著者
新宮 春男
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.8, no.8, pp.355-361, 1959-08-20 (Released:2010-01-27)
参考文献数
55
著者
井上 賢一
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.207-213, 2023 (Released:2023-04-05)
参考文献数
15

肺胞の表面を覆う肺サーファクタントは,主成分である脂質の両親媒性により,呼吸機能の維持に重要な役割を果たしている。最近,この肺サーファクタントに含まれる不飽和脂質が空気中に含まれる程度の極低濃度オゾンによっても酸化されることを示唆する結果が報告されている。極低濃度オゾンの呼吸器への影響を明らかにする上で分子レベルでの反応機構を明らかにすることは重要であるが,技術的な難しさのためにその詳細はこれまでに十分には明らかになっていない。和周波発生(SFG)分光法は,2次の非線形光学効果に基づき分子の界面構造に非常に敏感な分光法である。特に,SFG光の干渉信号を検出するヘテロダイン検出は,従来の光強度測定と比較してより多くの情報を得ることが可能である。本稿では,ヘテロダイン検出SFG分光法の原理と極低濃度オゾン環境下における不飽和脂質単分子膜の酸化反応のその場測定への適用例について紹介する。
著者
三戸 義則
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.104-110, 1961-02-20 (Released:2009-10-09)
参考文献数
16
著者
二神 岳 草森 浩輔 西川 元也
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.55-61, 2021 (Released:2021-02-04)
参考文献数
45

エクソソームは,脂質二重膜で覆われたナノサイズの細胞外小胞(EVs)であり,その中には核酸やタンパク質,脂質など,エクソソームを産生する細胞固有の物質が含まれる。エクソソームを含むEVsの様々な生理的状態や疾患との関連性の深さから,幅広い疾患において診断あるいは治療用のツールとしてのEVsの応用が期待されている。しかしながら,EVsは産生される細胞の起源やそのサブタイプによって体内動態が異なることが報告されていることから,個々のEVsの体内動態特性を理解することは極めて重要である。そこで,EVsの体内動態の解明や治療効果向上に向けた体内動態制御,さらには低分子化合物やタンパク質,核酸などの様々な薬物のデリバリーキャリアとしての適用拡大を目的とした研究が盛んに行われている。本稿では,エクソソームを含む直径100nm程度のsmall EVsに焦点を当て,標識方法を含むEVsの体内動態と,その制御方法および制御技術に関するこれまでの研究報告を紹介する。
著者
中澤 昌美
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.73-78, 2023 (Released:2023-02-04)
参考文献数
12

単細胞真核藻類のユーグレナ(和名ミドリムシ)は,好気・嫌気の両環境にフレキシブルに適応できる代謝系を有している。細胞が嫌気状態にさらされると,貯蔵多糖パラミロン(直鎖状β-1,3 グルカン)を分解して,脂肪酸-脂肪アルコールエステルであるワックスエステルを生成する。この代謝過程ではATPを消費しないミトコンドリア局在脂肪酸合成系が利用されることから,長らく「ワックスエステル発酵」と呼ばれてきた。しかし,近年の研究から,ATPを消費しないだけではなく,ミトコンドリア嫌気的呼吸鎖と共役したATP合成が同時に行われていることが明らかとなってきた。本稿では,嫌気下でのワックスエステル合成発見から,現在明らかになっている代謝メカニズムまでを概説する。
著者
玉木 峻 腰塚 悠貴 篠村 知子
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.79-86, 2023 (Released:2023-02-04)
参考文献数
33
被引用文献数
1

カロテノイドは食品,化粧品,医薬品の分野で私たち人間の生活を豊かにする脂溶性色素分子である。カロテノイド自体は植物や藻類などの光合成生物において生合成され,光合成や光防御といった光環境に関わる多様な機能を持っている。特に,紅藻の二次共生によって成立したユーグレナ藻,珪藻,渦鞭毛藻など微細藻類群は,陸上植物や緑藻にはない多種多様なカロテノイド(ジアジノキサンチンなど)を生合成するが,その生合成経路や光環境に対する生理機能については未解明な部分が多い。本稿では,二次共生藻類の中でも,産業利用での研究開発が目覚ましいユーグレナについて取り上げ,ユーグレナにおけるカロテノイドの生合成経路やカロテノイドを介した光環境への適応機構に関して,最近の研究成果を紹介する。
著者
物井 則幸 佐野 朋美
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.291-297, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
33

近年の多くの研究により,睡眠と全身健康が密接に関わっていることが明らかになっている。 本邦の睡眠問題に起因する社会的経済損失は,年15兆円と試算されており,睡眠を改善することの社会的意義は大きい。本稿では,睡眠の質を向上する機能性表示食品の開発経緯を,素材探索,見出した素材「清酒酵母GSP6」の睡眠の質向上機能・作用メカニズム解析を中心に報告する。加えて,睡眠を介した全身健康(睡眠ヘルスケア)研究の一環として睡眠の質向上による肌質の改善と疲労感の軽減についても紹介する。
著者
小林 正樹 星野 駿介 樋上 賀一
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.61-66, 2018 (Released:2019-09-02)
参考文献数
50

長期の摂取カロリーの制限(caloric restriction; CR)は,加齢に伴う生理的変化や老化関連疾患の発症を抑制もしくは発症時期を遅延し,平均及び最大寿命を延伸する唯一の簡便で再現性の高い方法として,老化・寿命研究に広く応用されている。CRのメカニズムとして,成長ホルモン/インシュリン様成長因子1シグナルの抑制,mechanistic target of rapamycin complex 1の抑制,サーチュインの活性化,ミトコンドリア/レドックス制御の亢進などの関与が示唆されているが,その詳細は未だ充分に解明されていない。本総説では,最近の分子遺伝学的技術の進歩により得られた遺伝子改変動物を用いたCR研究の知見をベースに,我々が最近報告した白色脂肪組織リモデリングに関する新規知見を含めて,CRのメカニズムを考察する。
著者
宇山 直人
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.597-604, 2022 (Released:2022-12-03)
参考文献数
26

衣料用洗剤に酵素が初めて配合されたのは1913年。それから100年以上の年月が流れ,洗剤に使用される酵素もずいぶんと進化した。昨今のSDGsの流れや原料の価格高騰など,洗剤業界にとってもターニングポイントに差し掛かっていると思われるなか,本稿では衣料用洗剤の発展を洗剤用酵素開発の歴史を振り返ることで紐解き,そこから得られる知見から将来の洗剤の展望について触れたいと思う。
著者
柴田 博
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.17-23, 2013 (Released:2016-02-01)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

国際的比較データをみると,1人あたりの脂肪摂取量が多いほどその国の平均寿命は有意に長いことが分かる。筆者たちの高齢者の地域比較研究では余命の長い地域は短い地域と比較して脂肪摂取量が多い。同一地域の縦断研究も脂肪摂取の多い群の余命が長いことを示している。欧米には脂肪の過剰摂取の害も示されている。しかし,欧米の半分程度しか脂肪を摂取していない日本人にその結果を外挿することは誤りである。
著者
平澤 典保 大内 和雄
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.65-71, 2005-02-01 (Released:2013-06-01)
参考文献数
24

炎症のchemical mediatorであるprostaglandin (PG) E2は, 急性炎症反応だけでなく, 慢性炎症にも関与していることが明らかにされてきた。ここでは, cyclooxygenase (COX) -2に由来するPGE2が肉芽組織における血管新生に関与していることについて, 筆者らのラットのカラゲニン空気嚢型炎症モデルにおける研究成果を中心に最近の知見を紹介する。ラット背部皮下に作製した空気嚢内にカラゲニン溶液を注射すると3日後から6日後に血管新生を伴う肉芽組織の増大が見られた。COX-2選択的阻害薬NS-398及びCOX-1/COX-2阻害薬indomethacinは滲出液重量, 肉芽重量及び血管新生の増大を抑制し, COX-2は炎症反応だけでなく, 血管新生にも関与していることが示唆された。NS-398は滲出液中の血管内皮増殖因子 (VEGF) 量を低下させたこと, PGE2はin vitroにおいて, 肉芽組織によるVEGF産生を増大させたことから, COX-2に由来するPGE2がVEGFの産生を誘導し, 肉芽組織中の血管新生を増大させることが示唆された。さらにPGE2のVEGF産生誘導機序についても言及する。
著者
辰巳 佐和子 桑原 頌治 瀬川 博子 宮本 賢一
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.135-140, 2021 (Released:2021-04-06)
参考文献数
30

血中リン濃度は,主に腸管吸収,骨代謝(骨形成・吸収),腎臓における排泄と再吸収,肝臓,筋肉などの軟組織への組織移行により維持される。血中リン濃度は日内リズムを形成し,その形成機序は早朝空腹時のリン濃度を規定する重要な要因と考えられている。慢性腎臓病(CKD)では非常に早期よりリン代謝異常が生じている。CKDや維持透析患者の死亡リスクは,早朝空腹時の血中リン濃度と正の相関を示すことが知られている。最近,Nampt(nicotinamide phosphoribosyl transferase)/NAD(nicotinamide adenine dinucleotide)系が,ナトリウム依存性リン輸送体であるNaPi-IIa(Npt2a),NaPi-IIc(Npt2c),NaPi-IIb(Npt2b)の発現量を調節することで,血中リン濃度の日内リズム形成に関わることが明らかにされた。実際に,Namptヘテロ欠損マウスでは,血中リン濃度の日内リズムは消失する。また肝臓特異的Nampt欠損マウスでは,異常な日内リズム形成を示すことから,Nampt/NAD系がリンの組織移行にも関与する可能性が示唆されている。血中リン濃度の日内リズム形成のさらなる理解は,CKDや維持透析患者のリン管理において重要である。
著者
落合 優
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.155-164, 2022 (Released:2022-04-07)
参考文献数
20

食用昆虫は持続可能な食糧資源として推奨されているが,その栄養的および機能学的特徴については十分には解明されていない。食用昆虫は代替タンパク質資源であると考えられる場合が多いが,食用昆虫の中には脂質を多く含むものも存在し,さらに脂質の構造的特徴は昆虫の種や昆虫の飼料および成長段階によって異なると考えられる。加工食品への食用昆虫や昆虫油脂の利用を考えると,食用昆虫原料を質的および量的に評価することが重要である。著者は,食用昆虫を重要な脂質資源であると考え,世界に約2000種類存在する食用昆虫の中でも代表的な食用昆虫であり,国内でも加工粉末が市販されるトノサマバッタ(成虫),カイコ(蛹)および数種類のコオロギ(成虫)の油脂の特徴について検討してきた。本稿では,食用昆虫の油脂の量および質に関する栄養学的な分析知見を示し,著者らの先行研究で得られている食用昆虫の油脂に期待される生理作用について紹介する。食用昆虫油脂の質に関して,我々はトノサマバッタおよびカイコにはn-3系脂質であるα-リノレン酸,コオロギにはn-6系脂質であるリノール酸が結合した中性脂肪およびリン脂質が豊富に含まれることを示した。さらに,リン脂質の中ではホスファチジルコリンが主要なリン脂質種であるが,その他のリン脂質種も含有されていることを示した。昆虫油脂に期待される栄養生理作用について,食用トノサマバッタ粉末をラットに給餌したところ,肝臓における脂質代謝が改善されることを示した。これらの研究より,食用昆虫は機能性に優れる多価不飽和脂肪酸やリン脂質を含む油脂源であることが示唆された。昆虫を食糧油脂源や機能性油脂源として利用することによって,国連が推奨する持続可能な開発目標(SDGs)に対する貢献も大いに期待される。
著者
浜崎 景
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.337-341, 2022 (Released:2022-07-07)
参考文献数
39

WHOの報告によると,世界の60歳以上の年齢層の20%以上が精神・神経疾患を患っており,最も一般的な精神・神経疾患は認知症とうつ病で,それぞれ世界の高齢者人口の約5%と7%が罹患しているとされている1)。若年層のうつ病との大きな違いは,心疾患,脳血管障害,認知症などと関連している点で2),診断や治療が遅れる可能性があり,場合によっては見落とされ,治療されないこともある。やはり生活習慣改善による一次予防が重要である。栄養学的なアプローチもここ20年ほどの間に多く報告されるようになってきたが,その中でも有望視されているのが,魚介類とその有効成分のω3系多価不飽和脂肪酸(以下ω3)である。観察研究を統合したメタ解析の結果ではリスク低減と関連しており3,4),また,介入研究のメタ解析結果からも軽減効果が認められている5)。本稿では高齢者を対象とした魚介類とω3とうつとの関連を,自験例も含めてそのメカニズムとともに解説したいと思う。
著者
井内 良仁
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.149-154, 2022 (Released:2022-04-07)
参考文献数
20
被引用文献数
1

昆虫食が話題になっている。食糧危機における代替食,という側面が強調されがちだが,基本的な実力に加えて,実は健康食として更には創薬の可能性を秘めたミラクルフードとしての研究も進んでいる。私たちの健康増進に働く食品機能性から見た昆虫食について紹介したい。
著者
石川 大太郎
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.277-285, 2022 (Released:2022-06-07)
参考文献数
20

近赤外分光法は,800-2500 nm領域付近のスペクトルを利用した分析方法で,非破壊・非侵襲で,あるがまま丸ごとの物質測定がハイスループットに可能であることから,1970年代以降食品分野を中心に発展してきた。脂質分析に対しても,ケモメトリクスとの組み合わせによる高精度な濃度定量法が提案され,魅力的な装置が世に送り出されている。さらに,脂質酸化や状態異常は生体内では悪性疾患の要因になることから,ごく近年では近赤外イメージングと組み合わせた脂質濃度分布の可視化等の応用が検討されている。本稿では,近赤外分光法の基礎と脂質を対象とした装置開発や定量法に加えて,近赤外イメージングの利用など,近赤外分光分野における脂質研究の動向をレビューする。
著者
高橋 典子 今井 正彦 李 川
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.523-530, 2014 (Released:2017-02-01)
参考文献数
66

ビタミンAは約200年前に発見されてから,様々な役割を果たす重要な栄養素として認められてきた。現在,活性型ビタミンAであるレチノイン酸は前骨髄性白血病患者に対し分化誘導療法薬(抗がん剤)として使用されているが,他のがんや疾病に対する応用も期待される。近年,レチノイン酸以外のレチノールを含むレチノイドに抗がん作用があることが示され注目が集まっている。そこで本稿では,ビタミンAの供給,及び,生体内でのビタミンAの動態,代謝,作用についての新しい知見を,1)β-カロテンの作用と供給源としてのレッドパーム油,2)レチノイン酸の腸内免疫賦活作用,3)ビタミンAに関連する新技術[レチノイン酸の可視化,レチノイン酸結合タンパク質の分解促進法,レチノイン酸のLC/MS/MSによる新規定量法],4)ビタミンAに関連する新素材[新規レチノイン酸誘導体由来化合物の抗酸化作用と抗がん作用(Non-genomic action)],の内容で紹介する。ビタミンAの補助食品としての活用法の構築や予防薬・治療薬の開発を行い,健常人や患者のQOLの向上に寄与できる研究を目指す。
著者
津川 裕司 松沢 佑紀
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.297-306, 2022 (Released:2022-06-07)
参考文献数
12

昨今,質量分析を用いたノンターゲットリピドミクスの技術革新により,1検体あたり1000を超える脂質分子を一度に捉えることが可能な時代となった。これは,分析化学の発展だけでなく,情報科学(質量分析インフォマティクス)研究の発展によるところが大きいと考えられる。このような脂質解析は基礎研究だけでなく,臨床検体の解析によるバイオマーカー探索や食品科学における機能性解析といった幅広い分野において適用可能な技術である。そこで本項では,ノンターゲットリピドミクスワークフローのうち,特にデータ解析に焦点を当て,これから脂質メタボローム解析を始めようとする読者への手助けとなるような情報を掲載する。具体的には,(1)質量分析より得られた計測データから脂質プロファイル情報を得るためのデータ処理,(2)ノンターゲット解析結果の標準化および定量値の解釈について,そして(3)得られた脂質情報から生物学的解釈を行うためのオントロジー解析やパスウェイ解析について記載する。
著者
宮下 和夫 上村 麻梨子 細川 雅史
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.317-324, 2018 (Released:2019-09-02)
参考文献数
22

魚油はEPAやDHAを多く含むため,酸化安定性が低い。また,酸化の第一次生成物であるヒドロペルオキシド(ROOH)の安定性も低く,ROOHの分解によりアルデヒドなどの風味劣化成分が酸化のごく初期から生じる。魚油の酸化防止は,この風味劣化成分の抑制が鍵となる。一方,魚油の風味劣化についてはこれまでも多くの研究があるが,その主因については明確にはされていない。本項では,魚油の風味劣化成分について,特にその酸化初期に生成するアルデヒドに焦点をあてる。また,魚油の酸化に伴う風味劣化の効果的な防止法についても紹介する。