著者
赤堀 肇 石川 智治 小林 幸夫 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.260, pp.1-8, 1999-08-27
被引用文献数
9

我々は高度感性情報を再現できるオーディオ・システムの開発を目的に、それに必要な未知の重要な物理要因を探求する研究を行なっている。これまでの我々の研究により、ディジタル・オーディオ・システムにおける音質劣化要因の一つとして「時間伸び縮み歪み」を発見した。ディジタル・オーディオ・システムにおける時間伸び縮み歪み発生の原因の一つとしてディジタル・オーディオ・インタフェースで生じるjitterが考えられる。そこで、本稿では、ディジタル・オーディオ・インタフェースのビット・ストリーム全体にjitterを強制的に付加し、高度感性情報の再現に注目した主観評価実験を行った。実験時間の関係で、88.6ps, 886psの2種の大きさのjitterを与えてみたが、付加したjitter振幅が88.6psと微少の場合であっても、高度感性情報の再現度が大きく損なわれることが明らかになった。
著者
服部 遊 高橋 恵子 石川 稜威男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.202, pp.19-24, 2005-07-16
被引用文献数
1

電気的再生音の微小レベルの物理特性と人の感覚的評価との関係を調べる目的で非線形な音質調整法を開発した。その処理では、音源の周波数帯域を分割し、選択した帯域の瞬時値を冪乗処理して振幅を圧縮または伸長し、非線形処理に伴う奇数次の高調波成分を除去して合成して出力する。圧縮すると微小レベルの信号ほど増幅率が高くなり、伸長すると逆に減衰率が高くなる。人の聴覚特性を考慮して可聴周波数帯域を分割し、その内の一つの帯域の信号だけを圧縮・伸長処理した音楽データを用いて"やわらかい""かたい"といった評価語との関係を調べた。評価には一対比較法を用い、5kHz付近を伸長すると評価語"やわらかい"との関係が有為であること、本調整法が有効であることを確認した。
著者
秋田 正二 中澤 達也 葉山 敦史 石川 俊行 石井 基弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.381, 2001-10-18

ハイディフィニションオーディオ研究会の音響デモでは, NHEご好意による高品位マルチチャンネルサラウンドおよび信州大学工学部の研究活動内容に関する試聴会を開催します.音響デモは以下の5テーマです.(1)放送制作におけるマルチチャンネルサラウンド制作の現状PART-2, (2)パラメトリックアレーの収束による空中音源の構成, (3)動電型平面ディジタルスピーカの諸特性とノイズシェーピング技術の適用, (4)オーディオアンプの音質評価-トランジスタ, FET及び真空管回路の比較検討-, (5)音創シミュレータ.
著者
秋山 いわき 大矢 晃久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.532, pp.17-21, 1999-01-22

最近、臨床診断の分野では、生体内部の非線形効果による第2高調波成を利用してより高解像度な断層画像を得ようとする映像系が着目されている。しかし、実際に生体内部での非線形性をいわゆるin vivoで計測したという報告は極めて少ない。In vivoでの計測を可能とするためには、エコー信号の利用が重要となる。筆者らはすでにエコー信号における第2高調波の発生率から非線形パラメータを測定する手法を提案した。ところが、本手法によって非線形パラメータを計測するためには、初期音圧や回折による影響を補正係数として予め計測しておく必要があった。そこで、本稿では、あらかじめ非線形パラメータをはじめとする各音響パラメータが既知のファントムを用いて、初期音圧や回折効果による補正係数などを測定系のシステムパラメータとして計測し、それを用いて、イソプロピルアルコール、ベンジンアルコール、エチレングリコール、牛肝について測定した。
著者
山中 芳 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.255, pp.61-66, 2008-10-16
参考文献数
11

金管楽器は発振部(演奏者の唇),マウスピース及び共鳴部(ホーン)からなる.トランペットのマウスピースは,体積が1.2ml,スロートの直径が4.2mm,及び長さが11.0mmであり,それ自身の共振周波数をもっており,およそ800Hzに共鳴(F1)が現れる.この周波数はポッピング周波数として知られている.トランペット音の音色は,このポッピング周波数が重要な物理的要因であると考えられる.本論文では,プロを含む経験年数が異なる演奏者によってこのポッピング周波数がどのように変化しているかを実験的に検討した.具体的なポッピング周波数解析法は,線形予測(LPC)分析によりポッピング周波数(F1,F2,F3)を推定し,各周波数に中心周波数をチューニングした臨界帯域幅バンドパスフィルタ(CBPF)出力のゼロ交差信号から「周波数と振幅」を抽出した。ここでは,その抽出結果から心理的な「音の高さ(mel尺度)と音の大きさ(sone尺度)」に変換し,新たなロジスティック聴覚モデル(mel尺度に対するloudness尺度値の累積確率分布)を構築し,上記比較検討を行った.
著者
今井 悠貴 森川 大輔 平原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.43-48, 2012-10-19
参考文献数
14

超小型動電型スピーカユニットを耳栓スピーカとして用い,48chの頭部伝達関数(HRTF)を相反法を用いて高速に計測するシステムを構築し,その性能を検証した.相反法による高速HRTF計測システムでは500Hz〜20kHzの帯域のHRTFを30sで計測でき,計測したHRTFと従来の直接法で計測したHRTFとのスペクトル誤差は4dB以下であった.また,時間がかかるために直接法では計測が困難であった頭部を横に向けた状態のHRTFと,特殊な音源を用いなければ計測が困難であった近接場のHRTF,および距離を変えたHRTFを,相反法による高速HRTF計測システムで計測した.
著者
降旗 建治 藤岡 祥子 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.259, pp.15-22, 1999-08-26
参考文献数
19

前報では, 超音波振動子を用いて, 骨伝導聴取を行うと, 超音波領域における骨伝導の可聴範囲は27dB前後であることを明らかにした。引き続き, 本報では, 骨導経由で与えられた超音波に対する聴覚特性を明らかにするために, 最初に超音波骨導音の音の高さ, 次に超音波骨導音によるマスキング, 更に気導音および骨導音による耳音響放射に関して実験的に検討している。これら骨導で与えられた超音波に対する諸特性の結果から, 超音波に応答する部位が蝸牛内に存在する可能性が示唆された。
著者
徳弘 一路 浅野 誠 渡辺 久晃 津村 尚志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.97, no.179, pp.47-54, 1997-07-18
参考文献数
27

「3弦の鳴るギターは良いギターである.」 というギターの評価法はどのような原理に基づいているかを調べた. 1弦と3弦の位置を交換し, スペクトルの変化を調べ, ギター全弦に第3弦を張り, その弾弦音の時間波形, 減衰特性, スペクトルを比較した結果, 3弦の位置におけるスペクトルのエンベロープが滑らかでなく, 5kHz以上の周波数帯域において倍音成分が小さく, 1弦の場所と比較して良い音がでないことがわかった. また, 同じ製作者による鳴るギターと鳴らないギターを比較した結果, 鳴らないギターは音量が非常に小さく, さらに, エンベロープが滑らかでなく, 5kHz以上の周波数帯域において倍音成分が小さいことなどがわかった.
著者
百瀬 翔太 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.25-30, 2012-10-19
参考文献数
11
被引用文献数
1

人間の可聴域上限を超える高周波成分が可聴音と共存することで,人間の心理・生理面に様々な良い影響を与える効果(ハイパーソニック・エフェクト)があるという報告がされている.本報では自律神経系の活動に注目し,自律神経機能のバランス指標となるLF/HFと,脳波α波を指標として,両者を比較することで楽音中に含まれる高周波成分が生理的側面におよぼす影響を検討した.その結果両方の指標において,高周波が共存する楽音提示中は提示前と比べてよりリラックス状態になり,高周波を除外した楽音提示中は提示前と比べてよりストレス状態になるという傾向が示された.よってこれらふたつの指標には整合性があり,高周波成分による自律神経系への影響も,生理に様々な影響をおよぼすハイパーソニック・エフェクトのうちのひとつの効果なのではないかということが考えられる.またこれより,高周波成分による脳内の状態の変化を呼吸器系の変動から推測できる可能性が示唆される.
著者
古本 啓志郎 穗刈 治英 島田 正沼
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.367, pp.101-106, 2011-01-13
参考文献数
14

2チャネルステレオ再生信号をイヤホン受聴で再生した頭外音像定位の有効性を確かめるため,開口角及び帯域幅をパラメータとした時のスピーカ受聴とイヤホン受聴の水平・鉛直方向の音像定位精度の有意差検定を行った.その結果,有意差が無かったことより,スピーカ受聴とイヤホン受聴は同等であることが明らかになった.
著者
松村 雅史 中野 剛 西原 一嘉 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.231, pp.37-42, 1998-07-31
参考文献数
18

本研究では、バイオリン音生成時の運動パラメータと生成音の音響的性質の関係を調べるために、運弓、弓圧を総合的にコンピュータ制御可能なバイオリン音生成システムを試作した。まず、本システムでは、10-40cm/sの速度で運弓している場合において、2.5gWの精度で弓圧力が制御可能であることを示した。次に、音階制御機構部についての基礎実験として、弦を押さえる荷重と発生音のスペクトルの関連を実験的に調べた。バイオリン音のスペクトルで倍音生分とそれ以外の成分の比mを特徴パラメータとし、弦を押さえる荷重(100-400gW)との関係を測定した。その結果、荷重が小さい場合、mの値は小さく、聴覚的印象も悪いが、荷重を大きくするとmが急激に高くなり、聴覚的印象も良くなる傾向が示された。
著者
野口 賢一 阪内 澄宇 古家 賢一 羽田 陽一 片岡 章俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.403, pp.31-36, 2005-11-10
被引用文献数
6

通信会議において, マイクロホンに触れたり, その近傍で発生する衝撃音や紙めくり資料をめくる音は, 相手側で非常に大きな音として再生され問題となる.本稿では, 通信会議で発生するこれら突発性雑音を1チャネル入力から抑圧する方式を検討した.提案方式では, 入力信号の線形予測残差信号を用いて, 突発性雑音の存在を判別する.突発性雑音が存在する区間では, 耳障りとなる高域の雑音成分を大きく抑圧するサブバンドリミッタと, 処理による音声劣化を抑えた低域に対する音声の調波構造強調を組合せて, 突発性雑音抑圧を行う.実験の結果, 突発性雑音重畳音声に対して, 騒音レベルを3.6dB改善できることがわかった.また, 主観評価実験から, 提案方式により突発性雑音が重畳した信号の音質を改善できることがわかった.
著者
日置 敏昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.158, pp.25-31, 1998-06-30
被引用文献数
5

CD(コンパクトディスク)の物理的要因に起因する再生音質の劣化について、検討を行った。その結果、ディスクの材質、レーベル印刷の色、冷凍処理、アニーリング、ディスク形状などを最適化することで、音質の向上を実現できることが分かった。このことから、ディスク信号読み取りレーザの発信波長と関係したCDの物理的特性が、読み取りレーザ光に対して外乱を与えてディジタル信号にジッタを発生させ、音質劣化を導いていることが推測できた。これらのCD特有の音質劣化を防ぐためには、電源系、アース系の強化と、電気回路的にリニアな時間軸に依存しないジッタフリーとなる信号再生系を構築する必要があると考える。
著者
平井 徹 本地 由和 池田 雅弘 清水 寧 川上 福司 東山 三樹夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.161, pp.25-32, 2000-06-23
参考文献数
6
被引用文献数
11

壁面部分の音場制御により、二つの空間を音響的に結合させ、一つの空間と等価な音場を実現することを目的とした「Acoustic Virtual Wall(AVW)」を提案している。それには、結合境界面における(1)反射音の除去と、(2)音場の連続性確保が必要であり、これらを満たす「高度吸音」と「音圧一致」を条件とするモデルを構築した。本報告では、AVWモデルが建築的な結合、即ち物理的な界壁の除去と等価であることを、Kirchhof-Helmholtz積分公式による定式化と解析によって示す。また、多チャンネル双方向拡声系のループゲイン構成要素を考察し、ハウリング安定化の方法について述べる。さらに(財)ヤマハ音楽振興会(東京都目黒区)とつま恋ミュージックガーデン(静岡県掛川市)に設置されたAVWシステムを紹介する。
著者
桐生 昭吾 蘆原 郁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.236, pp.9-13, 2004-07-23
被引用文献数
3

コピー防止としてレコード会社大手が導入している通称CCCD(Copy Controlled Compact Disk)に関し、導入の経緯、問題点について述べる。数種の実際のCCCDについて、エラーの有無を調査した。また、パソコンにおける再生などの調査を行った。また、今後の著作権保護のあり方についても言及した。
著者
小坂谷 壽一 小玉 成人 川守田 礼子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.491, pp.37-42, 2009-03-20

八戸工業大学を取り巻く地域伝統音楽環境の特色として、津軽と南部伝統芸能の狭間に位置している為、この伝統音楽(特に津軽三味線、南部三味線)を次の時代を担う若年層演奏者に口伝ではなく、未来永劫譜面として正確に記録する技術が、特に地域伝統芸能継承者や市の地域伝統音楽保存会より強く望まれている。今回、三味線に弦単位のピックアップマイクロフォンを備えたいわゆる"エレクトリック三味線"と、この音源から譜面を自動的に作成する自動採譜装置を試作した。本研究では・音源の解析処理〜・採譜処理〜・譜面の記録処理に関する基礎技術を確立し、今後、他の伝統楽器や声楽等にも自動採譜の応用展開を図る予定である。
著者
山田 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.53, pp.31-38, 2003-05-09
被引用文献数
1

小文では、まず、"凸関数列の漸近的最小化"を目的とする"適応射影劣勾配法"を提案している。"適応射影劣勾配法の基本定理"(定理1)は、NLMS法,アフィン射影法,射影NLMS法,制約埋埋め込み型NLMS法,適応並列外近似射影法など既存の射影型適応アルゴリズム群を一網打尽に理解する見通しのよい視座を提示しているばかりでなく、"制約付平均近似適応並列射影法",制約付Min-Max近似適応並列射影法","制約埋め込み型適応並列射影法"など複数の閉凸集合への射影の並列計算を基本演算とする多くの新アルゴリズムを導く指導原理となっている。これらの新アルゴリズム群は、本質的な解決が待たれる種々のロバスト適応信号処理問題への応用の中で、重要な役割を担っていくものと予想される。
著者
内田 英夫 木曽 茂 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.95, no.304, pp.1-6, 1995-10-19

一般幹線道路において、3ヶ月間にわたり10分おきに道路交通騒音を測定し、道路交通騒音の日変化について検討した。その結果、月曜日の朝から土曜日の午前ぐらいまでは同じ日変化になることが明らかとなった。日変化の原因を知るために、30分おきに交通量と車速を調査した。その結果道路には交通容量があり、交通量と車速がおおむね2次曲線的な関係にあること。このため交通量がある範囲では騒音レベルが余り変化しないことが明らかになった。
著者
坂本 修一 小玉 純一 本郷 哲 岡本 拓磨 岩谷 幸雄 鈴木 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.171, pp.19-23, 2010-08-02

我々は,多数のマイクロホンを設置した球状マイクロホンアレイSENZI(Symmetrical object with ENchased Zillion microphones)を収音に用いた音空間収音・再生手法を提案している.これまでの研究結果から,SENZIを設計する際に,1)空間的折返し歪みの影響を避けるためできるだけ密にマイクロホンを設置すること,2)制御方向の間隔を5°以下にすること,3)SENZIの直径を聴取者の頭部サイズに合わせること,といった設計指針が得られてきた.本報告では,この指針にしたがって設計,実装した252chのECMマイクロホンから構成されるSENZIシステムについて記す.計算機シミュレーションにより再現される音空間の精度を検証した結果,設計した252chの球状マイクロホンアレイにより,音空間を精度高く収音できることが示された.
著者
三好 誠司 梶川 嘉延
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.47, pp.53-58, 2012-05-17

FXLMSアルゴリズムを用いるアクティブノイズコントロールのふるまいを統計力学的手法を用いて理論的に明らかにする.適応フィルタと未知システムの相互相関,適応フィルタの自己相関を巨視的変数とし,それらの動的ふるまいを記述する連立微分方程式を,参照信号が白色であり,フィルタのタップ長が十分長いという条件の下で決定論的な形で導き,解析的に解く.解析においては独立仮定,周期的入力,小ステップサイズ,少タップ数という仮定はおかない.導出された理論を用いて学習曲線の系統的ふるまいや適応速度について議論する.また,実験室で測定された一次経路のインパルス応答を用いた計算機実験の結果と比較する.