著者
関戸 知雄 ヌア・ファジリ アリフィアニ スリ マリアティ 土手 裕
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

近年、東南アジアでは、Waste Bank(ごみ銀行)と呼ばれる、資源回収方法の導入が報告されている。市民等が資源物をごみ銀行のオフィスに持ち込み、その代金を銀行のように預金できるシステムである。本研究では、インドネシア・マラン市での廃棄物資源回収に関する実態調査と、参加・非参加者の特性の違いを明らかにするためのアンケート調査を実施した。マラン市のBSMは、持ち込む資源物の内容や由来となるごみなどが、参加形態によって異なる特徴が見られた。現状では、このBSMによって回収されているごみ量は、埋立処分されている量のわずか0.3%以下である。しかし、参加者の割合から考えると、家庭での資源回収の仕組みが定着すれば、この量は大きくなり、埋立処分量削減に寄与するだろう。
著者
星野 高徳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.31, 2020

<p>戦前の東京市、大阪市、名古屋市では、近世以来の農村還元処分が重要な役割を果たしていたが、市営汲取、下水処理化については、異なる対応がとられ、汚物掃除費の水準に相違が見られた。東京市は部分的に屎尿の下水処理化が試みたものの、主に従来の農村還元処分を拡大することによって、屎尿問題の緩和を図っていたため、汚物掃除費は高い水準で推移した。それに対して、大阪市は汲取処理は根本的な解決策にならないと考えたため、下水道、下水処理場による処理を目指し、汚物掃除費ではなく、下水道整備に対する費用を充実させていた。名古屋市は下水処理と農村還元処分を併用することにより、衛生面と財政面の双方の問題に配慮しており、汚物掃除費は大阪市より高い水準で推移した。3市の政策に相違が見られた要因としては、①下水道の敷設、屎尿の運搬に関係する地勢の違い、②大阪市の関一のようなリーダーシップを持った市長の存在が挙げられる。</p>
著者
Baek Ye-Seul Lee Jai-Young Park Kyung-Joo Park Ji-Hye Lee Hyun-Goo Oh Seung-Jin Kim Jong-Bin
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.321, 2010

There is limitation for landfilling municipal solid waste(MSW) because of the narrow country and high population density in Korea. However, the generated quantity of the waste increased according to the population growth and mass production and consumption. So, Korea aims the waste minimization by recycling and reusing resources. If the waste dumps after incineration, it can use more long time.Whenever se design the incinerator, it has to know about waste using three components and heating value. Generally, there are three values such as combustible components, moisture, ash. In this study, the authors analyze by Korea Standard. The sampling points are Incheon, Gyeonggi, North part of Han river, South part of Han river, and there is mixed samples with each area. The authors sample from each point more than 100kg. And then the samples were measured bulk density and sorted 10 kinds of waste.The average bulk density of 5 sampling points is 94.86 kg/m3. The most of waste have large part of combustible components except the food waste and other combustible waste. As you know, the plastics have the highest heating value. The value of highest heating was calculated 8,094.96 kcal/kg and the value of lowest heating was calculated 7,686.31 kcal/kg by Dulong equation. Also the food waste has lowest heating value. The value of highest heating was calculated 3,963.69 kcal/kg and the value of lowest heating was calculated 3,192.46 kcal/kg by Dulong equation.
著者
山本 勝彦 三沢 真一 肥塚 和彦 三村 良平
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.195-203, 2000-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
23
被引用文献数
2

本実験は, RDFの利用用途の開発を目的として, 木材や石炭の燃料精製に適用されている炭化工程により, 家庭系可燃ごみから製造されたRDFを炭化物とした。この結果, 炭化物の容積は, ごみ段階から1/10~1/8に減少し, 重量ではごみ段階の1/8~1/6に減少した。また, RDFからは容積, 重量ともに約1/3に低下した。もう1つの炭化処理の効果として, RDFに含まれる塩素が熱分解により塩化水素として分離され, RDFの塩素含有量が61%削減された。炭化物には植物が必要な微量成分が含まれており, 有害物質の含有量も溶出量も少ないことから, 土壌改良材として使用できることが明らかとなった。炭化物の塩素含有量を削減するため, 粉砕した炭化物を水洗し, 温水 (80℃) と水蒸気 (115℃) で洗浄することにより, RDF中の塩素含有量は最終的に90%以上が除去された。この実験から, 以下の3点がRDFを炭化処理する利点として得られた。第1には, 広域化処理を念頭に置いた場合, 炭化物はごみ輸送あるいはRDF輸送から炭化物輸送に転換することにより輸送効率を改善できることであり, 第2はRDFより塩素含有量の少ない燃料として利用できることさらに, 第3は炭化物は土壌改良材に利用できること, である。
著者
小林 潤 石原 賢人 樋口 剛志 倉持 秀敏
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

廃棄物由来のBDFおよびガス化ガスを燃料とするデュアルフューエルディーゼル(DFD)発電を最終目標として、廃棄物ガス化ガスの模擬ガスを用いたDFD発電を行い、その燃焼挙動およびエネルギー変換特性について検討を行った。なお、実験には市販の非常用小型ディーゼル発電機を用いた。また、主要燃料には2号軽油を用いた。実験の結果、模擬ガスを用いることで軽油消費量が低減することが明らかとなった。しかし、排ガス中に一部未燃分も確認され、今回の条件では気体燃料が完全に燃焼していないことが示された。
著者
矢田 喜大 松浦 真也 前川 明弘 立野 雄也 徳本 勇人 川岡 孝督 神嵜 康之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.217, 2020 (Released:2020-11-30)

近年,有機性廃棄物を発酵させ,得られたバイオガスを燃料として発電を行うバイオガス発電が注目を集めている.バイオガス発電事業においては,投入した廃棄物とほぼ同量の発酵残渣(以下,消化液とする)が発生する.消化液は窒素成分を含有するため,一部は液肥等として活用されるが,肥料の需要変動や臭気等の問題から排水処理が行われる場合も多く,その際には窒素含有量を排水基準値以下に低減させる必要がある.本研究では,消化液の窒素成分濃度を低減させるため,多孔性を有する天然鉱物や廃棄物を吸着材として用いる手法について検討を行った.併せて,消化液中の菌叢の変化や存在する菌種を確認するために,菌叢解析を実施した.その結果,天然ゼオライト,竹炭及び活性白土を吸着材として用いると,消化液のアンモニア性窒素濃度が減少することや,吸着材の投入により消化液の菌種が大きく変化しないことなどが確認できた.
著者
高橋 惇太 葛 甬生 楠本 勝子 西村 隆司
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.357, 2020 (Released:2020-11-30)

近年開発・実用化が進められている嫌気性アンモニア酸化反応による窒素除去は、特にBOD/Nが低い廃水に対し、従来の循環式硝化脱窒法と比べ省エネルギー、低コストな処理であることから、浸出水中のアンモニア性窒素の除去方法として期待されている。本稿では、焼却残渣や汚泥の埋立て処分を中心とする産業廃棄物最終処分場にて2018年度8月から稼働中の、部分亜硝酸化と嫌気性アンモニア酸化から成る2槽型の窒素除去プロセスDENIMOX®について、運転経過を報告する。 2018年度8月〜2020年度6月までの運転経過により、浸出水のNH4-N濃度の変動や処理水量の増加に対し、部分亜硝酸化、嫌気性アンモニア酸化ともに安定的に維持されていることが確認された。本結果より、浸出水処理において嫌気性アンモニア酸化により安定した窒素除去が可能であることが示された。
著者
小山 光彦 シュクリ ファディル 戸田 龍樹 トラン クイン ザイヌル カマル シャズニ 中崎 清彦
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.201, 2020 (Released:2020-11-30)

本研究は、エビ養殖池汚泥のアンモニア変換プロセスの高効率化に有用な知見を得ることを目的として、異なる養殖池汚泥の高温好気発酵処理におけるアンモニア回収ポテンシャルを比較するとともに、次世代シーケンサーによる菌叢の網羅的な解析ならびに機能予測解析をおこなった。エビ養殖池汚泥からのアンモニア回収ポテンシャルは、汚泥の有機物濃度に大きく依存することがわかった。汚泥の微生物分解において、非溶存態窒素画分を溶存態化する過程がプロセスのボトルネックであることが窒素収支により明らかとなった。菌叢解析ならびに機能予測解析により、ペプチドグリカンや難分解性有機窒素の分解が有機態窒素の溶存態化の制限要因となっていることが示唆された。今後、これらの有機態窒素分解酵素を分泌する微生物を接種することにより、養殖池汚泥の分解・アンモニア変換の高効率化が期待される。
著者
阿部 清一 川本 克也 倉持 秀敏 大迫 政浩
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

溶融技術は、1,300~1,400℃の高温炉内で処理固形物を塩化物や可燃物と共に溶かし、Csを塩化揮発等により高効率に揮散分離して溶融飛灰中に濃縮できる技術である。前報では、草木類を含む土壌を対象として、大型テストプラントを用いた溶融試験を行い、Csを高効率で分離できることを確認した。そこで、本報では、処理対象の範囲を広げ、バイオマス焼却灰、下水汚泥焼却灰及びそれらと土壌の混合物について同様の実証試験を行い、以下の結果を得た。<br>① 対象物種によらずCaCl2添加により塩化揮発が起こり、全条件において95%以上、最大99.9%のCs揮散率が得られた。<br>② 二段BFの適用により、Csは少量のNo.1 BF灰に高濃度濃縮できた。また、それは水溶解しやすい性状であった。<br>
著者
中嶋 聡 松丸 詩琳 鈴木 実
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

現在、実用レベルに達しているフロン類の分解技術では、有害な副生物の生成やランニングコストが高いこと等の問題があり、フロン類を安価でかつ環境に優しい方法で分解する技術の開発が期待されている。<br> 前述の背景から、我々は、バイオマスや廃熱をエネルギー源とする廃蒸気衝撃波を利用してフロン類を瞬時に分解する技術を開発することを目指している。本研究では、標準型及び爆轟駆動型衝撃波管を用いて、処理温度、試料ガス中水蒸気濃度を主な変更パラメータとしてフロン類の系統的な分解試験を実施中である。<br> 標準型衝撃波管を用いて、フロン12の分解試験を実施した結果、処理温度約950Kで最大62vol.%の分解率が得られ、爆轟駆動型衝撃波管を用いた場合、処理温度約3400Kで最大99.9vol.%の分解率が得られた。また、水蒸気添加率の増加に伴ってフロン12の分解率が顕著に増加することがわかった。
著者
長田 文夫 永井 和代
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.19-29, 2009

ポリ塩化ビニル59.2%,フタル酸ジオクチル (以下DOPと略する) 29.7%,その他安定剤約12%から構成される軟質ポリ塩化ビニル (以下軟質PVCと略する) と,硬質ポリ塩化ビニルレジン (以下硬質PVCと略する) を,NaOH溶液濃度2~16mol/L,マイクロ波加熱により,反応温度100~200℃,反応時間0~1時間で処理し脱塩化水素挙動を調べた。この時,梱包時に使用される緩衝材のポリウレタンを0~0.2gそれぞれ添加した。反応温度190℃,2mol/L NaOH溶液,ポリウレタン0.02g添加,反応時間30分にて塩化物は98%除去でき,残渣は炭素と水素の化合物に転換されていることがわかった。反応後のNaOH溶液中から有機系アミンが検出され,ポリウレタンの加水分解由来のものと推察された。アミンにより脱塩化水素反応が促進されたと推測されるため,反応温度190℃,2mol/L NaOH溶液,反応時間30分にて,水和ヒドラジン,アンモニア水,トリメチルアミン,2-アミノエタノールを同様の条件で添加し脱塩化水素挙動を調べたところ,塩化物はそれぞれ最大99.6%,94.6%,96.3%,92.9%除去できることがわかった。アミンが共存することで,既知の方法よりNaOH水溶液の濃度は1/8の2mol/L NaOH溶液で行え,反応温度を下げることができ,脱塩化水素に有効であることがわかった。
著者
松藤 敏彦 HAM Robert K.
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.149-157, 1991
被引用文献数
3

ごみ処理を適正に行なうには, 処理対象となるごみの質・量に関する情報が必要である。本研究では家庭から発生するごみに注目し, ともに生活水準は高いがライフスタイルの異なる日米両国でごみの組成分析調査を行ない, 組成別原単位を比較した。比較を意味のあるものとするために, 1) 似通った特性を持つ札幌とマジソン (ウィスコンシン州) を選び, さらにその中から一戸建て住宅地を調査対象地区とし, 2) 同様の調査方法を用い, 3) 両都市のごみの定義の違いを考慮して, リサイクルを含めたすべてのごみの量を推定した。<BR>その結果, 札幌に対して, マジソンの一人あたりごみ発生量は, 紙類は約2倍, 厨芥は2分の1.であったが, yard waste (庭ごみ) を除くと合計量に大きな差は見られなかった。また, 両都市ともリサイクル率は20%前後であった。
著者
北村 亨
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.210-214, 2017-05-31 (Released:2019-11-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1

近年,長寿命化や高齢者のみの世帯の増加が進む中で,遺族にとって遺品整理が困難な状況が増えていると考えられ,それとともに遺品整理ビジネスが事業化されてきている。本稿では,遺品整理業者をめぐる状況および遺品廃棄物の運搬・処分と廃棄物処理法における業の許可との関係について述べるとともに,遺品廃棄物の運搬・処分を自治体の一般廃棄物処理計画の中に位置づける必要性を指摘した。その上で,対応の可能性として,① 直営による運搬・処分,② 一般廃棄物収集運搬許可業者による家庭系一時多量廃棄物の収集・運搬についての特例容認,③ 遺品廃棄物の収集・運搬に対する限定許可の付与,④ 一定の条件の下で,遺品整理事業者による遺品の収集運搬を例外的に容認する国のガイドラインの策定,の 4 つを示した。そして ④ のガイドライン素案を提案した。最後に高齢者の立場から,生前整理を容易にするための廃棄物行政上の課題について述べた。
著者
松原 ひろみ 石井 明男 ピーター シルベストロ ハッサン ナシア デービット ルバン ピティア アルフォンス
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

2011年7月に独立した南スーダン共和国の要請により、JICAによる廃棄物管理能力強化のための技術協力プロジェクトが実施されている。しかし、プロジェクトの対象となるジュバ市では、廃棄物管理を実施する上で不可欠なデータが十分に蓄積されていなかった。そこで本調査では、実測値と聞き取りによって収集したデータを用いて、人口、ごみ量・質といった廃棄物管理に必要なデータをまとめた。人口は最小値として認識するとして推定値を設定した。ごみ量は、実測調査により原単位を求め、人口の推定値とともにジュバ市における住宅地でのごみ発生量を推定した。また、ごみ質調査により、重量及び容量のいずれの場合でも、有機物及びプラスチックでほとんどが占められており、特にプラスチックの排出量は先進国並みの割合であることがわかった。最終的には南スーダン側がこういったデータを活用して今後の運営や将来計画を策定することを期待する。
著者
小林 紀子 森岡 幹夫 小宮山 鉄兵 伊藤 豊彰 三枝 正彦
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.150-154, 2008 (Released:2009-03-03)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

山形県の農家および堆肥製造センターでつくられた家畜ふん堆肥87点 (牛ふん堆肥77点,豚ぷん堆肥6点,鶏ふん堆肥4点) のケイ素含量とその簡易推定法を検討した。1) 牛ふん堆肥のケイ素含量は,12.1~307.8g kg−1乾物 (以下DW),平均が95.4g kg−1DWであった。豚ぷん堆肥のケイ素含量は,9.5~79.6g kg−1DWで平均34.1g kg−1DW,鶏ふん堆肥のケイ素含量は,2.4~36.1g kg−1DWで平均16.8g kg−1DWであった。2) 牛ふん堆肥の炭素含量 (x) とケイ素含量 (y) の間には,y = −0.75x + 354 (r = −0.904) で両者の間に0.1%で有意な負の関係が得られた。また,牛ふん堆肥の灰分含量 (x) とケイ素含量 (y) の間においても,y = 0.44x −39.8(r = 0.970) で0.1%で有意な正の関係が得られた。よって,敷料や副資材に籾殻,わら類,もどし堆肥が使用されている牛ふん堆肥のケイ素含量は,炭素や灰分含量から推定することができると考えられた。
著者
松原 斎樹 澤島 智明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.101-107, 2009 (Released:2013-12-18)
参考文献数
6
被引用文献数
1

日本の木造住宅の寿命が短いことはよく知られている。本稿では,住まいの寿命と建物の環境性能との関係について論じる。高断熱高気密住宅は,断熱・気密性能が高いという意味であって,風通しの良くない家ではないが,一般的には誤解も少なくない。本稿では,断熱気密性能の違いと住まい方の関係に関する実態調査結果を紹介する。冬期には,断熱気密性能の向上は生活の質の向上につながっているが,夏期には,必ずしも向上するとはいえない。また,断熱気密性能は住まいの評価基準として重要ではあるが,多くの評価基準の一つに過ぎない。住まいの寿命を長くするためには,断熱気密性能も含めた評価基準の総合的なバランスの良さが重要である。
著者
寳正 史樹 辻 英一 仲井 文彦 杉村 裕康 佐藤 淳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.321, 2019 (Released:2019-11-20)

「焼却残さの資源化」は、最終処分場の確保が困難な国,地域において特に重要である。溶融技術は1,300℃の高温処理により焼却残さをスラグ、精錬原料(メタル、溶融飛灰)に転換する資源化技術である。溶融炉の燃料費低減は,「焼却残さの資源化」コスト低減に向けた重要な課題である。 一方,海洋プラスチック(プラ)問題,プラ輸入国の禁輸政策,バーゼル条約改正により「廃プラの国内処理・資源化」は各国共通の課題となった。高塩素濃度,複合材料,頑固な汚れなど材料リサイクルが困難な廃プラの有効利用は重要な課題である。 焼却残さ溶融炉における廃プラの助燃材利用は,「廃プラの国内処理・資源化」及び「焼却残さの資源化」コスト低減を同時に実現する技術である。浦添市クリーンセンターでは2017年より実証試験を経て廃プラの助燃材利用を開始した。本報では廃プラ助燃材利用前後の延べ308日間の実炉操業データを評価したので報告する。
著者
李 志霞 林 宏飛 山崎 仲道 上高原 理暢 井奥 洪二
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.361-370, 2009 (Released:2010-01-13)
参考文献数
20
被引用文献数
1

未利用スギ材の有効活用技術の開発を目指し,新規反応媒体である過熱水蒸気を用いて,100~200℃の飽和蒸気圧以下の圧力条件下で抽出温度,時間,水蒸気圧を変化させ,スギの葉から有機成分の抽出を行った。抽出温度100℃と比較し,170℃では約5倍の収率が得られた。また,水蒸気圧力が高く,抽出時間が長いほど収率は上昇した。抽出物については,温度および水蒸気圧が高いほど,分子量の大きい有機物質 (セスキテルペンおよびジテルペン) の抽出が促進された。さらに,ディスク拡散法を用いて18種類の土壌菌に対するスギ抽出物の生育抵抗性を調べた。温水および有機溶媒による抽出物と比べ,過熱水蒸気による抽出物は,カビおよび放線菌に対して優れた抗菌活性を示した。抽出物をGC-MSおよびGC-FIDで分析した結果,モノテルペンやセスキテルペン類が,これらの抗菌活性に関与していると考えられる。過熱水蒸気抽出は,抗菌活性成分の選択的抽出に有効であることがわかった。
著者
大迫 政浩 山田 正人 井上 雄三 金 容珍 朴 政九 李 東勲 吉田 悳男 野村 稔郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.256-265, 2001-11-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
30
被引用文献数
3 2

韓国では, 都市ごみ焼却主灰 (以後主灰と略す) からの鉛の溶出濃度が判定基準に適合しないために, 埋め立てできない状況に陥っており, 深刻な問題になっている。その原因を明らかにするとともに, 日本の主灰においても同様の問題が生じていないかを明らかにするために, 韓国の都市ごみ焼却施設に野積み保管されている主灰を採取し, 日本の施設からも主灰試料を採取して, 含有量試験, 環境庁告示13号法による溶出試験およびpH依存性試験を実施した。試験結果に基づいて, 日韓の主灰の重金属類含有量および溶出量を日本を中心にした文献データと比較検討した。その結果, 韓国の試料で鉛 (Pb) の溶出濃度が高い原因は, アルカリ・アルカリ土類金属の含有量が高く, それらの酸化物等の溶解によってpHが高くなったためであると考えられ, 文献データを基にした考察から, 日本の主灰でも同様の現象が起こっていることがわかった。韓国において埋立を法的に可能にするためには, 埋立前にエイジングを行う方法などが考えられる。日本では主灰に対する溶出基準はなく, 今後の埋立処分および有効利用の観点から適切な対策を講じる必要がある。
著者
藤森 崇 吉川 達也 高岡 昌輝
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.173, 2015 (Released:2015-10-20)

近年、余剰ブラウン管が大量発生し、高濃度に含有している鉛(Pb)を除去し無害化する処理が必要である。また、代替として流通している液晶ディスプレイには、消泡剤としてヒ素(As)またはアンチモン(Sb)が含まれる。先行研究では、ガラス製品中Pb, As, Sbを除去する方法として塩化揮発法を適用し、揮発除去および溶出抑制効果が認められた。他方、有害性が懸念される臭素化難燃剤のひとつであるテトラブロモビスフェノールA(TBBPA)を臭化剤として利用した臭化揮発効果の報告がある。また、都市ごみ焼却飛灰は、一般的に高濃度で塩素を含有しているが、塩化剤としての適用研究例は見当たらない。本研究では、TBBPAおよび焼却飛灰の臭化剤、塩化剤としてのガラス製品中Pb, As, Sbへの適用可能性を実験的に検討することを目的とした。同時に、揮発処理後ガラス製品残渣からの溶出特性評価も実施した。