著者
有竹 久留美 真野 洋介 佐藤 滋
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.571-576, 2002-10-25 (Released:2017-11-07)
参考文献数
8

本研究は、東京都区部の不良住宅地区において、改良事業による住環境整備がどのよ うな目的で進められ、どのようなルールにより計画決定がなされたのか、また、どのような住まい方がなされてきたのかを明らかにすることを目的とする。本研究は以下のような方法により進めた。1)改良事業施行地区の従前環境の傾向を分類する。2)東京都で改良事業が行われた時期(1950_-_1985)における都市計画・住環境整備に関する法律・制度要綱や不良住宅地区の特性の変遷等から、どのような目的で事業を活用していたかを分析する。3)2章で浮かび上がった事業の目的に対して、実際に各地区の従前環境や不良住宅除却・改良住宅建設の経過、居住者の居住・合意の経過など、どのように事業が進められたのかを分析し、また、配置計画が決定された理由を考察する。4)改良住宅の建設後、長い年月を経て、どのような影響を住民に与えたか、また与えつつあるのかを明らかにする。
著者
山貫 崇之 澤木 昌典 鳴海 邦碩
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1069-1074, 2000-10-25 (Released:2018-02-01)
参考文献数
6

Securing the public space on both quality and quantity is expected, but it is difficult to be prepared by the public sector because of the burden of maintenance management and the efficiency of size on the center of a city. The purpose of this study is making clear the role that is fulfilled to urban space. Therefore, we researched the constitution of the public space and the situation of stay and action of the people there. As a result, we found the actual condition of the public space opened by private enterprises and we clarified that the rule for using the public space and the balance between the management and the accessibility are needed.
著者
今村 洋一 川原 大輝
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1047-1052, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では、佐世保市を対象に、まず戦災復興公園計画と旧軍用地との関係を考察し、さらに転換計画作成前の旧軍用地の転用状況を概観したうえで、転換計画における旧軍用地の位置づけを明らかにすることを目的とする。戦災復興公園計画では、当初計画においては旧軍用地に計画された公園は限られていたが、変更後は、計画面積や基幹的公園の面から、旧軍用地が戦災復興公園計画の重要な位置を占めていたことが明らかになった。旧軍港市転換計画では、旧軍用地の新たな転用を前提としていた点、同時に計画された港湾計画での位置づけに沿った転用計画が展開されていた点、旧軍用地のみならず旧軍建物を転用することとなっていた計画が多かった点、山間部の旧軍用地に大規模公園が計画されていたことから、戦災復興計画よりも転換計画において、戦災復興院の方針が反映されていた点が指摘できる。
著者
西村 愛 瀬田 史彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.393-398, 2017

地球環境問題への対応として環境に配慮したまちづくりを進めることが重要となっており、多くの国で本課題に向けた取り組みが進められている。その中では、地球規模の環境課題と地域の社会課題との解決を同時に図っていく手法が求められる。本研究では、フランスにおける環境配慮街区認証制度であるエコカルティエラベル制度を取り上げ、認証制度とその実例からフランスの取組手法を分析する。フランスの制度では、自治体と事業者を対象として街区プロジェクトを認証するものであり、その評価においてはプロセスとコンセプトを重視し、地域政策の観点から取り組みをしていることに特徴がある。
著者
満田 真史 樋口 秀 中出 文平 松川 寿也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.93, 2009

本研究は、地方都市の中心市街地で急増する平面駐車場について、駐車場問題の普遍性を明らかにすると共に、今後の駐車場マネジメントに向けた知見を得ることを目的とする。まず、シェイプアップマイタウン計画策定20市を対象に、中心部(1970年DID)内の平面駐車場の実態を把握した。次に、その計画内容ならびに自治体の認識と対応を検討した。さらに、20市と同様に、新法による中心市街地活性化基本計画認定53市の駐車場に対する認識と対応策を把握した。その結果、駐車場について詳細な情報を把握している都市は殆ど存在せず、対応策についても時間貸し駐車場に重点が置かれていることが明らかになった。また、現段階で駐車場施策の効果は小さいことが把握できた。
著者
加登 遼 神吉 紀世子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.10-19, 2019-04-25 (Released:2019-04-25)
参考文献数
45
被引用文献数
1 1

本研究の目的は、ウォーカビリティ指標に基づき、スプロール市街地の各街路に対する主観的評価を把握することで、スプロール市街地のスマートシュリンキングに向けた居住エリアのデザインアイデアを解明することである。そのために、プレイスメイキングという概念を導入することで、ウォーカビリティに対する主観的評価を把握する評価指標を開発して、ヒアリング調査を実施することで、スプロール市街地の各道路に対するウォーカビリティ評価を分析した。その結果、居住者が「アクセス性」を求めるのは区画道路であり、細街路に対しては「移動における安心感」を求めていることを解明した。また、ウォーカビリティを向上するデザインアイデアとして、各街路の評価に応じて徒歩と自転車との関係性を良好にする必要性を解明した。
著者
下山 萌子 後藤 春彦 馬場 健誠
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1074-1080, 2017

バラック飲み屋街の大部分は、近年において開発の危機や店主の引退により減少傾向にある。しかし同時に、地域資源として積極的にその価値を評価する立場も存在している。そのような中で新宿ゴールデン街は観光地化や若い世代からの出店の増加が近年進んでおり、新旧の店舗が併存し地域全体が転換期にあると言える。以上より、新宿ゴールデン街における店舗の更新実態を、地域社会を活かし共有されてきた店主間のアドバイスとともに記録し、地域の共有財として継承する必要性を再認識することは、今後地域の都市更新を考える上で重要である。本研究では、新宿ゴールデン街の更新過程において新旧の店舗の混在という点に着目し、その更新の様相を詳細に捉える。またそのために、更新過程において店主間で交わされたアドバイスの内容とその機会を把握する。より具体的には以下の3点を明らかにする。1)店舗数の増減から見た歴史的特徴(第2章),2)新旧店舗の混在とその更新の実態(第3章),3)店舗更新時における店主間のアドバイスとその継承の機会(第4章)以上より新宿ゴールデン街の更新とそれに伴う店主間のアドバイスを把握し、今後の課題について論じる。
著者
井沢 知旦 浦山 益郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1021-1026, 2002-10-25 (Released:2017-11-07)
参考文献数
12

この論文は、一級河川五条川を対象に、住民組織と自治体とがパートナーシップを組んで河川環境を改善し、管理運営している事例の分析を通じて、公共空間の公共一元管理から地域共同管理・運用への移行の可能性を明らかにしたものである。結論は次の通りである。(1)身近な川の環境改善に向けて市民有志が取り組み始めたことを契機に、(2)目的的組織を立ち上げ、広く市民を巻き込んで活動し、実績を積み上げていく中で、市民と行政の信頼を得、(3)住民組織と行政のパートナーシップによって、河川管理者に、地域の要望をつきつけるだけでなく、自らの企画力と行動力で公共空間の整備および管理・運用に関わる高い活動力を認知させることが可能となった。
著者
永井 康之 松川 寿也 岩本 陽介 中出 文平 樋口 秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.325-330, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究では、富山県の砺波平野に位置する砺波市及び高岡市を対象に、土地利用上の問題や制度上の問題を明らかにすることで、今後の散居集落での土地利用コントロール手法の提言を行うことを目的としている。本研究では以下の問題点が明らかとなった。砺波市のように農用地区域での開発が容易に行われる背景には、富山県の農振制度が挙げられる。この制度の特徴は開発地から50m以内に宅地が存在すれば開発の可能性が高まることである。これに加えて、砺波市では散居という集落形態により農地の集団性に対する考え方が緩く、農振除外が起きやすい。その結果、高岡市に隣接する規制の緩い砺波市では開発が頻発し、散発的に行われている。また、散居集落では特有の集落形態や散発的開発により、土地利用が混在し、農地と集落を明確に区分することが困難である。そのため、区域を設定しての土地利用コントロール手法が難しい。以上のことから、本研究では、土地利用制度の運用は実際の土地利用に見合った方針に改善する必要があると指摘した。
著者
石丸 紀興
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.103-108, 2000-10-25 (Released:2018-02-01)
被引用文献数
1

It had been determined recently to build National Memorial Hall in Hiroshima for the Atomic Bomb Deceased in Hiroshima Peace Memorial Park, and we could excavate the stratum of Peace Park before foundation works. This paper aims to examine the urban structure of Peace Memorial Park from view-point of stratum excavated. The main results are as follows: 1) It is very useful for excavating the stratum to examine where and what the present some point is in the past by overlapping selected who-period map within the past several period maps. 2) By excavating the stratum which had been seldom churned, we caught the overlap structure which showed atomic-bombed stratum, pre-war stratum and living stratum in Edo Era. Then, those stratum presents the clear urban structure.
著者
大河内 学
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.385-390, 1996-10-25 (Released:2018-06-20)
参考文献数
5

THE OBJECT OF THIS STUDY IS TO DESCRIBE THE COMPLEX ASPECT OF HUMAN ACTIVITY IN URBAN SPACE BY LOOKING AT PEDESTRIAN DISTRIBUTION. IN THIS PAPER, THE SURVEY METHOD OF PEDESTRIAN QUANTITY USING A VIDEO CAMERA IS PLANNED BECAUSE IT CAN COLLECT THE DATA OF WIDE AREA IN SHORT TIME. THE PEDESTRIAN DISTRIBUTION SURVEY IS CARRIED OUT IN SIBUYA WHICH IS ONE OF THE TYPICAL BUSY QUARTERS IN TOKYO. USING COLLECTED DATA AS A BASIS, THE PEDESTRIAN DISTRIBUTION IN SIBUYA IS ANALYZED. THE PEDESTRIAN QUANTITY WHEN THEIR DESTINATION IS EQUALLY DISTRIBUTION ON URBAN PLANE IS SIMULATED BY COMPUTER USING A SIMPLE MODEL. THUS THE RELATION BETWEEN THE DISTRIBUTION DENSITY OF THE PEDESTRIANS' DESTINATION AND THE PEDESTRIAN QUANTITY WAS CONSIDERED.
著者
山本 克也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.115, 2008

本研究は、路面電車芝生軌道の多面的な整備効果を実証的に明らかにし、今後の他都市における芝生軌道整備検討の参考に供することを目的とする。本研究は、鹿児島市において整備された延長約2.8_km_のわが国初の本格的な芝生軌道を事例として、その整備効果を多面的に把握することを試みたものである。その結果、軌道面の温度測定によりヒートアイランド現象緩和の効果が、また、騒音レベルの測定により沿線騒音を大きく低減させる効果があることが確認された。さらに、市電利用者や沿線住民等へのアンケート調査により、景観やまちの魅力の向上に寄与していると評価されていることが明らかとなった。近年、まちづくりの中で路面電車を改めて評価する機運が高まり、路面電車の有効活用や高度化への取り組みが増加しているところであるが、本研究により、そのメニューのひとつとして芝生軌道整備が有効であることが実証されたといえる。
著者
腰塚 武志 大津 晶
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.871-876, 2001-10-25 (Released:2017-12-01)
参考文献数
11

In the present paper, we discuss the measure of the point pairs whose distance are less than a distance r in a given area. By differentiating this measure with respect to r, we get the function f(r) which is called by distance distribution. Using a formula in Integral Geometry, we calculate the distance distribution numerically in an arbitrary region such as governmental districts. Therefore we estimate the distance distribution for the daily trip in Tokyo to compare this with the ordinary method which is measured by center points of districts.
著者
山口 敬太 西野 康弘
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.128-139, 2014-04-25 (Released:2014-04-25)
参考文献数
72
被引用文献数
1

本研究は、神戸市における河川沿緑地形成の起源を探るため、阪神大水害(1938)の復興計画の策定過程と、水害復興時の公園緑地構想の内容、構想主体としての古宇田の計画理念と、その戦災復興への影響について明らかにした。水害復興時に古宇田實(建築家、神戸高等工業学校校長)によって示された市内の複数の河川沿いに幅100mの「遊歩園」を設ける構想は、水害復興では予算獲得の困難のため実現しなかったが、戦災復興において原口忠次郎のもと採用されるに至り、神戸市独自の復興基本計画要綱ならびに緑地設定計画要綱に位置づけられ、神戸市長施行の土地区画整理事業により実現した。本論ではこの経緯の詳細を明らかにした。また、古宇田による本構想は、関東大震災からの都市の防災・防空に基づく理念と、留学時にみた欧州の都市美への憧憬を動機とする都市の美観・緑化という理念の双方に基づいていたことを示した。
著者
木村 希 松行 美帆子 中村 文彦 三浦 誌乃 有吉 亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.341-348, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

現在、コンパクトシティが人口減少時代の都市像の一つとして、その実現が求められているが、単に都市機能を駅近くに集積させただけでは、人が中心市街地に戻ってくるとは考えられず、中心市街地自身を魅力的な空間にする必要がある。その手段の一つとして、中心市街地における公共空間の設置があると考えられ、その意義を検証する必要がある。本研究は、中心市街地における公共空間の役割として、とくに周辺エリアのイメージの向上と回遊行動の助長に着目し、南池袋公園周辺においてアンケート調査を実施し、これらの効果があるかの検証を行った。分析の結果、公共空間の認知が周辺エリアへの愛着と防災の面からの安心感などの周辺エリアのイメージに対して間接的に影響を与えていること、公共空間に立ち寄ると回遊行動が助長されることが明らかになった。
著者
中西 仁美 西 英子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.2, pp.1-7, 2009-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
25

本稿は、スウェーデン・ヨーテボリ市の公共交通を軸とした交通政策に着目し、今後の成熟都市に求められる交通政策のあり方とその役割を論じている。ヨーテボリ市では、成長段階にあったこれまでの約40年を振り返り、20年後の目標設定と2~3年での短期の問題解決に取り組む新たな交通政策K2020を実施している。本稿は、ヨーテボリ市交通局でのヒアリング調査により、交通の需要への対応とサービスの経済効率性を長期的に考えることの重要性、短期的な交通問題を迅速に解決する手法、そして経済、環境だけではなく、都市の社会的な側面への交通政策の貢献という新たな知見を得た上で、今後の成熟社会に求められる交通政策の役割を再確認している。
著者
渡辺 聡 後藤 春彦 三宅 諭 中村 隆
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.769-774, 2001

This study aims to clarify the characteristics of pedestrian's eye fixation behaviors in a shopping street. On this paper, first, we clarified the relationships between the characteristics of the street formation and the characteristics of pedestrian's eye fixation behaviors. Second, we clarified the relationships between the form & color of the sign and the eye fixation behaviors. And then we verified the relationships between the estimation and the eye fixation behaviors.
著者
森 傑
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.32, 2010

本研究は、北海道の過疎地域の郵便局を対象とし、郵便業務以外での地域貢献や地域交流といったボランティアサービスが民営化前後においてどのように変化しているのか、そのような取り組みへの郵政民営化の影響を郵便局側がどのように認識しているのかについて把握し、地域住民の利用実態と郵便局への期待と評価についても詳細に分析することで、郵便局が地域におけるコミュニケーションの接点としてどれほど人々の日常生活に浸透しているのかについて考察し、過疎地域のソーシャル・キャピタルの核としての郵便局の今後のあり方を探求するための基礎的知見を得ることを目的とした。その結果、郵便局員と地域住民が郵便サービスを授受するだけの関係にとどまらず日常の生活においても密接に交流を持っていること、郵便局が地域の公共資産として保持されることが期待されていること、郵便局のあり方は、他の公共施設と公共サービスとの関係の中で郵便局の徒歩圏域の立地特性が重要な意味を持っていること、が明らかとなった。
著者
河村 信治 市古 太郎 野澤 康 玉川 英則
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.379-386, 2015

広域にわたる東日本大震災の津波被災地では、復旧・復興の進行も、支援の形も多様であり、さまざまな専門性を持った外部からのグループが、復興支援のための活動に取り組んでいる。筆者らは、そのような活動の一つとして、岩手県沿岸北部に位置する野田村において、2011年から4年間にわたり「野田村復興まちづくりシャレットワークショップ」(以下、野田村CWS)を開催してきた。本研究では、この一連の活動のねらい、活動内容、課題をふりかえり、今後野田村の復興のためにこの活動経験を次に繋げていく展望について考察する。
著者
青木 義次
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.40.3, pp.181-186, 2005-10-25 (Released:2017-07-01)
参考文献数
1

青木により提案された確率論的都市モデルは熱力学分子モデルによく類似している。この類似性に注目し、熱力学におけるエントロピー、自由エネルギーに相当する概念を都市モデルに導入した。とくに、都市の安定均衡状態は、自由エネルギーに相当する F関数の値が最小化されるところで達成されることを示した。これらの概念と統計力学の平均場理論を用いることで、都市の均衡状態に関し、パラメータの値によって安定均衡状態がひとつの場合と二つの場合がありうることが分かった。後者の場合では、規制誘導・補助等の都市コントロールにより都市のパラメータが徐々に変化させたとしても均衡状態は不連続的に変化する場合もあることが判明した。この事実は、都市全体の活性化・沈静化が都市制御上重要であることを示している。