著者
馬 子驥
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究では圧縮センシングに基づく事前等化方式を用いて、無線携帯端末の消費電力を削減することである。アップリンクにおけるより少ないパイロットを用いて、受信側の伝搬路情報を送信側にフィードバックするという新たな方式を提案した。圧縮センシングのアルゴリズムを用いて、極少なパイロット信号に基づく伝搬路推定の手法を提案して、高精度な伝搬路推定を示した。圧縮センシング法はナイキスト定理より少ないサンプリング信号からオリジナル信号を復原する可能で、注目されている新技術である。元々画像処理などの領域に応用されている方法だが、今度無線通信に利用して伝搬路推定の精度を向上させることができるを示した。また、推定結果により線形事前等化方式を用いて、受信側の伝搬路推定や信号等化などの信号処理用の電子回路を省略可能である。だから、消費電力を大幅に削減する効果を達成することを目標とした。シミュレーションの結果においてこの性能はもう明らかにした。更に、ビット誤り率をはじめ、演算量や安定性などの高品質的な受信性能を維持することは示した。提案した方式をまとめて、論文を出したし、学会発表を通じて、国内外の研究者に周知した。これから、現状よりもっと改善して、特に演算量を少し削減して、特許の出願を目標とする。
著者
壁谷 典幸
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

量子臨界点(量子揺らぎによって引き起こされる臨界点)を2点持つ特異な希土類化合物について、その起源を明らかにするための研究を行った。量子臨界点への到達の方法として圧力の印加と元素の置換をを用いた。臨界揺らぎの情報を得る手段として圧力下物性測定手法の開発を行い、比熱測定装置を完成させた。圧力印加による量子臨界点へのアプローチでは、反強磁性転移と見られる電気抵抗の異常を見出した。また元素置換によるアプローチでは、量子臨界点の近傍に位置する単結晶試料の育成に成功し、低温で比熱が対数的に増大する振る舞いを見出した。
著者
御幸 聖樹
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究は、行政行為に対する議会拒否権の合憲性を考察するとともに、そのような考察を通じて立法機関と執行機関との抑制・均衡のあり方を問うものである。行政行為に対する議会拒否権の合憲性を検討するための判断枠組みを提示した後、アメリカ及びイギリスの法制度及び議論を参考にしつつ、日本への導入可能性の有無を明らかにした。
著者
白石 三恵
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

ヘルスビリーフモデルを活用した妊娠中期の栄養指導介入により、介入群ではたんぱく質、ビタミンB6、ビタミンB12のエネルギー調整栄養素摂取量が妊娠中期から妊娠末期に増加する傾向が見られ、n-6系多価不飽和脂肪酸は減少する傾向が見られた。しかしながら、妊娠中期から妊娠末期の栄養素摂取に有意な変化が見られた栄養素はなかった。一方で血中濃度については、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、葉酸、25-ヒドロキシビタミンDが、介入群では対照群に比べ、妊娠末期に有意な増加が見られた。今後は、栄養素摂取量・血中濃度の向上に最も効果的である介入時期、介入回数を検討する必要がある。
著者
高木 潤野
出版者
長野大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

音韻表象の不完全さが、ダウン症児の構音の誤りの一貫性の低さや発話の不明瞭さに関わっている可能性が指摘されていることから、目標とする語からの異なり方の大きい刺激と小さい刺激を用い、ダウン症児・者がどのような反応を示すかを検討した。その結果、正答率は「異なりなし条件」90.5%、「異なり小条件」19.0%、「異なり大条件」52.4%であった。このことから、ダウン症児・者は誤り方の大きいものと比較して誤り方の小さいものでは誤りを認識することが困難であることが明らかとなった。これは、ダウン症児・者の音韻表象が不完全であることによる可能性が考えられた。また音韻表象の不完全さはダウン症児の一貫性の低い構音の誤りや発話の不明瞭さの要因の1つである可能性が示唆された。
著者
鹿毛 理恵
出版者
佐賀大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

少子高齢化による人口減少と労働力不足の進行は、土木・建設分野、製造業、サービス業、医療・福祉分野、農林水産業の労働力不足が深刻化している。特に地方の人口減少と高齢化は、産業と地域社会の衰退を招いている。本研究は農業分野における技能実習制度による外国人労働者受入れについて検討している。地方は、量、質ともに労働力が絶対的に不足し、規模の経済を狙った経営が難しく、若者を確保する産業が限られている。技能実習生の受入れで、労働力不足の解消に貢献している。しかし、文化の違いや言葉の壁はあるという。また、労使関係上のトラブル、賃金未払い、労働者の脱走は問題との指摘がNGOや送出し機関から指摘された。
著者
大場 康弘
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究では,星間分子雲における化学進化で重要な役割を担う星間塵表面反応による,アミノ酸の重水素濃集に関する研究をおこなった。もっとも単純なアミノ酸であるグリシンを超高真空反応チャンバー内に設置した反応基板(12K)に蒸着し,重水素原子と反応させた。FTIRやNMRで反応生成物を分析したところ,グリシンの重水素置換体の生成が確認された。反応には高い活性化エネルギーが存在するため,極低温での重水素置換体生成には量子力学的なトンネル効果が重要だと考えられる。本研究では,アミノ酸が星間分子雲における極低温表面原子反応によって重水素濃集可能であることを示した。
著者
バンス ティモシー
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

2つ以上の有意味の要素が結合し、単語を成す場合、各要素が単独形と違う発音になるケースが多い。(例:たま「玉」め.だま「目玉」)現代日本語に絞り込み、このような発音変化を調べるのが本研の目的だった。アンケート調査や録音調査に基づき、日本語の母語話者及び学習者を対象に、子音の変化もアクセントの変化も取り上げ、その規則性を検証した。特に漢語の濁音、山形方言の(鼻)濁音、単純名詞に基づいた苗字アクセント、に焦点をあてた。
著者
岡橋 さやか
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

高次脳機能リハビリテーション用バーチャルリアリティシステム(VR 課題)を開発し、既存の神経心理学的検査・質問紙との関連を調べることで有用性について検討した。タッチパネル操作により仮想の街を移動しながら、事前に暗記した買い物を行う課題である。得られた結果より、 VR 課題は脳損傷者および失語症者の高次脳機能評価に適用でき、 その所見は日常記憶、注意、遂行機能と関連することが示唆された。
著者
二階堂 太郎
出版者
九州大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

骨伝導性と骨置換性を併せ持つ β 型リン酸三カルシウム (βTCP) 人工骨置換材の骨置換速度の飛躍的増進を目的として、完全連通構造を有する海綿骨形態の βTCP フォームを創製した。本研究では、β相を安定化させる酸化マグネシウム (MgO) による 1500°C での焼結、及び、βTCP フォームの α-β 相転移温度以下での熱処理による α→β 相転移、によって βTCP フォーム骨補填材を創製した。得られたそれぞれの βTCP フォームを家兎大腿骨欠損部に埋入したところ、骨伝導性と骨置換性を示し、当該 βTCP フォームは新生骨に置換される骨置換材として有望であると示唆された。
著者
細谷 孝博
出版者
星薬科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

Pokemon(POK erythroid myeloid ontogenic factor;LRF,FBI1,ZBTB7A)は、転写抑制因子で、肺がん細胞における過剰発現が、発がんまたはがんの維持に関与していること報告された。このPokemonによるシグナル伝達を阻害することが、がん治療薬につながると考えられており、本研究では、天然資源よりシグナル伝達阻害剤を得るための評価系の構築、天然資源のスクリーニングを行なった。本期間において、細胞を用いた評価系の構築とスクリーニングが終了した。
著者
中井 宏
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

自動車運転技能については、経験が長いはずの高齢ドライバーほど不安全な運転を行っていることが明らかとなった。40歳代から運転技能の低下傾向が示され、高齢ドライバーの交通事故防止には、中年期からの対策が必要と言える。また民間バス会社の事故記録を分析したところ、経験年数が3年以内の乗務員が全体の事故の約40%を占めることから、経験の短い乗務員に対する対策が重要であることが示された。船舶操船者の技能については、乗船中の感情傾向を自己理解のための教材と、ストレッサーに対するコーピング例を示したリストを作成した。
著者
井口 克郎
出版者
三重大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

東日本大震災をはじめ、近年、過疎・高齢化地域における甚大な災害が頻発する中、継続的に被災者の医療・福祉(ケア)などの生活保障を行い、住み続けられる地域を創ることが課題である。本研究は、災害被災地の人々の生活問題の現状を把握し、とくに東日本大震災被災地では津波による高台移転や、原発事故により、地域コミュニティが脆弱化し、「自助」「共助」の限界が至る所に表れていることを明らかにした。その上で、被災者の生活の復興のため、国家による社会保障制度の役割の重要性や、拡充の必要性について考察した。
著者
並木 由佳
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

MRL/MpJマウス精巣は減数分裂中期特異的にアポトーシスを引き起こす(msa)。以前の研究において、msaは第一染色体81. 9Cmに位置するExoI遺伝子の変異によるものだということを示した。そこで本研究において、(1) MRLマウス由来のmsaを持つB6の遺伝子背景を持ったコンジェニックマウス(Cg1)をさくせいした。また、(2) Cg1およびB6マウスの精巣(6週齢)からRNAを抽出し、マイクロアレイを行うことよりmRNAの発現を比較することにより、アポトーシスに関与する遺伝子を検出することを試みた。
著者
神原 ゆうこ
出版者
北九州市立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は、政治方針の変更に直面せざるを得ないスロヴァキアのローカルな地域社会の現場における公共性のあり方を明らかにすることを目的としている。欧米型の NGO 活動とそのネットワークは、 1990 年代以降の都市部で発展し、現在のスロヴァキア社会を支えているが、変容をめざす村落の若者のアソシエーション活動とはうまく接合できていない。自由な市民の活動が基盤であるがゆえに、現在の公共的世界のネオリベラルな限界が明らかになった。
著者
京免 徹雄
出版者
郡山女子大学短期大学部
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、フランスの進路指導における多機関連携ネットワークの全体像を描き出し、教育学的観点から進路を公的に保障する仕組みを解明することである。パリおよびオルレアンで実施した実地調査の結果、2009年にサービスの範囲・対象者・内容の異なる諸機関の関係が、社会的ステータス(横軸)と社会的機能(縦軸)に従って整理されていることが明らかになった。さらに、2011年に発表された認証評価基準によって、そのネットワークの質保証が行われている。
著者
竹内 弥彦
出版者
千葉県立保健医療大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、高齢者における脊柱形態および椎体間可動域と補償的ステップ反応時の身体動揺特性、下肢関節モーメントとの関係を明らかにすることである。本研究の結果から、高齢者の後方ステップ着地時に生じる身体重心動揺の制御には、足関節底屈モーメントが関与していることが確認された。さらに、椎体間可動域と身体重心動揺との相関分析から、ステップ着地時における身体重心の動揺制御には第11・12胸椎間および第5腰椎・第1仙椎間の伸展可動域が重要であることが示唆された。
著者
宮崎 雅雄
出版者
岩手大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

ネコは、同種の尿を嗅ぐと、頭を持ち上げ口を半開きにして恍惚とした表情を提示する。これはフレーメンと呼ばれる本能行動である。フレーメンが単純で再現性の良い本能行動であり、ネコの脳が齧歯類より高次で霊長類ほど複雑になっていない点に着目し、フレーメンを行動レベルから分子レベルまで研究して、高次な動物の本能行動の発動機序を解明するための研究基盤を構築した。
著者
高田 弘一
出版者
札幌医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

Stabilized Alpha-Helix of BCL9 peptide (SAH-BCL9) を設計・合成し,SAH-BCL9 が Wnt/β-カテニン転写活性を特異的かつ効果的に阻害し,大腸癌細胞株の増殖を抑制するのみならず、大腸癌の浸潤・転移、血管新生を抑制することを明らかにした. SAH-BCL9 は BCL9/Wnt シグナルが活性化している大腸癌において新たな分子標的薬として有用である可能性が示唆された.
著者
岡本 洋輔
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

日中における暴露光の波長(色)が覚醒・認知に与える影響について検討した.異なる波長の光に暴露した条件下で認知課題を遂行しているときの脳波・脳磁界を解析した結果,短波長(青色)の光に暴露されているときには,他の波長の光に暴露されているときよりも認知処理に係る大脳活動が大きく変化した.これは,日中における青色光への暴露は認知処理機構に影響を与えることを示している.