著者
大槻 美佳 相馬 芳明 青木 賢樹 飯塚 統 吉村 菜穂子 佐原 正起 小山 晃 小島 直之 辻 省次
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.243-248, 1998-03-01

目的:左前頭葉内側而損傷群と背外側面損傷群の視覚性呼称能力と語列挙能力を比較検討した。対象・方法:11例の超皮質性運動失語を呈する右利き脳梗塞または出血患者。病巣はCTまたはMRIにて同定した。視覚性呼称能力としてWAB失語症検査V-Aの20物品の呼称課題を,語列挙能力として同V-Bの語想起課題を用いた。結果・考察:左前頭葉内側面損傷群は視覚性呼称が良好であるのに対し語列挙が不良であった。外側面損傷群では視覚性呼称,語列挙いずれも不良であった。この結果から左前頭葉内側面は語列挙に,背外側面は視覚性呼称に重要であることが推測される。サルの実験において,前頭葉背外側面にある前頭前野は視覚誘導性の動作に,内側面にある補足運動野は記憶依存性の動作に関与することが知られている。 言語においては視覚性呼称は視覚誘導性の動作に,語列挙は記憶依存性の動作に対応すると考えられる。したがって,本結果は行為における前頭葉背外側面と内側面の機能的相違が言語機能においても当てはまることを示唆する。
著者
武村 千紘 鈴木 重成 和泉田 真作 桐木 雅史 金子 禮子 妹尾 正
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.1369-1372, 2015-09-15

要約 背景:東洋眼虫Thelazia callipaedaは,ヒトと野生の哺乳類を宿主とする人畜共通の寄生虫であり,涙囊または結膜囊に寄生する。中間宿主はショウジョウバエ科のメマトイで,涙液や眼脂を舐めるときに幼虫を摂取する。東洋眼虫による眼感染は,日本では九州や西日本などの温暖な地域に多かったが,近年では北上する傾向がある。目的:栃木県内で発症した東洋眼虫による結膜感染例の報告。症例:栃木県に住む63歳男性が1か月前からの左眼の霧視と異物感で紹介受診した。自覚症状が生じる2週間前に,公園でハエに顔面周囲を執拗にまとわりつかれた。前医で虫体が左眼結膜に1隻発見され,除去された。患者の趣味は昆虫の写真撮影であった。所見:摘出された虫体は,その形態的特徴から東洋眼虫の雄と判定された。虫体の摘出後,自覚症状は消失した。結論:栃木県で東洋眼虫が発見されたことは,従来の報告にはない。温暖化のためにメマトイの活動期間が長くなったことがその理由であると推定される。
著者
敷地 孝法 滝脇 弘嗣 村尾 和俊 藤田 真弓 荒瀬 誠治 浦野 芳夫 石上 剛史
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.57, no.13, pp.1202-1204, 2003-12-01

66歳,女性.左手の有痛性の発赤・腫脹に対してノイロトロピン(R)が奏効し,臨床経過より反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)と診断した.約1か月前に左手に強い疼痛と腫脹が出現し,近医で抗生剤の投与を受け一時は軽快したがすぐ再燃.当科受診時,左手全体に熱感・発赤を伴う腫脹あり.WBC7,100/μl,CRP0.12mg/dl.組織細菌培養は陰性.病理組織像も蜂窩織炎の所見なし.入院のうえ,再び抗生剤を点滴したが効果なし.ノイロトロピン(R)を4T/日から内服したところ1週間で効果が現れ,3週間で疼痛,腫脹とも消失した.RSDは四肢に生じる難治性の慢性疼痛症候群の一つで,初期には発赤・腫脹を伴うため蜂窩織炎との鑑別が難しい.早期の診断と治療が予後を大きく左右するため,まずはRSDを疑うことが重要と思われた.
著者
宗重 博 生田 義和 木村 浩彰 戸田 克広
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.185-192, 1994-02-25

抄録:我々は1970~1992(昭和45年から平成4年)までに,当科を受診した上肢の反射性交感神経性ジストロフィー86症例について,手術治療,内服治療,transcutaneous electric stimulation system,星状神経節ブロック(SGB)の結果について検討した.また我々は,1889年にワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン®)が特定のタイプの反射性交感神経性ジストロフィーの早期投与として有効である31)ことを発見したので,投与結果と投与量について述べた.対象は男性38例,女性48例で,年齢は12~87歳で平均51.5歳であった.結果は,以下の通りであった.①ノイロトロピン®は,特にminor traumatic dystrophyに有効であった.②ノイロトロピン®は,1日4~6錠で有効であつた.③ノイロトロピン®の治療効果発現時期は,5週までであった.④手術成績は不良であった.⑤SGBは有効であった.
著者
長谷川 和夫
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.965-969, 1974-11
被引用文献数
2
著者
加藤 秀明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.215-218, 1998-02-15

■発症・由来・伝承 牛蒡種の牛蒡とは植物のゴボウで,牛蒡種をゴンボダネと読む。牛薄種を端的に言えば,「牛蒡種筋と呼ばれる家系があって,その筋の者に憎悪や羨望などの感情を持たれると,牛蒡種の生霊が憑いて精神異常を来す」とされる憑きもの俗信である。牛蒡種は憑かせる人・憑くもの・憑かれる人の構造が明確で,憑依体が狐つきなどの動物ではなく,生霊である点が特徴である。岐阜県飛騨地方(この中心が高山市)にほぼ特有の迷信であるが,飛騨周辺の地方にも若干存在する。 牛蒡種の発症・由来・伝承といった民俗学的側面については須田の研究3)を紹介しておく。牛蒡種俗信の所在地は飛騨山脈の岐阜県側登山口に一致する。人の生霊が憑くという思想が生じたのは平安時代であり,この時代は山岳宗教の修験者が競って深山幽谷に入り,厳しい修練をし,修験道が隆盛を極めた時代でもある。穂高,槍岳,双六岳,笠岳,乗鞍などの峻嶮高峰のそびえる飛騨山脈のふもとは修験者の格好の修業の場であったに違いない。飛騨地方における中世の神社仏閣の調査によれば,山岳宗教である天台宗と真言宗の寺院,および修験道と関連する白山神社は,飛騨山脈を源とするいくつかの川の流域に数多く存在している。この修験者の宗教的なまじないや祈祷によって,その地域の住民が強い情動体験を受け,祈祷性精神病に類似した特異な精神状態を惹起させられたことは想像に難くない。これを体験した地域の住民は,修験者に対し,畏怖,尊敬,嫌悪などの複雑で無気味な感情を抱き,特異な力を持つ人たちと感じるようになった。そして,修験者が村落に定着した場合,彼らの子孫は特異な力を持ったその筋の者とされ,牛蒡種筋の家系が成立したものと思われる。俗信の発症はおおむね平安時代であろうと推定される。この俗信は飛騨地方の地理文化的条件(四方を山で囲まれ,閉鎖的な部落が多いということのほかに,例えば,上宝村は今なお原始宗教の影響が残り,民俗学的研究の宝庫とされる風土)と,飛騨人の迷信を信じやすい性格傾向(例えば,1966年の出生率が丙午迷信によって全国平均より大幅に減少)などがあって今日まで伝承された。なお,牛蒡種の名称は修験者同士の呼称である「御坊」に由来し,それが植物の牛蒡(その種は人によく付着し,付着したら除去しにくい特性を持つ)に付会されて牛蒡種になった説が最も説得力がある。
著者
金 明博 納田 真也 山田 将雄 小坂 理也 阿部 宗昭
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1289-1293, 2000-10-25

抄録:Klippel-Feil症候群に伴う頭蓋底陥入に対し、後方除圧とinstrumentによる整復固定術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は14歳,男子.外傷などの誘因なく頚部から両肩にかけての疼痛と上肢の筋力低下にて発症した.来院時には上肢の挙上困難とふらつき歩行を呈していた.単純X線では頚椎の癒合椎と高度の頭蓋底陥入を,MRIでは大後頭孔内に陥入した歯突起と環軸椎亜脱臼に伴う環椎後弓による脊髄圧迫像を認めた.Halo-vestを装着し整復を試みたが困難であった.手術は後頭下減圧・環椎後弓切除および後頭骨頚椎間整復固定術(CO-C3)を施行した.術中,instrument (CCD―Cervical)のrodを利用した整復操作を加え,wake-up testにて新たな麻痺が生じていないことを確認した後,骨移植し手術を終了した.術後13カ月の現在,疼痛は消失し上肢の挙上,ランニングとも可能となっている,本法は術前に整復不可能な頭蓋頚椎移行部病変に対し有効な一手術方法と考える.

1 0 0 0 生物学

著者
高畑雅一 増田隆一 北田一博[著]
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
2013
著者
安井 正人
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.733-738, 2015-06-01

アクアポリンの発見から20年が過ぎた。アクアポリンの分子生物学的,生化学的研究はかなり進展したといえるが,まだまだ未解決の問題も多い。中枢神経系で発現しているアクアポリン4は視神経脊髄炎や脳浮腫の病態との関連が明らかとなり,臨床的にもその重要性が認識された。さらに脳のリンパ流にも関与していることから,神経変性疾患や精神神経疾患との関係も指摘されている。アクアポリン4機能の解明と創薬が期待される。
著者
多田 啓也
出版者
医学書院
雑誌
medicina (ISSN:00257699)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.1996-1997, 1988-09-30

■疾患概念 ビタミン依存症とは,十分量のビタミンを食品から摂取しており生理的意味でのビタミン欠乏はないにもかかわらず,ビタミンの多量(生理的需要量をはるかに越えた量)の投与により臨床症状の改善がみられ,投与を中止すると再び悪化するという一連の疾患の存在が知られ,ビタミン依存症Vitamin dependencyという概念が提示された. 現在までに知られているビタミン依存症を病因論的に分類すると, 1)アポ酵素の構造異常によるもの 酵素の質的変異によって補酵素との親和性が低下し,通常の濃度では反応せず多量のビタミンの存在を必要とするもの. 例えば,ビタミンB6依存症.
出版者
医学書院
雑誌
精神看護 (ISSN:13432761)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.60-65, 2020-01-15

ECTほど、やる病院とやらない病院が極端に分かれる治療もないでしょう。 やらない病院のスタッフであれば、ECTを見たことがない人も多いと思います。 編集部はECTを受けたというあるマスコミ関係者と知り合い、その話のディテールがあまりに興味深かったので、レポートしていただくことにしました。 いつもECTが身近にある医療者もそうでない医療者も、「受ける側」にとってはそれがどういう経験なのかを知ることは意味があるはずです。
著者
玉野井 徹彦 齊藤 裕之
出版者
医学書院
雑誌
総合診療 (ISSN:21888051)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.1230-1234, 2019-10-15

プレゼンテーションとは、「聞き手がその考えに同意し実行するよう促すこと」であり、学会発表や勉強会以外でも、外来診療やプライベートなどその機会は多いものです。それにもかかわらず、上手くいかないことがあるのはなぜでしょう? その理由を調べていくなかで、「プレゼンテーションの型」の存在に気づきました(図1)1)。「もっと早く知っていたら…」と過去の私への思いも込めて、本稿にて「その型=極意」を解説します。
著者
向野 利彦 猪俣 孟
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.1454-1455, 1993-08-15

網膜格子変性lattice degeneration of the ret—inaは,検眼鏡的に赤道部から鋸状縁の間にみられ,境界が比較的明瞭な網膜の変性巣である。この病名は,変性巣を横切る血管が白線化して格子細工模様を呈することによる。裂孔原性網膜剥離の約30%は網膜格子状変性が原因で起こるので,慎重な経過観察が必要な病変である。正常眼の約10%にみられ,家族内発生も知られている。 網膜格子状変性は網膜硝子体変性症のひとつである。変性巣は鋸状縁に平行に走り,その幅は0.5〜1.5乳頭径で,長さは短いもので約2乳頭径,長いものではときに1象限をこえる。変性巣の辺縁は多少隆起し,内部では網膜は菲薄化し陥凹している。変性巣上の硝子体は液化し,空洞(硝子体ポケット)を形成している。膜様の硝子体が変性巣の辺縁に付着し,後部硝子体剥離に伴い変性巣の後極縁に沿って裂孔を生じやすい。変性巣内は不透明灰白色で,種々の程度の色素遊出がみられることもある(図1)。典型的な例では白線化した血管がみられる。血管の硬化がなく色素の少ないものは早期のものと考えられる。進行すると変性巣内にしばしば円孔が発生する(図2)。
著者
腰野 富久 近藤 邦明
出版者
医学書院
雑誌
総合リハビリテーション (ISSN:03869822)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.197-201, 1985-03-10

はじめに 膝内障の定義に関しては,さまざまな意見があるが,一般的な概念としては急激な疼痛,嵌頓症状および膝くずれなどを訴え,単純X線像に病的所見を認めないものをさしている.このように膝内障という呼称は判然としない面があるが,膝関節内の不定の障害に対する総称であり,診断をつけるには便利なものであるため,ごく最近まで広く用いられてきた. 一般的には半月板損傷,陳旧性十字靱帯損傷,膝蓋軟骨軟化症,棚障害,膝蓋下脂肪体障害(Hoffa's disease)などの膝障害をさすことが多い8). しかし最近では,各種診断技術の進歩に加えて,X線学的検査でも膝蓋骨軸射像,関節造影,関節鏡などが広く行われるようになり,これまで膝内障として一括して扱われていた疾患に対しても,病態が明確に把握され個個の疾患に即応した治療が行われるようになった.これら膝内障に属する個々の疾患に対して若干の解説を加えた.
著者
森岡 恭彦
出版者
医学書院
雑誌
総合リハビリテーション (ISSN:03869822)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.417-421, 2001-05-10

20世紀後半に起こった医の倫理の変革―パターナリズムの医療からインフォームドコンセント(informed consent)の医療へ 医の倫理と言うと,西洋では古代ギリシアの医聖とされるヒポクラテスの考えが広く認められ,特にヒポクラテス学派(ギルド)に入会する際の誓詞が有名で,西洋では20世紀半ば頃までは医学部の卒業式でこれが卒業生により朗読されていたとされる.ヒポクラテスは,その他,医師の守るべきことについていろいろのことを述べており,例えば「救護のあいだ患者は多くのことに気付くことがないようにする.……これから起こる事態や現在ある状況は何一つ明かしてはならない……」,「素人には,いついかなるときも何事につけても決して決定権を与えてはならない……」としている.ヒポクラテスの考えは病気のことについて患者にいろいろのことを知らせると患者のほうは心配するだけであり,結局は医療については専門家である医師に任せるのが患者のためだというわけである.また,その代わりに医療を任された医師は身を正し,患者の利益のために力の限り努力するべきであるとするもので,この考えは中世のキリスト教社会での博愛の精神に受け継がれ,西洋における医の倫理として広く容認されてきた1).
著者
康永 秀生
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.100-104, 2018-02-15

はじめに 筆者は2017年1月4日から2017年1月13日まで,日本経済新聞の「やさしい経済学」欄に「予防医療で医療費は減らせるか?」という8回にわたるコラムを寄稿した.その中で筆者は,国民の健康寿命を延伸するために各種の予防対策を推進することの重要性を繰り返し強調した.それとともに,予防医療によって個人の生涯にかかる医療費を削減することは困難であり,長期的に見れば,予防対策は国民医療費を抑制するどころか,むしろ増加させる可能性があることを説いた.上記のコラムへの反響はなかなか大きかったようである.今回,大変ありがたいことに,「公衆衛生」誌の本特集への原稿執筆の依頼を受けた.これも,その反響の一つであろう. 本特集の企画書には,「都道府県の医療費適正化計画では,特定健診(いわゆるメタボ健診)の受診率向上の目標値が設定されるなど,健診による医療費抑制効果があることを前提とした計画策定が行われています.これに対して,医療経済学などの専門家からは批判的な意見も出ており,都道府県や市町村などの公衆衛生事業者には混乱があります」と書かれてある.日本経済新聞における拙論が,ひょっとすると,公的医療保険の実務に携わっておられる方や,公衆衛生の現場で予防対策の実務に尽力されている方には,いささか耳障りの良くない話であったかもしれない.現場の方々を混乱させているとすれば,大変申し訳ないことである. 本稿の依頼によって,筆者は,「予防対策は医療費を削減できない」とするところの論拠について,再度,丁寧な説明をさせていただける機会を得られたと考えている.まず冒頭に,筆者の立場を明らかにする.筆者は,特定健診もがん検診も無用,などと無責任な言辞を弄するつもりは毛頭ない.国民の健康寿命の延伸にとって予防対策は不可欠である.「特定健診の受診率の目標値が設定される」ことは受診率の向上に重要である.受診率を上げるべく,現場で実務に努められている方々には心から敬意を表したい. しかし,「健康寿命の延伸」と「医療費適正化」は分けて考える必要がある.予防対策で医療費削減は実現できない.医療費を削減したければ,他の方策を講じたほうがよい.
出版者
医学書院
雑誌
保健婦雑誌 (ISSN:00471844)
巻号頁・発行日
vol.14, no.9, pp.38, 1958-09-10

・解・説・ 子供の世話や,家事の雑用に追われている家庭の婦人達が,手近な集りで16ミリ映画で,明るくたのしい映画や,生活改善,保健衛生等の知識を得られる映画を楽しむ事が出来たら…という目的で全国のお母さん方が株主になつて母親プロが誕生したのは1955年の事であつた. この母親プロ桜映画社は,以来「さよなら蚊とハエさん」「百人の陽気な女房たち」「今どきの嫁」等の映画を作つて教育映画等で最高賞を受ける等のめざましい活躍をして来た.この「お姉さんといつしよ」は,このプロダクシヨンがはじめて作つた本格的な劇映画であり今度ベニス国際児童映画祭グランプリ受賞の栄誉をうけた作品である.