著者
村上 威夫 大西 隆
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.103-108, 1998
被引用文献数
1

Coordination of local planning powers is important in a decentralized planning system. For this concer, we made a case study in Portland, Oregon, U.S., where a regional government called Metro was created over the jurisdiction of existing local governments for this coordination. We found that 1) the development of Metro was promoted by the existence of a strong central city and the state land use planning legislature; and 2) an advisory committee comprised of the local government officials plays an important role in the policy making process of Metro.
著者
車戸 高介 後藤 春彦 馬場 健誠
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.650-655, 2015-10-25 (Released:2015-11-05)
参考文献数
4

現在文化活動としてのストリートダンスは計画者の意図と異なり、都市空間を私的に利用する形で表出している。公共空間を私的利用しているストリートダンサーはしばしば「不良」のように問題視されてしまっている。しかし、このような状況下においてもストリートダンスは都市空間のいたる所で出没し活動を続けている。これは成熟した都市である東京首都圏が、新たな文化活動としてのストリートダンスを空間的・社会的に何らかの形で受容していると考えられる。本研究ではストリートダンスにおいて象徴的な活動場所である損保ジャパンビルを中心に利用しているダンサーを対象に、二次・三次的な活動場所の利用実態の分析を通して、首都圏において持続して活動を行う為の空間的・社会的要素について明らかする。これにより現代のような空間管理社会における文化活動が根付く為の公共空間のあり方について新しい視座を与える。
著者
加嶋 章博
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.859-864, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
20

本考察はスペイン・ルネサンス期の都市計画思潮に関する研究の一環である。1573年に公布された「探索,新入植,平定に関する勅令」(以下「フェリーペ2世の勅令」という)は植民地の都市計画に対する考え方を示した代表的なスペイン植民地法である。同勅令については、その思想を特に『建築十書』に示されたウィトルーウィウスの考え方に強く依拠している点がこれまでも指摘されているが、共通点にのみ重点をおいた概括的な比較考察という既往研究の偏りがその背景にある。これには「フェリーペ2世の勅令」がもつ特異性を却って不透明にしてきた側面があると考えられる。本稿ではこの点に留意し、広く都市計画の考え方において、両者の相違に留意した相対的な比較検討を行い、「フェリーペ2世の勅令」の位置付けに役立てたい。結果として、勅令は『建築十書』に示されたウィトルーウィウスの都市計画に対する考え方を継承する部分が多い点は確認されたが、その一方で、特に都市形態、都市計画手順、都市核の計画手法といった都市計画の根幹部分に明らかな差異が認められた。
著者
篠部 裕
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.625-630, 2012
被引用文献数
2

都市における高層建築物の林立に伴い都心に残る庭園からも多くの高層建築物が眺望されるようになった。本研究は、わが国の主要な5庭園(偕楽園、兼六園、後楽園、六義園、縮景園)を対象に庭園の周辺景観を保全するための施策を調査し、これらを比較・考察することで、都市部の庭園の景観保全施策の主要な枠組みとその要点を明らかにし、縮景園の周辺景観の保全のあり方を検討した。具体的には、5庭園における景観保全のための制度(風致地区、高度地区、地区計画の有無、庭園周辺の用途地域、景観保全のための目的と基準の概要、事前届出の対象行為、眺望点の有無など)を調査し、これらを比較・考察した。今後の縮景園における周辺景観の保全の諸課題は、(1)事前届出の対象となる建築物の高さの見直し、(2)周辺景観の保全のための地区設定の見直し、(3)庭園の眺望景観を考慮した眺望点の設定、(4)建築物の最高高さ制限の設定、が挙げられる。
著者
今村 洋一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.193-198, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
7

本研究では、『旧軍港市国有財産処理審議会決定事項総覧』を用い、旧軍港市である横須賀、呉、佐世保、舞鶴における、1950~1976年度までの旧軍用地の転用実態を明らかにしている。旧軍港市4都市では、旧軍用地を如何に活用するかが都市づくりの大きなテーマとなっていた。4都市で合計1,784haという大量の旧軍用地が、工場、公園、学校、水道、公営住宅などへと転用されることとなった。処分上の特徴としては、1970年代前半まで継続的に旧軍用地の転用がなされていたこと、旧軍用地の利用者は民間が過半を占めたこと、旧軍用地の処分方法として民間には譲渡が、公共団体には譲与が実施されたこと、従前用途を継承した旧軍用地の転用が見られたことが挙げられる。
著者
鈴木 雅智
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.58-66, 2020-04-25 (Released:2020-04-25)
参考文献数
20

本稿では、20年近くにわたる、首都圏新築マンション購入者へのアンケート調査データを用い、①様々な地域を比較検討している広域からの転入者が、郊外において、近年一層重視し決め手とするようになっている住環境要素や、②それら住環境要素の首都圏内での空間分布、住環境価値の安定性を分析した。まず、近年首都圏全体で、生活環境・教育環境・周辺環境・最寄り駅からの時間が重視される傾向が明らかとなった。とりわけ、商業・公共・医療施設等の生活環境は、郊外部(都心から20km圏外)への広域からの転入者が重視する傾向、重視項目から決め手に至る傾向が強まっており、一貫して妥協されにくい構造を有する。また、各距離帯の中でも駅毎に各住環境項目の比較優位の程度は異なっており、教育環境・周辺環境としての魅力は一度ブランドを確立したら長く持続するが、相対的に、生活環境や最寄り駅からの時間としての魅力は次第に評価が低減しうる傾向が明らかとなった。
著者
坪原 紳二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.89-100, 2015-04-25 (Released:2015-04-25)
参考文献数
31

本稿は自転車利用者の交通ルール順守を促す手段の一つとして、小学校での交通安全教育に着目する。そしてそのオランダにおける実態を、交通安全教育の小学校教育における位置づけ、そうした位置づけの背景、及び近年進められている交通安全教育の体系化の、大きく3つの視点から明らかにすることを目的とする。第1の交通安全教育の位置づけについては、オランダの小学校の多くが、少なくとも2週間に1回は交通安全教育を実施していることが分かった。その背景については、難易度の高い全国交通テストが直接的背景としてあり、また間接的背景として、実践的交通教育を可能とする教授法、及び質の高い交通教育の継続的実施を促す州の制度、交通安全ラベルがあった。最後に交通安全教育の体系化については、小学校を含む全生涯の各年齢階層に対して学習目標が設定されており、それに照らして教材を評価するツールキット、及びチェックリストが開発されていた。
著者
村上 威夫 大西 隆
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.103-108, 1998-10-25 (Released:2018-04-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Coordination of local planning powers is important in a decentralized planning system. For this concer, we made a case study in Portland, Oregon, U.S., where a regional government called Metro was created over the jurisdiction of existing local governments for this coordination. We found that 1) the development of Metro was promoted by the existence of a strong central city and the state land use planning legislature; and 2) an advisory committee comprised of the local government officials plays an important role in the policy making process of Metro.
著者
佐野 浩祥 十代田 朗
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.385-390, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
6

本研究では、国土計画に位置づけられた大規模地域開発の代表例でありながら、現時点での評価は必ずしも芳しくない「むつ小川原開発(むつ開発)」と「苫小牧東部大規模工業基地開発(苫東開発)」を対象に、国と地方の計画の「計画内容」及びそれらにおける両開発計画の「位置づけ」の変遷を明らかにした。無論、事業化にあたっては、政治的、時代的背景等も大きく影響していると考えられるが、本研究では、今後の地域開発における計画策定手法に資する知見を得ることを第一義的に考え、関連する各種計画書等を主たる資料に計画内容及び計画策定段階にのみ着目した。その結果、苫東開発をめぐっては上位計画(全総)と下位計画(北海道総合開発計画)の乖離が、むつ開発をめぐっては国家的な事業を県が計画するといった計画意義と計画主体の矛盾がみられたことから、各セクターが責任を担保しうる事業のみを担当する必要性を述べた。また、むつ・苫東両開発において、構想レベルから計画の具体化の過程を明らかにし、公共投資としての計画の限界、空間操作技術の不足を指摘した。
著者
阿部 正美 田口 太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.878-884, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
12

本研究は、1.救護施設の立地条件からくる入所者の社会環境を考察した上で、2.居宅生活訓練事業の実施有無と地域生活移行状況の実態および、3.施設に関わる「組織の論理」と「個人の論理」の相違による現場での支援内容への影響を把握した上で、居宅生活支援事業の有無による地域生活移行支援の相違を明らかにすることを目的とする。
著者
岩本 敏彦 中村 文彦 岡村 敏之 矢部 努
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.41.2, pp.39-48, 2006-10-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
19

本研究は首都圏の都市鉄道において、駅の拠点性向上や駅周辺地区の活性化、にぎわいの向上という社会ニーズに対応するため、従来のように駅、駅前広場、駅の周辺地区という個別要素について議論するのではなく、それらを包括した総合空間を「駅まち空間」と定義し、その空間を研究対象として取り上げ、これまで明確化されていない個別施設の連携効果について着目した。はじめに、調査対象駅において駅、駅前広場、駅の周辺地区から空間構成に影響を与える要素を選定し、クラスター分析により駅まち空間の類型化を行った。次に、分類結果に基づき、利用者評価の分析を行う駅を選定し、利用者への意識調査を実施した。続いて、駅まち空間に対する利用者の評価構造を解明するため、重回帰分析を行うとともに、駅、駅前広場と一体的に整備するのが望ましいと利用者が考える範囲について整理し、空間の施設構成との関連性について考察した。
著者
嚴 先鏞 西堀 泰英 坪井 志朗
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1549-1555, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
10

近年,人口の急激な減少と高齢化を背景に,環境負荷,財政問題に対応しながら住民が公共交通により生活利便施設等にアクセスできるよう,「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」型の都市構造が推進されている.本研究では,近年の立地適正化計画の拠点のような都市機能の地理的な集約による複数の都市機能を持つ施設の集約と交通網を考慮した利便性の評価を行い,その優劣の要因について施設の分布と交通網の観点から明らかにすることを目的とする.第一に,自家用車,送迎,公共交通の3つの移動パターンにおいて,移動時間を最短にしながら複数の施設を巡回する際の利便性を評価する.第二に,自家用車および公共交通の両方において便利な地域は2割程度である一方,居住地の6割を占めている地域では公共交通の利用が不可能である.第三に,住民が公共交通によりアクセスできる施設集約地点は約4割のみである.第四に,公共交通が相対的に不便である地域は,居住地面積および人口の2割を占めており,「路線網による不便」と「施設分散による不便」に区分できる.
著者
北島 遼太郎 瀬田 史彦 城所 哲夫 片山 健介
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.603-608, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は2011年のタイ大洪水後日系企業の立地動向の把握とその要因の解明を目的としており、調査方法としてはメールによるアンケート調査と日系企業の現地法人へのヒアリング調査によって研究を行った。調査の結果、多くの日系企業が洪水後も従来の立地場所へ留まる傾向があり、その要因としては取引先企業が留まること、入居工業団地によって洪水対策が行われていること、工場移転のための資金を確保できないこと、工場の製造形態によっては人材育成が求められ容易に労働力を手放せないこと、政府への不信感から工場移転による洪水回避に期待が持てないこと等が挙げられた。政府によって洪水後に発表された復興開発戦略をこの立地動向を踏まえて見てみると、長期的治水対策や洪水情報の提供、保険制度の改善等は企業も望んでいるのに対し、堤防や嵩上げ等の局所的治水対策や新経済圏の開発等の戦略を企業は望んでおらず、今後に対する両者の態度には違いがあることが明らかになった。また両者の今後の相乗的な関係性の構築のために、調査を通じて感じられた日系企業によるタイ政府への不信感とタイ政府の計画実現の不確実性は、改善していく必要があると考えられる。
著者
鹿内 京子 石川 幹子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.41.3, pp.959-964, 2006-10-25 (Released:2018-06-26)
参考文献数
33

21世紀を迎え、都市において、オープンスペースと公共空間の創出は地球環境の維持、社会的環境の回復のために、重要な課題である。それに伴い、新しい都市空間として都市を再生するために、川と一体化したオープンスペースを創出し、公共空間を生み出す様々な取り組みが行われている。江戸時代に荷揚げ場として川沿いに設置された「河岸」は、明暦年間にはオープンスペースとして規定され、街と密接に関わりあいながら、時代の近代化に柔軟に対応させながら、今日まで継承されてきた。本研究では東京の下町の河川における「河岸」を対象として土地利用と土地所有の2つの視点から、土地利用ではオープンスペースに、土地所有では公有地に焦点をあてながら、明治維新、市区改正、帝都復興事業、戦災復興事業で5期に分けて、その歴史的変遷を分析する。本研究は、江戸期より400年の文化を継承してきた「河岸」を研究することで、オープンスペースの創出の原理原則を把握し、開発速度の速い現代社会においてオープンスペースを維持する方策を講じるための知見を得、これからの新しい公共空間をもった複合都市の再生に向けた政策提案に導くことが、目的である。
著者
成田 海波
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.645-651, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
16

宇野築港地区は歴史的市街地において新たに整備された港周辺の都市空間を生かした交流拠点、文化芸術拠点としての役割を新たに担っている。宇野築港地区での文化的活動を契機としたセクター間の新たな関与と展開、活動拠点の広がりは時期によって5つに分類される。2013年以降は歴史的市街地において、文化的活動がイベントのみならず日常の場で生まれており、商店街や宇野港周辺が以前に比べて創造的環境に変容しているといえる。また、同時に、活動に応じて足場となる拠点を選択したり、活動の補助となる支援策を選択することができ、社会や経済システムが市民の活動が実現しやすい形に再構築されつつあることが、宇野築港地区での取り組みの一助となっている。
著者
秀島 栄三 小林 潔司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.397-402, 1997-10-25 (Released:2018-05-01)
参考文献数
10

In this paper, the conservation benefits of rural landscape are investigated. The conservation benefits can be derived from two distinct properties of rural landscape: use value and existence value. These benefits can be attributed to both the farmers and the urban residents. The existence value of rural landscape can be derived from altruistic as well as paternalistic motives. It is shown that the existence value based upon altruistic motives is vanished in the cost-benefit calculation. The income transfer from urban residents to rural residents can be justified in terms of use value and existence value based upon paternalistic motives.
著者
松浦 きらら 藤井 さやか 有田 智一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.285-290, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究では都区部におけるUR賃貸住宅団地が有する団地屋外空間を取り上げ、URによる団地屋外空間設計手法が持ちうる課題を抽出することと、団地屋外空間が地域内で活用される実態の把握を通じて今後の団地屋外空間への設計指針への示唆を得ることを目的としている。団地屋外空間の設計内容と活用実態について、地区内の複数の遊び場と対象地を比較すること、対象団地における設計内容と活用実態の比較検討をする際に団地敷地内における配置計画に着目することによって、団地屋外空間が団地居住の児童のみならず周辺地域児童にとっても活用できる遊び場である可能性を検討する。調査結果からは、都区部におけるUR賃貸住宅団地には公的機能・配置を有する屋外空間が豊富に存在し、地域資源として貢献できる可能性があることを把握した。活用実態としては、UR所有の屋外空間であったとしても団地全体の配置計画上団地外居住児童による利用が活発となる場合があり、そのために設計時の利用構想内容と活用実態に齟齬が生じうることが明らかになった。
著者
矢﨑 有理 栗田 治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1504-1511, 2019
被引用文献数
1

<p>図書館は都市やコミュニティにとって不可欠な存在であり,身近で使いやすいものでなければならない.しかしながら、図書館の運営を担当する多くの地方自治体は財政的困難に直面している.したがって、図書館を運営するための予算が削減される可能性がある.そこで,図書館には限られた資源の中で良いサービスを提供するための効率的な管理が必要である.そのために本論文では,立地点の優位性と所蔵資料の数という2つの魅力からなる図書館サービスの評価法を提案する.特に湿地の優位性の方は"図書館デザート"によって評価する.これは,人々が図書館から非常に遠くに住んでいる地域であり,人々が図書館を容易に使用することが難しい地域を意味している.</p>
著者
大沢 昌玄 岸井 隆幸
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.3, pp.307-312, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

近年、土地区画整理事業が保有する換地手法と任意の土地先買いを最大限に活用した市街地整備が多く見られるようになった。この方策がどの時点から用いられるようになっていたのか過去を遡り調査した結果、関東大震災復興土地区画整理事業で、当時の鉄道省が土地先買いし内務省及び東京市の土地区画整理事業により先買い地を鉄道用地へ換地し鉄道用地を確保していたことが判明した。そこで本研究は、関東大震災復興土地区画整理事業における鉄道省による土地先買いと土地区画整理事業による鉄道敷への鉄道用地換地実態を明らかにすると同時に、鉄道省が本方法を採用するに至った背景と土地区画整理の技術的方針を解明することを目的とする。その結果、鉄道復興計画を明らかにし、鉄道省の土地の先買い状況を土地所有者名簿から詳細に把握した上で、土地区画整理事業を活用した鉄道用地創出状況を解明した。また土地の先買いと換地方法は法に定めず、任意の運用レベルで行っていたことが判明した。本手法採用の背景として、鉄道省は都市復興をチャンスと捉え、さらに鉄道用地確保に土地区画整理事業を活用する方策が良策であると認識していたことがわかった。