著者
久保田 尚
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では、理論的には全歩行者から取得可能な行動や表情といった外形的な特徴に着目し、歩行者の意識と歩行者の外形的な特徴の関係を分析する中で、歩行者空間の評価指標を開発する事を目的とした。その結果、歩行環境の違いによって歩行者の表情、及びしぐさには違いが見られることを明らかにし、これら歩行者の可視的特徴を評価指標とした歩行環境の評価が可能であることが示唆された。
著者
斉藤 享治
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

コスタリカの扇状地の地形計測および現地調査により,ヘネラルバレーの扇状地において相対的に扇面面積の大きい理由がKesel(1985)の計測ミスであることを明らかにした。このことにより,相対的に扇面面積の大きい大規模「扇状地」(巨大扇状地)と沖積扇状地とは,集水域面積と扇面面積の関係式によってほぼ区分でき,「湿潤地域の河成扇状地も沖積扇状地である」ことを主張できるようになった。
著者
重川 純子 中川 英子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では長期記帳家計簿を資料に家計動態と生活変容の分析を行った。ライフサイクル上のイベントや石油危機等の経済環境の変化に継続的積極的な貯蓄で対応していた。臨時費は消費支出中の大きな割合を占め、費目別月別消費額の変動は大きいが、消費支出額の変動係数は安定的であり、記帳による可視化が消費の平準化に資することが示唆される。循環性の観点による食生活、衣生活の生活変容について、社会的には変化が大きい中、個別世帯の中では変化が小さいことが示された。
著者
斎藤 雅一
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

物性科学において重要なシロールにおいて発現している軌道相互作用を高度に連結した化合物であるヘテラシラ[6]サーキュレン並びにチオフェンを高度に積層してボウル型構造となるヘキサチア[6]サーキュレンを設計し、理論計算により、研究代表者が以前に合成したトリシラスマネンと比べてかなり低いLUMO準位並びに小さなHOMO-LUMOギャップを有することを明らかにした。つまり、これらの分子は重要な機能性分子の構成単位となることが期待された。そこでその合成を検討したところ、有用な前駆体の合成にも成功した。
著者
杉原 儀昭
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

一原子の硫黄供与体として働く硫化試薬の合成と硫化能につき,検討した.その結果,アルケンからチイランのワンポット合成において塩化メトキシカルボニルスルフェニルが有用であること, 3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン 1,1-ジオキシドとシリカゲルを用いたアルケンの固相チイラン化において孤立シラノールとヒドロキシ基と反応基質間の水素結合が反応に関与することを明らかにした.
著者
堀田 香織 沢崎 俊之
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1 学童期の子どもを養育する母子家庭の家族システム学童期の男児を養育するシングルマザーに5回の継続的な半構造化面接を実施し、さらに母子家庭の参与的観察も合わせて行った。その結果、離婚によって母親が疲弊し、離婚後母親としての養育機能を低下させ、この時期、学童期の男児が問題行動を表に表しやすいことが見られた。このような状況下では、母子家庭が閉鎖的な心理的空問となり、母子がお互いにネガティブな感情をぶつけあい、悪影響をおよぼす連鎖反応に入ってしまう。その後母子家庭が社会に向かって再度開かれ、そのような連鎖反応を脱し、子どもの問題行動が消失するというプロセスが見られた。また、母子密着状態から脱するに連れて、離れて暮らす父親との間に別のサブシステムが生まれることも見出された。2 親の離婚を経験した青年の語り親の離婚を経験した13名の青年に半構造化面接を行った。ナラティプアプローチによって、彼らが離婚後の危機を乗り越える物語を生成していることが見出された。それらの物語には、「問題の外在化」(離婚は親の問題であって、自分が悪いわけではないと認知すること)、「親役割の再認識」(両親が離婚しても、親としての機能は失わず続いていることを認識すること)、「自己選択」(父親との関わりを継続するかどうかは、自分で選択できること)「マイノリティアイデンティティ」(自分がマイノリティであるというアイデンティティを、特に思春期の時期において、抱くこと)という内的な方略が見られ、これらの方略によって、離婚後の危機を乗り越えていることが見出された。
著者
小林 亜子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

フランスは革命戦争の中で隣接地を併合し、その外周には姉妹共和国を建てていた。こうした併合地の統治については、史料上の制約によりこれまでほとんど解明されていなかったが、本研究では、「ライン左岸併合地」について、現在の主にベルギー、ドイツとスイスの西部にあたる地域を対象に、当時施行された法の受容や、フランス側から派遣された人々と併合地の人々との間に生じた関係を、フランス側の史料のみではなく、当時の併合地側の史料調査・分析を行った。本研究による成果は、フランス国立フランス革命史研究所とフランス革命博物館の主催で、2014年に行われた「フランス革命史研究国際シンポジウム」で報告することができた。
著者
谷 謙二
出版者
埼玉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究は、オブジェクト指向にもとづく時空間管理可能なGISの開発を行った。本研究の成果としては、時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」の開発、Google Maps API v3に対応した「ジオコーディングと地図化」サイトの開発、地理情報分析支援システム「MANDARA」のMicrosoft .NET対応版の開発、および明治期の関東地行政界地図データの作成があげられる。これらのうち、前者2つは既にWebサイトで完成版が公開され、多くの利用者を集めている。
著者
尾形 邦裕
出版者
埼玉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

脳の障害によって身体に麻痺を持つ場合,リハビリテーションによる運動機能獲得が重要となる.そこで,これをロボット工学の技術によって支援することを目指す.本研究では装着型のロボットを開発し,運動誘導に関する基礎的な検討を行い,上肢の運動誘導が可能であることを確かめた.下肢及び全身では赤外線を利用したカメラを用いることで足裏にかかる反力を推定し,可視化する技術を開発し,その有効性を確認した.
著者
澤田 和彦
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は以下の論点に沿って進めた。1 プチャーチン提督の秘書として長崎に来航した作家ゴンチャローフの『日本渡航記』にうかがわれる、ロシア人の観た幕末の日本及び日本人観 2 日本最初のプロのロシア語通詞・志賀親朋の生涯と活動 3 市川文吉、黒野義文、二葉亭四迷、川上俊彦など、東京外国語学校魯語科関係者のロシアとの関わり 4 コレンコ、グレー、ケーベルといったロシア人教師や、ピウスツキ、ラッセルのような亡命ロシア人、ポーランド人の日本における事跡と日本観 5 日露戦争 6 1917年のロシア革命後に来日した白系ロシア人の事跡調査最終年度に論文集『日露交流都市物語』(成文社)を刊行した。
著者
伏見 譲
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

耐熱性T7RNAポリメラーゼを用いて1.4Mトレハロース存在下で50℃の等温過程でDNA/RNAを増幅する系を構築した。この系で、A, T, Gの3塩基からなるランダム領域を含み3SR増幅機構をコードしたライブラリーを初期プールとして、適応度を比増殖速度とする自然淘汰型進化リアクターを運転した。勝ち残る配列はランダム領域がAT-richとなる傾向を示す。また、以前からしばしば観測された、より速い増幅機構であるRNA-Z増幅機構をコードした突然変異体が進化してくることはなかった。また、T7プロモータの50℃の最適配列をRNA-Z法進化リアクターを用いたin vitro selectionで求めた。37℃の野生型プロモータとハミング距離2だけ離れた配列であった。in vitro virusのゲノムに載せるべき初期ランダムライブラリーは、終止コドンを含んでいてはならず、また、対象に応じてアミノ酸組成が自由に設計できることが望ましい。DNA合成機を3台並列に運転してスプリット合成するMLSDS法は配列多様性が10^<16>に達する。このライブラリーの実際の合成物を複数種いろいろな評価関数で評価しその高品質なことを確認した。また、長鎖化法を検討した。人為淘汰型や自然淘汰型の進化リアクター中で、富士山型やNKモデル型などの適応度地形を山登りするダイナミクスを理論的に研究した。突然変異率と集団サイズで決まるゆらぎの効果を「進化温度(T)」というパラメターで表す。いずれの地形でも、Tが高いときは、歩行者は適応度(W)最大を目指すのではなく、「自由適応度(G)」の最大をめざすというリャプノフ関数Gを定義できる。また、獲得したシャノンの意味の情報量(情報のextent)以外に、ΔW/Tは獲得した適応度情報量(情報のcontent)、ΔG/Tは進化の過程で獲得した生命情報の量、という解釈ができることがわかった。以上を統合して、生存アルゴリズムを自動的に創出する人工生命というべき自律的に進化するin vitro virusを実体として構築するまでには至らなかった。
著者
VYE Stacey
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

学習者が自律的に設計した学習計画と、改善が望まれる学習技能に費やしたと自己申告された時間が、IELTSの4技能のセクションにて習熟度を高めるのに貢献するかを研究した。英語学習者である大学生ボランティア20人の学習開始前と学習後のテスト結果と、自律学習実践のデータを関連させた。彼らは23週、週1回90分のゼミで集まった。データは、学習者の省察、出口調査、本研究者の記録、学習前後のIELTSのスコアを含む。研究では制約もあったが、楽しみのため自己選択した学習に週6.5-8.5時間以上、向上させたい分野に活発に従事することで、習熟度が高まるという結果を得た。自律学習は語学熟達に利点があると示唆する。
著者
牧 陽一
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

広州・上海・北京へと大規模な調査を実施し、現代アートの状況を取材した。中国の地域によって芸術区の現状はかなり相違しており、それぞれの特色が見出せる。また現代アートの趨勢として、単にバブル経済に乗って商品化を進めるばかりではないことが明白になった。現代アートは体制的な「社会主義リアリズム」からは遠く対照的である。彼らは「貧困」「格差」といった今日の課題に対して、現代アートの言語で全媒介を使って鋭角的に表現する「ピュア・リアリズム」を誕生させた。
著者
元木 靖
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

今日の「都市型社会」の形成は、農林業地域に対して労働力不足や生産者の高齢化、生産物価格等の面で深刻な問題を提起している。本研究では稲作以前からのわが国の土地利用型作物であるクリを事例として、その歴史的動向の整序と今日の実態解明をすすめた。(1)日本列島ではほぼ全国に自生するシバグリが、縄文時代以来高度経済成長期に入る頃まで、食糧や木材、薪炭材等に多面的に活用されてきた。一方、稲作導入以後畿内の古代都市周辺に大粒の丹波系クリの生産が萌芽し、藩政時代にはそれが関東周辺にも普及した。こうした丹波系のクリの栽培は、明治以降とくに昭和初期頃には果樹として注目され、戦後の高度経済成長期になると遠隔の中山間地域をはじめ全国的に増殖され、飛躍的な発展をみた。(2)しかし、高度成長終焉後の都市型社会が進展する過程で、クリ生産は一転して減少をみるようになり、今日ではその栽培地域も急速な縮小基調にある。ただし、クリ生産を持続している地域では、従来のクリ栽培のイメージを一新するような対応を取り始めていることが明らかになった。クリの低樹高栽培の技術が確立され、その方式が各地に普及したことが、大きいな特徴である。そこには、良質グリを求める実需者(菓子メーカー)の期待と生産者の課題を同時に解決する意味が込められている。(3)新しい経営の傾向として、地域により (a)低樹高のクリを機械管理する専業的クリ生産のタイプ、(b)実需者が独自にあるいは生産農家を支援するタイプ、(c)低樹高栽培を取り入れ、限界的な山間傾斜地の生産者が実需者と契約栽培するタイプ、等が見いだされた。これらのうち(c)は生産を期待されながらも、労働力流出間題が深刻で、発展は望めないかもしれない。しかし(a)と(b)の両タイプは将来の農業の展開を考える上で、重要な方向性を示唆しているように思われる。
著者
安藤 聡彦 古里 貴士 平塚 眞樹 高橋 正弘 小栗 有子 関 啓子 宮北 隆志 境野 健兒 土井 妙子 高田 研 岩川 直樹 原子 栄一郎 石井 秀樹 片岡 洋子 広瀬 健一郎 小寺 隆幸
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、①1960年代以降世界各国において教育の「環境化」過程が生じてきたが、日本の公害教育運動は他国の社会批判的な環境教育運動と比較して、教育の目的・内容及び担い手の面でユニークであること、②チェルノブイリ原発事故後ベラルーシ共和国では放射線生態学教育が組織的に取り組まれ、日本でも福島原発事故後放射線教育が活発だが、公害教育運動の経験をふまえたアプローチも求められること、③ベラルーシ共和国において見られるリハビリ健康増進施設が日本においても有効であり、そのために公害教育研究の対象の拡大が求められること、④公害教育論の社会批判的アプローチの批判的再構築が求められること、が明らかとなった。
著者
村上 謙
出版者
埼玉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

これまで未開拓の分野であった明治大正期の関西弁資料の発掘とその資料的価値の検証をおこなった。具体的には、上司小剣による関西弁小説群と曾我廼家五郎による脚本類などである。またその検証結果をもとに、明治大正期の関西弁における文法問題の抽出、及びその研究と解明をおこなった。具体的には待遇表現や否定表現、音変化のあり方などである。
著者
鎌田 憲彦 福田 武司 平山 秀樹
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

バンド間励起光に禁制帯内励起光を重畳する2波長励起フォトルミネッセンス法を基盤に、ゲートICCDカメラによる時分解測定機能を加え、発光・電子デバイス用材料内の非発光再結合(NRR)準位の光学的評価を進めた。InGaN量子井戸では1.55eV付近にNRR準位を検出し、ドーピングによる影響の低減を示した。InGaAs量子井戸、Ba_3Si_6O_<12>N_2:Eu^<2+>蛍光体でもNRR準位を初めて検出し、そのふるまいを明らかにした。
著者
河村 美穂
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

調理技能の習得を中核とした食生活カリキュラム開発のための要件を、カリキュラムの構成要素であるシークエンス(Sequence)とコンテンツ(Contents)に分けて示すことができた。必ずしも調理技能の難易度によるのではなく、子どもの生活実態を考慮して配列すること(Sequence)、概念的知識、手続き的知識の両方を、調理を見合い、学びあう内容とすること(Contents)が重要である。