著者
廣瀬 英雄
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.266-274, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
37

災害が拡大するとき最終的にその規模がどの程度までになるかを早期に予測する問題について考察する.そのため,災害の起こる時期をステージとして想定し,各ステージに適切な予測法について考える.災害が拡大する中,いつ峠を越すのかという問題は最も興味のある問題の一つであるがそれは峠を越えたら分かるというような場合もある.そのようなことを避けるような様々な早期の最終段階予測を行う方法について述べる.災害の中でもここでは特に感染症流行の予測について取り上げ,感染拡大の最中に早期に効果的に予測する方法と予測結果について解説する.
著者
浅野 晃
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.113-122, 2010-10-01 (Released:2010-12-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

マセマティカルモルフォロジー(以下モルフォロジー)は,画像中の図形の持つ構造を抽出するために図形を操作する演算の体系である.モルフォロジーは,完備束上での演算に拡張することにより,有界な非線形信号処理の基盤となる体系ととらえることができる.有界とは「上限や下限が存在する」という意味であり,有界な演算は,上限も下限もない線形な演算に比べ,現実の世界をより精密に表すことができる.このような有界性・非線形性は,ニューラルネットワークやファジー演算などとも共通するものである.本記事では,モルフォロジーの思想と原理を,これらとの関連にも触れながら解説する.更に,モルフォロジーに関連した,図形を「測る」研究も紹介する.
著者
藤堂 洋介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.23-33, 2016-07-01 (Released:2016-07-02)
参考文献数
64

大量の情報を取り扱う昨今,暗号は必要不可欠な技術となった.とりわけ高速に暗号化及び復号が可能な共通鍵暗号は幅広く利用されている.一方で共通鍵暗号の安全性は非常に発見的な方法で保たれている.すなわち多くの暗号学者が様々な角度から暗号解析を試み,誰も解読できなかったならば安全という考え方だ.これは逆を言えば,安全と信じられていた暗号がある日突然解読されることもあり得ることを意味する.本稿では共通鍵暗号の発展の裏にある創造と破壊の歴史を紹介するとともに,ブロック暗号『MISTY1』に対する世界初の理論解読法で利用された新技術を概観する.
著者
鶴 正人 内田 真人 滝根 哲哉 永田 晃 松田 崇弘 巳波 弘佳 山村 新也
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.16, pp.16_57-16_68, 2011-03-01 (Released:2011-06-01)
参考文献数
43
被引用文献数
3 8

インターネットは世界を結ぶ情報社会の基盤となっている.しかし,その基礎となるTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)技術の設計の中では,極端に長い通信遅延時間,頻繁なパケット損,間欠的な通信リンクの出現,などが発生する通信環境は想定されておらず,情報通信を必要とする環境の著しい多様化に対応するためには拡張が必要である.惑星間インターネットを起源に持つ,遅延耐性ネットワーク(DTN:Delay, Disruption, Disconnection Tolerant Networking)と呼ばれる技術領域は,従来のTCP/IP 技術では対応できなかった状況においてもエンドツーエンドの情報伝達を実現する枠組みとして誕生した.本論文では,従来技術をある程度知っている読者を想定し,近年研究が活発化しているDTN 技術に関して概説を与える.DTN 技術を時間的・空間的不連続性の下で非実時間通信を効率的に行うための中継技術として捉え,その基本技術である蓄積形及び蓄積運搬形転送に焦点を当て,標準的なアーキテクチャや,中継経路の制御手法及び中継データの符号化手法についての技術動向を概観する.蓄積(運搬)形転送は,従来のTCP/IP 技術の制約を超える新世代ネットワーク技術として進展が期待できる.
著者
Masahiro Tsuchiya Takahiro Shiozawa Shinji Harakawa
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
IEICE Electronics Express (ISSN:13492543)
巻号頁・発行日
vol.11, no.18, pp.20140745-20140745, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
15

An innovative concept of noninvasive sensor device has been proposed and successfully demonstrated, which makes direction detections and intensity measurements for electric fields be drastically simplified and agile. Its primal feature is a unique geometry, with the simplicity of Columbus’ egg, where an ammeter and optical readout are internally contained in virtual-shorted parallel plates. While its electromagnetic principle for accurate sensing has been confirmed, its function to promptly image directions and distributions of electric fields has been demonstrated combining its aerial scan with a bulb-shuttered photographic camera.
著者
小野 一穂 杉本 岳大 濱崎 公男
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.329-339, 2012-04-01 (Released:2012-04-01)
参考文献数
11

音声信号のデジタル化,マルチチャンネル化に伴い,音波を電気信号に変換するマイクロホンに対する要求も高度かつ多様化している.放送においても実際に収音を行う現場では,収音する対象や環境に応じて多種多様なマイクロホンを使い分ける.そこで本解説は,収音条件の観点からどのようにマイクロホンが選ばれ使われるかについて,近年の研究成果の紹介も交えて解説を行う.
著者
白川 功
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.10-19, 2011-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
20

IEEE が認定する Milestones は,2010年10月現在,全世界で106件(我が国では14件)に達する.まず,我が国以外で認定されたものについては主なもの,我が国で認定されたものについては全て,のタイトルを記す.次いで,筆者がnominator として申請し,認定された関西発のイノベーション4件(①電卓の開発,②自動改札機の開発,③黒部川第4水力発電所建設,④太陽電池の商用化)について,その概略と歴史的意義について記述する.
著者
Ichiro SATOH
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E91.A, no.11, pp.3261-3268, 2008-11-01 (Released:2008-11-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1 5

A formal approach for specifying and reasoning about earth-friendly logistics management systems is presented. To reduce fossil fuel consumption and carbon dioxide emissions resulting from transport, we must enhance the transport efficiency of trucks, which play an essential role as carriers in modern logistics services. This paper addresses the milk-run approach. It is one of the most effective and popular solutions to this problem, but it makes it be complicated to implement in a logistics management system. We propose a language for specifying the routes of trucks and an order relation between the requirements of routes and the possible routes of trucks. The former is formulated as process calculus and the latter selects suitable trucks according to their routes.
著者
安田 幹 佐々木 悠
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.57-67, 2010-07-01 (Released:2010-12-01)
参考文献数
72
被引用文献数
1

情報セキュリティの分野で利用されるハッシュ関数は特に「暗号学的ハッシュ関数」と呼ばれ,簡単なハッシュ関数と比べて,より多くの安全性条件をより高いレベルで満たすことが求められる.暗号学的ハッシュ関数には代表的なアルゴリズムが幾つか知られ,比較的長い間使われ続けてきたが,近年,これらに関するぜい弱性が次々と発見された.そして,安全かつ高速な暗号学的ハッシュ関数を作るのは,どうやら今まで考えられてきたほど容易ではないということが分かってきた.本稿では,暗号学的ハッシュ関数に関する今までの歴史と近年の最新動向を概観する.
著者
越田 俊介 阿部 正英 川又 政征
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.34-45, 2016-07-01 (Released:2016-07-02)
参考文献数
81

可変ディジタルフィルタは,遮断周波数や帯域幅などをリアルタイムで制御できる周波数選択性ディジタルフィルタであり,電気通信,音声・音響信号処理など幅広い分野にて用いられている.本論文では,主として設計と実現の問題に着目して,可変ディジタルフィルタに関する研究成果を紹介する.また,可変ディジタルフィルタの応用として,適応信号処理の分野における可変ディジタルフィルタの研究成果についても述べる.
著者
Mohamad Samir A. EID Hitoshi AIDA
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E100.D, no.8, pp.1738-1750, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
37
被引用文献数
1

Distributed Denial of Service (DDoS) attacks based on HTTP and HTTPS (i.e., HTTP(S)-DDoS) are increasingly popular among attackers. Overlay-based mitigation solutions attract small and medium-sized enterprises mainly for their low cost and high scalability. However, conventional overlay-based solutions assume content inspection to remotely mitigate HTTP(S)-DDoS attacks, prompting trust concerns. This paper reports on a new overlay-based method which practically adds a third level of client identification (to conventional per-IP and per-connection). This enhanced identification enables remote mitigation of more complex HTTP(S)-DDoS categories without content inspection. A novel behavior-based reputation and penalty system is designed, then a simplified proof of concept prototype is implemented and deployed on DeterLab. Among several conducted experiments, two are presented in this paper representing a single-vector and a multi-vector complex HTTP(S)-DDoS attack scenarios (utilizing LOIC, Slowloris, and a custom-built attack tool for HTTPS-DDoS). Results show nearly 99.2% reduction in attack traffic and 100% chance of legitimate service. Yet, attack reduction decreases, and cost in service time (of a specified file) rises, temporarily during an approximately 2 minutes mitigation time. Collateral damage to non-attacking clients sharing an attack IP is measured in terms of a temporary extra service time. Only the added identification level was utilized for mitigation, while future work includes incorporating all three levels to mitigate switching and multi-request per connection attack categories.
著者
守谷 健弘 鎌本 優 原田 登 杉浦 亮介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.246-256, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
87

多様な信号処理の全般で重要な役割を果たしている線形予測分析技術の利用の観点で,音声音響符号化技術の進展を紹介する.開発当初から線形予測分析による合成フィルタは音声生成の声道モデルと親和性が高く,音声合成や電話音声に特化した音声符号化で広く使われてきた.一方,現在普及している典型的な音響符号化には線形予測符号化技術が使われていないが,低ビットレート化,音声音響統合符号化の要請に合わせて,スペクトル包絡を効率的に表現する手法として広く使われるようになった.これらの経緯を説明し,あわせて最近実用段階にあるロスレス音響符号化MPEG-4 ALS,携帯電話用の符号化3GPP EVS について紹介する.