著者
森 達哉
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究課題の遂行にあたり、特にアプリケーションとして有望であるテーマから研究を進めた。具体的には暗号化通信の通信先ホスト名を推定する問題に取り組みんだ。この問題を解決するために、ドメインネームグラフと呼ぶデータ構造とアルゴリズムを提案し、DNSの観測情報から暗号化された通信の宛先ホスト名を高精度に推定できることを実証した。結果を国際会議 TMA 2015 (採録率 29.6%)で発表、スケーラビリティに関する課題を克服した結果を 2015年度に Computer Comminications 誌にて発表。国内特許出願1件と同出願のPCT出願1件を実施。国内招待講演を1件実施。
著者
佐藤 滋
出版者
東北学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

1920 年アイルランド統治法の施行によって、北アイルランド政府・議会は独自の立法権限、財政権限などを獲得し、イギリスは実態として「連邦制国家」となった。法施行直後は、これを機能させようとした勢力もいたが、第二次世界大戦を経て、1920 年法は形骸化するに至る。本研究は、この間の経緯を、財政権限委譲論議を中心に分析することで、イギリスおよびイギリス帝国における統合と分離の力学を明らかにする。
著者
加藤 美保子
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

2006年以降、ロシアは政治・経済関係を多角化することによって、中国中心のアジア戦略から「太平洋のロシア」戦略へ移行しつつある。本研究は、米国のアジア・シフトと中国による南シナ海や北極海への進出によるサブリージョン・レベルの緊張の高まりによって、ロシアの地政学的関心が大陸から沿岸・海洋へ拡大しつつあると同時に、日本やベトナムなどの地域諸国がロシアの戦略的価値を再認識している点も指摘した。
著者
穐原 雅人
出版者
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

人道的観点での国際災害救援・防災協力は不可欠なものである。本研究は、主に中国四川大地震発災直後の応急対応から「重建」(改良復旧)に至るまでの対策を対象として、被災支援力・受援力の仕組みの日中比較を通じて、災害対策をめぐる国際協力の仕組みづくりを目的とした。具体的に、中国政府の「挙国体制」による地震直後の初期対応、「対口支援」により被災地へのペアリング復興支援および3つの「復興モデル」を提示した。
著者
岩間 優希
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究では、日本のヴェトナム戦争報道を、複数のジャーナリストの報道に着目しながら比較研究を行った。その結果、報道の初期・中期・後期で見られた報道の違いには、実際の戦況だけでなく、ジャーナリストの戦争体験・占領体験や先行する報道を乗り越えようとする意思が反映されていることが明らかとなった。
著者
森田 健太郎
出版者
産業医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

1型糖尿病患者は現在増大しており、その原因の1つに環境因子が考えられている。日本では2000年以降黄砂の飛来が急増している。黄砂は浮遊粒子状物質であり、大気環境基準物質に指定されているが、糖尿病発症の環境因子になりえるかどうかは未だに不明である。そこで、本研究では、発症機序の異なる2種類の1型糖尿病モデルマウスの系を用いて黄砂が1型糖尿病に及ぼす影響を検討した。その結果、黄砂は1型糖尿病モデルマウスの系に依存して増悪因子とも抑制因子ともなりえることが示唆された。しかし、どのようなメカニズムによってこのような相反する結果が生じたのかは不明であり、今後さらなる検討が必要である。
著者
坂上 倫久
出版者
愛媛大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

最近我々は、E3ユビキチンリガーゼの一つであるCUL3が血管新生に極めて重要であることを発見した。その中でCUL3は、VEGFR2 mRNAの安定制御を通じて血管内皮細胞機能に関与することを新たに見出した。本研究は、CUL3によるVEGFR2 mRNA制御機構に焦点を当て、血管内皮細胞においてCUL3が標的とする基質およびそのアダプタータンパク質を同定し、血管新生におけるCUL3複合体の果たす生理的役割を明らかにすることを目指すものである。はじめに、VEGFR2-3' untranslated region(UTR)をベイトとしたプルダウン法によって、VEGFR2 mRNA安定性を制御する因子の同定を行う計画を進めたが、ベイト調整が非常に困難で時間を要したため、アダプタータンパク質を同定する実験を優先的に進めるここととした。CUL3のアダプタータンパク質はBTBドメイン(BTBD)を持つことが知られ、ヒトでは180種程度存在することが知られている。この中で血管内皮細胞特異的に高発現するいくつかのBTBDタンパク質に対するsiRNAを合成し、VEGFR2 mRNAを制御するBTBDタンパク質のスクリーニングを行った。その結果、二つの因子(VEGFR2 regulating protein1 and 2)を同定することに成功した。これらのタンパク質を血管内皮細胞においてノックダウンすると、VEGFR2の発現が著しく低下することが分かった。これはCUL3ノックダウン時と同程度であった。一方で、本タンパク質を血管内皮細胞に過剰発現させると、VEGFR2の発現量が大幅に増強されることも分かった。また、293T細胞を用いたプルダウン実験より、同定した二つのBTBDタンパク質はCUL3と結合することを確認した。
著者
浅田 晴久
出版者
奈良女子大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究はインド北東地方、アッサム州のブラマプトラ川氾濫原に居住するムスリム移民の生業活動を明らかにし、ヒンドゥー教徒の在来民の生業活動と比較することにより、ブラマプトラ川氾濫原の自然環境に適応する技術を評価するものである。調査村落における現地調査の結果、ムスリム移民は在来民が適応できなかった氾濫原の自然環境を積極的に改変し、年間を通して土地生産性の高い生業を行っていることが明らかになった。従来の研究では生産力の違いが周辺住民との対立を生んでいるという見方であったが、生産物の交換を通して在来民との経済関係が保持されているという側面が見られることも分かった。
著者
中林 千浩
出版者
山形大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

フラーレン代替アクセプター材料開発を目的とし、全芳香族系ドナーアクセプター型ブロック共重合体の合成、それを用いたオールポリマー有機薄膜太陽電池創製について検討を行った。グリニヤール試薬を用いた縮合的連鎖重合法とニッケル触媒を用いたクロスカップリング反応を基として、全芳香族系ドナーアクセプター型ブロック共重合体の合成に成功した。得られたブロック共重合体は、アクセプターブロックによるアクセプター性、さらにはドナーアクセプター構造による広域に渡る光吸収性を示した。ポリ(3-ヘキシルチオフェン)/ブロック共重合体のブレンド膜を光電変換層に用いたオールポリマー有機薄膜太陽電池から最大1.6%の変換効率を得た。以上の結果より、全芳香族系ドナーアクセプター型ブロック共重合体は、太陽電池中でアクセプター材料として有効に機能し、フラーレン代替材料として優れたポテンシャルを持つことを見出した。
著者
中筋 麻貴
出版者
北里大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011-08-24

ワイル群多重ディリクレ級数の解明を目的とし,量子群の結晶基底および可解格子模型と,保型表現に表れるワイル指標公式およびKazhdan-Lusztig多項式との関係構築に取り組んだ.米国Stanford大学のD.Bump教授およびP.McNamara教授との共同研究では,A型ワイル群に対するワイル群多重ディリクレ級数(WMD級数)の同値関係の証明で用いられた統計物理的手法の拡張に取り組んだ.特に,可解格子模型に対するYang-Baxter方程式の有用性について考察した.A型ワイル群に対するWMD級数の研究において関数の性質の鍵となったSchur関数の変数を,スペクトルパラメータz_iと任意のパラメータ_tに加え,別のパラメータα_i,を増やすことによって拡張したFactorial Schur functionについて,変数の増加によって生じた問題にウエイトの取り方に工夫を施すことにより,可解格子模型で記述することに成功した.またその応用として,Factorial Schur関数について報告されていた従来結果であるMacdonald公式およびLascoux公式に別証明を与えた.本研究により,WMD級数の研究で用いられたYang-Baxter方程式の他への有用性を示すことができた。本研究は論文にまとめ,投稿中である.岡山大学の成瀬弘教授との共同研究では,Bump教授およびNcNamara教授との共同研究で得られたYang-Baxter方程式と,Kazhdan-Lusztig多項式と深く関わるシューベルトカリキュラスの領域で研究されているExcited Young diagramに対するYang-Baxter方程式の関係について研究した.Factorial Schur関数の任意のパラメータ_tに対し,t=0の場合についてこれらが関係することを示すことができた.本研究は,可解格子模型とシューベルトカリキュラスの関係構築の研究において意義のある結果となった.
著者
有坂 慶紀
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

間葉系幹細胞(MSC)が接着した基板の表面特性を動的に変化させ、細胞分化系統を動的に転換する光架橋性高分子ブラシ表面(sPDMIM)の開発を行った。sPDMIMは、メタクリル酸メチルと光架橋性ジメチルマレイミドモノマーとの共重合によって作製した。MSCは、sPDMIM上でOCN遺伝子発現量が減少したが、光架橋sPDMIM(cl-sPDMIM)上では増加した。細胞培養中に光架橋した場合、OCNの減少が抑制されるが、cl-sPDMIM上のMSCsとも異なった。これらの結果は、動的に表面構造を変更した基板上のhbmMSCが、表面特性が固定された基板とは異なる分化系統に誘導される可能性を示している。
著者
神屋 郁子
出版者
九州産業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

クラウドコンピューティングの普及により,計算機システムの処理能力を向上することが可能となった.しかし,クラウドコンピューティングを利用して向上可能なのは計算能力など局所的な処理能力のみであり,ネットワーク性能の向上は困難である.本研究では,複数のクラウドを組み合わせて利用可能な,サーバ広域分散配置システムを提案する.これによりネットワーク性能の向上を実現する.本研究では複数のクラウドにまたがるオートスケール機能を実現する.サーバの増設時期およびサーバの増設場所は,本研究で提案するクラウド選択ポリシーに基づき決定する.
著者
韋 冬
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

計測現場における計測精度の向上を図るためには、光周波数コムに直接リンクした長さ計測技術を開発する必要がある。光周波数コムを用いた長さ計測の精度を向上させるために不可欠な空気の揺らぎ補正を取り上げ、構築した光学システムを用いて空気の揺らぎによる誤差を補正する技術要件を検討し、高精度で絶対的長さを計測できる方法を用いて提案法の検証を目標に研究を進めた。
著者
牛島 光一
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究プロジェクトでは人的資本の蓄積に関する3件の研究を進めた。①子供の健康の評価と母親の教育水準の関係:教育水準の高い母親ほど子供の健康を評価する能力が高いかを調べた。教育水準の低い母親ほど病院に入院するような病気であっても子供を病院に連れて行っていなかったことを示した。②医療制度の導入が家計の予備的貯蓄に与えた影響:新たに導入された医療保障制度が家計の医療支出の不確実性を減少させることを通じて貯蓄行動を変化させることを示した。③健康投資としての居住地選択:環境政策が人々の健康投資行動に与える影響について研究を行った。持ち家率の高い地域ほど大気環境への限界支払意志額が高くなることが分かった。
著者
服部 耕治
出版者
甲南女子大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

これまで我々は超音波を用いた関節軟骨定量評価システムを開発してきた。しかしながら、このシステムでは、軟骨表層の変性をとらえることができても、関節軟骨全層を評価することはできなかった。そこで我々は関節軟骨超音波評価システムにおいて超音波造影剤が有効に作用するかどうか調査した。関節軟骨試料からの超音波反射波はAモードエコーとして表示される。このAモードエコーのピークピーク値を評価の指標とした。軟骨試料を造影剤に浸透後、生理食塩水中で超音波計測を行った。超音波造影剤によって最大ピークピーク値は5.3~9.8倍に増強された。また、超音波造影剤は、生理食塩水に浸透後2分で最大となり、その後徐々に低下していく造影動態を示した。我々の研究は関節軟骨の超音波評価に造影剤を用いることで、関節軟骨の生体力学的な特性を予測できることを示した。
著者
倉田 洋平 土川 覚
出版者
日本大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

ピコ秒オーダーの時間飛行近赤外分光法(TOF-NIRS)によって木材の準微視的領域の材質評価を非破壊で行うことを試み基礎実験を行った。測定で得られる透過光プロフィルから、減光度(参照光と透過光の強度比)と遅れ時間(参照光と透過光のピーク時間の差)を算出し解析に用いた。その結果、木材の密度が増加するにつれ減光度は減少し、また、密度が増加するにつれ遅れ時間は増加する傾向が認められた。
著者
松井 吉康
出版者
神戸学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

思考の究極の問いは「まったく何もないのか、そうではないのか」であるが、そこで問われているのは「端的な無」という可能性の真偽である。こうした可能性としての「無」と「無ではない」を問うことで、「無ではない」という現実(もしくは真理)に先立つ次元を問題にすることができるのである。こうした「無の論理」は「現実以前」を扱うことができるのである。その結果「無ではない」という真理が、「無から成立する何らかの働きもしくは出来事」ではないことが明らかとなる。
著者
山根 龍一
出版者
日本大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

(1) 20世紀の日本を支配したマルクス主義思想等の実態を多角的に捉えた。(2)その上で、それらに対抗する思想大系(仏教、東洋思想、ダダイズム、アナーキズム)の所在を明らかにした。(3)戦前・戦時中と敗戦直後を、<連続>と<断絶>という観点から、複眼的に捉える視点を養った。(4)その上で、被占領下の日本でなぜキリスト教が要請されたのか、という人文諸学を横断する学際的な問いを、具体的に考察する端緒を得た。
著者
上田 新也
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究は近世ベトナムにおける集落の成立過程と地方有力者の検討を目的とし、ゾイテー集落において野外調査を行い、以下のことを明らかにした。第一にゾイテー集落は清化集団の一員である張雷の一族が入植することにより15世紀に成立した田庄であった。17世紀前半には張族の田庄経営は崩壊したが、その後も張族は集落の徴税請負人として影響力を維持している。第二に17世紀中頃の碑文に現れる張曰貴は、上記の張族の子孫である。この村には彼を祀ったデン(神社)が20世紀前半まで存在しており、そこでは彼は張族の祖先神としてではなく、集落全体の守護神として祀られていた。これらは、清化貴族集団の土着化を示す一事例といえる。
著者
李 媛英
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

中部地方の自治体職員を対象とした愛知職域コホート研究対象者のうち、平成14年ベースライン時血清保存と、その後の追跡調査に協力が得られた35歳から66歳の2,846名を解析対象とした。血清GAD抗体はAlphaLISA法を用いて測定した。約10年間の追跡期間中に221名が糖尿病を発症した。GAD抗体の有無によって、性別、年齢を調整した糖尿病のハザード比:1.37 (95%信頼区間:0.92-2.04)であり、更に、閉経有無、喫煙状態、body mass index、運動習慣、空腹時血糖値を補正しても関連性は大きく変化なかった。本研究集団ではGAD抗体と糖尿病発症との関連は認められなかった。