著者
佐藤 敦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.302-311, 2012-04-01 (Released:2012-04-01)
参考文献数
14

パターン認識とは,信号の空間的・時間的変化として観測されるパターンを,それが属すべきクラスに対応付ける操作のことである.近年のコンピュータ技術の進展に伴い,大規模データを用いた技術開発が可能になり,パターン認識を最適化問題として捉える機械学習的アプローチが一般的となっている.本稿では,パターン認識問題における数理的側面について,大局的な視点で解説する.
著者
伊丹 誠
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.2_35-2_43, 2007-10-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
17
被引用文献数
4 5

OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)は高速な伝送を実現する変調方式として広く注目されており,OFDM を用いた種々のシステムの実用化および開発が広く行われている.OFDM が用いられる大きな理由の一つは周波数利用効率が非常に優れているということであり,高速・広帯域伝送の実現が可能になる.しかし,システムを実現するためには,解決すべき種々の問題も存在しており,高速移動通信への要求が高まるにつれてその対策が更に重要になってくると考えられる.本稿ではOFDM の原理,システム実現のための問題点,応用分野について解説する.
著者
Tomo NIIZUMA Hideaki GOTO
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E100.D, no.3, pp.511-519, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
24

Wireless LAN (WLAN) roaming systems, such as eduroam, enable the mutual use of WLAN facilities among multiple organizations. As a consequence of the strong demand for WLAN roaming, it is utilized not only at universities and schools but also at the venues of large events such as concerts, conferences, and sports events. Moreover, it has also been reported that WLAN roaming is useful in areas afflicted by natural disasters. This paper presents a novel WLAN roaming system over Wireless Mesh Networks (WMNs) that is useful for the use cases shown above. The proposed system is based on two methods as follows: 1) Automatic authentication path generation method decreases the WLAN roaming system deployment costs including the wiring cost and configuration cost. Although the wiring cost can be reduced by using WMN technologies, some additional configurations are still required if we want to deploy a secure user authentication mechanism (e.g. IEEE 802.1X) on WLAN systems. In the proposed system, the Access Points (APs) can act as authenticators automatically using RadSec instead of RADIUS. Therefore, the network administrators can deploy 802.1X-based authentication systems over WMNs without additional configurations on-site. 2) Local authentication method makes the system deployable in times of natural disasters, in particular when the upper network is unavailable or some authentication servers or proxies are down. In the local authentication method, users and APs can be authenticated at the WMN by locally verifying the digital certificates as the authentication credentials.
著者
松岡 猛
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.128-135, 2011-10-01 (Released:2011-10-01)
参考文献数
8

平成23年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故を確率論的安全評価(PSA)の観点から検討した.地震及び津波により原子力プラントの全電源が喪失し,炉心溶融に至った事故である.全電源喪失時に起こり得る事象/事態をそれらの連鎖・分岐で表現し,炉心損傷確率を算出した.現実には3基の原子炉で炉心損傷が発生してしまったが,評価結果では7日後でも炉心損傷確率は1号機では0.71であり,2,3号機では0.12と小さな値であった.この評価結果から,事故を防ぎ得る可能性がかなりあったことが分かった.その解析結果を基に,福島第一原子力発電所の事故について考察した.
著者
小塚 一宏
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.129-136, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)
参考文献数
14

ここ数年におけるスマートフォンの急速な普及に伴い,“歩きスマホ”による駅のホームでの人身事故が多発し社会的な課題となってきた.自転車運転中の携帯電話操作などは2008年から,クルマ運転中の携帯電話操作などは1999年から改正道路交通法施行により禁止されているが,多くの人が何となく危ないと思いつつ“ながらスマホ”を行っているのが現実である.本稿では,歩行中・自転車運転中・クルマ運転中の“ながらスマホ”時の人の視線を計測し,スマホ操作時の視線は画面にくぎ付けで周辺の交通環境認識ができず非常に危険なことを示した.
著者
藤井 竜也 藤井 哲郎 小野 定康 白川 千洋 白井 大介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.80-89, 2011-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
31

筆者らは,高品質な画質を要求される分野での映像コンテンツの流通を目的として超高精細画像システムの研究開発と,その動画像アプリケーションとして4K ディジタルシネマの開発を進めてきた.本稿では, その4K ディジタルシネマのれい明期から検討を行ってきた劇場向けライブストリーミングの実現技術と, そのディジタルシネマ用プロジェクタとシネマ配信用の高速光ファイバネットワークによってコスト的にもそのビジネス性可能性を高めた新たな映像配信アプリケーションである劇場向けライブ配信(ODS サービス)について説明する.
著者
坊農 真弓 吉川 雄一郎 石黒 浩 平田 オリザ
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.326-335, 2014-04-01 (Released:2014-04-01)
参考文献数
42

人間の「社会性」とは何か.この問いに対し,ロボット・アンドロイド演劇プロジェクトは一つの答えを示してくれる可能性がある.本解説記事では,まず本プロジェクトの経緯と背景を説明する(2.).次に,ロボット・アンドロイド演劇をエスノグラフィ及び会話分析することの意味を,演出場面に実際の起こったやりとりの事例分析に基づいて明らかにする(3.).続いて,ロボット・アンドロイド演劇のロボット工学・認知科学における意味を,制作の実態と世界公演に対する評価などから議論する(4.).最後に,ロボット・アンドロイド演劇の演劇としての意味を,社会におけるこの試みの位置付けを明らかにすることから考察する(5.).
著者
大賀 寿郎
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.114-127, 2011-10-01 (Released:2011-10-01)
参考文献数
21

1945年,敗戦による大混乱からの復興を目指して立ち上がった当時の逓信省の電話機エンジニアの命題は,物理特性と人の心理特性とを定量的に把握し,カットアンドトライを排して納得できる物理量を根拠とするような設計を行うことだった.復興の機軸となるべく1949年に量産開始となった4号電話機は,伝送周波数帯域と明瞭度との関係の把握,正確な音響測定手法の確立など周辺技術の蓄積を推進しながら実用化され,定量的な設計を徹底した電話機として当時の最先端だった.その後,我が国が高度成長期に入った1964年から量産された600形電話機では,実用化にあたって聴覚心理グループが電話機の目標とすべき音響特性を示し,電話機設計サイドはこれを踏まえて電話機設計を行った.こうした過程を踏んで設計された電話機は世界に例が少ない.ここではオーディオ技術に注目し,我が国の標準電話機の実用化の概観の前編としてこうした研究実用化の経過を述べる.
著者
田中 利幸
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.39-47, 2010-07-01 (Released:2010-12-01)
参考文献数
29
被引用文献数
5 3

圧縮センシングの基本的な問題は,スパースなベクトルに対する線形観測に基づいて1-ノルム最適化によって元のベクトルを推定する問題において,正しい推定結果を得るために必要な観測数が元のベクトルのスパースさにどう依存するかを問うものである.Candes-Tao の結果,及びDonoho-Tanner の結果を中心に,圧縮センシングの数理について概説する.1-ノルム最適化の歴史や,低ランク行列の再構成などの関連する話題についても触れる.
著者
有本 卓
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.4_37-4_47, 2009-04-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

人が類人猿と峻別でき,文明を開くに至った要因の一つに手先の器用さ,巧みさがある.それは拇指と他の指との拇指対向性(ngers-thumb opposition)の発達に伴って獲得された.本論文では,任意形状の物体を拇指対向性に基づいて物体把持するときのダイナミクスを導出し,その特徴付けをリーマン幾何学に基づいて与える.指先と物体との間に転がり拘束を許すとき,オイラー・ラグランジュの方程式は弧長パラメータを含むが,形状の第一基本量のみに依存する.しかし弧長パラメータの更新は第二基本量を含む1 回の非線形微分方程式に従わねばならない.非ホロノミック拘束と思われた転がり拘束は,弧長パラメータを含めてフロベニウスの意味で可積分になり,ホロノミック拘束とみなされる.また,システム全体を表すリーマン多様体上に定義されたモース・リヤプノフ関数の性質に基づき,安定把持がディリクレ・ラグランジュの安定定理の拡張版によって証明できることを示す.
著者
瀬戸 洋一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.77-83, 2014-10-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
21

日本におけるバイオメトリック技術は,2004年に金融機関のATM(Automatic Teller Machine)への静脈認証装置の採用,2006年にはIC旅券,2007年にはIC運転免許証への顔データの実装というように,社会基盤システムに着実に展開された.2010年を境に米国においてバイオメトリック市場のパラダイムシフトを目指す「Post 9.11」という動きが出てきた.次のステージに向けた市場の拡大の可能性はあるが,民生利用や行政サービスなどに利用されるには,バイオメトリクス特有の問題への対策が以前にも増して重要となっている.つまり,識別,認証のほか,ビッグデータ分野への応用として追跡という新しい利用分野が立ち上がり,これらの市場拡大には,プライバシーへの対策技術が重要である.本稿では,今後必要な技術開発及び製品化のポイントについて述べる.
著者
山岡 雅直
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.164-171, 2018-01-01 (Released:2018-01-01)
参考文献数
12

組合せ最適化問題を効率良く解くアーキテクチャとしてイジングモデルを用いたアニーリングマシンが提案されている.アニーリングマシンでは組合せ最適化問題を磁性体のスピンの挙動を表すイジングモデルに写像しその収束動作により問題を解く.アニーリングマシンを半導体回路を用いて実装したCMOSアニーリングマシンでは,確定的な動作と確率的な動作の組合せで効率的に解を求める.試作チップにより,組合せ最適化問題の近似解が効率的に求められることを確認するとともに,従来のノイマン形計算機を用いた場合に比べて電力効率が向上することを確認した.また,実用化する際に必要となる技術レイヤについても紹介する.
著者
國廣 昇
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.42-55, 2011-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
30

Coppersmithによる1 変数法付き方程式の解法の提案以降,格子理論を暗号の解読や安全性評価に用いる研究が進展している.本論文では,法付き線形方程式の解法を軸に,最近の研究動向を解説する.最初に,小さい解を持つ法付き線形方程式を解くアルゴリズムを紹介し,このアルゴリズムの暗号解読及び安全性証明への応用を示す.更に,関連した話題として,RSA 暗号の秘密鍵が小さいときの安全性解析についても解説する.Herrmann, Mayは,unravelledlinearization という技術を用いて,RSA 暗号において,秘密鍵d がd ≦N0.292であれば解読できることの比較的簡単な証明を与えている.本論文では,この証明の解説を行う.最後に,この攻撃の拡張を紹介し,今後の研究課題を示す.
著者
山田 昭彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.105-112, 2010-10-01 (Released:2010-12-01)
参考文献数
11

日本の最初の計算機は,1923年(大正12 年)に売り出されたタイガー計算器と長く考えられていた.森鷗外の「小倉日記」の記録により,1902年(明治35年)に矢頭良一が発明し製作した自働算盤が1960年代後半に再発見され,これが日本最古の計算機となった.自働算盤は歯車を用いた手動の機械式計算機で,独特のメカニズムにより加減乗除の計算を行う.数値の入力にそろばんの1の珠と5の珠による方法と同様の方法を採用し,乗除算の際のけた送りが自動的に行われること及び演算終了時に動作が自動的に終了するなど,当時の海外の計算機よりも優れた機能を実現している.
著者
森井 昌克 寺村 亮一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.3_66-3_75, 2009-01-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
48

ストリーム暗号は高速処理に優れた暗号のクラスであり,近年の情報の大規模化・通信の高速化に伴い注目を集めている.このストリーム暗号の次世代を選定するプロジェクトeSTREAM(the ECRYPT stream cipher project)が欧州にて3年間にわたり開催され,その結果として先日七つのポートフォリオが選定された.本稿では,ストリーム暗号を概観し,特にこのeSTREAMでの成果を踏まえて,現状最も使用されているストリーム暗号であるRC4,これからのストリーム暗号であるeSTREAM暗号,そして現在ISO(International Organization for Standardization)に提案されている三つの暗号の動向について解説する.
著者
白井 啓一郎 馬場 達也 小野 峻佑 奥田 正浩
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.40-53, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
71

本稿では,雑音除去や色補正などの様々な画像処理問題を画像の特徴を正則化として取り入れた一種の連続最適化問題として定式化することで見通し良く解決できること,及びそれらの最適化問題を実際に効率的に解く方法について解説する.具体的には,"Color-Lines特徴" と呼ばれるカラー画像の色分布が色空間において線状に広がる特徴を利用した応用に焦点を絞り,画像処理に伴う最適化特有の定式化・解法テクニックについて筆者らのこれまでの取組みを交えて説明する.

4 0 0 0 OA ネット理論

著者
太田 淳 辻 孝吉
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.4_56-4_67, 2009-04-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
29
被引用文献数
2

ペトリネットはコンカレントシステムの重要なモデルの一つである.ペトリネットはチューリング機械と有限オートマトンの中間のモデル化,解析能力を持つ.ペトリネットの構造を限定することで,解析が容易となるサブクラスが得られる.一方,ペトリネットに拡張を加えることで,チューリング機械と等価なモデル化能力を持つ拡張クラスが得られる.本稿ではペトリネットの解析問題,サブクラス,拡張クラスに関して近年の研究成果の例を示しながら概説する.