著者
早川 眞 近藤 靖史 太田 恭兵
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.192, pp.31-34, 2013-03-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
6

シックハウス対策として新築住宅に義務付けられた「住宅の常時換気システム」の一つである「排気セントラル換気方式」では、排気経路として扉アンダーカットが多く採用されている。しかし、人体から発生する汚染質や水蒸気の排出を主目的とする「個室の換気性能確保」の観点では、扉の上部開口を中心とする上部排気経路の配置の方が効果的なはずである。このような観点から冬期の夜間の寝室を想定して、アンダーカットと扉上部開口を比較する形で気流分布、温度分布、CO_2濃度分布をCFD解析で求めてその優劣を確認した。その結果、扉上部開口の設置の方が有効であること、既存の換気計画マニュアル等の改正が望ましいことが分かった。
著者
黄 孝根 加藤 信介 関根 賢太郎 吉冨 透悟
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.229, pp.47-56, 2016-04-05 (Released:2017-05-01)
参考文献数
8

一般に、人を除く内部発熱源は定位置で、室内設定温度以上の比較的高温で放熱する。この発熱の多くを室内空間に広く拡散させず、その直近で、室内設定温度程度の冷却水で直接吸熱処理できれば、室内空間での温度分布が低減され、室内の温熱環境が改善されるとともに、冷却水温度の上昇により、冷却熱源用ヒートポンプのCOP(成績係数)が増加し、空調の省エネルギー化が促進できる。本報は、このような室内空調設計の基本思想を素直に具現化する「液冷空調システム」の実現を図る研究の一環である。本研究は複数の連続する報告により構成されるが、本報は、一般業務ビル(オフィスビル)を対象とし、代表的な建物内の内部発熱源として、人の温熱環境に大きな影響を与える可能性のある天井設置LED照明とPC(Personal Computer)の室内空間への放熱特性を詳細に分析した結果を示す。この分析は、LED照明やPCからの発熱を直接冷却水に吸熱させ、「液冷空調システム」の重要な室内パーツとなる内部発熱源の「液冷熱回収ユニット」の設計基礎資料、およびオフィスワーカーのワークスペース周りの温熱環境分析を行う基礎資料となる。検討したPCは、2013年現在で一般的であるノート型およびデスクトップ型の市販品であり、天井付きのLED照明も同時期の市販品である。検討は、対象発熱機器を室内温度25℃前後の恒温チャンバに設置し、発熱体の表面温度分布、機器への投入電力を測定するとともに、測定値に基づく対流放射連成CFD(Computational Fluid Dynamics)解析により行う。対流放射連成CFD解析により、表面からの詳細な対流、放射熱放熱性状、並びに機器の隙間から生じる隙間換気による放熱が、同定される。その結果、これら機器からは、総発熱量(投入電力量)の約35(ノートPC)〜75%(LED照明)が表面からの対流・放射伝熱で周囲に放熱され、残りが機器の排気ファンや隙間などで生じる隙間換気で放熱されること、機器表面で生じる放熱のおよそ40%が対流成分で60%が放射成分であることが明らかになった。なお、本報で検討した結果は、これらの発熱機器の発熱温度が、室温設定温度より相当高温のため、室内設定温度の若干の上昇あるいは下降の場合にも準用可能と考えられる。
著者
田中 辰明 平山 禎久 柚本 玲
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.128, pp.41-44, 2007-11-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ドイツのブデルス社は1731年に鉄鋼業として創業し、放熱器やボイラ、調理用暖炉などを製造してきた。1920年代には日本の有名建築にボイラを多数輸出し、わが国の建築設備界に影響を及ぼした。本報では同社が製造した調理用暖炉の調査報告を行う。当時は調理用の暖炉がそのまま厨房の暖房に用いられた。主に同社が1895年に発行した社内資料による。
著者
持田 徹 堀越 哲美 落藤 澄 嶋倉 一實
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.48, pp.39-47, 1992-02-25 (Released:2017-09-05)
被引用文献数
1

人体と環境との間の熱平衡式を基礎にして,温熱指標を作成しようとする時,蒸汗放熱量の表現がその全体像を決めると言っても過言ではない.本論文では,まず蒸汗放熱の表示式の特徴と,それらが熱平衡式の中で果たす役割について考察した.次に,生理実験の結果から,一定の平均皮膚温の下で,ぬれ面積率の値がある範囲内で変化することを確認し,このような挙動を示すぬれ面積率を考慮した場合,等平均皮膚温線は,湿り空気線図上で曲線を描くことを導いた.さらに,平均皮膚温ごとに,取り得るぬれ面積率の最大値と最小値を,実験データと理論的な検討から決定し,ぬれ面積率の特性曲線を定めた.そして,この特性曲線を基に,新しいタイプの温熱指標となる,等平均皮膚温線群を提案した.
著者
宮田 翔平 小暮 友太 赤司 泰義 谷口 景一朗
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.314, pp.19-28, 2023-05-05 (Released:2023-04-20)
参考文献数
31

近年、デマンドレスポンスや不具合検知・診断といった建築設備の高度な運用が期待されている一方、これらに必要な空調システムシミュレーションの構築やデータ分析は手作業に依るところも大きく容易ではない。本研究では Brick Schema を活用し、空調システムシミュレーション構築支援・活用フレームワークを提案する。提案フレームワークの活用例としてまず熱源システムのBrickモデルを構築し、機器オブジェクトの作成や隣接する機器の温度・流量に基づく対象機器の入口温度等の算出を自動化する手法を示した。次に、Brick モデルのグラフ構造を活用したシミュレーション結果の分析がスケーラブルに実行可能であることを示した。
著者
窪田 英樹 萱野 茂 岸下 浩治 小笠原 康志
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.41, pp.1-10, 1989-10-25 (Released:2017-09-05)

本論文は,伝統構法に基づいて復元されたカヤぶきのチセ(3.7×5.4m)における14箇月間にわたる調査の結果に基づき,その結果の一部を暖房環境を中心にまとめたものである.冬期採暖時のグローブ温度は炉端の居住者の位置では約20℃であるが,炉端から離れると急激に低下した.しかし,室中央のグローブ温度は,二風谷の最寒期(外気温約-10℃)においても外気温より15Kほど,また床上50cmの気温も約10K,それぞれ高い値を示した.また,居住域のガス粉じん濃度はそれぞれCO20ppm,CO_20.06%,粉じん2mg/m^3であり,日本産業衛生学会基準の10〜40%程度であった.換気量は1.3×10^3m^3/h程度と推定された.
著者
森戸 直美 西宮 肇 都築 和代
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.161, pp.19-27, 2010-08-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
13
被引用文献数
2

冷房の気流が睡眠に及ぼす影響について明らかにする目的で,被験者実験を実施した。比較したのは、エアコンの風を感じにくくするために開発した天井設置型冷房システム(天井冷房)と一般的な壁取り付け型エアコン(エアコン冷房)の2条件である。いずれの条件とも、実験室内の平均温度が26℃になるように制御した。実験用戸建住宅内の2実験室を使って10名の健康な青年男子を被験者とした。被験者近傍における実測の平均値は、天井冷房条件は温度26.4℃、相対湿度53%、平均放射温度26.1℃、風速0.04m/s、PMV-0.25、エアコン冷房条件は同じく26.4℃、58%、26.3℃、0.14m/s、-0.30であった。天井冷房の方が、風速は小さく(躯幹部位置で最大風速0.3m/s、エアコン冷房では1.1m/s)、かつ、送風頻度(冷風が吹き出す頻度)も少なくなった(8時間あたり11回、エアコン冷房では28回)。平均皮膚温や快適感、睡眠段階毎の総時間には2条件間で有意な差は認められなかったが、エアコン冷房の方で風を感じており、温冷感でやや寒いという申告であった。送風時においての比較では、エアコン冷房の方で皮膚温低下度が額や腕など露出部位において有意に大きくなり、覚醒、心拍数の上昇、ならびに、体動の回数が有意に多くなった。これらの結果は、エアコン冷房の方が冷刺激となり睡眠を阻害する可能性があり、天井冷房の方が睡眠に適していたことを示唆している。
著者
松島 潤治 大西 晴夫 西村 聡子 持田 徹
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.58, pp.153-162, 1995-06-25 (Released:2017-09-05)
参考文献数
22

温熱環境の快適性・省エネルギー性の向上を図るうえで,着衣の影響の評価は重要である.本研究では,着衣量の差による断熱性の違いが人体の部位別温熱特性に及ぼす影響の実測を行い,下記の結果を得た.着衣量の増加による皮膚温の上昇は,下たい(腿)部・足背部の末しょう(梢)部において顕著であり,人体から環境への顕熱(対流+放射)放熱量の減少は,胸部・腹部の大幹部において顕著であった.またこれらの結果を,代謝量を1metとして2-nodeモデルの理論値と比べたところ,全身の平均皮膚温・顕熱放熱量について,定性的には比較的良い一致を示したが,定量的には若干の差異が生じた.
著者
村上 周三 加藤 信介
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.32, pp.91-102, 1986-10-25 (Released:2017-09-05)
被引用文献数
5

室内における汚染質の拡散性状を基礎とする3種の新たな換気効率の指標を定義する.これは,(1)各場所で汚染質が発生したと仮定した場合の室内平均濃度,(2)同じく,汚染質が発生したと仮定した場合の平均拡散半径,および(3)吹出し空気の平均到達時間,である.これらを用いて,実在のクリーンルーム内の換気特性を考察する.換気効率指標の分布は,(1)吹出し口・吸込み口などを変化させた場合の気流分布の変化による換気効率特性の変化を効果的に示す,(2)室内汚染源の発生位置の変化が室内の清浄度に与える影響を直接的に示す,(3)清浄空気到達の程度を具体的に表す,などの特徴を有し,室内の換気設計を行う際の指標として有用なことが示される.
著者
内山 寛信 村上 佳広 丸尾 和広 倉田 純一
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.111, pp.65-72, 2006
参考文献数
17

大気汚染物質の削減のため,NOx,CO,CO_2などの排出ガス濃度の低減化が小熱量の燃焼装置においても急務である.その対策として,多炎孔バーナ方式の予混合燃焼装置が有望視され,家庭・業務用の温水ボイラなどに採用されている.しかし,多炎孔バーナ方式のボイラでは,高レベルの燃焼振動騒音が発生するため,騒音の抑制策を確立する必要がある.本報告では,缶体系の共鳴周波数に類似する燃焼振動の周波数を,付加する励振信号の周波数に同期化させる引込み現象を用いて,騒音の抑制策を提案する.その結果,燃焼振動騒音は励振信号の付加によって約30dB低減し,抑制策の効果は極めて大きいことがわかった.
著者
田中 毅弘 藤井 修二
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.112, pp.61-68, 2006-07-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1

人類の文明の中で文字を発明し、それによって知識、情報を伝達し、蓄積するようになったことに伴って、当初、図書館は、書物の形態、価値や利用の仕方などによって、様々な形を辿って発展してきたと考えられる。そして、図書館が「保存」から「閲覧」へと移り変わって行くことで、図書館は、利用者に対して要求された資料、情報を、素早く確実に与えることが不可欠といえる。本研究では、公共図書館における設備・維持管理がどのように行われているかについて、47都道府県に設置されている公的機関が運営している図書館を対象として、設備・維持管理およびそれらに関連した省エネルギー対策、防災・防犯対策、収蔵図書に対する、くん蒸消毒の頻度・方法、カビ対策、温湿度管理についての10の設問によるアンケート調査を行い、さらにそれらの集計結果を、より信憑性が高い考察を行うため、約半年かけて調査結果の精査を行った分析結果から、傾向と特徴をまとめた。
著者
山口 弘雅 吉田 治典
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.105, pp.1-11, 2005
参考文献数
23
被引用文献数
5

京都議定書の発効を受け,国際公約達成に向けた温室効果ガス削減の具体策が重要視される中,空調分野におけるCO_2削減策の一つとして蓄熱式空調システムの利用が注目されている.しかし,特に水蓄熱式空調システムは制御が複雑で,運転計画の自動化も容易ではなく,実際の効率が設計通りではない場合も少なくないと言われている.本研究では,熱負荷予測がなされることを前提として,蓄熱式空調システムの運転をシミュレートするためのモデルを作成し,全蓄熱システムの最適運転法を構築し,それを用いて,最適化の目的関数の違いが蓄熱システム運転に与える影響,熱負荷の予測誤差がシステムの挙動に与える影響等を分析した.
著者
宇田川 光弘
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.18, pp.117-130, 1982-02-25 (Released:2017-09-05)

住宅の年間暖房負荷の簡易計算に,暖房期の定常熱収支式を用いる方法を検討した.まず,RC造・木造の個人住宅と集合住宅の3種類の住宅について,札幌・東京・鹿児島の3地点を選び,断熱仕様を変えて全部で17通りのシミュレーションを行い,建物熱損失係数・暖房期平均室温・平均外気温・熱取得を用いて,定常熱収支式から求めた年間暖房負荷がシミュレーション結果とよく一致することを示した.次に定常熱収支式を実用化するため暖房負荷に影響する5因子を取り上げ,実験計画法に基づく81通りのシミュレーションを行った.このシミュレーションの結果から簡易計算法で考慮すべき要因を検討し,実用的な簡易計算法を提案した.
著者
安富 善三郎 宮井 善弘
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.65-73, 1976

The function of the air curtain is to suppress the transfer of heat, moisture, dust and smoke through the open doorway. This paper presents both experimental and theoretical investigations on the effect of the cross-flow of the two-dimensional air curtain. Flow Patterns The fluid flow in the neighbourhood of the curtain jet for various cross-flow coefficient α (α=discharge flow at the atmosphere side/nozzle flow) is visualized by water tank experiments with mixing oil particles to the jet fluid flow. This oil particle is made from n-Butyl phthalate 81%, Kerosene 19%, so that the density is as same as water. The interesting results are as follows. (1) As cross-flow coefficient α increases, the flow of the curtain jet divided into the atmosphere side increases, (i.e. its case is called as nonequilibrium condition of jet). (2) In the special case, i.e. α=0, all flow of the jet is forced into the suction side, so that its case is called as equilibrium condition. (3) When we deflect the curtain jet to the suction port side, the value of α becomes gradually small. The free stream which flow out at the atmosphere side, finally passes through beneath the curtain jet, and then the value of α becomes negative. We may call its case as also non-equilibrium condition. (4) The cross-flow region is subdivided into two parts. The first of these is a small region adjacent to the curtain jet, and turbulent diffusion of the cross-flow is dominant in this region. The second region lies between the diffusion region and the atmosphere or the suction port, and the flow in its region behaves like the channel flow, so that its region is termed channel flow. Pressure Characteristics The static pressure distributions on the floor wall and the cross-flow rate have been measured. The pressure of diffusion region are lower than that of channel flow region, in which the pressure seems to be uniform upward. As cross-flow coefficient α decreases, the pressure of channel flow in suction side decreases. In the case of the equilibrium, the pressure difference between the atmosphere side and the channel flow region is from 50 to 70% lower than that between the atmosphere side and the diffusion region. Analysis The curtain jet of the non-equilibrium condition can be classified into two flow patterns; a stagnation point exists floor, or not. Simple flow models for the jet, diffusion and channel flow regions are proposed. And a theoretical analysis is carried out by using the momentum theory around the curtain jets at the equilibrium and non-equilibrium condition. Pressure differences are calculated for several cross-flow rates. The calculated results agree fairly well with the experimental results.
著者
佐藤 文秋 佐々木 邦治 安田 健一 鈴木 岳志 野部 達夫
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.254, pp.1-9, 2018

<p>熱源の省エネルギーには負荷に併せた最適化が必要なため実態に近い負荷を予測することが重要である。地域冷暖房は供給先負荷熱量が計測されており、集積された多数の供給施設を含み平均化された負荷実態を把握することができる。本研究は大阪、名古屋、東京に供給する既存の地域冷暖房の供給先負荷の実績を分析することで、負荷予測の参考となる負荷の実態と特性を検討し、効率向上のために負荷持続曲線による熱源の部分負荷運転を最小とする容量分割検討と低負荷時の効率向上および低負荷を集積し高効率とする地域冷暖房の効果について検討を行うものである。 </p>
著者
王 健 田中 辰明
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.78, pp.9-13, 2000-07-25 (Released:2017-09-05)
参考文献数
7

中国民家は室内環境を良好に維持するために、中庭が通風、採光、避暑の重要な手段・方法として使用された。この研究は中庭と気候との関係を考察することで、その結果気候が中庭の形態を与える重要な要素であることが分かった。自然エネルギー利用が重要な意味を持つ現在、建築の工夫も地域性を配慮する必要があり、民家の自然エネルギー利用の技術に学ぶことは省エネルギー建築の設計に際し大切である。
著者
辰巳 安良 田中 毅弘 藤井 修二
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.264, pp.1-11, 2019

<p>事業継続のベースとなる近未来に向けての現時点での現実的な取り組みを調査し、未来の事業継続マネジメントを取り巻く環境が、どのように整備・改善され、どのようなリスクが残されることになるかを知ることが不可欠といえる。既報第1報では、具体的な検討を行うため、「東京都地域防災計画、震災編」と「都民ファーストでつくる新しい東京」をベースにして市街地の近未来の姿を想定し、近未来において残されている建築・設備を中心としたリスクを抽出し、定性的な分析を行った。そこで、本報第2報では、地域ごとのDCM/BCMに係わるリスクの検討を行う。そのため、具体的な検討を行うため、実態調査を行った大丸有地区、田町駅東口北地区、長岡市中心市街地、柏の葉スマートシティの4つの地区について、第1報の手法に沿って、DCM/BCMにおいて残されたリスクについて、対象とする地域の特性や脅威の種類に応じて検討、考察し、リスクの時代による変化の評価に用いたリスクとその事例を示す。</p>
著者
鄭 明傑 西谷 義彦 中原 信生
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.72, pp.85-93, 1999
参考文献数
15
被引用文献数
2

蓄熱式空調システムの適切な運転制御を行うためには,あらかじめ翌日の熱負荷を予測する技術が不可欠であり,これまでにも種々の手法が提案されている.本報では"カルマンフィルタを用いた予測法"に注目し,その四つの適用法を用いて二つの建物の負荷予測を行った結果の比較により,本計算に用いた熱負荷予測式における入力変数は冷房期の負荷予測に対して,推定負荷,外気温度,予想最高気温が最も有効であることを示した.また,カルマンフィルタを用いた予測法による熱負荷予測では,トレンドに対する追従性が優れていることも示した.
著者
並木 則和 宇田 貴裕 鍵 直樹
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.191, pp.21-27, 2013
参考文献数
3

室内における非喫煙者の受動喫煙が問題視されており,それを防止するための分煙対策がとられている。喫煙空間と非喫煙空間の境界領域において,厚生労働省のガイドラインは,喫煙室等に向かう風速(境界風速)を0.2m/s以上に保つように定めている。本研究では,飲食店を想定し,排気量が制御可能な喫煙空間および非喫煙空間からなる試験室において,店員を模したサーマルマネキンがスライド式のガラリ付き扉の設置されている両空間の境界面を通過する場合に,冷房期および暖房期において境界風速が環境たばこ煙(ETS)の動的挙動に及ぼす影響について検討した。その結果,冷房期と比べ分煙を行うことが困難である暖房期においても,扉に設けられたガラリの開口部分を全面使用し,ガラリの向きを上向きにすることにより,境界風速0.15および0.1m/sの低境界風速条件下においても一定の分煙効果を得られることが示された。
著者
加藤 信介 伊藤 一秀 村上 周三
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.78, pp.45-56, 2000-07-25 (Released:2017-09-05)
参考文献数
9

空気調和・衛生工学会で提案されたHASS 102換気規準では,室内の換気効率(=排気濃度で無次元化された居住域平均濃度,規準化居住域濃度)を加味した換気設計を行うことを推奨している.本研究では,各種換気システムを採用したオフィス空間を対象として,空調吹出空気に含まれるReturn Air(再循環空気)の割合を変化させた場合のこの室内の換気効率,すなわち規準化居住域濃度の構造をVisitation FrequencyおよびPurging Flow Rateの指標を用いて詳細に解析する.本稿においては,筆者らが提案・導入している換気効率指標(Visitation FrequencyおよびPurging Flow Rate)とHASS 102換気規準で定義されている規準化居住域濃度の関係を,室内における循環流とReturn Air(再循環空気,即ち室全体に対する循環流)の相似性から考察する.更に具体的解析事例として一般的オフィス空間を対象として行ったReturn Air(再循環空気)が変化した場合の規準化居住域濃度,Visitation FrequencyおよびPurging Flow Rateの解析結果を示し,3種の異なる換気システムの評価を行うことで,それら換気効率指標の有用性を確認する.