著者
長谷川 晶子
出版者
京都産業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究は、シュルレアリスムを代表するフランスの作家アンドレ・ブルトンとシュルレアリスムの影響を受けたメキシコの写真家マヌエル・アルバレス・ブラボの1938年から40年の活動をとりあげ、ふたりの交流が両者の創作活動に及ぼした審美的影響を確定することを目的とする。アルバレス・ブラボとブルトン、両者の1930年代のメキシコに関するテクストと写真を検証することで、メキシコ滞在後からブルトンの芸術論の変容した原因がブラボの写真の審美的影響にあるという仮説を証明することに努めた。
著者
兒嶋 由子
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究課題ではFGF-2局所投与により誘導される歯周組織再生メカニズムを、血管新生の観点から検討した。FGF-2は歯根膜細胞からのVEGF-A産生を誘導した。また、FGF-2とVEGF-Aの共刺激により歯根膜細胞の遊走能は協調的に亢進した。さらにタイムラプス解析より歯根膜細胞は管腔形成する血管内皮細胞に寄り添うように遊走した。これらの結果よりVEGF-Aの誘導、歯根膜細胞と血管内皮細胞の細胞間相互作用は、FGF-2局所投与部の血管新生により歯周組織再生に適した環境を整えている可能性が示唆された。
著者
片岡 良浩
出版者
九州歯科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

今回、変形性顎関節症の病態解明のため、培養滑膜および軟骨細胞を用いた実験を行った。ヒト軟骨細胞株に対して、炎症性サイトカインとして腫瘍壊死因子(TNF-α)を添加して培養を行ったところ、マトリックスメタロプロテアーゼであるMMP-13の遺伝子発現が有意に増強した。この誘導系に対して、高分子量ヒアルロン酸を添加したところ、TNF-αによるMMP-13遺伝子の発現は有意に抑制された。一方、インターロイキン17(IL-17)は、滑膜肉腫細胞株に対して、MMP-3の発現を亢進した。ヒト顎関節滑膜細胞には、IL-17受容体が同定され、IL-17の関節内のターゲット細胞であることが示唆された。
著者
澤田 俊輔
出版者
関西医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

口腔内感染症である慢性歯周炎は、罹患率の高さから国民を悩ます口腔疾患である。重度の慢性歯周炎では骨吸収により抜歯を余儀なくされるケースも少なくない。炎症を効率的に抑制するとともに、歯槽骨再生を積極的に促す新規治療法の確立は重要な課題となっている。我々は複数の炎症性サイトカインの抑制作用を持つ融合タンパク質発現ベクターを構築した。また、抗炎症作用だけでなく、組織修復能の観点から、in vivo実験に有効な骨分化能に優れたGFPマウス骨髄由来間葉系幹細胞株を樹立した。より効果的な抗炎症作用を有し、組織修復能に長ける幹細胞を用いた新たな治療法開発の基盤となることが予想される。
著者
奥 彩子
出版者
共立女子大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

2011年度におこなってきた東欧地域研究の研究会の成果として、論集『東欧地域研究の現在』を出版するにいたった。本論集には、狭義の東欧(ドイツ語圏と旧ソ連圏をのぞいた、ヨーロッパの旧共産圏の国々)のすべての国についての論考が収められているという、東欧研究のなかでも類例のない規模の論集となっている。申請者はこの論集に編者の一人として参加し、さらに、自らも東欧の女性作家についての論考を執筆している。また、亡命の諸相に関しては、ダヴィド・アルバハリ、ウグレシッチ、アレクサンドル・ヘモンらを論じた論文「記憶の変奏-ユーゴスラヴィア解体と文学的ディアスポラ」(『ユーラシア世界2ディアスポラ論』東京大学出版会、2012.7)を発表した。
著者
工藤 値英子
出版者
岡山大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

一般市中病院に肺炎のため入院した患者を対象として,肺炎と歯周病との関連性について統計学的に検討した。歯周病が重度であるほど肺炎に罹患しやすく,特に,誤嚥性肺炎になりやすい可能性があることが示唆された。これまでに私が参加した研究から,歯周病細菌感染度検査である病歯周病細菌に対する血中IgG抗体価が,歯周病重症度と有意に正の相関があることが分かっている。従って,この歯周病細菌に対する血中IgG抗体価による細菌学的評価が肺炎患者の早期スクリーニング検査に有効かもしれない。
著者
大澤 和人
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

2007年以降数年に渡る世界の金融市場の危機の原因となったstructuredfinanceproductsに関し、発行開示責任免除規則の欠陥とその濫用を招いた証券制度設計の不備について歴史的経緯に遡って解明し、賠償請求の裁判例(請求根拠)の検討、及びデリバティブズ組み込み証券の破綻にみられる倒産申立解除特約ipsofactoの有効性について米英法理を比較する。開示責任免責の改革のわが国への摂取について考える。
著者
山本 英明
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

細胞培養液中で基板表面の細胞親和性を局所的に改質することにより,神経細胞の突起伸長経路を制御できる.これまでに,酸化チタン(TiO2)の光触媒作用を活用して,表面の細胞接着阻害膜を培養液中において分解除去し,そこに足場タンパク質を物理吸着させることで,細胞を液中パターニングできることを示してきた.しかし,神経細胞への応用を試みたところ,足場タンパク質の安定性が不十分で,細胞を接着させることができなかった.そこで,ribosomal protein L2 (Si-tag)をリンカーとして用いることで,タンパク質を被改質領域に安定に固定し,その領域に初代神経細胞を選択的に接着させることを試みた.
著者
小川 和也
出版者
北海道教育大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究には2つの柱がある。(1)大老・堀田正俊の政治思想研究。(2)「御家」の思想と民政思想の研究である。研究成果は以下のとおりである。(1)に関して、一橋大学附属図書館所蔵の堀田家文書のうち、朝鮮通信使に関する史料を使い『日韓相互認識』(第5号、2012)に論文「天和度朝鮮通信使と大老・堀田正俊の「筆談唱和」」を発表し、東アジアにおける近世日本の儒学、領主思想の一端を明らかにした。(2)に関しては、昨年10 月に群馬県在住の秋山景山の子孫・秋山綽家の原文書を悉皆調査し、その史料をもとに、『書物・出版と社会変容』(第12 号、2012) に「越後長岡藩儒・秋山景山の『教育談』について」を発表し、近世武士教育のあり方を考察した。
著者
山根 有人
出版者
群馬大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

悪性リンパ腫で二番目に頻度が高い濾胞性リンパ腫の90%以上にみられるIgH-BCL2の染色体転座の原因を明らかにするため次世代シークエンサーを用いた解析を行った。これまでの研究から染色体転座の発生がおきると考えられているPro-B細胞ではこれらの遺伝子座同士は近接しておらず、DNAダメージの寄与がより多いことが示唆された。どのようなDNAダメージがこの転座の原因となっているのかを調べることは今後の課題である。
著者
播磨 有希子
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

プロニューラル遺伝子Mash1は、細胞周期を活性化して細胞増殖を亢進させるとともに、細胞周期を止めてニューロン分化を促進するが、このような同一因子が相反する機能を発揮する分子機構に関して未だ不明の点が多い。現在、我々の研究室ではオプトジェネティクス(光遺伝学)の技術を応用して遺伝子の振動発現を光刺激により自在にコントロールする系を樹立した。これは外部から光刺激を与えることによって目的遺伝子のプロモーター活性のON/OFFをコントロールするという新規の方法である。この技術を用いて培養神経幹細胞や脳スライスサンプルにMash1遺伝子の振動発現を誘導させたところ神経幹細胞が増殖し、持続発現を誘導させたところ神経分化が亢進した。以上の実験から、Mash1の発現が振動するか、非振動状態になるかという発現動態の違いでその機能も異なることが明らかになった。現在は、Mash1の発現を可視化するために作製したレポーターマウスを用い、胎児脳や成体脳のスライス培養におけるMash1タンパク質の発現動態解析を独自のリアルタイムイメージング技術に基づき行っている。さらに、神経幹細胞の特定の周期を蛍光タンパク質で標識できる遺伝子改変マウス、Fucciマウスを用いて胎児脳と成体脳の神経幹細胞の発現遺伝子の違いをG1期に注目して解析する予定である。特に、Mash1の標的遺伝子に着目して解析を行う。これらの解析により得られた結果を基にして、最終的にはオプトジェネティクス技術を用いて休眠状態の成体脳神経幹細胞に、振動発現を人為的に誘導したときに変化が起こるかどうかを解析する。これらの研究を基に、遺伝子発現のダイナミックな変動に着目した神経幹細胞の制御機構の基盤原理の解明と再生医療への応用を目指す。
著者
権藤 智之
出版者
首都大学東京
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

中国で萌芽期にある木造住宅生産の調査を行った。まず、中国の木造住宅生産の現状について木造建築技術応用研究報告(2013年)を翻訳し、推定される木造建築建設量や住民の意識を整理した。次に、木造建築教育施設3施設に対してインタビューを行い、1施設では木造建築を専門とした教育が行われていることを明らかにした。最後に、中国で木造住宅施工経験のある施工会社4社に対するインタビューを行い、中国の2社からは注文住宅を主とする住宅生産の特徴や技能者教育に対するカナダからの支援、日本の2社からは部品調達や技能者教育等での課題を明らかにした。
著者
平野 淳一
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究計画では、日本の市長選挙における対立構図の規定要因の解明を目標とした。分析の結果、現職優位に関する理論が日本の市長選挙における対立構図にも適用できることが明らかになった他、中央レベルでの政党間関係が市長選挙における対立構図に影響を与えていることも明らかになった。また、市町村合併が近年の市長選挙における対立構図の変容に大きな影響を及ぼしていることも示すことができた。
著者
田岡 和城
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

CMMoL患者からOCT3/4、SOX2、KLF4、L-MYC、LIN28、p53-shRNAを導入し、iPS細胞(CMMoL-iPS)を樹立した。CMMoL-iPS細胞由来血球は造血能の亢進を示しており、表面抗原の特性も再現した。CMMoL-iPS細胞を免疫不全マウスの皮下に移植すると、奇形腫内で造血幹細胞が生じ、その細胞を免疫不全マウスに2次移植したところ、CD13陽性の単球細胞やCD34陽性細胞のCMMoL様細胞が産生され、CMMoLヒト型マウスモデルを樹立することに成功した。CMMoL-iPS細胞由来血球はERKの活性化を来しており、RAS阻害剤やMEK阻害剤により増殖が阻害された。
著者
柿並 良佑
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

「政治的なもの」に関する原理的研究を行い、成果として論文数点を発表した他、まもなくラクー=ラバルト&ナンシーのテクストの翻訳を発表予定である。また期間中に二度の渡仏調査を行ったが、その間、研究者と貴重な対談、インタビューを行うことができた。その一端は既にWebに公開されているが、残りの分についても発表予定である。
著者
伊村 くらら
出版者
中央大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究課題では、幅広い産業において重要な貴金属ナノ粒子の回収と再分散を達成するため、pHに応答する両親媒性化合物を用いたナノ結晶回収法の開発とその有効性の検討を目的とした。まず、長鎖アミンにカルボキシル基を導入した両親媒性化合物群を合成し、水中での分子集合体構造を検討した。合成したC16CAは、pH6以上では球状ミセル、pH2からpH6ではラメラ、pH2以下ではひも状ミセルと、水溶液のpHに応じて分子集合体が三態に変化することが示された。そこで、最も一般的な貴金属ナノ結晶である金ナノ粒子をC16CAのラメラにより回収し再分散することを試みた。塩基性条件のC16CA溶液にクエン酸還元法で得られた金ナノ粒子を加えると、C16CAが配位することによって保護剤効果でナノ粒子が良好に分散することが示された。この分散溶液を弱酸性に変化すると、金ナノ粒子を取り込みながらC16CAのラメラが析出した。透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行うと、金ナノ粒子がラメラ析出物の中で粒子間隔を維持したまま取り込まれていることが確認できた。また、ナノ粒子を取り込んだラメラは、ろ過操作によって、溶液から完全に分離され、ナノ結晶の分離回収剤としての機能発現を果たした。さらに、溶液pHを弱酸性から塩基性に操作すると、金ナノ粒子を取り込んだC16CAラメラ析出物が再び溶解し、分離回収したナノ粒子を再分散できた。このとき、UV-visスペクトルおよびTEM観察から、金ナノ粒子の分散状態が回収前の初期のものと変化していないことが確認され、ラメラの中に取り込むことで析出状態にあっても粒子同士の凝集を抑制できることが示された。このことから、C16CAの分子集合体のpH応答特性を利用した溶液‐ラメラ析出といった転移の制御は、ナノ結晶の分離方法として極めて簡便で有効な手法といえる
著者
上原 沢子
出版者
鹿児島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

脳機能活動の検討を行い、脳-腸相関を軸とした異常機能活動と消化器との機能的相関を調べるため、先行して、顎口腔の形態学的・機能的特徴と心理学的特徴および脳機能活動を調査した。計算負荷によるストレス負荷時、無意識の咬みしめを想定した手の握り締め時の筋活動と心理的評価および脳賦活部位を検討した結果、各被験動作時に咀嚼筋活動は増加し、VAS値は高く、ストレスを感じていたことが示唆された。さらに、覚醒時の咀嚼筋活動の増加を引き起こすとされる食道への実験的な酸刺激により賦活する島と前帯状皮質が本研究でも賦活したことから、覚醒時ブラキシズムのような無意識時の咬みしめ時に島と前帯状皮質の関連が示唆された。
著者
内田 智士
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

劇症肝炎、脳梗塞、心筋梗塞など様々な難治性疾患に過剰な細胞死が深く関わっている。遺伝子治療を用いることで、細胞死を抑制する因子を生体へ持続的に供給することが可能である。従来、遺伝子治療ではDNAの導入が行われてきたが、本研究ではより安全性の高い方法であるメッセンジャーRNA (mRNA)導入を用いて、細胞死を抑制する治療を行った。劇症肝炎モデルマウスを用いた実験で、mRNA導入がDNA導入と比べて高い治療効果を示したことから、本治療戦略の有効性が示された。
著者
青山 之典
出版者
比治山大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究は、論証に関する推論能力に着目し、説明的文章読解指導のためのスパイラルカリキュラムの構築を目的とする。日常的な推論は偏向しているため、論証に関する推論においては論理構築だけでは十分でなく、意味内容形成、コンテクスト分析も必要である。そこで、3つの下位能力を設定し、日常的な推論の偏向に対応する論理的認識力を概念規定した。3つの下位能力を往還的かつ相互補完的に機能させることが重要であることを明らかにし、3つのStrandによって構成されるスパイラル型の説明的文章読解カリキュラムを構築した。
著者
勝間田 明子
出版者
鈴鹿短期大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

初年度は、10月と3月に渡航し、台中と台南においてインタビュー調査をおこなうと同時に、当時の農村部での生活を知るための一助として『民族台湾』等の当時の雑誌の復刻版を多数購入した。特に、10月の渡航はインタビュー調査のための関係づくりに焦点化したため、3月の本調査の際にはかなりスムーズに話を伺うこともできた。なお、この渡航では合計8名に聞き取り調査を行ったが、実業補習教育の内容に関する話は聞けなかった。翌26年度には、購入した資料等を読み込み、実業補習学校や農民の生活の実態が窺える記述の分析を開始した。また2月にも渡航したが、実業補習学校に関する話は聞けなかった。