著者
佐々木 創 清水 孝太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.63, 2009

わが国の機械情報産業等がアジア諸国へ進出するに伴い、現地の製造プロセスから大量の工程くず・オフスペック品が発生するようになっている。これら工程くず・オフスペック品の多くは、十分な処理・リサイクルをされずに第三国へ輸出されていることが多く、資源流出という点や環境配慮という点から問題になっている。そこで、アジア諸国へ進出するわが国の機械情報産業等を資源戦略の観点から支援し、また新たな環境ビジネスの展開可能性も探るため、技術同友会が提言しているクリティカルメタルの中からタングステンを対象として、アジア諸国におけるレアメタルのリサイクルビジネスのあり方を検討するために、国際資源循環のフローの推計を行った。
著者
佐藤 忠宏
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 = WASTE MANAGEMENT RESEARCH (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.136-141, 2006-05-31
参考文献数
6

ライフスタイルや消費者意識の変化, 環境問題への意識向上により, 家電製品の顧客ニーズは量の時代から質の時代に入り, 他とは異なった個性を重んじる傾向や所有に拘らない意識が台頭し, 折りしも地球環境問題として持続可能な発展をコンセプトに, モノを所有する時代からサービスや価値を消費する時代へとサービス経済への移行の重要性が叫ばれ始め, 特に, 特定家庭用機器商品化法 (通称家電リサイクル法) の2001年4月完全実施を控え, 消費者の意識変革とリサイクル料金負担義務化を背景に, 2000年10月から消費者にとっても生産者にとっても, 『一石二鳥』の新しい環境ビジネスとして中長期使用の家電レンタルビジネスを開始しました。これは, 使用者の初期費用負担軽減・期間中の修理代無料や廃棄処分費用負担不要の直接効果に加えて環境負荷低減の潜在力をも有し, 資源を無駄にしない循環型社会に結びつく効果が期待されます。
著者
木村 照夫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.140-147, 2010 (Released:2014-10-07)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

循環型社会形成の重要性からリサイクルを義務づける数多くの法律が施行されている中で,繊維製品に関してはいまだ法律が施行されていない。現在,回収された衣類廃棄物の大半は中古衣料,反毛およびウエスとしてリサイクルされているが,衣類に関するリサイクル率は20%程度に留まっている。リサイクル率が低い大きな理由は繊維製品の多様性によるリサイクルの難しさにある。本稿では繊維製品の中でもわれわれに一番身近な衣類を対象に,リサイクルの現状と課題を整理している。さらに,筆者らの衣類廃棄物を用いた木材代替材料ならびに天然繊維複合材料としてのリサイクルの試みを紹介している。また,環境負荷の小さなリサイクルを推進する上でLCA解析が重要であること,ならびにリサイクル推進には技術開発のみでなく国民の意識改革が必要であることを述べ,教育用に作成された漫画本の反響についても言及している。
著者
宮地 毅
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.207-214, 2008-09-30 (Released:2010-05-31)
被引用文献数
1 1

生活協同組合コープこうべは, 第二次オイルショック時の物不足パニックの反省に立ち, 1978年から「買い物袋再利用運動」を始めた。店舗のレジ袋を何度も再利用しようという運動で, 「再利用カード」を発行して持参した方にスタンプを押し, 10回の再利用で商品を50円値引きする制度を導入した。しかし, この運動による買い物袋持参率は15%程度であり, さらに多くの組合員の協力を実現するため, 1995年6月からはレジ袋が必要な方は1枚5円で自主的に代金箱にお支払いいただく方式に変更した。これによって持参率は77.4%と飛躍的に向上した。そして2007年6月からは, 食料品を扱う全店舗でレジ精算方式に切り替え, 同時に兵庫県内の各市町と協定を締結 (2008年8月末現在で13市2町) して地域と一体となった取り組みをすすめた。その結果, 2008年6月には全店平均で持参率は90.4%となり, 目標の9割に達することができた。
著者
下村(志水) 美文 瓜生 貴紀 新垣 エリカ 小矢 夏幹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.28, 2017

現在、環境問題対策として、バイオマスの利活用が注目されている。なかでも林地残材などの木質バイオマスはほとんどが未利用であり、廃棄されている割合が高い。その原因として、リグニンなどの難分解性有機物質を含むことが挙げられる。また、食品廃棄物性バイオマスは飼肥料に利用されているが利用率は十分でない。そこでこのような未利用バイオマスを微生物の栄養源として有効に利用することができれば、貴重な有機性資源として循環活用することが可能となる。 一方、青森ヒバなどに含まれるヒノキチオールには強力な抗菌作用がある。このような抗菌性物質は、微生物によって未利用バイオマスを分解・資化する際には障害となる。したがって、本研究ではバイオマスを資化する前に抗菌成分をあらかじめ分離し、この抗菌性物質もマスクなどの衛生用品への塗布や院内感染や家庭での食中毒予防に活用することで総合的に有効利用することを目的としている。
著者
宮川 英樹 村上 進亮
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

今回の調査では、ELV由来のプラスチックリサイクルフローを整理し、大きく分けて2つに分類した。ELVから主に手解体工程を通じて回収したPPを「ELV-PP」とした。また、ASRから主に高度選別(光学選別・比重選別)工程を通じて回収したPPを「ASR-PP」とした。この二つのフローは、工程ごとのマテリアルフローが異なる。さらに、それぞれのELV由来のプラの物性を比較し、今後のリサイクル方法を明らかにした。
著者
村上 進亮
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.237-244, 2009 (Released:2013-12-18)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

本稿では,マテリアルフローアカウンティングの中でも,その基礎情報を与えるものとして重要な位置にある,使用済み製品フローの捕捉について,携帯電話などを事例に検討を行った。より具体的には,携帯電話で良く話題に上る退蔵されているストックも含めた推計手法の整理を行った。それと同時に,家電リサイクル法対象品目を事例に,国際資源循環等のいわゆる見えないフローの捕捉に関しても議論を行った。また,携帯電話のデータについて,そこに含有される金属について資源性の観点からその価値を検討することで,こうした機器に含まれる貴金属類のリサイクルの重要性を再認識しつつ,その価値が消費者の考える価値と乖離している可能性を示唆した。
著者
ユ ヤ 佐藤 茂夫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.74, 2008 (Released:2008-11-25)

ミャンマーでは、発電所が不足しており国内の電力を全量賄うことができない状況にある。そのため、自家発電設備を設置しているところもあるが、自動車燃料などが著しい高騰により発電燃料も得ることが困難になり十分な電力を得ることができない場合が増えている。メタン発酵処理は、途上国で扱い易い技術であり、発酵槽加温の必要性もないことから設備コストを低くすることができる。そこで、食糧と競合しないバイオマスの種類やその賦存量について調べた。その結果、家畜糞とバナナの皮などが入手しやすい地域バイオマスであることがわかった。そこで、それらのメタン発酵実験も行い、実際にどの程度のエネルギー創出が可能なのかを検討した。
著者
高橋 泰弘
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.491-499, 2004-11-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

下水汚泥焼却灰中の有用な資源を回収する目的で水酸化ナトリウム溶液による溶出実験を行った。リン含有率の異なる4種類の焼却灰を用いてリンだけでなく, その他有用成分についても溶出特性を明らかにした。リンについて溶出温度と溶出時間の関係を検討した。アルミニウム, 亜鉛の効率的な溶出条件を調べるために焼却灰濃度, 温度について検討した。リンはリン含有率が高いほど溶出濃度は高かった。アルミニウムはアルミニウム含有率に関係なく, リン含有率が高いほどアルミニウム溶出濃度が高かった。焼却灰中のアルミニウム含有率にかかわらずリンとアルミニウムの溶出挙動は同じであったことからリン酸アルミニウムが溶出していると考えられる。アルミニウムの溶出率は溶出温度と焼却灰濃度に関係があることが明らかとなった。亜鉛の溶出率は水酸化ナトリウム濃度10%, 溶出温度80℃の時, 最大で16%であった。
著者
岡部 徹 野瀬 勝弘
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.403-411, 2011 (Released:2016-12-26)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

金属鉱物資源,特にレアメタル鉱物は,何万年,何億年とかけて,きわめて特殊な自然現象により,偶然にも地表近くに濃縮された,地球がもたらした奇跡 (Miracle of the Earth) の産物である。地球科学的に特異かつ希少な現象によって生成したレアメタル鉱石の本質的な価値 (Value of Nature) はきわめて高い。しかし,現在の社会システムでは,レアメタルの本質的な価値についてはほとんど評価されることなく,鉱山開発や採掘・製錬に伴う経済的なコストのみが評価されている。一方,経済性を追求するあまり採掘に伴う環境破壊コストや製錬時の環境汚染コストは発生しても計上されない場合もある。また,製品の素材として利用した後は,リサイクルのコストがかかるため,循環利用せずに廃棄されるレアメタルが多い。本稿では,Value of Natureという概念を導入して,レアメタル資源の物質フローに関する中長期展望について述べる。
著者
佐々木 俊介 渡辺 浩平 荒木 徹也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

本ポスター発表においては、映像人類学に基づくダンプサイト・ウェイスト・ピッカーの活動記録を、写真、図表、動画を用いて発表する。調査地はインドネシア共和国西ジャワ州バンタル・グバンに設置された廃棄物最終処分場の周囲に形成されたスラム街であり、発表者は2010年2月より、19回渡航し、計707日間滞在している。調査地のウェイスト・ピッカーたちは廃棄物最終処分場内において有価物収集を行っており、有価物収集の際には、自分自身で作成あるいは道具製作者から購入した道具を用いている。有価物売買においては伝票が発行されるなど、取引上のごまかしが起こりにくい取引方法がとられている。ウェイスト・ピッカーたちが1日に収集する有価物は世帯当たり約100kgであり、ここから推定されるリサイクル率は6.5%である。ウェイスト・ピッカーの収入は、月に240US$でありジャカルタにおける法定最低賃金と同水準にある。
著者
佐々木 俊介
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.23, 2012

スカベンジャーによるリサイクルへの貢献が指摘され、インフォーマルな活動であるスカベンジャーによる有価物収集活動をフォーマルなシステムに組み込む統合的な廃棄物処理行政が複数の研究者によって提案されている。しかしながら、量的データとして正確にスカベンジャーたちのリサイクル能力などを推計したものはほとんど無い。そこで、本研究においては、インドネシア共和国バンタルグバン廃棄物最終処分場近隣のスラム街に居住するスカベンジャーを対象に約9ヶ月間の現地滞在調査を行った上で、スカベンジャーたちによるリサイクル方法を明らかにするとともに、スカベンジャー社会において有価物の売買時に取り交わされている伝票に基づき、スカベンジャーたちの収入(Rp.1,178,643)について明らかにしながら、世帯あたりのリサイクル量(1,977kg)を明らかにした。
著者
花嶋 温子 福岡 雅子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

筆者らは、2014年に「恋するフォーチュンクッキー 関西のごみ処理施設Ver.」、2015年に「心のプラカード 関西のごみ処理施設 Ver.」という2つのインターネット動画を自主制作しYouTube上に公開した。ごみの問題にあまり関心のない人達にも焼却工場や資源化施設、最終処分場などごみ処理施設の存在を知ってもらい、イメージアップを計ることが目的であった。本研究では、実際にこの動画を視聴した人達の反応を被験者1006人のインターネットアンケートにより調査した。ごみ処理施設に対して、負のイメージ(汚い・臭い、危険・有害)と、正のイメージ(生活を快適に、環境を守る)のどちらもイメージが強い層ほど、動画を見た後でイメージが変わったと答える比率が大きい。これらの調査結果をもとに、ごみ処理施設に負のイメージを持っている人のうちどのくらいの人に影響を与えられたかを試算した。
著者
福岡 雅子 花嶋 温子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.26, 2015

筆者らは、前回の研究発表で取り上げたインターネット動画「恋するフォーチュンクッキー 関西のごみ処理施設Ver.(https://youtu.be/n4DAJpPvlDk)」に引き続き、新たなダンス動画を作成した。大阪府・兵庫県内にある焼却施設、資源化施設、最終処分場などのごみ処理施設11カ所をロケ地とし、そこに関わる人達180人を踊り手に迎えた、ごみ処理施設全体のイメージアップのためのダンス動画である。前作を超える動画を製作するべく、新たな挑戦も試み、「心のプラカード 関西のごみ処理施設 Ver.(https://youtu.be/ Wi-MmoZFCv8)」を完成させた。 発表では、動画の着目点、1作目と2作目の比較、ダンス動画作成の効果に関する考察などについて、第2報としてインターネット動画のその後を紹介する。
著者
花嶋 温子 福岡 雅子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

&nbsp;多数の自治体が「恋するフォーチュンクッキー」のダンス動画を製作し、インターネット上の動画投稿サイトで公開している。そして、その自治体のおすすめの場所をPRしている。しかし、自治体が製作するダンス動画に、ごみ処理施設が出てくることはなかった。そこで我々は、ごみ処理を担う処理施設を「恋するフォーチュンクッキー」のロケ地として、施設で働く職員やごみ収集担当者などと一緒にダンスを撮影し、動画を完成させて公開した。 <br>&nbsp;ごみ処理施設のイメージアップのために製作して公開した動画のその後について、視聴者などの反応を検証した結果を報告する。今回の動画配信は、自治体が公開しているごみ減量関連の動画などに比べて、再生回数が桁違いに多かった。また、「楽しい」「笑える」という反響が多かった。今回の経験で、廃棄物への認識を広報する際に持つべき視点を、いろいろな立場の人たちと共有したいと考えている。
著者
香坂 絵里 古市 徹 石井 一英 谷川 昇
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.274, 2008 (Released:2008-11-25)

本研究では、牛ふん尿に起因する河川と地下水汚染を推測するための流域内窒素収支モデルを構築する。そのために、対象領域内の土地利用(牧草地と牧場敷地)に応じた実際の窒素負荷量を推定するために現地調査及びヒアリング調査を行った。これら調査結果に基づき、対象流域をメッシュに分け、各メッシュ毎の水と窒素収支バランスを考慮し、3ヶ月平均と河川と地下水の全窒素濃度を推測した。以上の結果、(1)堆肥の野積みは、地下水窒素汚染に非常に大きな影響を及ぼすこと、(2)ふん尿の草地への大量還元(例えば25t/10a)により、地下水中全窒素濃度が上昇すること、その傾向は、特に春先の雪解け時顕著に見られることが明らかとなった。本モデルは、地下水中窒素濃度低減のための流域内の適正な家畜ふん尿の管理方策を検討するためのツールとなりうることを示した。
著者
武田 栄輝 佐藤 理夫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第20回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.123, 2009 (Released:2009-09-25)

バイオマスの利活用は、バイオマス・ニッポン総合戦略の閣議決定により、各地域で注目を浴びている。福島県では、家畜排せつ物の利活用を県内バイオマス利活用推進の重点施策の一つとして進めており、平成21年4月30日現在で同県内7市町村のバイオマスタウン構想書が公表され、いづれにも堆肥化とその利用推進が掲げられている。しかし、畜産廃棄物を取り扱うことから、堆肥化施設では環境負荷の悪臭の主要因となるアンモニアガス発生に留意しなければならない。そこで既にバイオマスタウン構想書を公表している同県大玉村堆肥センターの堆肥化施設の各工程における発酵温度や含水率、アンモニアガス等の測定を行い、アンモニアガス発生量の検証を行った。
著者
日下 英史 横井 惇
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.120, 2007 (Released:2007-11-23)

有機物の浮遊懸濁物質(SS)を多量に含む排水が閉鎖性水域に流入すると環境汚染につながることが問題となっている。このような排水中のSSが低濃度で含まれると従来の処理法ではエネルギーコストの問題も含めて処理が困難となる。そこで本研究では、効率良く浮遊懸濁物質を除去可能な浮選を用い、これらの排水中に含まれる有機懸濁物質を除去することを目的に、浮遊懸濁物質のモデル粒子として比較的多くの食品系排水中に含まれる澱粉を選定し、代表的な捕収剤を用いた場合の浮遊挙動について検討を行った。その結果、捕収剤としてSDSを用いた場合、全pH領域において澱粉粒子を分離することは困難であることが確かめられた。また、捕収剤としてDAAを用いた場合には、pH 3~8の領域において高い浮選回収率を示し、濃度240 ppmの場合において用水中の 澱粉粒子がほぼ完全に除去されることが確認され、有機排水中のSSの浮選による除去および濃縮の可能性が示唆された。