著者
小塚 一宏
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.129-136, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)
参考文献数
14

ここ数年におけるスマートフォンの急速な普及に伴い,“歩きスマホ”による駅のホームでの人身事故が多発し社会的な課題となってきた.自転車運転中の携帯電話操作などは2008年から,クルマ運転中の携帯電話操作などは1999年から改正道路交通法施行により禁止されているが,多くの人が何となく危ないと思いつつ“ながらスマホ”を行っているのが現実である.本稿では,歩行中・自転車運転中・クルマ運転中の“ながらスマホ”時の人の視線を計測し,スマホ操作時の視線は画面にくぎ付けで周辺の交通環境認識ができず非常に危険なことを示した.
著者
藤井 竜也 藤井 哲郎 小野 定康 白川 千洋 白井 大介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.80-89, 2011-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
31

筆者らは,高品質な画質を要求される分野での映像コンテンツの流通を目的として超高精細画像システムの研究開発と,その動画像アプリケーションとして4K ディジタルシネマの開発を進めてきた.本稿では, その4K ディジタルシネマのれい明期から検討を行ってきた劇場向けライブストリーミングの実現技術と, そのディジタルシネマ用プロジェクタとシネマ配信用の高速光ファイバネットワークによってコスト的にもそのビジネス性可能性を高めた新たな映像配信アプリケーションである劇場向けライブ配信(ODS サービス)について説明する.
著者
坊農 真弓 吉川 雄一郎 石黒 浩 平田 オリザ
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.326-335, 2014-04-01 (Released:2014-04-01)
参考文献数
42

人間の「社会性」とは何か.この問いに対し,ロボット・アンドロイド演劇プロジェクトは一つの答えを示してくれる可能性がある.本解説記事では,まず本プロジェクトの経緯と背景を説明する(2.).次に,ロボット・アンドロイド演劇をエスノグラフィ及び会話分析することの意味を,演出場面に実際の起こったやりとりの事例分析に基づいて明らかにする(3.).続いて,ロボット・アンドロイド演劇のロボット工学・認知科学における意味を,制作の実態と世界公演に対する評価などから議論する(4.).最後に,ロボット・アンドロイド演劇の演劇としての意味を,社会におけるこの試みの位置付けを明らかにすることから考察する(5.).
著者
大賀 寿郎
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.114-127, 2011-10-01 (Released:2011-10-01)
参考文献数
21

1945年,敗戦による大混乱からの復興を目指して立ち上がった当時の逓信省の電話機エンジニアの命題は,物理特性と人の心理特性とを定量的に把握し,カットアンドトライを排して納得できる物理量を根拠とするような設計を行うことだった.復興の機軸となるべく1949年に量産開始となった4号電話機は,伝送周波数帯域と明瞭度との関係の把握,正確な音響測定手法の確立など周辺技術の蓄積を推進しながら実用化され,定量的な設計を徹底した電話機として当時の最先端だった.その後,我が国が高度成長期に入った1964年から量産された600形電話機では,実用化にあたって聴覚心理グループが電話機の目標とすべき音響特性を示し,電話機設計サイドはこれを踏まえて電話機設計を行った.こうした過程を踏んで設計された電話機は世界に例が少ない.ここではオーディオ技術に注目し,我が国の標準電話機の実用化の概観の前編としてこうした研究実用化の経過を述べる.
著者
古賀 久志
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.256-268, 2014-01-01 (Released:2014-01-01)
参考文献数
32

一般に,ハッシュ法と言えば指定されたクエリとキーが同一であるデータを高速探索するための技術であり,実用上,O(1) の時間計算量で動作する.しかし,近年,クエリと完全には一致しない類似したデータを探す類似検索向けのハッシュ法が開発され,画像やテキストに代表されるメディアデータに対するコンテンツベースパターン認識の分野で成功を収めている.本稿では,このようなハッシュを利用した類似検索技術を紹介する.更に,その応用として(1) 階層的クラスタリングの近似高速化,(2) 複数画像からのオブジェクト抽出の二つの事例を紹介する.
著者
田中 利幸
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.39-47, 2010-07-01 (Released:2010-12-01)
参考文献数
29
被引用文献数
5 1

圧縮センシングの基本的な問題は,スパースなベクトルに対する線形観測に基づいて1-ノルム最適化によって元のベクトルを推定する問題において,正しい推定結果を得るために必要な観測数が元のベクトルのスパースさにどう依存するかを問うものである.Candes-Tao の結果,及びDonoho-Tanner の結果を中心に,圧縮センシングの数理について概説する.1-ノルム最適化の歴史や,低ランク行列の再構成などの関連する話題についても触れる.
著者
有本 卓
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.4_37-4_47, 2009-04-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

人が類人猿と峻別でき,文明を開くに至った要因の一つに手先の器用さ,巧みさがある.それは拇指と他の指との拇指対向性(ngers-thumb opposition)の発達に伴って獲得された.本論文では,任意形状の物体を拇指対向性に基づいて物体把持するときのダイナミクスを導出し,その特徴付けをリーマン幾何学に基づいて与える.指先と物体との間に転がり拘束を許すとき,オイラー・ラグランジュの方程式は弧長パラメータを含むが,形状の第一基本量のみに依存する.しかし弧長パラメータの更新は第二基本量を含む1 回の非線形微分方程式に従わねばならない.非ホロノミック拘束と思われた転がり拘束は,弧長パラメータを含めてフロベニウスの意味で可積分になり,ホロノミック拘束とみなされる.また,システム全体を表すリーマン多様体上に定義されたモース・リヤプノフ関数の性質に基づき,安定把持がディリクレ・ラグランジュの安定定理の拡張版によって証明できることを示す.
著者
岩田 賢一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.175-198, 2013-01-01 (Released:2013-01-01)
参考文献数
39

情報理論は,与えられたシステムにおける符号化問題の理論的限界を数理的な情報量を用いて明確にすると共に,その理論限界を達成する符号化法を明確にすることを目的としている.近年,Arikanは,確率過程の分極操作に基づいたpolar符号と呼ばれる新しいクラスの符号を提案している.polar符号は,定常無記憶情報源及び対称通信路の理論的限界を低計算複雑度と低空間複雑度で達成できることを明らかにしている.polar符号は,多端子符号化問題を含め様々な符号化問題に対して,その理論的限界を低計算複雑度と低空間複雑度で達成する符号の構成法に関して一つの基本的な原理をもたらすことが期待される.本稿では,polar符号を情報源符号化と通信路符号化について紹介するとともに,polar符号のCプログラミングによる例を紹介する.
著者
瀬戸 洋一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.77-83, 2014-10-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
21

日本におけるバイオメトリック技術は,2004年に金融機関のATM(Automatic Teller Machine)への静脈認証装置の採用,2006年にはIC旅券,2007年にはIC運転免許証への顔データの実装というように,社会基盤システムに着実に展開された.2010年を境に米国においてバイオメトリック市場のパラダイムシフトを目指す「Post 9.11」という動きが出てきた.次のステージに向けた市場の拡大の可能性はあるが,民生利用や行政サービスなどに利用されるには,バイオメトリクス特有の問題への対策が以前にも増して重要となっている.つまり,識別,認証のほか,ビッグデータ分野への応用として追跡という新しい利用分野が立ち上がり,これらの市場拡大には,プライバシーへの対策技術が重要である.本稿では,今後必要な技術開発及び製品化のポイントについて述べる.
著者
國廣 昇
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.42-55, 2011-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
30

Coppersmithによる1 変数法付き方程式の解法の提案以降,格子理論を暗号の解読や安全性評価に用いる研究が進展している.本論文では,法付き線形方程式の解法を軸に,最近の研究動向を解説する.最初に,小さい解を持つ法付き線形方程式を解くアルゴリズムを紹介し,このアルゴリズムの暗号解読及び安全性証明への応用を示す.更に,関連した話題として,RSA 暗号の秘密鍵が小さいときの安全性解析についても解説する.Herrmann, Mayは,unravelledlinearization という技術を用いて,RSA 暗号において,秘密鍵d がd ≦N0.292であれば解読できることの比較的簡単な証明を与えている.本論文では,この証明の解説を行う.最後に,この攻撃の拡張を紹介し,今後の研究課題を示す.
著者
山田 昭彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.105-112, 2010-10-01 (Released:2010-12-01)
参考文献数
11

日本の最初の計算機は,1923年(大正12 年)に売り出されたタイガー計算器と長く考えられていた.森鷗外の「小倉日記」の記録により,1902年(明治35年)に矢頭良一が発明し製作した自働算盤が1960年代後半に再発見され,これが日本最古の計算機となった.自働算盤は歯車を用いた手動の機械式計算機で,独特のメカニズムにより加減乗除の計算を行う.数値の入力にそろばんの1の珠と5の珠による方法と同様の方法を採用し,乗除算の際のけた送りが自動的に行われること及び演算終了時に動作が自動的に終了するなど,当時の海外の計算機よりも優れた機能を実現している.
著者
森井 昌克 寺村 亮一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.3_66-3_75, 2009-01-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
48

ストリーム暗号は高速処理に優れた暗号のクラスであり,近年の情報の大規模化・通信の高速化に伴い注目を集めている.このストリーム暗号の次世代を選定するプロジェクトeSTREAM(the ECRYPT stream cipher project)が欧州にて3年間にわたり開催され,その結果として先日七つのポートフォリオが選定された.本稿では,ストリーム暗号を概観し,特にこのeSTREAMでの成果を踏まえて,現状最も使用されているストリーム暗号であるRC4,これからのストリーム暗号であるeSTREAM暗号,そして現在ISO(International Organization for Standardization)に提案されている三つの暗号の動向について解説する.
著者
白井 啓一郎 馬場 達也 小野 峻佑 奥田 正浩
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.40-53, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
71

本稿では,雑音除去や色補正などの様々な画像処理問題を画像の特徴を正則化として取り入れた一種の連続最適化問題として定式化することで見通し良く解決できること,及びそれらの最適化問題を実際に効率的に解く方法について解説する.具体的には,"Color-Lines特徴" と呼ばれるカラー画像の色分布が色空間において線状に広がる特徴を利用した応用に焦点を絞り,画像処理に伴う最適化特有の定式化・解法テクニックについて筆者らのこれまでの取組みを交えて説明する.

4 0 0 0 OA ネット理論

著者
太田 淳 辻 孝吉
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.4_56-4_67, 2009-04-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
29
被引用文献数
2

ペトリネットはコンカレントシステムの重要なモデルの一つである.ペトリネットはチューリング機械と有限オートマトンの中間のモデル化,解析能力を持つ.ペトリネットの構造を限定することで,解析が容易となるサブクラスが得られる.一方,ペトリネットに拡張を加えることで,チューリング機械と等価なモデル化能力を持つ拡張クラスが得られる.本稿ではペトリネットの解析問題,サブクラス,拡張クラスに関して近年の研究成果の例を示しながら概説する.
著者
角 博文 奈良部 忠邦 齊藤 新一郎
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.3_44-3_51, 2010-01-01 (Released:2010-10-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)は近年,ディジタル一眼レフカメラや,携帯電話,そしてビデオカメラにも搭載されるようになってきた.CMOSイメージセンサは,CCD(Charge Coupled Device)と比較し,その高速性と低消費電力を特徴として今後ますますの普及が期待されている.昨今のカメラの高画質化,高機能化等の性能向上は,キーデバイスであるCMOSイメージセンサに依存するところが大きい.本稿では高画質の中でも特に重要な特性であるノイズの発生原理と評価技術について解説し,高機能及び高画質化としての高速撮像技術について概観する.