著者
西田 洋平 香村 一夫 馬場 直紀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第22回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.233, 2011 (Released:2011-11-07)

関東ロームを汚染水浄化資材として用いることを考え、その有効性を検討する為、21層準の試料に対しPb、Cd、As、Cr汚染溶液を用いた吸着能評価試験を行った。その結果、Pb、Cdなどの陽イオン形態で吸着をする元素では、全体として高い吸着能を示し、浄化資材としての有効性が期待された。また、その吸着特性は試料の層準や採取地点によらず、含有される粘土鉱物に依存することが推測された。As、Crなどの陰イオン形態で吸着をする元素では、陽イオンに比較するとその吸着量は極めて低く、その吸着量は土壌内のFe量に影響を受けることが推測された。本研究により、関東ロームがある程度の吸着能を有することが確認されたが、今後浄化資材としての有効性を議論するにあたり、複数元素による吸着特性や、粒度やpHなどの物理化学的性質を考慮した吸着特性の複合的解析が必要である。
著者
徳永 晴樹 廣畑 昌章 大川 正晃 坂本 孝広 保田 武彦 入佐 英紀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.184-198, 2017

熊本県内の事業所から,産業分類 (19分類) ごとに 10 % となるよう抽出し,水銀含有製品ごとの購入量,保有量,廃棄量等をアンケート調査した。また,県下を11地域に分け,約2,700人を対象に,家庭における水銀含有製品の保有量を調査した。アンケート調査の結果および既存の調査・統計資料を活用し,①県内への水銀流入量,②県内における水銀存在量,③県内における廃棄量および環境への水銀の排出量を推計した。<br>県内への水銀の流入量は,水銀を含む原燃料や水銀含有製品の入荷等で約 0.22 ton /年と推計された。存在量は,事業所約 1.3 ton,家庭約 2.1 ton の計約 3.4 ton であり,事業所,家庭ともに計測器が約 8 割を占めた。廃棄量は,約 0.038 ton /年であり,その 8 割強を事業所からの廃棄量が占めた。<br>これらの結果を基に,熊本県内における水銀のマテリアルフローを作成した。
著者
吉田 綾 田崎 智宏 寺園 淳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.29, 2007

使用済みパソコンについて、日本における家庭用パソコンのリサイクル制度の施行前と施行後のマテリアルフローを、マテリアルフローデータにおける誤差を最小化することによって推定した。また、日本でリユース(再使用)されるパソコンと中古品として輸出されるパソコンの台数についても推定した。推計結果から、デスクトップパソコンに比べてノートパソコンの方が国内でリユースされやすいこと、2001年から2004年にかけて増加した排出台数2590千台はほとんど国内廃棄物処理ではなくリユースされており、リユース分も多くが輸出されていることが明らかになった。家庭やリース・レンタル会社から古物商へ引き取られる量が増えており、それが輸出台数増加につながっていると考えられた。
著者
花嶋 温子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.26, 2015

大阪府内自治体を対象として、環境審議会と廃棄物減量審議会における飲料の提供状況を調査し、93%の高回答率で結果を得た。府内の審議会のうち約半数が個別のペットボトル飲料を提供していた。飲料の提供をしていない2~3割の審議会でも、提供しない理由は慣例や費用であり、環境負荷の低減ではなかった。飲料の選択に関して担当者の多くは、費用が環境負荷やおもてなしの気持ちより重要だと考えているわけではない。しかし、現実には費用の制約が大きく、リユースびんを使うことは「良いことだが現状からの変更はむずかしい」と考える人が4 割を超えている。環境負荷と費用と文化(もてなしの文化)との間で、どのような容器を使うかは些細ではあるが姿勢の問われる選択である。
著者
吉岡 敏明 宮城 英徳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 = Material cycles and waste management research (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.421-428, 2012-11-30
参考文献数
4

2011 年 3 月 11 日,東日本大震災によって発生した災害廃棄物は,地震動により生じた災害廃棄物もさることながら,津波により生じた災害廃棄物が圧倒的に多く,これに津波堆積物も加わり,過去にあった災害廃棄物処理の観点のみからの対応では困難になった。宮城県では,2011 年 3 月に 「災害廃棄物処理の基本方針」 を策定し,処理にあたっての基本的方針を示したのを皮切りに,災害廃棄物処理指針や宮城県災害廃棄物処理実行計画等により,災害廃棄物については分別・破砕等の処理により可能な限り再資源化を図る計画や,その時々の災害廃棄物の推計量を発表してきた。これまでどのように災害廃棄物処理等に取り組んできて,このような状況下になっているのか,また,今後どのようにしてがれきを処理していくのか,震災直後から現在までの被災現場での状況を再確認しつつ,災害廃棄物処理の現状と課題を中心にして,今後の方向性について述べる。
著者
神谷 卓司 和泉 昭宏
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.75, 2015 (Released:2015-10-20)

(はじめに) アジアをはじめ多くの国で家庭から出るごみは殆ど分別されずに埋め立てられている中で、日本、韓国、台湾ではそれぞれ特徴あるリサイクルの仕組みが整えられている。  このうち韓国については、プラスチック製容器包装の分別と処理にかかる「資源の節約と再活用促進に関する法律」改正で、制度や分離排出表示が変更されたが、このことはあまり知られていない。 今回、現地にて最新調査を行ったので報告する。 法改正に伴って、プラスチック製容器包装の分離排出表示(識別表示マーク)は、「ペット」(PET)、「プラスチック」「フィルム類」(비닐류(ビニールと呼称)の3種類となり、後者2つはPETを除くHDPE,LDPE,PP,PS,PVC,OTHERが適用材質となった。 ここで、OTHERは2種類以上のプラスチックを使用したラミネートを指す。(まとめ) 今回、 主に「プラスチック」と「フィルム類」(비닐류(ビニールと呼称)を対象に調査した。  その結果、1) 韓国において、複数の樹脂を使用した「フィルム類」OTHERの割合が増加していること。2) 収集実績は、「プラスチック」:「フィルム類」= 49%:51% (2014年KORA調べ)であった。 一方、韓国では「プラスチック」と、OTHERの多い「フィルム類」(비닐류(ビニールと呼称)とを、排出時点の最初から分別している点が、日本と大きく違う。(日本では、材料リサイクル(MR)に不向きの複数の樹脂がラミネートされている「フィルム類」がプラスチックと一緒に収集されている。) 「プラスチック」からは価格の高いリサイクルペレットが作られ、「フィルム類」はからは熱量が高い高品質のSRFが作られることになる。 そして、「プラスチック」は、ベールとペレットが有価で販売されるため、KORAからの支援金が無くても、収集からリサイクルペレットまでのサイクルがうまく機能する、と考えられる。 これは韓国全域の共通ルールであるため市民にも分かりやすいシステムであると考えられた。
著者
小寺 洋一 石原 由美子 武藤 大志郎 黒木 健
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 = Journal of the Japan Society Waste Management Experts (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.35-43, 2008-01-30
参考文献数
21
被引用文献数
1 3

既存の廃プラスチック類の油化技術および油化リサイクルの進展を阻害した要因を分析し,油化リサイクルの普及に必要な,次世代型油化技術の基本的要件の調査研究を行った。従来の主な油化技術はバッチ式タンク反応器をもつ小規模油化プラントによるもので,炭化物障害による処理能力の不足から油化事業は経済的に成立困難であった。廃プラスチックの発生量・流通量の実態調査と試算から,油化リサイクル普及に必要なプラントの仕様・性能は,油化能力日量3~7ton,装置コストは処理量1tonにつき0.5億円,油化コスト約40円/kgであった。既存技術は,日量1ton程度と過少かまたは,日量20ton以上の過剰設備で,いずれも企業の事業規模に適合しなかった。油化リサイクルの促進には新型式反応器の開発,実用化が必要で,その基礎となる事業性と技術的鍵となる反応器の伝熱効率の評価を通じて,次世代型油化技術の具備すべき基本的要件を明らかにした。
著者
磯辺 咲菜 石井 明男
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

&nbsp; &nbsp;戦後10年の昭和31年に発足した東京都清掃局は、経済復興と共に増え続けるごみ量に対応するため、従来の人力での清掃事業の機械化を進めていた。<br>&nbsp; &nbsp;清掃局は大都市の清掃事業をどのようにマネジメントしていくか模索をしていた昭和35年、ニューヨーク市清掃局からヘンリー・リーブマン氏を招へいし、収集、運搬、処理、処分の全てを視察し多くの提言を行った。提言は、厨芥、雑芥の分別収集の廃止、建築現場道路のごみ散乱防止、職員の待遇改善など特徴的な提言がある。 <br>&nbsp; &nbsp; 東京都清掃局は東京オリンピックが開催される1964年前までに、ふた付容器によるごみの混合収集、焼却施設の改善、埋立方法の改善、清掃パトロール、河川清掃機械化、道路清掃機械化、吸い殻処理作業、技術職の補強、作業員の待遇改善等に取組んだ。<br>&nbsp; &nbsp; これら東京都清掃局による清掃事業の近代化はリーブマンの提言に学ぶところが多かったと思われる。
著者
安田 憲二 大塚 幸雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.217-224, 1997-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
12

都市ごみの燃焼にともなうThermal NOxとFuel NOxの排出挙動を定量的に把握するため, 窒素含有量が異なるように組成を調整した都市ごみを用いてパイロットスケールの実験炉による燃焼実験を行った。その結果, Fuel NOxの変換率は燃焼温度およびO2濃度が高くなるほど増大した。また, ごみの燃焼実験におけるFuel NOxの変換率は1.7~9.3%であり, 化石燃料を燃焼しているボイラでの変換率 (30%程度) と比べて1/3以下と小さかった。燃焼域での02濃度を低くすることによりFuel NOxだけでなくThermal NOxの排出も抑制できる。特にFuel NOxの低減率はThermal NOxに比べて2倍から5倍高かった。さらに燃焼温度との関係では, Thermal NOxの方がFuel NOxよりも強い温度依存性を示した。
著者
瀬口 亮子 山川 肇
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

韓国の「資源の節約とリサイクルの促進に関する法律」は、一回用品(いわゆる使い捨て品)の使用を抑制する制度を規定している。本制度により、韓国では、飲食店やホテル等において、他国に見られない発生抑制の取り組みが実施されている。我が国においては、大手スーパーのレジ袋削減等は、自主的取り組みにより一定程度進展はあるものの、拘束力を持った発生抑制の施策は未整備である。本稿は、韓国の一回用品使用規制の制度と実施状況から、我が国における発生抑制のしくみづくりの可能性を提案する。
著者
福本 勤
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.23, 2012

震災がれき処理の政府方針「広域処理」が、余り進んでいなのは、がれき処理の本来あるべき姿・本質と矛盾し、政府不信、汚染不安があるからである。望ましい姿・本質は、「がれきは、多量の資源・エネ、コスト(税金)を消費し、CO2を発生しながら、遥々43都道府県に運んでの処理ではなく、①PREC (&equiv;資源・エネ、環境保護、コスト最小化)、②被災地の雇用、補助金受取り、電力供給、③受入れ地住民の不安解消等の観点から、被災地で高効率発電焼却処理する」である。 原子炉排出137Cs等は、直ちに大気中等物質と反応してCsCl 、Cs2O、CsOH 、Cs2CO等の化合物になり、これらはがれき焼却排ガスに含まれることになるが、CsClを例に取れば 、蒸気圧が1000兆分の1気圧程度と極めて低く、ガス・蒸気状では殆ど存在せず、凝縮・凝集して粒径0.001&mu;m以上の微粒子に成長し、バグフィルターに100%近く捕集されることになる。これを理論的に解明した。
著者
今津 遼也 Moudhak Fatima 寺門 修
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.241, 2019 (Released:2019-11-20)

昆布の非可食部は産業廃棄物として大量に廃棄される。本研究では、昆布の主要な非食用部分である仮根を用いて水溶液中の金属イオンのバッチ式吸着試験を行った。昆布粉末の粒度依存性を調べたところ、粒径が小さいほど吸着平衡に速やかに到達することが分かった。吸着機構を比較検討するために、3種類の金属を種々の温度とイオン濃度で調べた。銅イオンは他の金属イオンよりも吸着量が多く、温度依存性は明確にみられないことがわかった。一方、ニッケルおよびコバルトイオンの吸着量は高温で減少した。20℃における吸着等温線を測定し、銅イオンの吸着量が多いことを確かめた。この要因は依然明らかでないが、昆布に含まれるアルギン酸との錯形成の差によるものと考えられる。
著者
遠藤 和人
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.39-48, 2019-02-28 (Released:2020-02-06)
参考文献数
24
被引用文献数
1

特定一般廃棄物や特定産業廃棄物 (事故由来放射性セシウムが 8,000 Bq/kg 以下) は,入念的措置が加えられて既に多くの最終処分場で埋立処分されている。また,福島県内の特定廃棄物 (8,000 Bq/kg を超える指定廃棄物と対策地域内廃棄物) は,減容化施設やセメント固型化処理施設や特定廃棄物埋立処分施設が整備され,処理・処分が進められている。本論では,これら放射性物質汚染廃棄物の埋立処分の現状,処分場内の放射性セシウム溶出挙動,埋立処分方法やセメント固型化方法の科学的根拠について紹介する。事故後に実施された政策対応研究の記録の一つとしてここに記した。
著者
川端 弘俊 碓井 建夫 丸川 雄浄 原 茂太 中里 英樹 田中 敏宏
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.184-192, 2002-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
11
被引用文献数
9 9

ダイオキシン類は有機塩素化合物であることから, 燃焼物中の塩素源およびその形態がダイオキシン類生成濃度に大きく影響する重要な因子になると考えられる。そこで本研究では, 主として高温における燃焼実験および熱力学的平衡計算から, ダイオキシン類生成濃度に及ぼす燃焼過程における有機塩素, 無機塩素などの塩素源およびその塩素形態の影響を実験室規模の燃焼炉を用いて調査した。ダイオキシン類を構成する4元素が存在すると, 800℃という高温燃焼においてもダイオキシン類は生成する。また, 燃焼物中の塩素源および塩素形態が同一である場合, 塩素濃度とダイオキシン類生成濃度はほぼ比例し, 燃焼物質中の塩素源が有機塩素化合物か熱力学的に安定な無機塩素化合物かによりダイオキシン類生成濃度は大きく異なる。さらに, 無機塩素化合物でも, その塩素形態すなわち水和物などの活性なClが存在すると高濃度のダイオキシン類が生成することを, 小麦粉と塩との水和物の燃焼実験により明らかにした。
著者
岡野 多門 安本 幹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 = Journal of the Japan Society of Material Cycles and Waste Management (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.97-104, 2013-09-30
参考文献数
16

海岸に漂着する医療や衛生用品ごみは感染の危険だけでなく,見た人に強い嫌悪感を与える。その投棄実態を知るために,アジア地域の海流の下流に位置する鳥取県で毎月の漂着数を調べた。医療用瓶と注射器の年間平均漂着数は24.5個/(hm・y) で,中国由来が大半で,日本と朝鮮半島由来は少ない。しかし浣腸や痔薬容器,タンポンアプリケーターの大半は日本由来で,合計は2.5個/(hm・y) で,これは日本文字のあるライターの値と大きく相違しない。漂着数/消費数を漂着からみた投棄率とするなら,浣腸とタンポンの投棄率はペットボトルや栄養ドリンク瓶の投棄率と同程度である。これは屋内消費の医療衛生用品ごみが,あえて屋外に持ち出されて投棄されていることを示す。これは投棄者の責任であるが,在宅医療廃棄物と一般家庭の衛生用品ごみの収集体制の相違にも起因する。このように漂着量や投棄率は隠れた投棄の防止策を考える上で重要である。
著者
秦野 賢一 金沢 一樹 山津 健司 角田 欣一 窪田 健二 若松 馨
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.195, 2014 (Released:2014-12-16)

製糖工程で発生する廃糖蜜から回収される暗色物質(DM)の特性解析を行い、DMが金属結合活性を持つことを見出した。現在、植物と共に金属結合剤などを添加し土壌の重金属の易動性を高めることによる効率的な植物修復が研究されている。植物修復の促進剤としてのDMの可能性を検証する為に、各種重金属塩を含む寒天培地中にDMを添加することによるダイコンRaphanus sativusの成長阻害の軽減効果を調査した。軽減効果が確認されたPb2+, Zn2+, Ni2+, Cu2+に関しては、DMを含めた4種類のキレート剤による植物体のバイオマス量と金属蓄積量に与える影響についても検証した。硫酸銅添加培地では、DMのみが植物体のバイオマス量とCu2+蓄積量の両者を同時に促進することができた。このことは、銅汚染土壌における理想的な次世代型植物修復の促進剤としてDMが大きな可能性をもっていることを示唆した。
著者
大前 慶和
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.6, 2007 (Released:2007-11-23)

環境教育は,今日的には,持続可能な開発のための教育として展開されることが重要である。本研究では,先ほど開発を終えたダンボールコンポスターを活用した環境教育教材『にじいろタウン』を紹介する。webや印刷媒体を組み合わせた教材になっており,子供達が楽しみながら学習できるように作られたものである。
著者
森口 祐一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.243-252, 2005-09-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
15
被引用文献数
8 5

プラスチックは, 多様な用途で社会のすみずみで使われており, 廃プラスチックは現代の廃棄物・リサイクル問題を考える上での象徴的存在である。本報告では, 一般廃棄物処理の方向性に関する審議会の意見具申や容器包装リサイクル法の見直しなどの動向を踏まえ, 家庭系の廃プラスチックを中心に, 循環型社会という理念に照らした廃プラスチックの循環的利用のあり方について考察した。まず, プラスチックの生産, 消費, 廃棄, リサイクルの動向や, 材料リサイクル, ケミカルリサイクル, サーマルリカバリーの特徴を整理した。また, 容器包装リサイクル法のもとでのプラスチックのリサイクルについて, PETボトルとその他プラスチックとで大きく異なる状況を整理し, リサイクルの質の向上・低コスト化には, 技術的側面とともに分別方法との的確な組み合わせが必要であることを指摘した。
著者
松本 亨
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.438-447, 2017-11-30 (Released:2019-06-27)
参考文献数
25

まず,国や自治体の循環型社会形成推進基本計画,さらに国から公開されているガイドラインや手引きにおいて,地域循環圏の評価がどのように扱われているか検証した。次に,地域循環圏の評価手法開発を行った研究のレビューを行い,物質の収支バランス,低炭素化,事業採算性,生態系サービスによる評価事例を紹介した。また,地域循環圏の一形態とされるエコタウンを対象とした研究では,CO2 削減効果や立地自治体の域内循環率,調達と供給の物質移動距離が採用されていること,さらに指標の経時変化の要因分析が実施されていることを示した上で,地域循環圏にかかわる個別事業の効果を中長期に評価するためには必要な視点であると指摘した。環境面以外の副次的効果に着目した評価もあり,分別への住民の参加意識,施設の住民受容性,地域福祉力等が採用されている例を示した。最後に,今後の地域循環圏の評価指標・手法のあり方として,要件とともに実行可能性の面から考察した。