著者
中村 哲 松本 裕治 戸田 智基 サクリアニ サクティ Neubig Graham Duh Kevin 小町 守 高道 慎之介
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-05-31

同時通訳基本方式研究として、フレーズベース統計翻訳における右確率を用いた同時通訳方法により、翻訳単位を短くする方法、翻訳単位の長さを調整する手法を提案した。さらに、形態素情報を使って文を分割する方法、Tree-to-string翻訳での部分構文構造を考慮して分割する方法を提案して高精度化を実現。さらなる精度改善のため、訳文に単語順序の入れ替えが発生するかを予測するモデルを構築すると共に、ニューラル翻訳の実装、統計翻訳のリランキング、注意型ニューラル翻訳の研究を進めた。また、同時通訳コーパスとして日英合計約80時間、講義データの書き起こし約50時間、うち約22時間分の日英翻訳を完了した。
著者
飯野 敬矩
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

昨年度は、接着力評価のための外力であるフェムト秒レーザー誘起衝撃力の評価研究を中心課題とし、その計測学的理解を深めた。また、それまで不明瞭であった衝撃力の現象論的描像を考察し、接着力の定量化におけるその適用範囲の指針を示した。これらの研究を行った上で、神経一マスト細胞共培養系を接着力評価のモデル系に用い、両者間の接着力を3時間ごとに定量化することでその時間変化を明らかにした。測定には7~30時間共生培養を行った培養系を用い、3時間毎に接着力を定量化した。測定時間は90分間とした。その結果、90分間で約150細胞の接着力を定量化することに成功した。この結果をヒストグラムにまとめたところ、両者の接着力は、0.5-2.0×10-12Nsであることが示された。また、共生培養7-14.5時間では、接着力が0.8×10^<-12>Nsである細胞が最も多く、そこから1.6×10^<-12>Nsにかけて、細胞数は指数分布を示した。また、共生培養時間の経過に伴い、指数関数の時定数が増加する形で、接着力が強化される細胞数が増加した。さらに時間が経過すると(共生培養16.5-18時間)、この指数分布において1.6×10^<-12>Nsにもピークが現れた。その後、共生培養20時間において0.8×10^<-12>Ns、及び1.6×10^<-12>Nsをピークとした二峰性の正規分布を示した。それ以降では、接着力の分布に顕著な変化はみられなかった。これは、共生培養20時間程度で接着が成熟状態に至り、且つその状態が系内の半数程度の細胞の接着力が倍程度まで強化される状態であることを示唆する。これまで、接着力を統計学的データとして時間軸に沿って示した報告例は無く、新規性の高い成果を得ることができた。現在、神経とマスト細胞の接触面への細胞接着分子の集積の可視化に成功しており、今後、接着分子の細胞内挙動の時間変化を明らかにすることで接着の力学機構と分子機構のダイナミクスを統合的に解析し、理解することが可能になると予測される。
著者
山下 裕 黒岡 武俊
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、微分・代数方程式(以下、DAE, differential-algebraic equation)で与えられた非線形システムの制御系設計問題について研究した。非線形の場合、線形のディスクリプタ形式と異なり行列演算だけで冗長度の無い常微分方程式系に変換することができず、非線形代数方程式を解いて冗長度を消去する作業は一般に困難である。そこで、本研究では非線形代数方程式を解くことなく、冗長度を持ったまま制御系設計を行う方法を示した。まず、index 1のDAEシステムに対し、入出力線形化・オブザーバ設計を行った。その際の大域的安定化条件を示した。そこでは冗長度が消えるように、オブザーバのダイナミクスにおいて代数方程式からなる不変多様体に有限時間整定する設計を採用した。次にhigh indexを持つ系に対し、インパルスモードを持つ場合を含めて、冗長な常微分方程式系に変換する方法を2つ示した。一つは、インパルスモードの数に応じた積分器を入力に付加し代数方程式を順次微分する方法である。もう一つは、状態フィードバックを用いるKumarらのrugularizingを改良した方法である。オブザーバを使う場合は、必然的に前者の方法を使わざるを得ない。これを用いてindex 1のDAEシステムと同様にhigh index DAEシステムに対し、入出力線形化・オブザーバ設計を行った。入出力線形化は冗長常微分方程式系に対してそのまま設計すればよい。入出力線形化に限らず、可制御性を要求しない制御手法であれば適用できるであろう。しかし、冗長常微分方程式系に対してオブザーバを設計すると、設計条件が厳しくなる。そこで、index 1の手法をhigh index DAEシステムに対し拡張し、さらに、付加積分器の状態変数が既知であることを用いて、設計条件を緩和した。得られたオブザーバは冗長な全ての状態量を推定し、かつ代数方程式の拘束を有限時間で満たすように動作する。
著者
松本 健一 中村 匡秀 水野 修 森崎 修司 大平 雅雄 門田 暁人
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,高い専門性を要するソフトウェア開発作業を,不特定多数の個人にインターネット技術を使って外注する「クラウドソーシング」と,それら個人間での「群集知形成」を支援する超分散開発基盤技術を開発した.具体的には,「多言語対応コミュニケーション・知識形成基盤」と「Lightweight & Massive PDCAサイクル基盤」の2つを開発し,実証実験によってその妥当性,有用性を評価した.個人を単位とした新たな超分散開発形態は,ソフトウェア開発における多重請負構造を解消し,開発リスク低減とソフトウェア品質向上をもたらす.
著者
馬 子驥
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究では圧縮センシングに基づく事前等化方式を用いて、無線携帯端末の消費電力を削減することである。アップリンクにおけるより少ないパイロットを用いて、受信側の伝搬路情報を送信側にフィードバックするという新たな方式を提案した。圧縮センシングのアルゴリズムを用いて、極少なパイロット信号に基づく伝搬路推定の手法を提案して、高精度な伝搬路推定を示した。圧縮センシング法はナイキスト定理より少ないサンプリング信号からオリジナル信号を復原する可能で、注目されている新技術である。元々画像処理などの領域に応用されている方法だが、今度無線通信に利用して伝搬路推定の精度を向上させることができるを示した。また、推定結果により線形事前等化方式を用いて、受信側の伝搬路推定や信号等化などの信号処理用の電子回路を省略可能である。だから、消費電力を大幅に削減する効果を達成することを目標とした。シミュレーションの結果においてこの性能はもう明らかにした。更に、ビット誤り率をはじめ、演算量や安定性などの高品質的な受信性能を維持することは示した。提案した方式をまとめて、論文を出したし、学会発表を通じて、国内外の研究者に周知した。これから、現状よりもっと改善して、特に演算量を少し削減して、特許の出願を目標とする。
著者
石川 保幸
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

活動依存的シナプス可塑性は広く学習と記憶の細胞学的基盤として受け入れられている。なかでもシナプスの連合性は活動依存性のシナプス可塑性においてシナプスの印付けと新規に合成される神経可塑性関連タンパク質との相互作用によって説明することが出来る。可塑性関連のセリン・プロテアーゼ(neuropsin)がシナプス入力依存的に長期増強(LTP)特異的にシナプスタグ形成に関係すると報告した。Neuropsinはインテグリンβ1およびCaMKIIシグナルによってシナプスの連合性に寄与する事が明らかとなった。シナプスの印付けの役割は、複雑な神経ネットワークの制御および情報処理に役立っていると考えられている。すなわち、このメカニズムが破綻した場合、様々な神経疾患を引き起こすことが考えられる。この発見は今後、シナプス連合の異常とされる PTSD の発症機構の解明などに役立つと考えられる。
著者
和田 七夕子
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

シロイヌナズナ系統間交配により得られた種子の大きさについて、ゲノムワイド関連解析をおこなうことで、シロイヌナズナ種子発達に作用する父性因子を探索した。雌しべ親をCol-0に固定し、123種類のシロイヌナズナ種内系統を花粉親として交配した種子サイズについてのGWASは、5か所の弱く相関するゲノム領域が得られた。雌しべ親に四倍体Col-0を用い、花粉親に65系統を用いた交配種子の大きさについては、3か所のゲノム領域において弱い相関が見られた。
著者
鹿野 清宏 川波 弘道 李 晃伸 猿渡 洋 陸 金林 中村 哲
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

話者適応、環境雑音適応、タスク向き話し言葉言語モデル構築の研究が大いに進展し、当初の目的を十分に達成した。以下、簡単に項目ごとにまとめる。1 教師なし話者適応アルゴリズムの考案と評価話者選択と十分統計量に基づく教師なし話者適応アルゴリズムを考案した。発声者が任意の1文を発声するだけで、その発声者に近い話者のHMM十分統計量から発声者に適応した高精度な音韻モデルが構築できた。2 教師なし環境雑音適応アルゴリズムの考案と評価十分統計量を用いた教師なし話者適応アルゴリズムを、環境雑音適応と同時に実行できるアルゴリズムに拡張した。さらに、スペクトルサブトラクション法の導入により、話者・環境同時適応の性能を向上させた。3 タスク向き話し言葉言語モデルと音声対話システムの構築Webの検索エンジンと、言語識別として文字トライグラムを用いたコーパス自動収集システムを構築して、言語モデルの自動作成アルゴリズムを開発した。さらに、受付案内ロボットによる音声認識応答による学内案内システムを構築して、開発してきたアルゴリズムの実環境下における有効性の確認およびデータ収集を開始した。4 開発アルゴリズムの普及開発してきた話者適応、環境適応、タスクアルゴリズムを、研究代表者が代表をつとめている情報処理学会の「連続音声認識コンソーシアム」を通して、企業、大学への普及の努力を行ってきた。本科学研究補助金の関連発表は、平成10年から13年までで、学術論文15件、著書1件、解説3件、国際会議19件、研究会22件、大会講演33件である。
著者
菊池 純一 安原 主馬 田原 圭志朗
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、申請者らが独自に開発した高強度の人工細胞膜「セラソーム」の構造的特徴を活かして、その表面を金属で被覆した新規の有機-無機-金属複合ナノ材料を開発し、その特異的機能の創出を目指した。その結果、ベシクル構造やディスク構造を有する脂質二分子膜を様々な金属超薄膜で被覆した人工細胞膜の作製が可能になり、これらの人工細胞膜に賦与した分子認識能にもとづく特徴的なマニピュレーション機能が発現した。
著者
畑 秀明 玉田 春昭 角田 雅照
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,ソフトウェア開発者の様々な特性や行動原理を理解するを目的とし次の課題に取り組んだ.1)リスクに対する開発者の特性を明らかにするための行動経済学に基づくアンケート調査,2)オープンソースソフトウェアプロジェクトの開発履歴データに基づく開発者の特性分析,3)クローズドな開発環境のデータ分析による開発者の特性分析,ゲーム理論に基づく開発者の行動原理や動向の分析.
著者
池田 聖
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,カメラが高速移動,高速回転する環境下において,画像処理により安定にカメラの位置・姿勢を推定する手法の開発である.上記の環境に対し,本研究では,予め多眼の全方位カメラで取得した全方位動画像から環境の三次元点群モデル生成し,加えてジャイロ等のセンサを併用してロバスト性を高めることが研究の目的であった.これら手法の開発にあたり,高速移動・高速回転する高解像度全方位動画像の正常取得を第1の課題として画像取得システムの構築を行った.平成19年7月に長島スパーランド・スチールドラゴン2000等の複数のアトラクションからの撮影に成功し,取得した全天球動画像は,平成19年8月25日から9月2日にかけて国立科学博物館で開催された『上野の山発旬の情報発信シリーズ第14回「バーチャル⇔リアリティ〜見て聴いてさわって冒険体験〜」』において一般公開され,加えて同施設内の全天球ディスプレイ『シアター360』で関係者のみの公開実験を行った.カメラの位置・姿勢推定では,カメラにジャイロセンサを併用することにより,画像に生じるモーションブラーの効果を予測し,モーションブラーが発生する状況においてもカメラの位置・姿勢を推定することが可能であることを確認した.また,三次元モデルの生成では,全方位カメラとGPSの併用により,都市レベルの広い範囲の環境を三次元モデル化することに成功し,16km/hで移動するカメラの画像を処理できることを確認した.
著者
植村 俊亮 波多野 賢治 天笠 俊之 吉川 正俊 渡邉 正裕 前田 亮 石川 正敏
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

インターネット時代を迎えて,地球規模の情報資源が現出しつつあると言われる.WWW(World Wide Web)は,その典型的な例である.しかし,WWWは,ばらばらに構築された,言語も文化も異なるホームページが互いに接続されて,利用可能になっているだけであって,そこから真に必要な知識を発掘する方式はまだ確立されていない.本研究では,WWWに代表される知識資源の大海から,必要な知識を発掘する方式を,とくにその多言語処理面から追求する.具体的には,次の多言語機能をもつ知識発掘システムの実現を目指す.1.ある言語で表現された情報資源に対して,それとは別の言語を使って問い合わせることができる.例えば,英語のホームページの集まりに対して,日本語で質問を出すことを可能にする.2.複数の異なる言語で表現された情報資源の集まりに対して,自分の一番使いやすい言語を使って,問合せを出し,必要な情報を発掘することができる、例えば,さまざまの言語を使ったホームページの集まりに対して,だれでも母国語を使って問い合わせ,知識を発掘することを可能にする.多言語知識発掘システムのため本研究では以下の項目について研究を実践した.1)対訳辞書を用いた検索語の翻訳手法,および並列コーパスによる統計的手法などを用いた効果的な多義性の除去手法,2)フォント埋め込み型HTML/XML文書による多言語文書のブラウジングシステムの実現,3)大量の多言語HTML/XML文書格納のためのHTML/XML文書データベースの開発.
著者
島本 功 寺田 理枝 大木 出 辻 寛之 辻 寛之
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

フロリゲンは植物の花芽分化の決定因子として1937年に存在が提唱されたが、その正体は長い間謎のままであった。我々は2007年にフロリゲンの分子実体がHd3a/FT タンパク質であることを明らかにし、さらにフロリゲンの細胞内受容体、及びフロリゲンの活性本体となるタンパク質複合体「フロリゲン活性化複合体」を同定した。さらにフロリゲンは花だけでなくジャガイモ形成を開始させるなど驚くべき多機能性を持つことも明らかにした。またフロリゲンの発現制御に関する研究も並行して展開し、イネの花成は2つのフロリゲン分子Hd3a とRFT1 に完全に依存していることを示した。
著者
大門 寛 松井 文彦 松田 博之
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

新しく発明した立体光電子顕微鏡(楕円メッシュ二次元分析器)を完成して、試料の拡大像を観測し、微小領域だけからの二次元光電子分光を行ない、微小領域の電子状態と原子構造を立体的に詳しく観測することを目的としている。放射光施設(SPring-8)にて光電子を用いた性能評価実験を行い、0.2%という高いエネルギー分解能、25ミクロンという顕微鏡の分解能、±50度までの放出角度分布を確認し、微小グラフェン試料からの光電子回折実験にも成功し、目的の性能が達成された。
著者
ジュリアンディ ベリー
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、(1)バルプロ酸によるヒストン脱アセチル化酵素阻害が胎生期神経幹細胞に与える影響の解明、(2)胎生期から成体期の長期に渡る同阻害影響の解明、(3)同阻害影響を回復・最小化する方策の確立の3点である。これら目的を達成する為、申請者は、神経産生が顕著な時期において妊娠マウスにバルプロ酸を経口投与した。その結果、バルプロ酸投与により胎児の脳におけるヒストンアセチル化が増加した。また、バルプロ酸のアナログであるバルプロミド投与では、ヒストンアセチル化の増加は認められなかった。さらに、胎児における神経産生はバルプロ酸投与により亢進した。これは、成体海馬由来培養神経幹細胞において、神経細胞新生がピストン脱アセチル化作用により引き起こされる事を示した過去の報告と整合性がある。また、この神経細胞新生の様式の大部分は、中間前駆細胞の形成が関与する神経幹細胞からの非直接的な神経細胞産生経路を介し、浅層神経細胞層厚の増加と深層神経細胞層厚の減少が観察された。さらに申請者は、マウス胚性幹細胞由来神経幹細胞を用いた浅層および深層神経細胞産生の評価モデルを確立し、in vitroにおいても同様に浅層神経細胞の産生量増加と深層神経細胞産生量の減少を確認した。加えて、胎児期のピストン脱アセチル化酵素阻害により、海馬歯状回における成体脳神経細胞新生および神経細胞形態は異常を示し、胎児期バルプロ酸投与マウスにおける、後の記憶学習能力の低下の原因の一部だと考えられる。