著者
高野 雅典
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.275-281, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
92

ソーシャルビッグデータはヒトや社会について分析し理解するための強力なツールである.ソーシャルビッグデータ登場以前には観測が難しかった大量のヒトの詳細な社会的行動を分析できるからである.本稿では社会科学の研究トピックのうち協調行動・社会的グルーミングと社会構造・内集団バイアス・性的選好の四つについて紹介する.それぞれ先行研究をレビューした後,関連するソーシャルビッグデータ分析による研究について述べる.またWebの普及に伴って新たに発生した問題に関するソーシャルビッグデータ分析研究も紹介する.
著者
岩田 賢一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.175-198, 2013-01-01 (Released:2013-01-01)
参考文献数
39

情報理論は,与えられたシステムにおける符号化問題の理論的限界を数理的な情報量を用いて明確にすると共に,その理論限界を達成する符号化法を明確にすることを目的としている.近年,Arikanは,確率過程の分極操作に基づいたpolar符号と呼ばれる新しいクラスの符号を提案している.polar符号は,定常無記憶情報源及び対称通信路の理論的限界を低計算複雑度と低空間複雑度で達成できることを明らかにしている.polar符号は,多端子符号化問題を含め様々な符号化問題に対して,その理論的限界を低計算複雑度と低空間複雑度で達成する符号の構成法に関して一つの基本的な原理をもたらすことが期待される.本稿では,polar符号を情報源符号化と通信路符号化について紹介するとともに,polar符号のCプログラミングによる例を紹介する.
著者
佐藤 敦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.302-311, 2012-04-01 (Released:2012-04-01)
参考文献数
14

パターン認識とは,信号の空間的・時間的変化として観測されるパターンを,それが属すべきクラスに対応付ける操作のことである.近年のコンピュータ技術の進展に伴い,大規模データを用いた技術開発が可能になり,パターン認識を最適化問題として捉える機械学習的アプローチが一般的となっている.本稿では,パターン認識問題における数理的側面について,大局的な視点で解説する.
著者
Tomo NIIZUMA Hideaki GOTO
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E100.D, no.3, pp.511-519, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
24
被引用文献数
3

Wireless LAN (WLAN) roaming systems, such as eduroam, enable the mutual use of WLAN facilities among multiple organizations. As a consequence of the strong demand for WLAN roaming, it is utilized not only at universities and schools but also at the venues of large events such as concerts, conferences, and sports events. Moreover, it has also been reported that WLAN roaming is useful in areas afflicted by natural disasters. This paper presents a novel WLAN roaming system over Wireless Mesh Networks (WMNs) that is useful for the use cases shown above. The proposed system is based on two methods as follows: 1) Automatic authentication path generation method decreases the WLAN roaming system deployment costs including the wiring cost and configuration cost. Although the wiring cost can be reduced by using WMN technologies, some additional configurations are still required if we want to deploy a secure user authentication mechanism (e.g. IEEE 802.1X) on WLAN systems. In the proposed system, the Access Points (APs) can act as authenticators automatically using RadSec instead of RADIUS. Therefore, the network administrators can deploy 802.1X-based authentication systems over WMNs without additional configurations on-site. 2) Local authentication method makes the system deployable in times of natural disasters, in particular when the upper network is unavailable or some authentication servers or proxies are down. In the local authentication method, users and APs can be authenticated at the WMN by locally verifying the digital certificates as the authentication credentials.
著者
松岡 猛
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.128-135, 2011-10-01 (Released:2011-10-01)
参考文献数
8

平成23年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故を確率論的安全評価(PSA)の観点から検討した.地震及び津波により原子力プラントの全電源が喪失し,炉心溶融に至った事故である.全電源喪失時に起こり得る事象/事態をそれらの連鎖・分岐で表現し,炉心損傷確率を算出した.現実には3基の原子炉で炉心損傷が発生してしまったが,評価結果では7日後でも炉心損傷確率は1号機では0.71であり,2,3号機では0.12と小さな値であった.この評価結果から,事故を防ぎ得る可能性がかなりあったことが分かった.その解析結果を基に,福島第一原子力発電所の事故について考察した.
著者
高田 明典
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.118-137, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)
参考文献数
66

私たちの社会における価値観の形成に関して,「物語」が果たす役割は決して小さくない.物語は,この社会の価値観を形成し変化させうるものであると考える.本論文では,物語分析のうち,特に物語の訴求力を分析する方法としての「物語訴求構造分析」について論じる.まず,物語論及び物語分析の基礎となる理論を説明する.続いて,物語分析及び物語論の研究史を概観する.また,物語分析において用いられる主要な手法について概観し,その概要について述べ,物語の訴求構造分析手法の応用例を提示する.
著者
伴 弘司 北沢 祥一 小林 聖
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.25-32, 2013-06-01 (Released:2013-09-01)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

様々な機器を無線で接続して自動化やシステムの効率化を進める機器間通信 (Machine-to-Machine,M2M) 技術が広がりを見せている.この技術を狭小な機器内空間に適用して機器内の部品間の通信用配線を無線化しようとするのがワイヤレスハーネスである.我々はこれまでにICT機器内の通信用ハーネスに着目し,その無線化の要素技術の確立と効果について検証を進めてきた.今年度からは対象を車両に向け,燃費向上や省エネ化を進める車載ハーネスの無線化技術の研究を開始したところである.ワイヤレスハーネスを特徴付けるものは,部品が多く金属に囲まれた狭小な空間内という伝搬環境と,低システム遅延や多元接続性などの通信要求仕様である.ただし,後者については適用シーンによって様々な考え方がある.ワイヤレスハーネスは軽量化をテコとする省資源・省エネに効果があるだけでなく,作業性向上などの様々なメリットがあるが,実用化例はまだ多くない.コストとともに信頼性や厳しいシステム要件がハードルになっているように思われる.そこで,我々のこれまでの研究成果を振り返るとともにワイヤレスハーネスについて内外の動向を紹介し,そのユニークさや有用性,課題などについて論じる.
著者
小野 一穂 杉本 岳大 濱崎 公男
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.329-339, 2012-04-01 (Released:2012-04-01)
参考文献数
11

音声信号のデジタル化,マルチチャンネル化に伴い,音波を電気信号に変換するマイクロホンに対する要求も高度かつ多様化している.放送においても実際に収音を行う現場では,収音する対象や環境に応じて多種多様なマイクロホンを使い分ける.そこで本解説は,収音条件の観点からどのようにマイクロホンが選ばれ使われるかについて,近年の研究成果の紹介も交えて解説を行う.
著者
鬼沢 直哉 松宮 一道 羽生 貴弘
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.28-39, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
70

ストカスティック演算は,ソフトエラー耐性が高い演算方式として注目されているだけでなく,ある程度の誤りを許容可能なアプリケーション(画像処理,機械学習,ディープラーニング等)の増加に伴い,近年盛んに研究が行われている.本論文では,ストカスティック演算の基礎的な事項からハードウェア実現における利点・欠点について概説するとともに,ストカスティック演算の適用例として,脳の視覚情報処理を模倣した脳型LSIの実現例について幾つか紹介とともに,その省エネルギー性について議論する.
著者
五味 秀仁 大神 渉
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.115-125, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本稿では,個人認証に関するグローバルな業界団体FIDO(Fast IDentityOnline,ファイドと読む)アライアンスが推進する技術仕様,及び,その標準化活動の動向を解説する.FIDOアライアンスは,パスワードなど記憶に頼る認証方法への依存を減らし,公開鍵暗号方式を用いたシンプルで堅ろうな認証方法の標準化を推進している.更に,プライバシー保護への適応やプラットホームをまたがる利用の促進を通じて,FIDOのエコシステムの拡大を目指している.
著者
斎藤 利通
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.155-161, 2011-10-01 (Released:2011-10-01)
参考文献数
41
被引用文献数
6 7

柔軟な最適解探索アルゴリズムとして注目を集めている粒子群最適化の基礎と課題と発展形ついて解説する.まず,基本的なアルゴリズムを紹介し,それを発展させ応用させていくための課題を概観し検討する.非線形システムとの対応付けが一つのポイントになると思われる.数ある応用の中で,回路のパラメータ最適化問題に着目する.具体例として,DC/AC インバータの動作を実現するスイッチ信号の合成問題を紹介する.多目的最適化への有効な対処方法や,解探索に有効なパラメータの次元の自動調節法にも言及する.
著者
瀬戸 洋一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.77-83, 2014-10-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

日本におけるバイオメトリック技術は,2004年に金融機関のATM(Automatic Teller Machine)への静脈認証装置の採用,2006年にはIC旅券,2007年にはIC運転免許証への顔データの実装というように,社会基盤システムに着実に展開された.2010年を境に米国においてバイオメトリック市場のパラダイムシフトを目指す「Post 9.11」という動きが出てきた.次のステージに向けた市場の拡大の可能性はあるが,民生利用や行政サービスなどに利用されるには,バイオメトリクス特有の問題への対策が以前にも増して重要となっている.つまり,識別,認証のほか,ビッグデータ分野への応用として追跡という新しい利用分野が立ち上がり,これらの市場拡大には,プライバシーへの対策技術が重要である.本稿では,今後必要な技術開発及び製品化のポイントについて述べる.