著者
沼田 大輔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第20回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.19, 2009 (Released:2009-09-25)

大学生活協同組合(以下、大学生協)の中には、弁当容器の回収にデポジット制度を活用しているところがある。本報告では、長崎大学生協における弁当容器デポジット制度について、具体的な仕組み、デポジット制度においてしばしば問題になる負の影響の状況を、視察および関係者の方々へのインタビュー調査をもとに考察し、次の特徴を見出した。(1)不燃ごみの量を減らせている。(2)システムをシンプルにできている。(3)未返却預り金および売上の観点からもデポジット制度に伴う負の影響を抑えられている。
著者
伊藤 和也 横山 亜希子 梅澤 俊之 町田 隼也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.291, 2019 (Released:2019-11-20)

ごみ焼却施設では、燃焼を安定化させるため、ごみピット内のごみ性状を均質化する撹拌等のクレーン操作が重要な役割を担っている。そのため,運転員が視覚的にごみ性状を認識して、均質化したごみを手動操作あるいは半自動にて焼却炉に投入しているのが実態である。当社では、「運転員の眼」を代替した機能を持つ自動クレーンシステムを構築すれば、運転業務の省力化が可能と考えた。そこで、まず「運転員の眼」の代替として、ディープラーニングを用いたごみ性状を把握するAIを開発した。そして、このAIの出力をクレーン制御へ組み込んだ自動クレーンシステムを構築した。実証実験の結果、クレーン業務の常時監視を必要としない自動運転が可能な事を確認し、自動運転率は約90%を達成した。本稿では、このAIを搭載した自動クレーンシステムの実用性や省力化への寄与について、本AIの精度検証や実証実験の結果を交えて紹介する。
著者
山崎 達雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.145, 2019 (Released:2019-11-20)

私達が排泄する屎尿は、下水道が整備される以前は、屎尿が肥料として有用であったことから、人力による運搬の外、高瀬舟等により、近郊農村にとどまらず、宇治や乙訓等まで運ばれ、古くから利用されていました。屎尿の運搬は、明治に入ると、博覧会等で入洛する外国人の目を気にしてか、厳しく規制され、特に、明治5年(1872)の日出1時間前に限る運搬時間の制限は、百姓にとって死活問題でありました。このため、屎尿の汲取・運搬の利便を図るため、汲取会社の設立が計画され、排出量の調査まで行われています。これらは、「京都府史」に記載されていますが、内容は断片的で、詳細が記述されたとされる京都府行政文書の「郡村掛庶務一件」は現存せず、実際に会社が設立されたのかは不明でした。汲取会社に関連する史料を、下鴨村の村長等を歴任した鈴木家文書等にみつけることができましたので、京都の廃棄物処理史の一断面として報告したい。
著者
多田 光宏 宮越 靖宏 辻 猛志 澁谷 榮一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第23回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.453, 2012 (Released:2013-07-08)

2011年3月11日に発生した東日本大震災によって引き起こされた福島第一原子力発電所事故により東日本の広範囲に拡散した放射性物質により、各種廃棄物や農業系副産物が汚染された。半減期が約30年と長いセシウム-137による汚染が現在大きな問題となっている。焼却処理は、減容化を図る上で極めて有効な手段ではあるが、放射性物質であるセシウムの挙動が明らかになっていない。そこで、セシウムの焼却処理における挙動を模擬した実験と理論的考察を行い、Csが揮発して飛灰に過度に移行しない方法として、SiO2含有酸化物を添加した効果について報告する。
著者
大迫 正弘 石井 明男
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第23回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.159, 2012 (Released:2013-07-08)

jJICA「ダッカ市廃棄物管理能力強化プロジェクト」における、伝統的に行政区画単位のコミュニティを有してこなかったダッカ市に行政区画単位のコミュニティを導入する試みは、いかに達成されるのか、またその過程において、伝統的な知(被援助側の固有の知(indigenous knowledge))はどのように活かされるのか、といった点を明らかにする前段階として、バングラデシュおよびダッカ市における住民参加型廃棄物管理の歴史に関する文献レビューを行ない、その歴史的背景の中にJICAダッカ市廃棄物管理能力強化プロジェクを位置づける。
著者
中井 八千代
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.288-294, 2010 (Released:2014-12-19)

現在の容器包装リサイクル法 (容リ法) は,発生抑制と環境配慮設計に切り替えるインセンティブになっていない。使い終わった後の処理責任を事業者がきちんと果たし,その費用は製品価格に内部化し,買って使う消費者が負担する仕組みの構築が必要である。「環境を守るためのコスト」を,きちんと消費者にメッセージとして伝え (見える化),生産者と消費者が各々の環境配慮責任を分かち合い,持続可能な社会をつくっていきたい。現在,国では市民が参加しやすく,かつ効率のよいプラスチックの資源化手法,容器包装以外のプラスチックのリサイクルが検討されている。店頭回収の拡充,ソーティングセンターの導入など,自治体と事業者の役割分担と連携の新たな発展を求めたい。容器包装の3Rを進める全国ネットワーク (3R全国ネット) は,積み残した課題を今度こそ実現させようと,容リ法の再改正に向けての市民案を発表している。
著者
中谷 隼 石野 隆之 栗栖 聖 花木 啓祐
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第22回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.21, 2011 (Released:2011-11-07)
被引用文献数
1

定量的な環境情報の提供が消費者の購買行動およびリサイクル行動に与える影響を解析し,リサイクル行動の促進可能性を検討した。ケーススタディとして,仮想的な弁当チェーン店におけるプラスチック製の弁当容器へのカーボンラベルの表示と容器の店頭回収システムを想定し,環境情報の提供や容器返却に対する消費者選好を,オンラインアンケートによる選択型コンジョイント分析を用いて定量的に評価した。また,コンジョイント分析の評価結果をもとに,容器へのカーボンラベルの表示や,容器返却によるカーボンフットプリントの減少の情報提供,容器返却への経済的インセンティブの付与(容器のデポジット)が,弁当の購入割合や容器の返却意思に与える影響をシミュレーションした。特に,容器を返却した場合と返却しなかった場合のカーボンフットプリントを併記することによって,消費者の自主的なリサイクル行動を促進する可能性について検討した。
著者
菅原 聖史 村上 進亮 山冨 二郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.23, 2012

近年、多くの使用済み家電製品が市中回収業者経由で回収されており、資源性の損失・散逸や不正輸出、輸出先での環境汚染等の問題を引き起こしている。リサイクルシステムには各ステークホルダーの多様かつ複雑な意思決定が含まれており、故に問題の解決に向けて施策を打つ場合には、それが各ステークホルダーの行動に及ぼす影響、及びその結果生じるシステム全体としての挙動の把握が必要不可欠である。そこで本研究ではマルチエージェントシミュレーションを用い、システムの複雑かつ多様なフローを再現した上で、各ステークホルダーの行動やシステム全体に対する施策の効果の定量的な検証を行った。結果として、家電エコポイント制度導入や消費者の環境意識の違いによる廃棄行動の変化について定量的に把握することができた。このようにステークホルダーの意思決定や製品のフローをモデル化し、定量的な分析を試みた点が本研究の最大の成果であると考える。
著者
浅利 美鈴 丸川 純 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.412-425, 2011 (Released:2016-12-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1

日本における使用済み小形電池の回収方法とその実態を把握し,回収・リサイクル検討に向けた基礎的知見を得ることを目的に,小形電池の回収率を推定した後,使用済み小形電池に関する自治体収集分類等に関する調査,消費者アンケート,小型家電製品からの小形電池取り外し実態調査を行った。その結果,日本における小形電池の回収率は26%と推定され,特に二次電池等は低く,欧州各国と比較しても,向上の余地があると考えられた。また,自治体における収集分類等は,自治体および電池間で統一されておらず,必要な情報発信も不十分と考えられた。小型家電製品からの小型電池取り外し実態に関する調査からは,特に二次電池を利用する小型家電製品について,ほとんど電池が取り外されずに捨てられていることが明らかとなった。これらの背景としては,アンケート調査より消費者の情報・認知不足や負担感が示唆され,検討を要する点が抽出された。
著者
高柳 達 中島 謙一 村上 進亮 橋本 征二
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.31, 2015 (Released:2015-10-19)

固定価格買い取り制度によって、自然エネルギーの開発及び利用が年々増加している。ここで太陽電池を例に取ると、その普及は、太陽電池パネルに必要なレアメタルの需要の増加や近未来における使用済み太陽電池パネルの排出の増加を意味する。したがって、使用済みパネルに含まれるこれら元素を有効利用できれば、資源安定供給の一翼を担うことにもなる。本研究では、太陽電池パネルおよび周辺機器に使用される元素の今後の需要量と太陽電池を完全にリサイクルするとした場合のこれら元素の供給量のバランスを2010〜2050年にわたり検討した。その結果、廃棄される太陽電池に含まれる元素の量がその元素の全体の需要量に対して大きいのは、Si、In及びTe等であった。周辺機器に利用されるAl、Cu、Fe などの汎用元素を回収しながら、合わせてSi、In及びTe等を優先的にリサイクルするようなシステムを検討することが有益と考えられた。
著者
阿部 新
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

自動車リサイクル法は,分別後の不要物の再資源化費用等を新車購入時にプールする仕組みであり,理論的に廃棄物の不法投棄による外部費用問題と不公正取引問題を防ぐことができる。しかし,この枠組みは中古車として輸出されるものは対象外であり,輸出先では外部費用問題と不公正問題は起こりうる。本研究では,自動車を事例として,中古品貿易を考慮した場合の廃棄物処理制度における政策研究の課題を考察する。まず,実際の自動車リサイクル法の枠組みにおいて,事前に支払うリサイクル料金が中古車輸出において返還される仕組みを説明し,日本などの輸出国はそのような料金の未返還政策のインセンティブがないことを示す。次に,廃棄物と中古品の違いを示し,中古品は廃棄物ではなく,その輸出において廃棄物の排出者責任の考え方を適用できないことを示す。さらに,拡大生産者責任の考え方が国境を越えて適用できないことを示し,方向性や課題をまとめる。
著者
高田 光康
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

災害廃棄物処理においては、初動対応の的確さがその後の処理の難易度を大きく左右する。関東東北豪雨における茨城県常総市と熊本地震における熊本の対応を例にして比較し、初動対応の重要なポイント、仮置場、協定、組合連携、計画、公報の5点(かきくけこ)を抽出した。これを今後の教訓として災害廃棄物処理の初動対応に活かすよう提言する。
著者
羽賀 育子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.381-385, 1999-11-30
被引用文献数
1

私たちは, 未来から借りている地球環境をこれ以上悪化させてはならないと考えている。しかし, 利便性を追い求める力は強く, あらゆる面で生態系を崩し, 環境を悪化させているのが現状である。<BR>この象徴ともいえるペットボトルをなんとか食品容器から外したい。今, 環境ホルモンの害が解明されつつある中で, 添加された化学物質は自然界に溶け出ている。使用をできるだけ減らすことが急務である。<BR>人間の遺伝子まで変化させてしまうかもしれないフタル酸エステルが至る所から検出されている現実を見据え, 永い年月使い続け安全性を確認しているガラスびんをリユースして使い続けたいと運動している。次に活動の一部を紹介する。
著者
半田 拓也 福岡 雅子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.23, 2012

市町村のごみ担当部局では,廃棄物の減量・資源化の方法として,家庭での食品廃棄物の堆肥化や水切りを啓発している。しかし,実際の堆肥化の可能性や水切りによる減量効果についてはよく把握しないまま啓発が続けられている場合が少なくない。そこで,家庭から排出される食品廃棄物の排出実態を,1袋ごとに展開して把握し,その結果を統計的に整理した。その結果,食品廃棄物はレジ袋に入れて排出されることが多く、未利用食品の排出が食品廃棄物の排出量の増加に寄与することがわかった。さらに,未利用食品の排出は,全体の2割の世帯で8割の未利用食品を排出していることがわかった。また,水切り袋を排出する際にレジ袋に包んで排出したり,二重三重に包んだりする割合が多いことがわかった。そこで,家庭へのごみ減量の啓発の際には,水切りを啓発すると同時に水切り後にレジ袋に入れずに排出することをPRしていくことが望まれる。
著者
岡野 多門 加藤 郁美
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.25-37, 2015

海に流出した浮遊ごみの一部は海岸に漂着するため,漂着量は各国での固形廃棄物の管理体制の指標となる。ここでは日本からのごみの流出抑制を目的として,鳥取県の8海岸の延べ4 km区間で,8年間半の毎月の漂着ごみ量を測定した。その結果,漁業ごみが最も多く,ロープ,フロート,20 Lプラスチック容器の3種の年間平均漂着重量は約65 kg/(hm・y) であった。日本製漁具は少なかったが,飲料や洗剤,調味料容器,耐圧缶,およびライターの民生ごみの年間平均漂着重量は約28 kg/(hm・y) で,その約半分が日本のごみであった。最も深刻な日本ごみは小型のペットボトルで,近くの河川流域と海浜周辺で投棄されていた。この2つの投棄地からの漂着数の比は大型ペットボトルとタブ型飲料缶を説明変数とする重回帰分析で推定できる。これは漂着数と海浜での投棄数を推定するための初めての方法で,実効性のある排出防止対策の実施に利用できる。
著者
岡野 多門
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

長崎県から鳥取県までの東シナ海および日本海側からのごみが漂着できる鳥取県の8海岸で日本からのごみ流出について分析した。漁業ごみはロープ,フロート,ポリタンクの3種の計の年間平均漂着重量は約65㎏/(hm・Y)であるが,日本由来と確認できる量は少なかった。民生ごみは次に多く,飲料や洗剤,調味料容器,耐圧缶,ライターの合計は約30㎏/(hm・Y)で,ここでは日本ごみが約半分を占めた。農業からは肥料袋が多いが,漂流過程で沈むため外国由来は少ない。日本の農薬プラ容器と肥料袋の年間平均漂着重量は0.8㎏/(hm・Y)であった。日本から流出する深刻なごみ種は飲料容器で,合計は156個/(hm・Y)で,民生主要9種の87%を占めた。小型ペットボトルは最も重大なごみ種で河川流域の陸域と海浜周辺で多く投棄され,そこからの漂着割合は大型ペットボトルとタブ型飲料缶を説明変数とする重回帰分析で推定できる。これによって的確な排出防止策の実施が可能になる。
著者
福岡 雅子 小泉 春洋 高月 紘
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 = Journal of the Japan Society Waste Management Experts (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.418-428, 2004-09-30
参考文献数
11
被引用文献数
2

本研究は, 2000年度から完全施行された容器包装リサイクル法に対応して市町村で分別収集が導入されつつあるその他プラスチック製容器包装について, 既に分別収集を導入した自治体の事例から, モデル実施および全市実施を行った場合の収集量原単位や収集ごみ質等の変化を把握し, 分別収集の方法等による違いを検討した。<BR>その結果, 行政区域全体で導入した場合 (全市実施) は, 行政区域の一部でモデル的に導入した場合 (モデル実施) に比べて収集量原単位が大きくなる傾向があることが明らかとなった。原因として, モデル実施と全市実施における住民啓発方法や住民への協力要請内容の違いが, 収集量原単位に影響を与えていることが想定できた。寝屋川市におけるごみ質分析結果でも, 全市実施時にはモデル実施時に比べて住民の協力が高まり, プラボトル, パック・トレイ等については, 重量で7割以上が適正に分別排出されることが確認できた。
著者
土村 萌 浅利 美鈴 築地 淳 酒井 伸一 ホール ビッキー
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.29, 2018

大洋州島嶼国では、都市での人口増加やライフスタイルの変化によりごみの多様化・大量化が深刻な問題となっている。特にプラスチックごみは海洋に投棄されると、サンゴ礁やマングローブ、漁業、海洋生物などの自然環境に影響を与える可能性がある。そこで、本研究ではサモアの家庭を対象にプラスチック製容器包装の消費と廃棄に関するアンケート調査を行うことによって、サモアにおける家庭の不適正管理プラスチック製容器包装排出量を推定した。その結果、不適正管理排出量は年間約670トンと推定され、特に屋外使用やポイ捨てが比較的高い割合でされるPETボトルやお菓子の袋、レジ袋には注意が必要であるということが分かった。また、不適正管理プラスチックごみ排出量は、都市よりも農漁村のほうが一人当たり年間で約1.3 kg大きいことが分かり、ごみ回収が十分でない農漁村でのプラスチックごみ適正管理も重要であることが示唆された。
著者
星野 高徳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.29, 2018

本研究の課題は、屎尿処理を改善する際に重要な論点になった肥料問題と衛生問題に注目し、行政や公衆衛生の研究者が、肥料の確保を重視する農村と衛生面の改善を重視する都市の双方にいかに配慮したのかを検討することにより、戦後日本における屎尿処理の特徴を明らかにすることである。<br>戦後になると、大都市を中心に下水道の建設が推進されることになったが、人口に対する普及率は低く、都市の屎尿処理は依然として農村還元処分や海洋投棄に依存せざるを得なかった。公共下水道の整備には多額の費用を要することから、戦後の日本では、農村部で厚生省式改良便所と糞尿分離式改良便所を使用した農村還元処分の継続が模索され、都市部では浄化槽による下水処理化が目指された。しかし、いずれも財政面、衛生面の限界を抱えていたことから、急速には普及せず、海洋投棄などの非衛生的な処理が残存することになったのである。
著者
杉山 涼子 山田 秀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.372-381, 2011 (Released:2012-01-17)
参考文献数
23
被引用文献数
1

エアゾール缶やコンロ用カセットボンベは,収集時や処理時に火災事故を起こしやすいが,事故発生状況と,分別排出方法や収集車両,穴あけ指導等の自治体の施策と関連づける研究は行われておらず,改善のための方策について十分に解析されていない。本研究では,全国の10万人以上の市および東京23区の287自治体を対象として質問紙調査を行い,火災事故の発生状況を把握しその改善策について定量的な分析を行った。平成21年度には人口10万人あたりの車両火災事故は1.5件,破砕施設の火災事故は0.7件発生しており,車両火災事故のほとんどは不燃ごみで発生し,エアゾール缶等による火災が52.5%を占めている。エアゾール缶等の不燃ごみとしての収集は避けること,不適正に排出された中身の残った缶を排除するような取り組みを行うこと,住民に対して分別を周知することが事故削減につながり,これらの条件を満たせば事故件数は減らせることが明らかになった。