著者
Kamitake Yoshiro
出版者
一橋大学
雑誌
Hitotsubashi journal of economics (ISSN:0018280X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.75-86, 2009-12

In the creation of a new nomenclature for economic systems theory, Nicklas Luhmann's sociological conceptualism may sometimes perform a heuristic role. In particular, the concepts of 'autopoiesis system' and 'observation of observations' can be extremely useful for the analysis of a far-reaching constellation of various economic concepts. This study develops the elementary terminology of metaeconomics and economic systems theory, and emphasizes the significance of the 'observation of observations'. In most cases when several fundamental concepts need to be logically constructed, the corresponding mathematical symbols and notions may often be utilized as the means for representing their formal functions. Amongst others, 'category' is the most important, because it can formalize the structure of economic systems and meta-observations from the viewpoint of logical foundations.
著者
神武 庸四郎
出版者
一橋大学
雑誌
Hitotsubashi journal of economics (ISSN:0018280X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.133-147, 2008-12

In preparing theoretical tools to analyze economic systems we need several fundamental concepts that are often applied in various scientific investigations outside economic studies. Amongst others, the concept of autopoiesis, which was introduced by Niklas Luhmann into his sociological systems theory, is the most important in constructing a theoretical model to explain the working of economic systems. An autopoietic system may be regarded as the functional core by which other elementary concepts such as homeostasis, machinery, corporate system and social entropy can be logically connected. In conclusion, all economic systems are contained in distinct social systems of autopoietic character and incorporated with them as a subsystem or partially independent system.
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.258-264, 1979-02-01

論文タイプ||年譜・著作目録
著者
今野 晴貴
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

・研究の概要本研究の目的は、労働者からの聞き取り調査を中心に、労働市場政策の有効性について、マクロ統計では把握しきれない制度の運用実態の分析から新しい視角を加えるものである。そこで、本研究では以下の課題に取り組むこととしている。1、日本の労働市場政策の歴史的研究(制度研究)2、製造業派遣・請負労働者等からの聞き取り調査(制度の運用に関する研究)3、調査結果の分析・研究の実施内容平成24年度の研究においては、2、製造業派遣・請負労働者からの聞き取り調査(制度の運用に関する研究)、3調査結果の分析を主として行なった。製造業派遣・請負労働者へのヒアリングおよび労働紛争実務家への調査は、訴訟、労働争議に発展している事例の当事者・支援者等への聞き取り調査を行った。また、研究課題である労働市場政策の運用実態を調査するため、弁護士等、労働紛争の実務家からの聞き取り調査を行ったほか、彼らの研究会等にも参加し、情報収集を行った。さらに、平成23年度に引き続き、NPOと協力した個別紛争の事例調査を実施した。・研究成果の発表上記の制度とその実際の運用との関係についての調査(主として紛争について)の結果についての分析は、日本キャリアデザイン学会で報告を行なったほか、一般書として発表した(『ブラック企業日本を食いつぶす妖怪』(文春新書)及び、『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』(星海社新書・刊行予定))。
著者
松塚 ゆかり BAILEY Thomas R
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

米国での詳細なフィールド調査を通し、大学におけるナレッジマネージメントの概念と機能のメカニズム、活用の範囲とその効果、実践過程で生じた問題点や課題を明らかにするとともに、日本の大学におけるナレッジマネージメントの実践モデルを設計し、これを教育研究の分野で実践した。その結果を国内外の学会や研究会などで発表するとともに、報告書として「IR からKM へ-教育調査研究から『知』の共有への可能性-」にまとめた。
著者
高橋 準
出版者
一橋大学
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.99-119, 1991-07-31

論文タイプ||論説
著者
西 菜穂子
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

政治学における既存の視点変換としてのルーマン政治システム論の意義は、ルーマン自身の権力理論の慎重な解釈のみならず、従来の権力理論の構造に対するルーマンの批判の要点を明確にすることによってはじめて明らかなものとなる。かかる認識に基づき、これまでの研究のまとめとして「コミュニケーション・メディアとしての権力に向けて-初期ルーマンの古典的権力理論批判-」をテーマに学会発表を行い、論文を執筆した。本論文では初期著作『権力』の準備的作業として執筆された論文「古典的権力理論批判」(1969)において展開された諸論点を敷桁し、中・後期以降の社会システム論の概念装置を適宜参照することによって、従来の権力理論との構造・概念的相違からコミュニケーション・メディアとしての権力という視座の性質を浮かび上がらせることを試みた。この試みはルーマン社会システム論の社会理論史におけるゼマンティーク的転換を明らかなものとするためのひとつの導入点ともなったと考えられる。上述の論文を布石に、後期の政治システムに関する記述も参照し連関させうつ『権力』の再解釈を試みることによりて、コミュニケーション・メディアとしての権力のオートポイエーシス的政治システムにおけるはたらきについて考察を深めた。この作業を土台に現在『権力』の解釈をテーマとした論文を執筆中である。さらに秩序形成という観点から政治学において重要な問題となる倫理・規範について「道徳の反省理論としての倫理学」というルーマンの視点に関する記述を精読・解釈し、現代社会における秩序形成にたいして倫理学の持つ意義を考察した。以上、ルーマンの政治システムの核となる議論である上述の作業を段階的に進めた。
著者
浜林 正夫
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-21, 1971-07-01

論文タイプ||論説
著者
城山 智子 PENG Juanjuan PENG JUANJUAN
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、裕大華紡績公司の1880年代から1960年代までの事業展開を事例として、近現代中国に於ける企業の態様を明らかにしようとするものである。本研究は、特に、裕大華が、現代中国で「集団」と呼ばれる、多業種にまたがる複数の会社の集合体のプロトタイプと看做されることに注目している。清朝から中華民国を経て中華人民共和国に至る政治体制の変化の下で、企業への投資と経営とがどのような変容を遂げたか、という時系列の分析を行うと同時に、日本の財閥や韓国のチョボルといったアジアの企業形態との比較から、中国の企業の特質を明らかにし、平成22年度は、平成21年度の資料調査の成果を踏まえて、事例研究をまとめた。6月には台湾中央研究院近代史研究所で、中華民国期の産業振興に関する資料調査、7月には京都大学経済学部図書室で戦前期中国企業に関する調査報告の収集を行い、より網羅的なデータの収集を行った。また現代中国史研究会では研究発表、"Crossing the 1949 divide : changes and continuities in a Chinese Textile Company"(一个中国紡績企業在1949年前后的変化与延續)を行い、武漢、石家荘、西安、重慶、成都で展開した、裕大華紡績公司の事業について、20世紀委はじめから1950年代までを対象として分析した結果を明らかにした。そこでは、1920年代には未整備だった企業をめぐる経営環境が、1930年代の法整備を経て、1940年代の戦時統制下で大きく政府・党の影響を受けるようになり、さらに、そうした傾向が1950年代の中国共産党政権下でも引き継がれたことを論じた。
著者
青木 人志
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.79-96, 1997-07-01

論文タイプ||論説
著者
上野 卓郎 早川 武彦 高津 勝 内海 和雄 尾崎 正蜂 岡本 純也 藤田 和也
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

3年間の研究成果の概要を示せば、以下のようになる。第1に、1990年を前後して、情報化社会の成熟と共に多国籍化した「メディア・スポーツ・生産複合体」(media-sport production complex)が「国際スポーツ機構」と提携し、スポーツのメディアイベント化・メディアソフト化を大規模で進め、トランスナショナルな体験の機会を地球的な規模で提供するようになった。その過程で、スポーツは世界共通の言語であるとともに、夢や感動を生み出す「グローバルドリーム」として受け入れられていった。第2に、その影響力は、国民国家やインターナショナルな境界を超え、個人や社会集団に直接・間接に影響を及ぼすようになった。第3に、そのような「スポーツのグローバリゼーション」とローカルなスポーツ文化の関係は、一方向ではなく、双方向的であり、互いに孤立したものではなく、相互に影響し合っていることが明らかになった。第4に、ただしヘゲモニーは「生産複合体」と「国際スポーツ機構」の側にあり、その影響力の浸透によって、スポーツの商品化と公共性の矛盾は複合化・顕在化し、ローカルなスポーツ文化主体の衰弱という事態も起こっている。第5に、そこには葛藤や主体的な営みも存在する。従って、「スポーツのグローバリゼーションとローカリゼーション」研究は、文化の伝播や変容、一方向的な変化の過程としてだけでなく、生活世界の変容・再構成を視野に入れて考察する必要がある。最後に、「研究成果報告書」の構成を示しておく。(1)グローバリゼーション・文化・スポーツ、(2)グローバリゼーションとメディア・スポーツ、(3)スポーツインターナショナリズム、(4)グローバリゼーションとローカリティ、(5)グローバリゼーションと政策・運動。
著者
笹倉 一広 近衞 典子 近衞 典子 福田 安典 大塚 秀高 金 文京 笹倉 一広 木越 治 福田 安典 大塚 秀高 岡崎 由美 金 文京 鈴木 陽一 上田 望 木越 治 田中 則雄 入口 敦志 川上 陽介 木越 秀子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

・各地の図書館などを調査し、関連資料を収集した。そのなかで、岡島冠山『太平記演義』の 善本を発見し、影印した。・白話小説と並んで、善書の影響にも着目し、善書を収集・考察し、新発見と覚しき善書を影印した。・「三言二拍」訳注の基礎資料の収集・電子化をし、訳注の基盤を整備し、国文学・中国文学双方の研究に共有されるテキストのプロトタイプを作成した。・シンポジウム「日本近世文藝と中国白話の世界」を開催した。
著者
花枝 英樹 芹田 敏夫 宮川 公男 胥 鵬 須田 一幸 広田 真人 木村 由紀雄
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

(1)「日本企業の配当政策・自社株買い-サーベイ・データによる検証-」概要:わが国全上場企業を対象にペイアウト政策についてのサーベイ調査を行い、つぎのような結果を得た。配当決定は投資決定とは独立に行われており、減配回避の考えが非常に強い。一方,自社株買いは配当と比べれば柔軟性をもって決められている。情報効果仮説については,配当・自社株買いとも支持する結果が得られた.ペイアウト政策を敵対的買収防止手段として考えている企業が多く,株主構成の違いもペイアウト政策の意識に影響を及ぼしている。(2)"The choice of financing with public debt versus private debt: New evidence from Japan after critical binding regulations were removed"概要:成熟企業と成長企業の資金調達と社債発行との関連を分析した。とりわけ、日本の経験から、最も有効な社債市場育成策は、銀行の利権を保護する規制を緩和し、社債と銀行借入の選択を企業に委ねるべきことを提案している。(3)"Ownership structure and underwriting fee: Evidence from Japanese IPOs"概要:企業の株式所有構造と新規公開時の引受手数料,IPO後の長期パフォーマンスの間の関係について,1997年から2002年にJASDAQへIPOした企業サンプルを用いて検証した。(4)"Financing constraints and Research and Development Investment"概要:わが国企業の研究開発投資と資金調達の関係を実証分析し、特に、キャッシュフローの多寡で表せる内部資金制約が研究開発投資の大きさに大きな影響を及ぼしていることを明らかにした。
著者
新井 皓士
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.117, no.3, pp.397-413, 1997-03-01

論文タイプ||論説
著者
福川 裕徳
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度は,まず,既存研究等の検討および理論的考察に基づいて構築した監査人の外見的独立性への影響要因を分析するためのフレームワークをさらに精緻化した。そこでは,外見的独立性への影響要因として,監査人の態度,リスク要因(脅威),リスク緩和要因(セーフガード)の3つの要因を設定し,それぞれの要因の具体的内容及びそれらの相互関係について明らかにした。さらに,個々の影響要因を検討するのではなく,これらの諸要因が全体としてどのような影響を外見的独立性に対して与えているのかを,構築したフレームワークに基づいて実証的に明らかにするため,当初予定していた研究方法を変更し,外見的独立性を対象とした大規模なアンケート調査(日本会計学会スタディ・グループによって1998年に実施)から得られたデータを用いて共分散構造分析を行った。多母集団分析(市場関係者と監査役)を行った結果,監査(人)(態度),競争の程度(リスク要因),ローテーション(リスク緩和要因),外部環境(リスク緩和要因),規制環境(リスク緩和要因)といった諸要因が外見的独立性に与える影響が明らかとなった。すなわち,監査役については,態度だけでなく,リスク緩和要因も外見的独立性に影響を与えているが,市場関係者については,外見的独立性に影響するのは態度のみであり,リスク緩和要因は影響を与えないことが示された。こうした結果は,監査人の独立性に対する企業外部の監査利用者の知覚は近年の制度改革によって導入された監査人のローテーション制度によって必ずしも改善されない可能性があることを示唆している。これらの分析結果については,近く論文として公表予定である。