著者
清水 優史
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.132-137, 2012 (Released:2016-04-15)
参考文献数
4

長い首が呼吸の妨げになっていると言われるキリンの呼吸に関するパラメータを測定する目的で,腹部表面の呼吸に伴う変位をステレオカメラシステムを使用して測定することが試みられた.その中で縞模様が有効なターゲットになることが知られた.ステレオカメラシステムによるターゲットの変異計測から,呼吸量を推定する方法の精度が,人の実験によって調べられた.その結果,カメラを腹部の半分を見られる適当な位置に設置すれば,ある程度の精度で測定が可能と考えられる結果が得られた.
著者
馬場 悠男
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.158-162, 1995-08-01 (Released:2016-10-31)
参考文献数
5
著者
山内 繁
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.344-350, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1
著者
國吉 康夫
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.20-25, 2005 (Released:2007-02-23)
参考文献数
26
被引用文献数
1 2

ロボット模倣機能は,究極の作業教示法として,また,人間の認知の理解への構成論的アプローチとして重要性を増している.しかし,従来の構成法は,個別のタスク,状況に限定され,本当に模倣が必要となる新奇なタスクや状況に適用できない.模倣の創発・発達的構成論に向けて,認知心理学等の知見をもとに機能構成図を提案し,その諸要素とロボット研究との対応付けを解説する.また,それらの土台をなす身体性に基づく行動創発と模倣の発生についても研究動向を紹介する.
著者
木村 賛
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.169-174, 2014 (Released:2016-04-16)
参考文献数
32

直立二足歩行は地球上でヒトのみが行う特異なロコモーション様式である.この歩行がいつ,どこで,どのように,なぜ獲得されたかを知ることは人類進化過程最大の課題の一つである.ロコモーションという動きを知るためにヒトと類縁であるサルのロコモーションを調べる比較運動学の研究が進み,化石の証拠と相まって二足獲得過程を明らかにしてきた.ヒトはアフリカにおいて700 万年ほど前に二足歩行を行うことでサルと分岐した.二足歩行能力はサル特有の樹上三次元での生活へ適応する中から発達してきた.これにより,ヒトは樹上より地上に降り立った時点から,すでにかなり優れた二足能力を持っていたと考えられる.これらの考え方は化石の証拠と矛盾しない.なぜヒトが二足歩行を始めたかに関してはいまだ不明なところが多い.
著者
福永 哲夫
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.24-28, 2001
参考文献数
9

宇宙などの無重力環境下では骨格筋に対する物理的負荷が低下し,筋が萎縮する.日本人宇宙飛行士の下肢筋量を宇宙飛行前後で比較すると,1日約1%の減少が観察された.とくに膝伸展筋及び足底屈筋といった抗重力筋にこの傾向が強かった.これらの筋は日常生活を営む上での主働筋であることを考えると,宇宙での長期滞在は宇宙飛行士の健康管理上重要な意味をもつ.そこで宇宙における筋萎縮を予防するための適切なカウンターメジャーの開発が期待される.我々はベッド安静中に膝伸展/股伸展をくりかえすレジスタンストレーニングを実施した結果,筋萎縮を防止することが確かめられた. 以上のことから,宇宙滞在は著しい筋萎縮(特に抗重力筋)を引き起こすこと,その予防策としてはレジスタンストレーニングが効果的であることが確かめられた.
著者
北野 利夫
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.61-64, 2008 (Released:2010-12-06)
参考文献数
5
被引用文献数
1

DNAに込められた成長・発達のプログラム,外的環境への適応,変形に対する自家矯正などの発育期における現象を理解するために,四肢の関節,筋肉の成長・発達について解説する.筋の発達は筋の構成単位としての筋線維や臓器としての筋組織の発達と神経系支配により高度に統合された関節の運動制御機構としての発達として理解する.四肢の関節を構成する骨の両側には,成長軟骨板が骨端と骨幹端の間に形成され,関節の横径および長軸方向の成長を担う.この関節内の解剖学的特徴から,関節を含め四肢が成長し,同時に形状が変化してゆく.生理的な成長とそれに伴う形態的変化と,成長に伴う非生理的な形態的変化についての実例を挙げ解説し,最後に,矯正についての考え方と成長・発達の人工的な制御について触れる.
著者
山本 大誠
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.15-20, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
23

ストレスに対する生体の反応は,ストレスの種類や期間など種々の要因によって身体および精神面への影響として現れ る.ストレスによる身体症状および精神症状に対する予防的および治療的手段として,身体運動を通したストレッサーの対処をどのように行っていけばよいのか,そのための理論と方法および可能性について提示した.生きていることは,自己の生物学的および環境の変化を常に伴い,それら種々の変化に対して適応を繰り返すことである.身体資源を十分に活用することは,身体の質の高い動きを引き出すことによるストレッサーの適切な対処であり,生活の質を向上させるための方法であると考える.
著者
山田 実
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.241-244, 2014 (Released:2016-04-16)
参考文献数
4

転倒発生のトリガーとなる動作としては,躓き,滑り,踏み外しという足元の状況判断を誤ったことによるものが多い.ここで紹介するMulti-target step(MTS)は,移動中の足元に対する注意要求を課するものであり,MTS test が不得手な高齢者(移動中の足元の注意要求課題への対応が困難な高齢者)は転倒リスクが高いと判断される.また,MTS トレーニングは転倒予防トレーニングとして有用であり,6 ヶ月間の継続実施によって転倒・骨折数を減少させることが示唆されている.
著者
長島 洋介
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.37-42, 2018 (Released:2019-02-01)
参考文献数
24

高齢化が進む日本は,社会構造や価値観が大きく変容する一方で,ハード・ソフトの両面で様々なインフラを更新することなく,歩みを進めてきた. そのような社会状況の中,複数の要因が絡みながら,具体的な課題がコミュニティの中で生じてきている.こうした地域課題を解決するには,行動原理の異なる産官学民マルチステークホルダーの協働を基盤にした研究スタイルであるコミュニティ・アクションリサーチが重要となる.本稿では,JST 社会技術研究開発センター「コミュニティにおける新しい高齢社会のデザイン」研究開発領域におけるアクション重視のプロジェクト推進に関する議論と経験をもとに,N = 1 のコミュニティを舞台としたアクションリサーチの実践的および学術的可能性を論じる.
著者
佐分利 敏晴 佐々木 正人
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.56-60, 2004 (Released:2005-02-23)
参考文献数
16

機械論的世界観や決定論に基づいて自然科学になろうとした心理学は,同じ世界観から成立した物理学と同じ運命をたどり,心と身体を分離し,心を身体(自然)から排除するか,心を機械的な身体の支配者とするか,どちらかの結論に追い込まれた.この方法では,ヒトを含めた高等動物の行為の能動性や創造性をその領域で扱うことができない.極端な場合,それらは神秘的なものとなってしまう.このジレンマに陥らないためにも,身体と心,身体と知覚と行為は同時に扱われるべき事柄,事象であると考える必要がある.この事象を分析する論理と手段の一つとして,生態心理学がある.
著者
金谷 翔子 横澤 一彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.69-74, 2015

自分の身体やその一部が自分のものであるという感覚のことを,身体所有感覚と呼ぶ.この感覚がどのようにして生じるのかを調べることは非常に困難と考えられていたが,近年,ラバーハンド錯覚と呼ばれる現象の発見により,手の所有感覚の生起機序について多くの知見が得られた.この錯覚は,視覚的に隠された自分の手と,目の前に置かれたゴム製の手が同時に繰り返し触られることにより,次第にゴム製の手が自分の手であるかのような感覚が生じるというものであり,視覚情報と触覚情報の一貫性によって手の所有感覚が変容することを示唆している.本稿では,このようなラバーハンド錯覚に関する研究の最近の進展を紹介する.一つは手の所有感覚の生起条件について,もう一つは錯覚による身体所有感覚の変容が手の感覚情報処理に及ぼす影響について,検討したものである.最後に,ラバーハンド錯覚を通じて,手の身体所有感覚がある種の統合的認知に基づいて形成されることの意味について議論を行う.
著者
森下 はるみ
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.132-136, 2002-08-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2

本論は,伝統芸能,バレエなど型や様式の決まっている舞踊について,身体訓練,身体意識,基本的な姿勢,跳躍・歩行・手や足使いの特徴をのべた.また演舞の生理的・運動的・心的階層を呼吸や心拍数・舞踊動作・自己意識との対応から考察した.対象は憑依舞踊から名人による至芸にわたる.さらに舞踊における「美しさ」とはなにかを論じた.
著者
古屋 晋一 青木 朋子 木下 博
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.151-155, 2006 (Released:2008-06-06)
参考文献数
14
被引用文献数
7 4

本研究は熟練ピアニスト(N=8)が連続オクターブ打鍵動作をする際の音量と打鍵テンポが上肢運動制御に及ぼす影響について調べた.全ての音量と打鍵テンポで,指先と鍵盤が接触する瞬間の上肢関節角度は不変であった。音量と打鍵テンポが上肢の運動に及ぼす影響は,それぞれ異なっていた.即ち,より大きな音量の音を作り出す際には近位の身体部位がより多く打鍵動作に用いられたのに対し,より速いテンポで打鍵する際には近位の運動は減少した.したがって我々は,音量調節は「インパルス方略」によって,打鍵テンポ調節は「慣性モーメント方略」によってなされていると提唱した.音量と打鍵打鍵テンポを同時に制御する場合には,ピアニストは主に肘の動きによって打鍵動作を行うという,上記2つの方略の中間の方法を選択することが明らかとなった.
著者
眞鍋 芳明 桜井 健一 岩壁 達男 尾縣 貢
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム
巻号頁・発行日
vol.19, pp.69-80, 2008
被引用文献数
1

<p>本研究の目的は, スクワットトレーニングにおける運動速度を含むトレーニングプロトコルの違いが筋断面積, 筋力および運動パフォーマンスに与える影響を検証することである. 被検者を高重量・低回数負荷で行うStrength群, 5秒間かけて下降および挙上を行うSlow群, そして軽重量を用いて全運動範囲において最大速度で行うSpeed群の3群に分け, 6~8週間のトレーニング前後に身体組成, 筋力および運動パフォーマンステストを実施した. その結果, Slow群においては筋肥大が確認されたものの, 運動パフォーマンスは向上せず, Strength群およびSpeed群においては, 身体組成においては変化が認められなかったが, 跳躍および30m疾走パフォーマンスの向上が認められた.</p>
著者
増田 正 遠藤 博史 武田 常広
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.63-73, 2000-06-15 (Released:2016-12-05)
参考文献数
17

In recent years SQUID (Superconducting Quantum Interference Device) technology has developed rapidly in both sensitivity and number of recording channels. Biomagnetic measurements based on SQUID technology are considered to have great potential in the analysis of brain and heart functions. They are also applicable to skeletal muscles and may provide a new method for diagnosing neuromuscular functions. To clarify the capability for biomagnetic measurements, the magnetic recording technique was applied to the vastus lateralis and the vastus medialis of three healthy male adults. Magnetic fields were measured with a 64-channel SQUID system. Discharges of single motor units were simultaneously detected by surface electromyography under a weak voluntary contraction. The magnetic signals were averaged for 64 to 158 times at the zero-crossings in the surface electromyogram. Six motor units were detected in the three subjects. The isofield maps of magnetic fields showed current sources arising from the motor endplate regions and spreading in opposite directions to the tendons. A current octupole moving along muscle fibers explains these magnetic fields. Because the magnitude of the magnetic fields is directly proportional to the intensity of the currents in the muscle fibers and is independent of the conductivity of the surrounding medium under certain conditions, it is possible to calculate the intensity of the currents in the muscle fibers. To improve the accuracy of such calculations, a model of the muscle fiber action currents was developed, taking into consideration the intensity and duration of the current source. A magnetic field was calculated from an octupole current model. The measured magnetomyographic signal waveform was deconvoluted with the calculated magnetic field signal produced by a single muscle fiber. The area of the deconvoluted waveform represents the number of active muscle fibers, which was estimated at 708 to 1,791 (average 1,088±480) for the six motor units detected. These numbers were 6.5 times larger than those estimated from the intensity of the current source alone without considering its duration, and were close to the invasively obtained values. The number of muscle fibers contained in a muscle or a motor unit has until now been estimated only by an anatomical method. Noninvasive magnetic measurement should therefore contribute to the diagnosis of neuromuscular diseases that cause the decrement or shrinkage of muscle fibers.