS 側から学習者へ積極的に働きかける機能であり,次の 3 つの機能:(1) 音声 UI での働きかけ (スマートスピーカーやスマートフォンで,音声や音響によるやり取りを交わすことで学習を促す) (2) LINE チャットボットでの働きかけ (日常使いのツールである LINE で手軽に問い合わせが可能であり,ボットからのプッシュ型の情報共有も行うことで,行動変容を促進できる) (3) ユーザの心的状態も考慮したアナリティクス (ユーザの状態や行動を予測し,その結果に基づいて,手遅れになる前に LMS から働きかける) からなる.これらの「能動的機能」を Moodle の追加パッケージ (Web service API による連携システムとプラグイン)として実装し,Moodle が「能動的 LMS」として機能できるようにした.
著者
吉永 敦征 畔津 忠博
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-152, no.8, pp.1-5, 2019-11-08

本論文ではアンケート結果に基づき,大学初年次生が獲得している情報リテラシーとパソコン (PC) の使用開始時期との関係について報告する.情報リテラシーが獲得できているかどうかの指標として,PC の入力に関する主観的評価を採用した.この指標に基づいて学生を情報リテラシーの高いグループと低いグループに分けて,それぞれのグループに属する学生の特徴を調べた.その結果,特に小学生のときに家庭で PC の使用を始めた学生は,情報リテラシーの指標が高い傾向にあった.このことから,情報リテラシーは家庭環境に依存する文化資本であり,その獲得においては PC 等の情報端末を利用する時期が重要であることが示唆される.また,情報リテラシーの指標が高い学生は,一般に良く利用される PC のアプリケーションの利用率が高かった.その一方で,小学生のときに自宅で PC に触れていない学生であったとしても,情報リテラシーの指標が高い学生が一部存在しており,学校教育が有効である可能性も存在している.
著者
林 浩一
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-160, no.9, pp.1-10, 2021-05-29

戦略コンサルティング会社に由来するロジカルシンキングの手法は,説得力のある提案や報告の作成に効果的なことから広く普及している.この手法では,主張や結論を根拠が支える論理の基本構造 (以降,論証関係と呼ぶ) を適切に扱えることが重要であるが,筆者らはこれまでに,大学での授業と社会人向け研修において,論証関係の読取り誤りが高い頻度で生じることを見出した.本論文では調査対象を広げることで,この読取り誤りの割合が年齢による差異がない一方で,職業・学歴による差異が大きいことを示し,学生に論理思考力を指導する上での課題を提起し解決手段について議論する.
著者
村山 弘明 富永 浩之
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-147, no.7, pp.1-6, 2018-11-24

近年,議論や評決のシミュレーションとして,トークゲームが注目を集めている.本研究では,「語彙大富豪」 を題材として,チャットアプリ上での運営ツールを開発している.このゲームは,プレイヤが選んだ単語を手札とした,トランプの「大富豪」のようなゲームである.単語の強弱は,手番のプレイヤの理由説明の後,プレイヤ間の協議と多数決で決定する.本論では,語彙の参照先となるオンライン辞書を提供し,ゲームの打手を支援する付加機能を検討する.
著者
中西 渉
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-162, no.19, pp.1-5, 2021-11-27

大学入試センター試験,共通テストの数学②で選択できる「情報関係基礎」のプログラミング問題で用いられている擬似言語 DNCL は,実行環境が複数開発されており,テストのプログラムがそのまま実行できると言われることが多いが,実は問題で示されているプログラムはそのままでは実行できない.多くの場合データの初期化にあたる部分が省略されているので,実行するためにはその部分を補う必要がある.本稿では省略されている初期化部分を補う方法について考察し,筆者が開発している学習環境 WaPEN および PyPEN でそれを解決するために行った実装について述べる.