著者
伊藤 早苗
出版者
女子栄養大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

日本人若年成人女性を対象とした観察疫学研究により,血清繊維芽細胞成長因子 23 (FGF-23)濃度と,3 日間の秤量目安量記録法による食事記録より算出した習慣的なリン摂取量,および 24 時間尿中リン排泄量とが有意な正の関係にあることを見出した。血清 FGF-23 濃度はリン摂取量およびリン吸収量の指標となる可能性が示唆された。
著者
元井 直樹
出版者
横浜国立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究課題では、人間の代替作業を実現する人支援システム構築のために様々なタスクを実現可能にする遠隔・自律融合人支援システムの開発・研究を行うことを目的とし、研究・開発を遂行した。本課題において得られた成果としては、主として次の三点が挙げられる。(1)道具を用いたタスク実現のための運動制御手法および内界センサと外界センサのセンサフィージョンによる未知道具のパラメータ推定手法を確立した。(2)遠隔・自律融合システムにおける機能分離に基づく異自由度ロボット間バイラテラル制御器設計論を確立した。(3)対象物とシステムとの接触状況に柔軟に対応可能な力ベース可変コンプライアンス制御手法を確立した。
著者
奥野 裕子
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

学童期の高機能広汎性障害と診断された子どもとその保護者を対象に、Problem-Solving Training(PST)を実施し、PST前後で子どもに対しては「対人的自己効力感尺度(松尾・新井, 1998)」、保護者に対しては「家族の自信度アンケート」「子どもの行動チェックリスト: Child Behavior Checklist(CBCL)」を指標にその有用性を検討した。結果として、子どもの外向的問題行動、母親の子どもに対する対応への自信に改善がみられた。
著者
臼坂 高司
出版者
茨城大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では,システム理論(制御理論)的アプローチを用いることで,『教師-学習者』の関係を近似した学習環境を提供できる学習支援システムの構築を行った。システムの構築には,制御工学の分野において1980年代より研究されている内部モデル制御(IMC)を応用した。題材にはフローチャート学習を取り上げ,調査協力者は大学生59名である。シミュレーションの結果,開発したシステムの有効性が検証された。
著者
佐藤 拓哉
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011-08-24

本研究課題では、申請者が発見した「寄生者が駆動する生態系間のエネルギー流;以下、PMEF (Parasite-Mediated Energy Flow)」の維持・創出機構とそれへの人的影響の解明を目的としている。本年度においては、当初の研究計画に則り、全国10サイト、およびカナダ11サイトにおいて、ハリガネムシ類とその宿主の季節消長を明らかにし、PMEFが生じる季節の地理的パターンを明らかにした。すなわち、本州とカナダのサイトでは、8-9月をピークとしてPMEFが生じているのに対して、北海道では、6-7月がピークであることが明らかになった。また、北海道の一つのサイト(北海道大学苫小牧研究林)では、ピークが6-7月と9月の2回あることも明らかになった。PMEFの生じる季節が異なることは、森林から河川へのエネルギー補償の時期が異なり、ひいては森林-河川生態系間相互作用の季節的動態にも影響する可能性がある。一方、4つの集水域から捕獲されたハリガネムシ類の種多様性について、遺伝子分析を用いて明らかにした。その結果、それぞれの集水域のPMEFが、非常に多様なハリガネムシ類(最大で8種)とさらに線虫類によって駆動されていることが明らかとなった。また、PMEFの期間や量とハリガネムシ類の種の多様性と間には関係が認められなかったが、地理的に近い集水域間でも、PMEFの期間が異なることが明らかになった。このことは、地理的に近い集水域においても、ハリガネムシ類の生活史パターン次第で、森林-河川生態系間相互作用の特徴が異なる可能性を示唆する。
著者
高橋 雄介
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は,パーソナリティ特性と身体的・精神的・社会的健康の関連性の全体像を把握するための新たな知見の蓄積のために,健康に関わるさまざまな指標を複数のサンプルに対して用いて調査データを取得し,パーソナリティ特性と健康の相互関連について包括的に紐解いていくことを主たる目的とする。本研究の結果,パーソナリティ特性の変化は健康および健康に関連する行動の変化と正に相関することが確認され,これはパーソナリティ特性の変容が健康に対して影響に与えていることを示唆している。また,別の研究結果は,パーソナリティ特性が,その個人が子どものころに受けた養育態度と身体的な健康感の正の関連を媒介していること,そして,その媒介効果は年齢層を通じて一貫していて持続力があることを明らかにした。このことは,養育態度はパーソナリティ特性の発達と健康増進のために介入可能性のあるターゲットのひとつであることを示唆している。
著者
藤田 祐
出版者
釧路公立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

1890年代のイギリスにおける進化社会理論と政治思想のコンテクストで、『社会進化』で展開されたキッドの社会進化論における〈機会の平等〉概念の位置づけを分析し、〈機会の平等〉を中心理念に据えたウォレスの進化社会主義と比較対照した。両者の特徴的な共通点は、〈機会の平等〉をダーウィンの生物進化メカニズムと結びつけている点である。また、1890年代前後に雑誌や新聞に掲載された社会問題をめぐる議論を調査し、進化社会理論において〈機会の平等〉概念が展開したコンテクストを探究した。以上の分析を通じて、同時代のイギリスにおける〈機会の平等〉概念の勃興に進化理論が一定の役割を演じたという仮説が導き出された。
著者
稲田 結美
出版者
上越教育大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究では、女子の理科学習に対する意識や態度の低下が顕著な中学校理科「力学」と「電流」に関する授業において、女子の学習を促進する指導方法と教材を実践的に開発した。その結果、女子の関心や経験に基づき、人体と物理概念とを関連づける「人体アプローチ」、調理と物理学習とを結びつける「料理アプローチ」、実験に美的観賞を取り入れる「美的アプローチ」を教授展開や活動に導入し、女子が協同的な問題解決活動を行える集団組織を編成することが女子の理科学習に効果的であることを明らかにした。
著者
小笠原 弘幸
出版者
(財)政治経済研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

オスマン帝国末期からトルコ共和国初期にかけての国民史の形成過程を、前近代の歴史叙述との関係も視野に入れつつ検討した。本研究の結果次の点が明らかとなった。近代のオスマン史家は、前近代の歴史叙述を国民史に取り込もうと試み、とくにオスマン帝国の起源の扱いに腐心した。またトルコ共和国初期に主張された公定歴史学においては、先行研究では反オスマン的な史観であるとされていたのに対し、相対的に妥当な内容で書かれていることが明らかとなった。
著者
福島 宏器
出版者
関西大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

眉間を寄せる,口角を上げる,といった表情筋の操作によって,対象への印象などが左右される「顔面フィードバック」という現象の認知生理的メカニズムを検討した.具体的には,脳波(事象関連電位)を利用して,実験参加者が口角を上げたり口を閉ざしたりする操作が利益や損失の認知処理に及ぼす影響を分析した.その結果,表情筋の操作は,意識的な感情コントロールに比べ,より早い知覚プロセスと明確な自律神経系への影響を及ぼし,より深い水準での心身の態度に影響を及ぼしていることが示唆された.
著者
高橋 聡
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011-08-24

,1.連続地層試料の採取:野外地質調査岩手県北部に露出するペルム紀・三畳紀の連続地層をエンジンカッターで切断し、分析試料の連続採取を行った。2.コノドント化石処理採取した試料よりコノドント化石を見出した。化石年代は現在検討中である。3.岩石試料の切り分け、研磨面・薄片の作成採取した岩石試料を研磨用と粉砕用に切り分け、一方を研磨した。研磨面の観察の結果、黒色粘土岩中にラミナ構造、生物擾乱の構造を確認することができ、当時の堆積環境を知るデータを得た。4.岩石研磨面の元素組成マッピング:XGT分析連続性が確認できた岩石研磨試料をXGT分析装置でスキャンし、各元素の存在度を観察した。結果、モリブデンの濃集層を複数箇所で確認し、その側方連続性を確認することができた。5.岩石試料の粉砕・粉末化処理遊星ミル粉砕装置を実験室に導入し、微量元素成分の汚染の少ないメノー製の粉砕装置を使って岩石試料を粉末化する準備を行った。6.モリブデン同位体比の測定アリゾナ州立大学の協力を得て、検出されたモリブデンとウランの安定同位体比について予察的な分析値を得た。分析値は大量絶滅時の還元的海洋水の大規模な発達を指示する。
著者
田中 里弥
出版者
関西学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

我々が音響信号を聴取する際,新規音の生起を刻々と知覚した上で全体の時間構造を把握していると考えられる.本研究では,ラウドネスに変化がなくスペクトル構造が変化する連続的な音響信号に焦点を当て,周波数遷移部で明確な新規音知覚をもたらすための「急峻さ」がどの要因で規定されるのかを,心理物理実験によって検討した.その結果,明確な新規音知覚のための急峻さは遷移の時間長によって規定される可能性が高いことが確認された.
著者
紫加田 知幸
出版者
独立行政法人水産総合研究センター
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

有害赤潮鞭毛藻類シャットネラ・アンティカの日周鉛直移動リズムに及ぼす光環境の影響を調べた。その結果,暗期における微弱なUV-A~青色光(>0.01umol m^<-2>s^<-1>,360~480 nm)の照射により,その後の日周鉛直移動リズムが変化することが判明した。さらに,暗期に回収したシャットネラ細胞について,全mRNAシーケンスを実施したところ,クリプトクロームやオーレオクロームといった青色光受容体の類似配列が検出された。今後,これらの光受容体と日周鉛直移動リズムの光位相変化の関係を解析していく予定である。
著者
榎本 千賀子
出版者
新潟大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

新潟県南魚沼市六日町の今成家の写真実践の事例分析を中心としながら、日本における明治初頭の写真受容を、歌舞伎や浮世絵、黄表紙などの庶民文化との関連性と、写真以外への領域への社会・文化的影響に注目しつつ分析した。今成家の事例から、先行する西洋由来の視覚装置への受容を引き継いで生まれた「心を写す写真」や、「声・動きを写す写真」という写真をめぐる定型的イメージを発見し、それらが明治初頭の日本における遊戯的な文化領域に広く共有されていたことを示した。また、「心を写す写真」が文学の近代化に与えた影響と、「声・動きを写す写真」が蓄音機や活動写真などの後続メディアの受容に与えた影響を指摘した。
著者
小林 海
出版者
目白大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

競技レベルの高い短距離選手は競技レベルの低い選手よりも全力疾走中における接地時と離地時の骨盤前傾角度が大きく,接地期の脚のスイング速度も有意に大きかった.また,接地時の骨盤前傾角度,回旋角度と接地期の脚のスイング速度の平均値との間にはそれぞれ有意な相関関係が認められた.これらのことから,接地時に骨盤を前傾および後方回旋させることが,接地期の高い脚のスイング速度での疾走を可能にする一因となっていることが明らかになった.
著者
中川 敦
出版者
島根県立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

これまで遠距離介護に関する社会学的研究の多くは、その当事者に調査の対象を限定した研究が中心であった。本研究は当事者に対する調査分析を深めつつ、その対象を遠距離介護の宛先である高齢者本人および彼ら彼女らを支える支援者にその対象を広げ、調査分析を行った。その結果、遠距離介護者はそばにいられないやましさを抱えていること、高齢者は死をも見据えた形で現状を受け入れていること、支援者は居住形態よりも関わりの内実から遠距離介護者を評価していることなどが明らかになった。
著者
小助川 博之
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

樹脂と炭素繊維で構成される炭素繊維強化複合材料は、優れた比強度と比剛性のために鉄鋼やアルミ合金に代わる構造材料として期待されているが、その非破壊欠陥診断の方法は未だ確立されていない。本研究では、電気化学的手法を用いることで構造体自身が欠陥の発生を自己検出するスマートな炭素繊維強化複合材料の開発に成功した。このような複合材料は、構造体内部にセンサを埋め込む必要がなく内部欠陥の発生を誘発することがないため、構造物としての高い信頼性を示すことができる。
著者
村山 綾
出版者
関西学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

実際の裁判員裁判に類似したシナリオを用いて、裁判員役の大学生3名と裁判官役の実験協力者1名の4名からなる評議体(合計93名、31評議体)が被告の有罪・無罪について話し合う評議実験と、有罪・無罪判断と批判的思考態度との関連を検討する調査研究(144名が参加)を行った。実験の結果、裁判官役と同一判断に意見を変容させる参加者が多かった。また、有罪・無罪判断と批判的思考態度との関連が見られ、妥当な判断を行った参加者は批判的思考態度が高い傾向にあった。
著者
木村 隆志
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、回折限界集光を実現可能な変形精度を有する硬X線用形状可変ミラーを開発することである。フィゾー型干渉計を用いた印加電圧フィードバックシステムを構築することにより、形状可変ミラーを数nmの精度で非球面形状へ変形させることに成功した。SPring-8において集光性能評価を行い、形状可変ミラーを深さの異なる非球面形状に変形させることによって、回折限界条件下で様々なサイズの集光X線ビームを形成可能であることを確認した。
著者
青木 恵子
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

安全で安心な食品の流通のために必要な情報公開の方法を検証するため、一般的な人々の嘘に対する意識を金銭的インセンティブがある実験環境で検証した。実験の結果は、嘘をつく割合は全体で約40%であった。匿名性で貰える金額が多く、対象者が若い人の場合が一番嘘をつく割合が多かった(約50%)。相手の顔が見える場合は、匿名性の場合に比べて、嘘をついたことを自白する人が多い傾向が観察された。嘘をつかれて、その通りの行動をした(騙された)人の割合は、嘘をつかれた人達の中で約68%であった。騙された人は、実験の種類や個人属性に大きな差がなかったが、相手を信じる傾向が観察された。