著者
清水 芳忠 若倉 正英 新井 充
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.77, 2007 (Released:2007-11-23)

貯蔵を目的とするか否かにかかわらず,堆積された廃棄物は内部に熱を蓄積する可能性があり,悪条件が重なった場合には大規模な火災事故に発展することも少なくない。これは,野積みされた余剰の廃棄物だけではなく,廃棄物を燃料として再利用する目的で製造されている,ごみ固形燃料(RDF)や木質系バイオマス燃料の貯蔵時においても事故例が報告されている。これらの堆積廃棄物火災の抑制や廃棄物の蓄熱発火危険性評価手法の構築を目指し,さまざまな廃棄物について初期発熱の起こる条件や発熱が蓄積する過程,酸化反応の開始温度や促進される条件など,各種熱分析や化学発光測定を利用して検討を行った。
著者
杉原 英雄 谷口 暢子 上原 伸基 臼井 勝久 内田 博之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

<br>防府市クリーンセンターは、一般廃棄物を焼却処理するごみ焼却施設にメタン発酵処理するバイオガス化施設を併設した「ごみ焼却・バイオガス化複合施設」である。混合収集されたごみを機械選別し、隣接施設から受入れた下水、し尿汚泥と混合してメタン発酵を行い、得られたバイオガスを用いて高効率なごみ焼却発電を実現している。<br>2014年4月から商用運転を開始し、これまで安定的な処理を継続しているが、日常運転の中では複合施設特有の問題が発生することがあるため、都度対策を講じ解消することで、より効率的な運用を図っている。本稿では、バイオガス化施設から排出される発酵残渣の焼却処理に関する改善事例について報告する。
著者
小野 芳朗 山田 正人
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.156-169, 1999-03-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
38
被引用文献数
1

内分泌攪乱化学物質をはじめとする有害な化学物質が廃棄物処理・処分システムで検出される。これらのリスクを評価し, 管理するための方法論を提示した。まず, 化学物質がヒトにおよぼす影響を確定するためには, 古典的なリスクアセスメントを実施し, 規制値をつくっていかねばならないことをU.S.EPAの例示をしながら解説した。そして, 廃棄物システムにおけるリスク管理の優先性を決めるために, 残留性, 生物濃縮性そして毒性を有する化学物質のスコアリングによる選択法をEPAの提案から紹介し, さらにわが国における文献上知られた処分場浸出水中の有害化学物質のリストアップを図り, モニタリングの重要な物質を示した。さらに, 環境試料のような混合物中に含まれる未知の毒性物質の評価法に関して早期警戒システム, ガイドラインとしてのバイオアッセイの適用性を論考した。
著者
西谷 隆司 山内 淳行 永山 貴志
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.347-357, 2010 (Released:2015-01-27)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

わが国では,経済成長が進む中で急速に増大し続ける都市ごみを適切に処理するために,焼却処理がその中心的な役割を担ってきた。しかし,資源の消費と環境の負荷への限界が意識され,社会の持続的発展が危ぶまれるに至り,それまでの社会全体のシステムの転換が迫られることとなった。各自治体においても,分別等の導入が急速に広がった。焼却ごみの量と質も,導入された分別等の施策に応じて変化することとなり,ごみ焼却施設の役割についても,システム全体の中で検討される必要がでてきた。そこで,分別等を先進的に取り組んでいる自治体でのごみ量やごみ質の変化を整理し,分別等の施策が焼却ごみにどのような影響を及ぼすのか推計した。その結果,今後10年で,焼却ごみ量は20%程度の減量となり,その組成については可燃ごみが減少するが,発熱量は8,000kJ/kg程度までの減少にとどまると見込まれた。
著者
五十嵐 政成 亀田 知人 吉岡 敏明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第20回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.132, 2009 (Released:2009-09-25)

水素発酵では高基質濃度条件において副産物として水素生成が伴わずに乳酸が多量に生成される.そこで本研究では,乳酸を基質とした水素生成反応の最適条件を求めることで,高基質濃度での水素発酵における水素生成効率の向上を目的として,乳酸を出発原料とした水素発酵について生成効率の向上を目的にpHの影響を検討した.種菌源として東北大学青葉山キャンパス内の土を,基質として乳酸ナトリウムと酢酸ナトリウムを用いた.水素生成量は,初期pHを6として菌体を培養した後にpHを5とした実験で最大となり,乳酸200 mmolから120 mmol生成された.水素生成はプロトン濃度の大きい低pH条件で有利であったが,pH 5未満では生成されなかった.これは乳酸の分解によって生成した有機酸が低pH条件では非解離型として存在し,それらが菌体内に侵入し菌体の活動を阻害したためと考えられる.また,既往の乳酸分解反応に比べ水素生成効率の高い反応の存在を示唆した.
著者
天本 優作 明戸 剛 今井 敏夫 三浦 啓一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第24回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.321, 2013 (Released:2014-01-21)

下水の水からリンを回収する技術は,HAP法,MAP法などが実用化されている.しかしながら,これらの方法で回収することができるリンは,全体の30%にとどまる.一方,下水汚泥焼却灰に炭酸カルシウムを添加して焼成すると,特性の優れた肥料が得られることが判明している.両者の技術を併用すれば,下水の中のリンの90%以上が,肥料として有効に再資源化できる.
著者
肴倉 宏史 仲川 直子 前田 直也 角田 康輔 水谷 聡 遠藤 和人 宮脇 健太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.399, 2014 (Released:2014-12-16)
被引用文献数
1

水素イオン濃度指数(pH)は,有害物質である重金属等の挙動に大きな影響を与えるだけでなく,その変化自体が生態系へ多大な影響を及ぼす。海水のpHは約8.1で安定しているが,都市ごみ焼却灰,廃コンクリート,製鋼スラグなど,廃棄物や副産物の中には水と接触すると高いアルカリ性を示すものが多い。これらは最終処分やリサイクルのために海面に投入される場合があり,その際に,海水のpHに影響を及ぼす可能性がある。ただし,海水は,外的なpH変化の要因に対して緩衝能力を有しており,pH変化の幅は蒸留水等よりも小さいことが知られている。そこで本研究では,海水のpH緩衝能力のうちの、水酸化物イオンの添加に対するモデルを構築し,緩衝のメカニズムについて考察を行った。
著者
上村 繁樹 大久保 努 多川 正 大野 翔平 荒木 信夫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.303-312, 2017
被引用文献数
1

インドネシア,ジョグジャカルタのスクナン村では,住民による革新的なごみマネジメント・システムが運営されている。住民は,家庭ごみを,プラスチック,紙,金属・ガラス,生ごみに分別し,資源ごみは売却され,生ごみはコンポストにされて肥料として利用されている。また,プラスチック袋等のごみから作られた工芸品 (エコ雑貨) を生産・販売するなど,さまざまな工夫を凝らしたリサイクル活動がなされている。この活動によって,村に収入が入るだけではなく,村の生活環境も大幅に改善された。本稿では,この地域密着型ごみマネジメント・システムの詳細を紹介するとともに,途上国の農村における廃棄物管理のあり方について考察する。
著者
布浦 鉄兵 Michael J. Antal
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第17回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.245, 2006 (Released:2006-10-20)

炭化処理は、固形有機系廃棄物の無害化及び減容化を達成することが可能な技術である。また、生成した炭化物は長期保存が可能でありかつその利用用途も広範であることから、炭化処理は有効な廃棄物処理技術の一つとして研究・実用化されている。更に、化石燃料の枯渇が世界的に懸念されている近年、廃棄物からの代替燃料回収という観点からも、炭化処理は着目されている。 米国ハワイ州のハワイ大学では近年、Flash Carbonizationと呼ばれる新規な炭化技術を用いて、キャンパス内で発生する樹木等の有機系廃棄物を集約して炭化し、炭化物を代替燃料、土壌改良剤、吸着剤等として販売するプロジェクトを立ち上げている。本稿では、ハワイ大学における上記Flash Carbonizationプロジェクトの取り組みと、生成炭化物の新規利用技術として同大学ハワイ自然エネルギー研究所において研究開発が行われているバイオカーボン燃料電池とについて報告する。
著者
貴田 晶子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.363-374, 2011 (Released:2016-09-14)
参考文献数
22

国連環境計画 (UNEP) の進めている水銀条約の中での重要課題の一つである水銀の大気排出量について,既報およびUNEPの報告をまとめるとともに,日本における排出量推定値を概説した。また過去の採掘量,消費量も併せて示した。1900年からの世界の採掘量55万tonのうち,日本は1956年以降2.7万tonを消費し,1970年代に世界の1/5を消費した時期もある。水俣病の発生原因でもあり,UNEPの水銀プロジェクトのきっかけとなった極地への移動とそれに伴う食物連鎖の高位にある生物群への高濃度蓄積の事実に鑑み,日本の責務が求められる。世界の水銀排出量は年間1,930ton (1,220~2,900ton) と推定され,そのうちの56%をアジアが占めている。現在の採掘量1,300tonよりも多い量が大気排出されていることになるが,これは水銀使用製品以外に,不純物として原燃料に含まれるものの熱処理による大気排出量の寄与も大きいことがあげられる。日本の水銀の大気排出量は21.3~28.3ton/年と推定された。日本の特徴として,世界では石炭火力が45.6%と排出源としてもっとも大きな寄与があるのに対し,日本ではセメント製造 (31~42%),非鉄金属精錬 (2~13%),鉄鋼・製鉄 (14~19%) など製造業からの排出量が約60%を占めている。化石燃料燃焼は10~14%であり,世界全体に比べて日本での寄与は小さい。また廃棄物焼却全体は8~12%であり,下水汚泥焼却・医療廃棄物焼却,産業廃棄物焼却がほとんどを占め,一般廃棄物焼却は1%程度であった。一般廃棄物焼却では入口で,電池等,水銀不使用製品が普及したこと,また焼却炉内部では2000年前後にダイオキシン類対策のために集じん装置がバグフィルターに換わり,活性炭吹込も行われていることが,水銀排出量が小さい理由と考えられる。水銀排出量については,1980年代半ば以前には焼却ごみ中に1~2mg/kg程度あった可能性があり,また電気集じん機が主たる集じん設備であった当時の水銀排出量は年間30~60tonあった可能性がある。
著者
上原 陽一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.156-163, 1992-07-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
5

特定管理廃棄物の概念の基本となった国連の危険物の輸送に関する勧告のうち, 危険物の分類と性質について概説するとともに, 国内法である消防法危険物の分類, 性質, 試験法, 指定数量および規制の方法についても解説した。
著者
安田 憲二
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.432-437, 1997-09-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

廃棄物の焼却処理にともなうCO2, CH4およびN2Oの排出状況について調査, 検討を行った。その結果, 1993年度における廃棄物焼却炉からのCO2排出量は12, 653Gg-C (46, 395Gg-CO2) と推定された。これは同年度の人為発生源全体の約3.6%.に相当している。また, 1993年度に廃棄物焼却炉から排出されたCH、の量は13.1Gg-CH4と算定された。この排出量は人為発生源からのCH4排出量に対して僅か1%を占めるにすぎない。廃棄物の焼却にともなうN2Oの排出については, 汚泥焼却時に高濃度となった。炉形式別では, 流動床炉で濃度が高くなる傾向が認められた。1993年度における廃棄物焼却炉からのN2O排出量は7.6Gg-N2Oと推定され, 同年度における人為発生源全体の約10%近くを占めるなど, 排出割合が他のガスの場合と比べて高かった。
著者
山崎 達雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.28, 2017

屎尿は、古くから肥料として利用されてきたが、西洋の知識が明治になって入ってくると、人糞中のアンモニアが飛散し、人の健康を害すると考えられるようになりました。勧業寮は、肥料としての利用を広げる狙いもあって、人糞に硫酸を注いで硫酸アンモニウムとして固定する乾糞製造を、明治9年(1876)4月に本所中ノ郷出村で行っています。勧業寮の乾糞製造は、既に農業経済史の視点から紹介されていますが、東京都の公文書等も含めて、乾糞製造と悪臭苦情について改めて論述し、廃棄物の処理の記録の重要性を再認識したい。
著者
岡野 多門 安本 幹 安東 重樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.94-105, 2010 (Released:2010-04-15)
参考文献数
46
被引用文献数
9 4

難分解性の海洋浮遊ごみの実態を漂着量から推測する適切な方法を開発するために,鳥取県の3海岸で2005年から2008年までに8回の堆積ごみ調査を行った。漂着物の種類は多く,砂浜上で不均一に分布しているため,範囲を500mとして定形物に限り,それを90種に分けて調べた。それらの排出分野を屋外民生,屋内民生,漁業,農業,医療に分類した結果,民生品が最多となった。しかし品目によって再流出や埋没による消失速度が異なるため,品目間の個数比から漂着個数比を推測することはできない。したがって漂着量の測定には漂着物を撤去する定期的なモニターが必須である。また迅速化のためには各排出分野を代表する数品目を選んでモニターすることが不可避である。また精度と効率を上げるために定義が明確で個数が多く見逃しの少ない品目の選択が重要で,水没や分解しやすい品目,および地域固有性の高い品目を選ぶと排出源に偏りを生むことに注意が必要である。
著者
磯辺 篤彦
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.270-277, 2018-07-31 (Released:2019-07-31)
参考文献数
31

東アジアや東南アジアから発生する大型プラスチックごみ (マクロプラスチック) は,世界の合計値の55%を占める。マクロプラスチックの海洋での移動は海流と風による。海洋に流出したマクロプラスチックは,海岸に漂着したのち,紫外線や物理的な刺激によって破砕され,プラスチック微細片 (マイクロプラスチック) となる。海洋に浮遊するマイクロプラスチックは海流とストークス・ドリフトによって輸送されるが,生物付着に伴う沈降等,表層からのさまざまな消失過程を伴う。マイクロプラスチックの行方,すなわち海洋での移動や消失過程を包括する海洋プラスチック循環の全容は,まだ解明されていない。
著者
立藤 綾子 平田 修
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.308-313, 2009 (Released:2013-12-18)

日本では一般廃棄物の最終処分場の多くにおいて準好気性埋立構造が採用され,焼却や破砕選別処理などの中間処理の発展によって,最終処分場の不要論が飛び交う昨今でも従前として最終処分場の主要な構造となっている。これは,本構造が浸出水の汚濁負荷の削減や廃棄物層の早期安定化等の最終処分場の維持管理の主目的である環境リスクの低減において,嫌気性構造よりも優位であるばかりでなく,建設および維持管理が比較的簡便であるためと考えられる。海外における本構造の適用は実施国に決定権があるため,実施国の政策決定者に浸出水浄化機能やメタン削減効果などの環境リスクの低減効果を理解してもらうことも重要であり,これまで本構造を採用した国々における水質およびガス質などの科学的データの蓄積を,実施国の研究機関と連携して行う必要がある。近い将来,準好気性埋立構造がコベネフィット (Co-benefit) CDM技術の一つとして国際的に評価されるための方向性と課題について報告する。
著者
信澤 由之 山谷 修作
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第20回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.20, 2009 (Released:2009-09-25)

伊勢市民に対するアンケート調査を通じて、全市的にレジ袋有料化を実施した時に市民がどのような意識を持ち、どのような行動をとるかについて把握することを試みた。調査の結果、次のような知見が得られた。(1)市民は環境貢献のために有料化を受け入れる、(2)現在の価格を高すぎると受け止める市民が3割程度おり、価格インセンティブが強く働く、(3)有料化はマイバッグ持参以外の環境配慮行動も誘発する、(4)有料化のマイバッグ持参効果は他の施策よりも大きい、(5)有料化反対者の多くは辞退時の値引きを希望する、(6)レジ袋の生ごみ用内袋としての利便性が高かったことから、市民はレジ袋に替えて商品としてのポリ袋を購入するとか他の袋で代用するなどさまざまな対応をしている。
著者
鈴木 剛 仲山 慶 前川 文彦 Tue Nguyen Minh 木村 栄輝 道中 智恵子 松神 秀徳 橋本 俊次
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.470-481, 2018-12-31 (Released:2019-12-05)
参考文献数
37

臭素系ダイオキシン類は,POPs 条約の規制対象物質ではないが,対象であるダイオキシン類と同様の特性を示すため,リスク管理の必要性が国際的に共有されている。国内では,環境省による臭素化ダイオキシン類の排出実態調査が実施され,臭素系難燃剤の decaBDE を使用する施設や含有製品を取り扱う施設で,ダイオキシン類の排出基準や作業環境基準を超過する値で検出されることが明らかにされた。臭素化ダイオキシン類の排出は,2017 年に decaBDE が POPs 条約上の廃絶対象物質となったことに伴い,動脈側で減少することが予測されるが,静脈側で含有製品の再資源化や廃棄を通じた排出が当面継続する見込みであり,引き続きその実態把握が必要である。DecaBDE の代替物使用の臭素系ダイオキシン類の排出への影響についても,今後の排出実態調査や関連研究で明らかにされることが期待される。また,臭素化ダイオキシン類の適切なリスク管理には,WHO と UNEP の専門家会合が指摘しているとおり,魚類・哺乳類毒性試験に基づく TEF を補完していく必要がある。