著者
土田 豊 穂刈 治英 島田 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.715, pp.35-40, 2005-03-07

ディジタル放送やホームシアターの普及に伴い, 一般家庭においても映像、音の高臨場感化が進んでいる。音については、複数のスピーカを用いたマルチチャネル再生となり、ITU-R勧告BS.775-1の3-2方式が推奨されている。しかしながら、一般家庭において部屋の形状や設置スペースの問題から、スピーカを3-2方式で配置することは困難な場合が予想される。3-2方式と異なるスピーカ配置では、音像定位に影響を及ぼすことが考えられる。そこで本報告では、3-2方式と異なるスピーカ配置で、仮想音源を生成することにより、3-2方式と同等な音像定位を得る補正方法を提案した。仮想音源の再現精度について客観評価、主観評価試験を行い、更に音像定位補正効果の検証を行った。その結果、提案した音像定位補正方法は、3-2方式と同等な音像定位知覚を得るのに有効であることを示した。
著者
緒方 洋介 河原 一彦 澤田 泰輔 鶴 秀生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.455, pp.33-38, 2004-11-19
被引用文献数
4

平板をエキサイタで点駆動し板面上に曲げ共振を励起する,分布振動モード形スピーカ(Distributed Mode Loudspeaker: DML)の放射音場解析を行った.近距離音場ホログラフィーを用いて板面の振動速度分布を求め,レイリー積分を用いてスピーカ遠方の音圧分布のシミュレーションを行った.その結果,DMLに特徴的な音圧指向特性上の複数のビーム形成が確認できた.
著者
河原 一彦 緒方 洋介 澤田 泰輔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.471, pp.37-42, 2003-11-20
被引用文献数
5

分布振動モード形スピーカは,音の放射のために振動板の曲げ波を利用している.そのため,放射特性は従来のコーンスピーカとは大きく異なると言われている.本研究では,分布振動モード形スピーカが生成する音揚を知るために,自由音場で近距離音揚の音響インテンシティ測定し,従来形の動電形コーンスピーカとの比較を行なった.その結果,分布振動モード形スピーカでは,低い周波数帯域において平均音響インテンシティ分布が従来形のスピーカとは異なり,干渉音場と考えられるような分布となることなどが分かった.
著者
芳川 美代子 北沢 俊二 島田 享久 朝倉 国勝 大角 昌和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.99, no.395, pp.17-23, 1999-10-29

家庭用精米器は、精米時の発生音が大きいため、その低減が強く望まれている。本研究は、精米器発生音の低減を目的とし、音と振動の測定を行い発生音の特徴とその発生機構を解明し、減音対策を実施した。その内容は次のとおりである。(1)振動発生源である搗精部を固定する支持台と、底板,ホッパー,ケーシングを振動絶縁する(2)ケーシングの開口部を減らし内部からの放射音を低下させる。これらの対策により、精米器を構成する部品の振動音と、内部からの放射音が抑制された。従来品と対策を施した精米器の発生音レベルを比較すると、音圧レベルが72dBCから62dBCに低下した。
著者
中井 孝芳 高尾 諭司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.73, pp.15-22, 2001-05-18
被引用文献数
1

この報告では発声者自身がどのように知覚しているかについて述べている。我々はプロープマイクロホンにより外耳道から1cmの位置での音 (空気伝導音声) と、口唇から正面30cmの距離での音 (正面音声) を測定した。また、超小型加速度計で側頭骨の骨振動 (骨振動) を測定した。被験者は6から8名である。結果より, 高周波で空気伝導音声は正面音声に比べ 5から10dB 低いことがわかった。空気伝導音声を発声者自身に聞かせたところ. 自分自身の声に近いが低音が足りないことがわかった。骨振動は300Hzと700Hz付近にピークがあり、1kHz以上はノイズレベルであった。空気伝導音声と骨振動を加えると発声者自身の声に近くなった。この時性からも空気伝導が主な経路といえる。
著者
八嶋 昇 興野 登 石田 雅之 石田 禎宣 西野 功 竹内 伸次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.94, no.464, pp.15-20, 1995-01-27

音導型スピーカに対し、ディジタル信号処理を適用し、スピーカユニット前面に配正された音響管で生じる音響共振の影響を取り除く再生方式について検討を行った。ディジタル信号処理では、音導型スピーカの音圧周波数特性と位相周波数特性の逆特性を実現するFIR型ディジタルフィルタを構成し、入力信号の補正を行う。その結果、ディジタルフィルタを含む総合再生特性は音圧周波数特性がほほ平坦で、位相周波数特性が補正前と比較し大幅に改善された。さらに不要な残事成分の再生も抑制することができた。
著者
小坂 直敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.94, no.167, pp.23-30, 1994-07-22
被引用文献数
1

この論文は、コンピュータ音楽研究の中の中心的課題の一つである音合成方式の枠組について主に解説したものである。ここで紹介している合成方式は、まず加算合成、phase vocoderを中心とした信号モデル、次に非線形変換式としてのFM合成、ウェーブシェーピング、さらに音源の物理モデルなどである。ここでは特に信号モデルを中心に、その基本式の紹介、およびその方式のねらいなどについて述べた。この他コンピュータ音楽システムなどについても簡単に紹介する。
著者
則安 治男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.94, no.167, pp.17-21, 1994-07-22

世界統一規格としてMIDIが誕生して12年になる。初期の段階では違うモデルの電子楽器を接続して、同時演奏をさせたり、主としてライブ演奏に用いられた。その後ハードウエア(電子楽器)の発達でMIDIの使われ方が増えている。現在では、MIDIの目的とした一つ、電子楽器による音楽制作は確実に定着し、二つ目の電子楽器によるオーケストラ的な音楽の自動演奏も簡単にアマチュアが取り組めるところまできた。このことによって音楽再生の手段として使いたいという欲求が起こり、GMなるものが制定された。また、カラオケの世界でに多用されようとしている。音楽以外の分野でもMIDIは有用な制御信号として使うことができる。
著者
岩城 正和 千葉 晋一 盛田 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.97, no.515, pp.1-7, 1998-01-29

1998年の長野冬季五輪のスケート競技の国際信号制作で使用することを目的に、氷中マイクロホンシステムを開発した。このマイクロホンはスケートリンクの氷の中に埋めて使用するため、観客の声援などの空気中の音を拾うことなく、氷の中から選手が滑る音だけをはっきりととらえることができる。スピードスケートのリンクには10m間隔に40個を使用し、選手の動きを追尾して自動的にミキシングするシステムも合わせて開発した。スピードスケート、アイスホッケー、ショートトラック 、ボブスレー/リュージュの各競技に使用する予定である。
著者
藤本 桂一 石川 智治 篠田 亮 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.598, pp.59-62, 2002-01-18

CD盤の構造・材質による音質の違いはCDの始まりの頃, ホットに議論された事はあるが明確な答えが出ないままに立ち消えになった.我々は, 高度感性情報を忠実に伝送し, 深々さ, 凄み, 等の"深い音楽"を伝達する目的の研究の中から, 信号の時間方向の伸び縮み歪み(jitter)が音質劣化の元凶であると推測するに至った.jitterに注目し, 注意深い観察から, 最終的には信号に何らかの問題が生じるとしても, 光学的な平均的とらえ方では, ピット毎の光反射の瞬時的あばれを測定できていない.一方, 機械的振動としてとらえると, 材質, 構造に起因するCD盤の光反射の瞬時的あばれを, 間接的ではあるが, モニターできると見通し, 実験, 考察をしてきた.その仮説は, 過去の種々の問題を説明しており, 矛盾は一つも起きていない.例えば, 音質上大きく違うのに, 反射率は, ほとんど変わらないが, 振動に関係する(アルミ箔の厚み)を計測すると二桁も違う, と言う結果が出ている.CD盤の材質, 構造, プロセスと, 高度感性情報の忠実な再現に関して報告する.CDの音質を向上させる大きなかぎと考えている.
著者
山田 和幸 柴山 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.501, pp.21-26, 2003-12-11
被引用文献数
1

音響処理が施されていない部屋に存在している多くの物から反射した音波によって生成される音場は複雑になる.反射や吸音は材料表面で起きているが,反射係数は主に物体の大きさや形状に依存している.音響特性の多くは音響インテンシティ法や音響ホログラフィ法を用いることにより視覚的に実証できる.音響インテンシティ法は遮音壁の音響特性を効果的に測定できるので,アルミニューム,合板や金属製の吸音材で製作したパネル遮音壁について音響インテンシティを測定した.測定は無響室の中で行い,遮音壁の有無による場の音響インテンシティ結果から,目的物体からの反射成分を検出した.
著者
西村 竜一 竹本 浩典 加藤 宏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.333, pp.19-24, 2008-11-27

頭部伝達関数は,一般に外耳道をふさいだ状態における,音源から外耳道入口までの特性で与えられる.しかし,実環境と同じ聴感を与えるためには,頭部伝達関数に加えて鼓膜面での音圧が実環境での場合と十分近くなるように制御する必要がある.そこで,ヘッドホン受聴時の補正を,外耳道閉そく状態における外耳道入口の信号で行った場合の,外耳道入口と鼓膜面で実現される特性について検討を行った.先ず,HATSを用いて,外耳道入口と鼓膜面での音圧比を,複数のヘッドホンを用いて測定したところ,必ずしも一定ではないことが確認された.さらに,ヘッドホン聴取時の音響伝搬路の簡単なモデルを想定し,計算機シミュレーションで同様の検討を行った.その結果,共振周波数とその倍音において影響が大きいことが確認された.さらに,実際のヒトが聴取した場合にも同様の傾向が見られるかを調べるため,純音マスキングの聴取実験を行った.その結果,ヘッドホンの違いによる影響の周波数依存性が一部に観測された.
著者
藤沢 竹弘 米澤 義道 伊東 一典 橋本 昌巳 金子 昌浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.397, pp.17-22, 2000-10-20
被引用文献数
1

空中超音波を可聴信号によって振幅変調した音波はパラメトリックアレー効果で指向性のある可聴音場を形成するが、この超音波を放物面でビーム状にすると、可聴音場も鋭いビーム状とすることができる。我々はビーム状可聴音が聴覚による歩行誘導など様々な応用の可能性を考えている。例えば歩行誘導はビーム中から外れないようにビームに沿って聴取位置を移動させていくことによって実現するが、この場合ビーム音場中での音源定位がどのように行われるかが重要となる。今回、可聴音ビームの形成とその定位特性と多少のビームトラッキング特性について調べたので報告する。
著者
鈴木 成一郎 本郷 裕子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.96, no.437, pp.31-37, 1996-12-20
被引用文献数
2

ダクト開口部からの放射音の能動制御において長手軸方向のモードだけを考慮するときの制御音源の設置位置と放射特性について考察する. 波長を考えると点音源とみなせる制御音源から放射される音響波の波面がダクト断面で平面波となる条件をシミュレーションで求め, 実験と比較する. シミュレーションでは制御音源位置に湧き出し点を仮定して, ダクト壁面に沿ってポテンシャル流が存在するようにダクト壁面に垂直な軸上に無限個の湧き出し点を想定して, ポテンシャル流を求める. そして湧き出し流が平面波状になる位置を求めて実験で求めた断面方向の音圧分布の軸方向分布と比較する. さらに制御音源として通常用いられる動電型のスピーカの音響特性である伝達関数を電気系も含めてモデル化して実験と比較する. これにより本手法の有効性を確認し, 制御要素を含めた能動騒音制御の制御効果の予想が可能となるようにする.
著者
生川 弘晃 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.379, pp.67-72, 2004-10-22
被引用文献数
1

人体内の肉内および骨内の音速は,圧電センサから発信する超音波信号の遅延時間から求められている.しかし,入力した矩形パルスが超音波センサの共振周波数とQから定まる振動波形が受信されるため,遅延時間を正確に計測するためには立ち上がるポイントを検出されなければならない.そこで,本報告は,予測信号と受信信号との差の比較から,遅延時間を計測する方法を用いて,人体両足首くるぶし部の音速について検討した.その結果から,海綿骨を伝達する音速の平均値は約4,000m/s,標準偏差値は544.3m/sであり個人差が大きい.一方,骨髄を透過したと考えられる音速の平均値は約2,000m/s,標準偏差値は181.9m/sであり個人差が小さいことが示唆された.
著者
枝崎 賢 築谷 隆雄 鷲見 育亮 東村 正巳 副井 裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.304, pp.37-41, 2004-09-10

本報告は,能動C形式における電流モードバイカッド回路の構成法について検討している.提案回路は,2出力型演算トランスコンダクタンス増幅器(DO-OTA),2出力型カレントフォロワ(DO-CF),および接地キャパシタを用いて構成されている.本回路は,特性を実現するための回路条件を必要とせず,電流出力の選択により低域通過特性,帯域通過特性,高域通過特性,帯域除去特性,および全域通過特性が実現できる.また,OTAのバイアス電流により特性パラメータを直交的に設定することができる.回路の構成要素に対する素子感度を求め,本回路が低素子感度特性を有することも明らかにしている.PSPICEシミュレーションによる実現例を示し,本回路の有効性を確認している.
著者
内田 英夫 川村 實 中込 和徳 野溝 春子 二木 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.398, pp.7-12, 2003-10-24

射撃場から1km離れた別荘地域で騒音苦情が発生したため,射撃音の調査を行った.射撃音の指向性は,左右対称で,射撃の前方では後方に比べて25dB以上大きい強い指向性を示した.射撃場内で160mまでの地点で距離減衰を計算すると155-13.8×lo9(r^2)となり,倍距離6dBの距離減衰よりやや大きかったが,別荘地域までで計算するとさらに0.5dB/100m程度の減衰があった.射撃場の対岸にあたる別荘地域の標高別の調査では,射撃場が見通せる位置から射撃音が大きくなっており,遮音壁で問題となる別荘地が見通せなくなれば騒音が低減することが示唆された.しかし,射撃場斜面に遮音壁を作ることはコストがかさむので,指向性の点から一番騒音レベルが高くなる射撃地点を使用禁止にする処置で騒音レベルがどのように低減するかなどの検討も行った.
著者
内野 英冶 中村 真 山川 烈
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.96, no.369, pp.25-32, 1996-11-21

本報告では, 関数結合型ネットワーク(FLN: Functional Link Network)を利用した非線形非ガウスフィルタについて述べる. このフィルタは, 任意の非ガウス雑音が混入するフィルタリング問題に広く適用できる. また, 対象とするシステムの特性が数式で表現できない場合にも適用できる. 本報告で述べる非線形モデリングと非線形フィルタリングの手法には, RBFネットワーク(Radial Basis Function network)を用いている. すなわち, モデリングとフィルタの設計は, RBFネットワークの係数を学習することで実現できる. 提案した非線形フィルタの有効性と正当性は, カオスシステムの状態推定問題と音声信号のモデリングおよびフィルタリング問題に適用することにより確認された. また, 線形システムに対しても, 適当な数のRBF基底を配置することにより, カルマンフィルタよりも良好な推定精度を得ることも確認した.
著者
真壁 義明 柴山 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.99, no.260, pp.41-48, 1999-08-27

本研究では, 非線形パラメータを含むヘルムホルツ共鳴器を考える. ヘルムホルツ共鳴器は, 音響抵抗, イナータンス, コンブライアンスを素子とする等価回路を構成することが一般である. ヘルムホルツ共鳴器が粘性材料等で構成されている場合には, 等価回路は, 時変, かつ非線形の素子を含むことが考えられる. そこで, 本研究は, 非線形パラメータを含むヘルムホルツ共鳴器から, 非線形微分方程式を導き, それをVolterra級数により級数展開することで, 共鳴器が有する非線形成分が出力に及ぼす影響を, 入力の多重積とVolterra核と呼ばれるパラメータの線形結合により記述した. その結果, 微分方程式の解は, それを級数展開して得られた出力と一致した。
著者
早野 邦彦 柴山 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.9-14, 1997-04-11

非整数微分方程式を用いることによってノイズ信号の周波数特性を少ないパラメータで表現する方法について述べている。身の回りにあるノイズ信号として、風の音やフライトノイズ、交通騒音などがある。このようなノイズのスペクトルは、その特徴を3つに分けることができる。低い周波数領域では一定か周波数とともに増加し、特性周波数ω_0でピークに達するか折れ曲がり、それ以上の高い周波数領域では周波数とともに減衰する傾向にある。ラプラス変換によって、このようなスペクトルは非整数の微分方程式であらわすことができる。このとき、方程式のパラメータはg,q,ω_0の3つである。