著者
日戸 直紘 伊藤 恵 大場 みち子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-152, no.14, pp.1-8, 2019-11-08

多くの情報系大学において,Project-Based Learning (PBL) が広く取り入れられ,有効性や実践例が多数報告されている.一般講義と同様に PBL においても,講義設計や学び ・質の状況把握から講義改善や学びの支援を行うことが望ましい.プロジェクト途中段階での成果や達成度の把握,受講初期と終盤の学びの状況などのプロセスを評価する必要性があるが,それらの評価実施は難しい.我々はプロセスを評価し改善するモデルである能力成熟度モデル統合 (CMMI) に基づいた PBL のためのプロセス評価手法を開発し,本手法を用いた PBL の評価に関する研究を行っている.先の研究では,開発した評価手法を用いて,実際に本学で実施されている PBL に適用して有効性を示した.しかし,この手法では学生自らが自己評価を行うことから評価結果の客観性や妥当性に課題が残る.本論文では,これらの課題解決を目指し,PBL で利用されるコミュニケーションツールと開発ツールに着目し,ツール群の可視化情報を利用したPBL のプロセス評価方法を提案する.先の研究と同様のプロジェクトを実験対象として,従来手法と本論文で提案する手法を用いた場合の実験結果の比較分析を行った結果と考察について報告する.
著者
大岩 元
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2009-CE-100, no.6, pp.1-3, 2009-06-27

「絶対情報学」は、音楽家としての経験から来る身体知をベースにした画期的な一般情報教育の教育法を論じた本である。伊東の指摘する「情報教育の非対称性」、即ち、情報システム側の原理や使い方は教えられるが、それを利用するユーザー側の問題について殆どあつかわれていないことについて、議論する。
著者
小山田 圭吾 市川 尚 高木 正則 富澤 浩樹 阿部 昭博
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-151, no.5, pp.1-8, 2019-09-28

本学部では e ラーニングによる入学前教育を実施しており,プログラミングの課題も含まれている.本研究では,受講対象者である高校生をチューターと学習者に分け,学習者が作成したプログラムに対して,チューターが確認を行うためのオンライン上の学習環境を構築した.そのシステムは,学習者がビジュアル型言語でプログラムを作成して提出するまでの履歴を記録し,チューターがプログラムや履歴を確認して学習者にフィードバックを行うことを支援する.構築した学習環境を用いて入学前教育で試行した結果,チューターの確認とフィードバックにより,学習者のプログラムの改善が見られた.一方で,履歴を提示することはチューターの役に立っていたが,プログラムの確認やフィードバックには不十分な点が見られるなどの課題が残った.その課題を踏まえ,システムの改善について検討した.
著者
宮崎 誠 冬木 正彦 三矢 晴彦 栗原 星史 奥田 高広 植木 泰博
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2017-CE-142, no.12, pp.1-5, 2017-12-01

CEAS3 の UI をマルチデバイス ・ モダンブラウザに対応した CEAS10 の開発に続き,CEAS10 のバックエンド部を Ruby on Rails の開発フレームワークを使い,Ruby で書き直すことで実装を最新にした OpenCEAS を開発している.MVC モデルに基づいた設計を充分把握することで View の改修 (CEAS10 の開発),Ruby on Rails によるソースコードの書き換え (OpenCEAS の開発) の 2 段階に分けたモダナイゼーションを実行することができており,1 度に開発する場合と比較して失敗するリスクが少ないと考えるシステム開発手法をとることができた.また,Ruby on Rails の DRY 原則,CoC,REST 原則といった基本理念に沿って開発することでソースコードが最適化され,コード量を大幅に削減できた.また,OpenCEAS のソースコードは,将来オープンソースにすることでシステムが広く普及することを目指しており,公開にあたっては,自由度の高い MIT ライセンスを採用する予定である.
著者
林 雅子 秋元 志美 稲垣 知宏 隅谷 孝洋 冨田 達郎 中川 敦 長登 康
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.6, pp.1-3, 2009-12-04
参考文献数
3

CMS でストリーミング教材を活用する際,(1) アクセス制限がしにくい,(2) 視聴時間が把握しにくい,という問題点がある.我々は,Flash Media Server 3 (FMS3) の利用を前提に,サーバーの設定変更とメディアプレイヤーの新規開発によりこれらの問題点を解決した.Flash ActionScript3.0 で開発したこのプレイヤーは,SCORM を使用してユーザーごとの閲覧時間とブックマークデータを CMS に記録する事ができる.ここでは,FMS3 の設定とメディアプレイヤーのプログラム構成,特に ActionScript3.0 と SCORM との連携方法についての詳細を報告する.There are two problems with educational streaming media:It is difficult to control users access and to track their operation records. We solve these problems by changing the settings of our Flash Media Server 3(FMS3) by developing a new media player written in Flash ActionScript3.0. The media player can record viewing time and bookmark data of each user by using SCORM. In this article we show the settings of the FMS3 and the program structure of the media player, especially the communication method between SCORM and AS3.0.
著者
水谷 晃三 高井 久美子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-132, no.34, pp.1-8, 2015-11-27

プログラミングは知識だけでなく実際にソースコードを作成する技能も同時に必要となる.プログラミング授業を動画教材による反転授業とする場合はソースコードの作成を伴うような事前学習が理想的である.筆者らは,効果的な反転授業のモデルを検討するため,(1) 授業中に行っていた講義に相当する動画教材を用意し事前学習を行うように指導,(2) 授業時間中の講義は一切行わず受講者は演習課題に取り組む,という反転授業を,プログラミング初学者を対象とした授業で試みた.本論文ではその実践報告と評価結果について述べる.
著者
志賀 栄文 渡辺 博芳
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-133, no.15, pp.1-8, 2016-02-06

高等学校において自主学習の習慣を持たない生徒が増えてきている.そこで,生徒が学習目標を達成するとともに,学習の自己管理を身に付けることができるような授業を行うことが重要となる.本研究では,プロジェクトマネジメントの手法を参照して,生徒が自主学習の管理を行う授業方法を提案する.具体的には,生徒へ自主学習計画案を提示し,それに沿った形での計画的学習を実施しながら,実際の学習計画に対する実績の振り返りを行い,計画の見直しや再学習計画の有無を確認し対処した上で,次の計画的学習へ取り組みを進めることを目指す.この学習サイクルの管理をガントチャートや進捗会議を通して,目標達成までの自主学習の取り組みの把握ができるよう授業の設計を行った.この授業設計に基づいて,2014 年度から 2015 年度に改善をしながら,授業実践を行い,その効果を検証した.
著者
飯尾 淳 石山 泰弘 佐藤 紀子 和井田 理科
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2017-CE-141, no.5, pp.1-8, 2017-10-27

人間中心設計推進機構 (HCD - Net) では,各種の製品やサービスをデザインする企業における人間中心設計 (Human - Centered Design, HCD) の普及を推進する活動を実施している.その一環として,人事部門など企業内の教育に関する部門内に,HCD の概念と方法論そのものを教育 ・ 啓発する活動を促進することを計画した.そこで,HCD 教育の実践者を増やすための活動グループとして,講師拡大ワーキング ・ グループが設置され,現在,精力的な活動を続けている.その成果として,まず,入門教育のコンテンツを作成し,いくつかの組織において試行を始めたところである.本報告では,入門教育コンテンツ作成の概要と,実際の試行結果について報告する.
著者
大森康正 若麻績裕子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.4, pp.1-8, 2013-06-29

我々は,タブレット端末を 1 人 1 台利用する幼児教育の在り方につて検討を行なっている.平成 25 年 10 月から 12 月の間に信学会佐久幼稚園において実践されたタブレット端末を活用した幼児教育の実証講座を対象として,幼児教育におけるタブレット端末の活用の可能性について検討を行った.その実証講座に参加した園児の保護者アンケートと保育者 (授業者) の体験から得られた知見から,タブレット端末は,幼児の学びに対する興味・関心を引き出す機器として有効であり幼児の直接体験を広げる教材であることがわかった.本報告では,まず,実証講座の様子及びアンケート結果等に基づきタブレット端末の有効性について考察する.その後,幼児,保育者,保護者の 3 者が関与し,直接体験において活用可能な教材の基本的な考え方と,教材の仕組みなどについて述べる.
著者
山根 信二 西田 雅哉
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-145, no.3, pp.1-4, 2018-06-02

クエスト授業 (Quest-based Learning) を支援する e ラーニングシステムの試実装と評価を行なった.まず QBL 支援システムの必要性について述べ,次に北米のゲーム産業と大学教育との連携によるクエスト授業の事例について述べる.必要とされる機能を実現するために従来の LMS のモジュールを拡張することで QBL を支援する学習システムを構築した.プロトタイプ評価として,北米の大学におけるゲーム開発 ・ プログラミングの QBL 科目の日本版の教材を開発 ・ 試運用して評価を行なった.ゲームデザインの観点から,クエスト学習支援するマップ機能を新たに考案し開発を行った.最後に e ラーニングとゲームデザインの視点から今後の課題について議論を行う.
著者
エディリシンハ チャトリカ 和田 勉
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-144, no.13, pp.1-5, 2018-03-10

登壇発表者の出身国であるスリランカの教育制度,情報教育特に初中等情報教育,および情報分野の入学試験 ・ 検定について調査した結果と考察を報告する.文献やインターネットを通じた予備調査により明らかになった,スリランカの教育制度,初中等情報教育,および情報分野の入試 ・ 検定を報告する.あわせて日本の情報教育制度との違いを考察する.なお発表時には,本予稿執筆のあとで行った現地調査から得られた結果もあわせて報告する予定である.
著者
長瀧 寛之 白井 詩沙香 兼宗 進
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-144, no.19, pp.1-6, 2018-03-10

本稿では,データベース作成実習での利用を想定した,データベースと連携する Web インタフェースを構築可能な実習用ツールについて紹介する.本ツールは,高等学校の共通教科 「情報」 や大学の一般情報教育におけるデータベース学習において,データベースと連動する Web サービスの作成を行う実習での利用を想定したものである.Web アプリケーション開発経験がない学習者でも,データベースと連動した簡易な Web ツールを作成できる環境を提供することで,実社会でのデータベースや情報システムの仕組みと意義について体験的に理解できる学習活動の実現を目指す.また本ツールは,データベースとして著者らが以前より開発している sAccess と連携する仕組みになっており,本ツールと sAccess を合わせることで,限られた時間の中でもデータベース操作から設計,簡単な Web サービスの構築までを体験する実習活動の実現が期待できる.報告では,本ツールの概要について技術面や工夫点について述べるとともに,実際の授業に適用した結果をもとに本ツールの有用性と課題について議論する.
著者
鈴木 優実 松村 敦 宇陀 則彦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-143, no.6, pp.1-7, 2018-02-10

2020 年から初等 ・ 中等教育でのプログラミング必修化が決定され,プログラミング初学者への教育の重要性が増している.プログラミング教育では,文法,アルゴリズムなど様々な要素を学習する必要があるが,初学者はプログラムの構成段階で行き詰まってしまう問題を抱えている.これに対処するため,プログラムの構成を考える手法のひとつであるアルゴリズム的思考法を用いた学習システムを提案した.大学生 10 名を対象とした評価実験を行い,一定の支援効果がみられた.
著者
内田 早紀子 松村 敦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-143, no.5, pp.1-7, 2018-02-10

2020 年度から小学校でプログラミング教育が必修化される.しかしながら,ICT 環境整備,カリキュラム選定,サポートするメンターの育成など様々な課題に直面している.そこで本研究では,小学校でのプログラミング教育が必修化されているオーストラリアにおいて調査を行い,日本のプログラミング教育の課題解決の方策について検討することを目的とする.本研究では,まず日本のプログラミング教育における課題を整理し,アンケートの質問項目を作成した.次に現地調査を行ってアンケートを実施した.その結果,授業で使用する機器不足に対しては,生徒自身のタブレットを持参し学習をサポートしていた.カリキュラムに関しては,様々な教科でプログラミング教育を行う授業横断制度を採用しており,普及に向けて課題に対処していることがわかった.
著者
福岡 久雄 渡部 徹 廣瀬 誠 小川 仁士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.6, pp.1-7, 2014-11-29

一般に,CS(Computer Science)アンプラグドにおける Activity の実践は,実践者の近隣の子供たちを対象に行われることが多い.ある地域の素材を生かした Activity は,その近隣の子供たちにとって親しみやすく,かつ興味を持って取り組むことができ,教育効果を高めることができると考える.本研究では,地域として島根県を想定し,その地域素材として出雲神話に登場するヤマタノオロチに着目する.学習する技術課題は各種スケジューリング技法である.具体的には,オロチが各種スケジューリングに従って食事をするというシナリオに沿った Actvity を提案する.本 Activity を高等専門学校の低学年生に対して実践した結果についても報告する.CS Unplugged is a method of teaching computer related technology to children, who are in general lacking in mathematical or some other scientific background. The feature of CS Unplugged is that it does not use actual computers in its teaching process. Instead of using computers, it teaches computer related technology through some desktop play activities. When we practice CS Unplugged activities in elementary or junior high schools, the target pupils are local children in general. Using regional materials in the activities can make them more friendly to the children. In this paper we propose a new CS Unplugged activity for learning various scheduling methods. The activity utilizes Yamata-no-Orochi(Eight-headed dragon) that appears in Izumo Myths, as the regional material of Shimane Prefecture.
著者
藤村直美
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2014-CE-127, no.8, pp.1-1, 2014-11-29

九州大学では,2013 年 4 月から、学部の新入生全員が自分で購入したパソコンを大学に持参し,それを使って授業を受ける体制(学生 PC 必携化)に切り替えた.こうした新しい情報環境での教育を実現するに至った背景,目的,実現するまでの経緯 (会議、部局説明会),何をどう整備したか (ソフトウェア,無線LAN,ファイヤウォール,認証基盤の変更等),円滑に情報環境を整備するために入学式前に行っている講習会について報告する.さらに,現在の状況,今後の可能性などについて簡単に紹介し,今後の学習環境のあり方について,関係者に問題提起を行う.
著者
堀田 龍也
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2017-CE-140, no.1, pp.1-6, 2017-07-01

平成 28 年 (2016 年) 12 月 12 日の中央教育審議会答申 (中教審第 197 号) を受け,文部科学省は平成 29 年 (2017 年) 3 月 31 日に次期小学校学習指導要領,中学校学習指導要領を告示した.言語能力や問題発見 ・ 解決能力と並んで,情報活用能力が 「学習の基盤となる資質 ・ 能力」 と明記されるなど,現行の学習指導要領と比較して情報教育の重要性がより高まっている.本論では,中央教育審議会答申から次期学習指導要領にかけての情報教育に関連する審議等について,その経過を踏まえて報告する.
著者
角田博保
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2011-CE-111, no.8, pp.1-4, 2011-10-07

コンピュータと教育研究会は 2006 年より情報教育に関する特集号の編集をはじめ、本年の 12 月号で 5 回の特集号を出版することになる。優れた論文を多数世に送り出して来たが、投稿数、採録数の伸び悩みという状況もある。今回出版される特集号を元に、現状と問題点を示し、次回特集号を念頭におき、論文作成をどうすれば良いかを議論する。
著者
木塚 あゆみ 伊藤 恵 大場 みち子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-129, no.19, pp.1-7, 2015-03-14

高度 ICT 人材育成のために行った一連の大学カリキュラムを改善するために,2 つの方法で学びの把握を行った.講義ごとに実施した授業評価アンケート,カリキュラムの最終日に行った振り返りの2つである.振り返りでは時系列に沿って学びを可視化するために Experience Map を用いた.本研究では,これら 2 つの評価手法の特徴を探るためにテキストマイニングを行った.その結果から,次年度のカリキュラム改善に活かす方法を探る.
著者
兼宗 進 久野 靖
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.15, pp.155-162, 2009-02-20
被引用文献数
1

コンピュータ科学を体験を通してわかりやすく学習するための教育手法である 「コンピュータサイエンスアンプラグド」 は、 2007 年に翻訳書が刊行されて以来、国内での利用が進んでいる。本発表では、現在の状況を報告し、今後の見通しを考察する。Computer Science Unplugged (CS unplugged) is an educational method of computer science for beginners. Since 2007, many schools are using it in informatics education in Japan. In this presentation, we will introduce now and future of CS unplugged.