著者
林 香
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

転写因子 KLF4 は腎臓糸球体上皮細胞(ポドサイト)に発現しており、糸球体障害モデルでは発現が低下した。Tet-on システムを用いたポドサイト特異的 KLF4 トランスジェニックマウスや KLF4 発現プラスミド投与による遺伝子導入により、アドリアマイシン腎症モデルにおいて低下した KLF4 を再誘導すると、ポドサイトの形質が改善しアルブミン尿が減少した。更にその機序には KLF4 のポドサイト形質における Epigenetic 調節が関与していることが示唆された。
著者
袴田 優子
出版者
北里大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011-08-24

本年度は,研究費採択が決定した秋期~年末にかけて,本研究実施にあたり必要不可欠な研究環境のセットアップを済ませ,年明け~研究をスタートさせた.具体的に行った内容は下記の通りである.現在までに,12名の参加者から基礎データを得ており,うち4名が年度末~介入プログラムの実施を開始している.1)本研究課題について北里大学C倫理審査委員会に倫理審査申請を行い,2011年11月16日付で承認を受けた(C倫11-690).2)北里大学病院本院放射線科・教授とミーティングを重ね,核磁気共鳴画像(MRI)装置を機能画像(fMRI)実験について連携体制を整えた.また本学の診療放射線技師2名に撮像時のデータ収集協力を得た.3)大学本院MRI検査室に,fMRI実験課題中の脳活動を測定するために必用な反応記録装置(レスポンスパッド),そのケーブルを通過させる為の導波管の設置工事を行った(2011年12月).4)fMRI中に提示を行う実験課題を作成した(E-primeという心理学実験ソフトウェアを用いてDot Probe TaskおよびDual Task Designのプログラミングを行った).5)内分泌反応に詳しい独立労働安全研究所・研究員とミーティングを重ね,唾液コルチゾル検体キットの提供,および取得検体の解析について委託を依頼し,連携体制を整えた.6)その他,測定に必要な質問紙や認知機能検査を手配した.7)年明けより各学部の掲示板にチラシを掲示し,研究参加者募集を開始した.
著者
佐藤 圭史
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は、南オセチアとアブハジアの「非承認国家問題」と、その他の、非承認国家問題に至らなかった類似のケースを比較検証するという、先行研究では見られない新たな分析角度を学界に提起することに成功した。2年間のプロジェクトで、国際学会発表が5件、国内学会発表が1件、海外招待講演が2件、査読付き雑誌への論文発表が1件、その他論文発表が2件と、十分な研究成果を出した。
著者
押切 友也
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究では、局在表面プラズモン共鳴を利用した光電極を用いて、窒素の固定化によるアンモニアの光電気化学合成に関する研究について推進してきた。チタン酸ストロンチウム単結晶基板を用い、金ナノ粒子の担持により局在表面プラズモン共鳴による光捕集効果を付与し、さらに助触媒としてルテニウムを用いた電極を用いて可視光の照射により窒素を還元してアンモニアを得ることに成功した。さらに、反応の選択性及び活性向上のため、既報の計算化学による予測を基に原子の吸着エネルギーに着目し、助触媒として窒素吸着しやすい遷移金属を用いたところ、反応活性は6倍程度増大し、またほぼ選択的にアンモニアが得られた。
著者
野中 哲士
出版者
吉備国際大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

状況依存的な行為の理解に向け、日常技能の再獲得過程を検討した。四肢麻痺者が獲得した書字の検討では、同一の字を書く場合でも身体運動には変動が見られると同時に、その変動が筆圧等の書字に重要な変数の安定化に寄与しており、獲得されたのは運動パターン自体ではなく、環境とのリンクを柔軟に生成する能力だったことが示唆された。また高齢者の立位時の姿勢動揺の時間構造が定期的な運動によって変化する可能性が示唆された。
著者
真野 祐輔
出版者
大阪教育大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究における主要な成果は次の2点である。一つは,概念変容という角度から,カリキュラムや領域の構成を検討することを通して,具体的な概念変容場面として「変数性に関する概念変容」を同定したことである。もう一つは,「式」のコンセプションの変容を捉える枠組みに基づく授業を設計・実施し,理論的枠組みの妥当性やその実践的有効性を検討したことである。
著者
鎌田 由美子
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、17-18世紀にインド北部と南部で織られた絨毯には、どのような特徴があるのか、貿易品としてどのように国際流通し、各地で受容されたのかを、国内外での調査をもとに考察した。その結果、従来「ラホール絨毯」という名称で分類され、ムガル朝のもと、北インドで生産されてきたと考えられてきたインド絨毯のなかには、インド南部の絨毯生産地で、輸出先の好みと需要を反映して貿易用に織られたものが少なからず存在することが判明するとともに、絨毯そのものの価値に加えて、絨毯が受け入れられた社会的な文脈が新たな価値を生み出していく様子が明らかになった。
著者
内山 秀樹
出版者
静岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

「すざく」銀河面データにより、天の川銀河拡散X線放射の空間的揺らぎを測定した。統計誤差を除くと、天の川銀河拡散X線放射と宇宙背景X線を合わせた表面輝度は~10パーセク程度の空間スケールで3.6~8.1% (1σ) 揺らぐことを明らかにした。この揺らぎは天の川銀河拡散X線放射が多くの暗い点源の集まりだとした場合の結果と大きく矛盾しない。また、数百パーセクスケールでの鉄輝線強度比の空間分布から、バルジと銀河面ではその拡散X線放射の起源が異なる可能性が高いことも明らかにした。天の川銀河拡散X線放射の研究を元に、「すざく」データを使った、高校物理で扱うボーア模型の学習教材を作成した。
著者
鈴木 拓央
出版者
横浜国立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究では、外出時に薬の飲み忘れや飲み過ぎを検知するため、スマートフォンに内蔵されたセンサーを使用して食事や睡眠の未来の状態を予測するアルゴリズムを開発した。加速度センサーやジャイロセンサー、環境光センサー、タッチパネル等で計測したデータは、主成分分析により互いに相関のない特徴データへ変換したあと、ベイジアンネットワークへ入力した。しかし、目標とした正答率70%を達成することはできず、上記のセンサーだけでは食事の状態を正確に予測できないことを明らかにした。
著者
河井 崇
出版者
阿南工業高等専門学校
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2008

干潟造成による底生生物の生息地創出の再現性を評価するため,徳島県阿南市大潟人工干潟(泥干潟)・徳島市マリンピア沖洲干潟(砂干潟)の2つの干潟において,隣接地にそれぞれ類似した物理的環境特性を持つ干潟を新たに創出しその後の底生生物の加入状況を追跡した.その結果,両新規創出干潟は共に現時点で既存干潟の状況を再現できておらず,種による分布特性の違い,及びその要因となる生態的特性と環境条件との関連性のより一層の理解が重要であることが示唆された.さらに,その評価過程においては,種間の環境に対する時間的反応性,生活史,寿命等の違いを考慮した,長期的な実験・観察が必要であると考えられる.
著者
西田 浩之
出版者
東京農工大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

流体制御デバイス(DBDプラズマアクチュエータ)により細長形状の飛翔体周りの流れを能動的にコントロールし空力特性を制御するコンセプトを実証するため,風洞実験と数値シミュレーションを行った.飛翔体の前胴と後胴の右舷と左舷にそれぞれアクチュエータを取り付け,別々に駆動することで縦と横の空力(ピッチングモーメントと横力)を比例的に制御できることが実験により実証された.シミュレーションにおいては剥離流れの構造を再現することに成功し,より効率的な制御方法を探る為の知見を得ることができた.
著者
本田 貴久
出版者
中央大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

ジャン・ポーランやミシェル・レリスといった両大戦間期フランスの文学者の言語観が研究対象である。まずポーランという人物について、彼の故郷ニームについて『フランス文化事典』にコラムを執筆した。また『新フランス評論』の計量的分析を行った。さらにレリスの詩作品と言語観に触れた発表をボルドー大学で開催された国際シンポジウムで行った。また、ウィリアム・マルクス氏と知己を得、彼の著作『文人伝』の翻訳を始めた。
著者
岩田 和子
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

日本、北京、上海、湖南、広東、および台湾の図書館、研究機関に所蔵される湖南説唱本の各種版本を閲覧、収集した。各種伝承媒体を経て民間に広がる故事と湖南説唱本の関係、説唱文芸全体からみた湖南説唱本の位置を新たに把握することができた。日本、中国における学会発表、論文発表を通して研究成果を報告した。
著者
桃井 治郎
出版者
中部大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、欧州・地中海パートナーシップを事例に、地域統合組織(EU)と第三国各国(アルジェリアやチュニジア)という非対称なアクター間の地域協力関係について分析した。同事例では、(政治力の大きな)EUによる一方的なEU化が推進されているわけではなく、むしろ同パートナーシップの枠組みのもとで対話が促進されており、非対称地域協力は第三国の側にとっても有意義な国際レジームとなっていると評価することができる。
著者
増田 好純
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

航空機産業における「労働動員」を政策レベルと労働現場の二点から考察し、ナチ体制下の社会秩序形成過程の解明を試みた。政策レベルの分析からは、ナチ体制下の労働動員政策が、全ての要素を戦争遂行のために包摂・結集すべき「総力戦」とは相容れないものだったことが明らかとなった。また、労働現場の分析からは、「傾向として」様々な国籍・人種集団間の関係はナチ・イデオロギーに強く規定されていたが、その陰で個人的な問題もまた重要な要素であったことが明らかとなった。
著者
杉山 成
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

溶液中で育成させることが常識とされてきたタンパク質の結晶化を、高温にさらすことなく固化したメビオールゲル中で育成させる、世界で初めての結晶化技術を開発しました。この技術によって、結晶に損傷を与えること無く、再現性のある高精度なX線回折データを得ることが可能となりました。さらにメビオールゲルは、タンパク質結晶の核発生を促進すると共に、メビオールゲル中結晶は、浸透圧ショックにも強いことが明らかとなりました。これらの成果は、固相ゲル中で育成させる結晶化技術の汎用性を高める結果となりました。
著者
ビアワーゲ アンドレアス
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

数値シミュレーションにより、高エネルギー粒子駆動MHDモードの線形成長率、非線形飽和レベルと非線形発展に対し、プラズマ形状、圧力、圧縮性が重要な影響を与えることを見いだした。一方、粒子輸送はこれらの影響をさほど受けない。粒子輸送に対しては、初期の粒子分布関数形がより重要であると考えられる。分布関数の役割を同定するための新しい数値手法を開発したので、今後、輸送機構の解明を行っていく。
著者
堂野前 彰子
出版者
明治大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

韓半島との関係が深い日本海周辺地域に限定し、(1)文献研究と(2)フィールド調査を行うことから、日本海を利用した交易の様相を総合的に捉えることを試み、渡来人の移動とも重なる古代の「交易」ルートを解明することにより、古代日本文学や当該地域の寺社縁起譚、民間伝承等の新しい解釈を行った。また比較研究として琉球説話集『遺老説伝』や韓国仏教説話集『三国遺事』の研究に取り組み、「交易」の視点を導入した解釈や研究方法を提示した。
著者
大沼 雅也
出版者
成蹊大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、ユーザー自らがイノベーションを起こし、それが企業によって製品化され、普及する過程の背後にあるメカニズムを探求することにある。こうした目的に向けて行われた本研究の成果は大別すると二つある。第一に、ユーザーイノベーションをめぐる既存研究を包括的に整理し、ユーザーイノベーションに関して企業が直面する組織・戦略的課題を明らかにしたことがある。第二に、その課題を実証するための定性・定量データの収集および分析の結果、今後の研究の礎となる一定の知見が得られたことがある。
著者
石田 尚敬
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本年度は、研究の開始にあたり、インド仏教最後期の論理学者モークシャーカラグプタ(13世紀頃)の綱要書、『論理の言葉』について、これまで出版されたサンスクリット語校訂テキストを可能な限り収集し、調査した。その結果、手書き写本を参照し、そこに見られる異読等を検討したものは、バッタチャリアにより校訂されたGOS(Gaekwad's Oriental Series)版(1942年)と、アイヤンガーによるマイソール版(第2版、1952年)のみであることを確認した。それ以外の校訂本は、それまでに出版された校訂本を参照し、訂正を加えたに止まっている。さらに、『論理の言葉』原典写本の研究も開始し、カンナダ文字で書写されたマイソール写本、ナーガリー文字で書写されたパタン写本(2本)について、これまでに撮影したカラー写真を用いて解読した。これらの写本の系統関係などは、校訂テキストの序文に記載する予定である。また、本年度の研究期間中、科学研究費補助金を用いてグジャラート州、ヴァドーダラー市にあるバローダ東洋学研究所を訪問した。同研究所では、『論理の言葉』写本について、カタログに記載のある4点すべてを、現物を手にして調査することができた。調査の結果、うち2点は、20世紀初頭に作成されたと思われる、パタン写本2本(上述)の複製(写真)であることが判明した。それらは経年劣化が進んでいるものの、報告者が2009年に撮影した時点の同写本よりも破損による欠落箇所が少なく、資料として有用である。さらに、うち1点は、パタン写本の複製を用いて新たに作成されたと思われる、ナーガリー文字による手書き紙写本であり、残りの1点は、おそらくGOS版出版のために用意されたと思われるノートであった。本年度の調査により、『論理の言葉』の資料状況は、これまでに所在が知られているサンスクリット語原典写本も含め、ほぼ明らかとなった。