著者
幸田 仁志 甲斐 義浩 来田 宣幸 松井 知之 山田 悠司 森原 徹
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.143-146, 2019-10-15 (Released:2019-10-17)
参考文献数
15

〔目的〕本研究の目的は,高校生野球選手における上腕近位部周径と肩関節挙上筋力との関係性を検討することとした。〔方法〕硬式野球部に所属する高校生125名を対象とした。測定項目は,投球側の上腕近位部周径と肩関節挙上筋力,および投球肩障害の有無とした。統計解析には,ピアソンの相関係数を用いて,上腕近位位部周径と肩関節挙上筋力との関係性を,健常群と投球肩障害群のそれぞれで検討した。〔結果〕健常群では,上腕近位部周径と肩関節挙上筋力との間に有意な正の相関関係が認められた。一方,投球肩障害群では,上腕近位部周径と肩関節挙上筋力との間に有意な相関関係は認められなかった。〔結語〕上肢の筋力を積極的に強化している高校生野球選手においても,上腕近位部周径は肩関節挙上筋力を反映する指標となることが示された。また,肩関節に何等かの異常がある場合では,その関係が認められない可能性が示唆された。
著者
八谷 瑞紀 村田 伸 大田尾 浩 井原 雄彦 浅見 豊子
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.19-22, 2017-04-14 (Released:2017-04-15)
参考文献数
12

本研究の目的は,要介護高齢者143名を対象に50m ラウンド歩行テストに影響を及ぼす要因を検討することである。方法は,上下肢筋力,30秒椅子立ち上がりテスト(CS‐30),Functional reach test(FRT),片足立ちテストと50m ラウンド歩行テストとの関連から分析した。50m ラウンド歩行テストと有意な相関を認めたのは,相関係数が高い順にCS‐30(r=-0.48),FRT(r=-0.40),大腿四頭筋筋力(r=-0.23),片足立ちテスト(r=-0.20),握力(r=-0.17)であった。Stepwise 法による重回帰分析の結果,50m ラウンド歩行テストに影響を及ぼす要因は,CS‐30(β=-0.39)とFRT(β=-0.28)が抽出された。これらのことから,50m ラウンド歩行テストは,上下肢筋力や静的バランスよりも筋持久力や動的バランスに影響を受けるテストであることが示唆された。
著者
佐藤 洋介 村田 伸 甲斐 義浩 相馬 正之 中江 秀幸 村田 潤
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.37-41, 2014-04-01 (Released:2014-08-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

[目的]本研究は,等尺性肘関節屈曲筋力の発揮筋力を漸増した際の,上腕三頭筋の関与を明らかにすることを目的とした。[方法]健常成人女性15名を対象とした。平均年齢は20.5±0.9歳であった。被験筋は右上肢の上腕二頭筋・上腕三頭筋とし,各被験筋の最大随意等尺性収縮を算出した。最大肘関節屈曲筋力に対し10%から80%まで10%毎に随意的肘関節屈曲筋力を漸増させた際の各被験筋の筋活動を測定し,比較・検討した。[結果]上腕二頭筋の積分筋電図(IEMG)は最大肘関節屈曲筋力の40%発揮時で有意な増加が認められ,上腕三頭筋のIEMG は最大肘関節屈曲筋力の50%発揮時から有意な増加が認められた。また上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋活動は,それぞれ随意収縮力と有意な正の相関を認めた。[結論]肘関節屈曲における40%以上の負荷量では主動作筋である上腕二頭筋が活動し,50%以上の負荷量では上腕二頭筋だけでなく,上腕三頭筋も運動に関与することが示唆された。
著者
中島 彩 阿波 邦彦 窓場 勝之 堀江 淳 村田 伸 飯田 康平 井内 敏揮 鈴木 景太 中嶋 大喜 中村 葵 白岩 加代子 安彦 鉄平
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.133-137, 2016

<p>本研究は健常成人女性14名を対象に,ヒールの高さの違いが歩行パラメータと下肢筋活動に及ぼす影響について検討した。ヒールなしおよびヒール高3cm と7cm 靴を着用した歩行中の歩行パラメータと下肢筋活動を計測した結果,歩行速度および歩幅とストライド長はヒールなし歩行に比べて,ヒール高7cm 歩行で有意に低下した。ヒールなし歩行とヒール高3cm 歩行のそれらの歩行パラメータには,有意差は認められなかった。両脚支持時間は,ヒールなし歩行に比べてヒール高3cm と7cm 歩行で有意に短縮したが,遊脚時間は後者が有意に増大した。下肢筋活動においては,測定した4筋すべてにおいて有意差が認められなかった。以上のことから,ヒール高3cm 以上で歩行中の立脚時間や遊脚時間に影響を与えるが,ヒール高3cm までであれば,歩行速度および歩幅やストライド長には影響が少ないことが示唆された。</p>
著者
弓岡 まみ 村田 伸 岩瀬 弘明 内藤 紘一 安彦 鉄平 白岩 加代子 野中 紘士 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.165-169, 2018-01-31 (Released:2018-02-23)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕本研究の目的は,女性高齢者の外反母趾に影響を及ぼす因子について,足部の形態に着目して検討することである。[対象と方法]高齢者健康サークルに所属し,体力測定会に参加した地域在住女性高齢者176名(平均年齢73.8±5.7歳)を対象とした。測定は,外反母趾に影響を及ぼす因子を抽出するため,対象者の年齢,身長,体重,Body Mass Index,および足部・足趾の形態(足長,足幅,母趾角,小趾角,開帳角,足底・足趾の接地状態)について足底圧分布測定器を用いて測定した。さらに,外反母趾と浮き趾の有無を判定した。〔結果〕ステップワイズ重回帰分析の結果,外反母趾に影響を及ぼす因子として抽出されたのは足幅のみであった。〔結語〕足部・足趾の健康を考える場合,足長のみならず足幅も考慮した靴のサイズ選びが重要であることが示唆された。
著者
小西 佑磨 村田 伸 窓場 勝之 阪本 昌志 杉森 信吾 山川 瑠奈 白岩 加代子 安彦 鉄平 阿波 邦彦 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-24, 2015-04-30 (Released:2015-06-18)
参考文献数
16

本研究の目的は,安静時の血圧や脈拍を測定する際の適切な安静時間を明らかにすることである。対象は,K大学理学療法学科に所属する健常者27名であり,30秒椅子立ち上がりテスト後の脈拍や血圧の変化を終了直後から30秒ごとに5分間計測した。その結果,脈拍は2分後まで有意な低下を示し,それ以降は有意差を認めなかった。拡張期血圧は,5分間にわたり有意な変動は認められなかった。収縮期血圧は,運動負荷後一旦上昇し下降するパターン(以下,下降パターン:17名)と,運動負荷後一旦下降し上昇するパターン(以下,上昇パターン:10名)に分類された。下降パターンは,直後から2分後までに有意に低下し,それ以降有意差はなくなった。上昇パターンは,直後から30秒後まで有意に上昇し,その後4分30秒後までは有意な変動は認められなかった。5分後有意に低下し,運動負荷直後の数値に近づいた。以上のことから,血圧や脈拍の測定において,開始前の安静時間を設定する際は個々の変動パターンに合わせて安静時間を設定する必要性が示唆された。
著者
村田 伸 安彦 鉄平 中野 英樹 満丸 望 久保 温子 八谷 瑞紀 松尾 大 川口 道生 上城 憲司
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.113-117, 2018-10-16 (Released:2018-10-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究の目的は,幼児の通常歩行と最速歩行時の歩行パラメータの特徴を明らかにすることである。対象児50名(男児16名,女児34名)の歩行分析を行った結果,全ての歩行パラメータに性差は認めなかった。また,最速歩行時には通常歩行時よりも歩行速度・歩行率・ストライド長・歩幅は有意に高まり,立脚時間・両脚支持時間・遊脚時間は有意に短縮した。それらの効果量は,距離因子(d=0.74~0.81)よりも歩行率(d=1.84)や時間因子(d=1.51~1.88)が大きかった。さらに,通常歩行速度は歩行率・ストライド長・歩幅・立脚時間・両脚支持時間・遊脚時間の6項目と有意な相関が認められたが,最速歩行速度と有意な相関が認められたのは歩行率・立脚時間・両脚支持時間・遊脚時間の4項目であった。これらの結果から,幼児期の歩行を評価し結果を解釈する場合は,性差の影響を考慮する必要のないことが示された。また,歩行能力を向上させるためには,歩幅やストライド長を広げる戦略が有効と考えられた。
著者
宮脇 裕 山本 大誠
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.177-183, 2018-01-31 (Released:2018-02-23)
参考文献数
27

他者運動の観察による運動の共鳴は,自身の運動経験から影響を受けるが,非生物学的な動きの観察における運動経験の影響は明らかではない。そこで非生物学的な動きを観察対象とし,運動経験が運動共鳴に及ぼす影響を検証した。対象者は,非生物学的な動きである視覚刺激(三角形)の周期的な垂直運動を観察しながら,腕の周期的な水平運動を実施した。水平運動が垂直方向にどの程度ばらついたかを運動共鳴の指標とした。測定間に,対象者は運動経験として垂直運動を実施した。結果は,対象者の運動は何も観察せずに水平運動を実施したときと比べて,三角形の垂直運動の観察により有意に垂直方向にばらついた。運動経験の前後では,共鳴の程度に有意差を認めなかった。運動制御は非生物から影響を受けている可能性が示唆された。運動経験は,観察対象との運動方向の一致のみでは,その後の運動共鳴に影響を及ぼさないことが示唆された。
著者
山下 裕 古後 晴基 川口 直輝 溝田 勝彦
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.129-133, 2015-09-07 (Released:2015-09-10)
参考文献数
30
被引用文献数
2

[目的]虚弱高齢者の咬合力と身体機能の関連を検討するために行った。[対象と方法]デイケア利用の虚弱高齢者55名を対象とした。測定項目は,咬合力,残存歯数,握力,下肢筋力,片脚立位時間,Timedupandgotest,Functional reach test とした。ステップワイズ法による重回帰分析を用いて咬合力と独立して関連する項目を抽出した。[結果]咬合力と独立して関連の認められた項目は残存歯数と片脚立位時間であった。[結論]咀嚼能力の客観的評価指標の一つである咬合力は残存歯数という歯科的要因と,静的バランス能力の指標である片脚立位時間が関連していることが示された。
著者
吉永 龍史
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.23-28, 2016-04-30 (Released:2016-07-29)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究は変形性膝関節症(膝OA)患者の運動機能改善の指標を明らかにするために,骨盤運動戦略およびHead・Arm・Trunk(HAT)運動戦略と骨盤周囲筋力の関係を検討した。対象は,膝OA 外来患者14名で,11名は両肢を3名は片肢を評価した。方法は,片脚立位動作を前額面上の写真から肩峰,体幹傾斜および股関節内転角度で骨盤運動とHAT 運動戦略に分類し,中殿筋,大殿筋および股関節内転筋の最大等尺性収縮を比較した。その結果,HAT 運動戦略は,立脚肢の中殿筋の筋力が有意に低下していること,体幹および肩峰傾斜角度と中殿筋の間に負の相関を認めた。歩容でHAT 運動戦略がみられた場合は,片脚立位の評価を加えることで,中殿筋の弱化傾向を推測できる可能性がある。
著者
山下 拳人 森田 千瑛 土居 更紗 山口 理佳 日沖 義治 村上 貴士 古野 俊佑 兒玉 隆之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.29-34, 2017-04-14 (Released:2017-04-15)
参考文献数
34
被引用文献数
1

目的:理学療法場面において,セラピストの親和・非親和的な非言語対応が対象者の脳内神経活動に及ぼす影響について検討した。対象と方法:対象は健常成人男性12名とした。初めに安静開眼2分,そして親和・非親和条件動画を其々観察し,再び安静開眼を2分行った。結果:親和条件では,内側前頭皮質や前部帯状回に有意に高い神経活動性を認めた。非親和条件では,島や扁桃体,頭頂葉連合野に有意に高い神経活動性を認めた。結論:親和条件では,リラックス状態の持続,意欲や動機づけを形成する脳領域の神経活動が認められ,非親和条件では,陰性情動の持続,不安や疼痛刺激が誘発される脳内の神経活動が認められた。これらのことより,非言語コミュニケーションの違いがラポール形成の脳内神経基盤に機能的差異を及ぼすことが示唆された。
著者
白岩 加代子 田中 聡
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.201-205, 2015-01-30 (Released:2015-03-04)
参考文献数
9

我々は,中高年女性38名の日常生活活動量についてライフコーダと運動日誌を用いて調査した。運動日誌には,「運動」と「生活活動」に分けて記録し,活動内容と活動時間を記録した。ライフコーダによって記録された身体活動量と運動日誌に記録した主観的活動量を比較した。その結果,身体活動量よりも主観的活動量の方が多い評価となり,主観的活動量の中では「運動」より「生活活動」が多かった(p<0.01)。さらにBMI で肥満と判断されたものは主観的活動量を多く評価することが明らかとなった(p<0.05)。運動日誌は達成感や満足感を感じさせ,記録が継続できるような工夫が必要と考えられた。
著者
相馬 正之 五十嵐 健文 工藤 渉 中江 秀幸 安彦 鉄平
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.59-63, 2012 (Released:2012-11-20)
参考文献数
22
被引用文献数
7

本研究は,足指把持力トレーニングが Functional Reach Test(以下,FRT)や最大1歩幅などの平衡機能や歩行能力に与える影響について検討した。対象は,健常な若年者36名とし,トレーニング群24名とコントロール群12名に分類した。トレーニング群は,タオルギャザー,ビー玉掴み,足指歩行など1日10~20分間程度の運動を1週間に4回,3週間実施した。コントロール群には,特別な運動をしないように指示した。測定項目は,足指把持力と FRT,最大1歩幅,10?最大および10?至適歩行下の速度,歩幅,歩行率とし,トレーニング前後の2回計測した。その結果,トレーニング群は,左右合計足指把持力,最大歩行下の速度,FRT,最大1歩幅が有意に高値を示した。足指把持力トレーニングは,足指把持力の向上とともに,FRT や最大1歩幅などの平衡機能に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
古後 晴基 村田 伸 村田 潤 安部田 章 上城 憲司
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.19-22, 2012 (Released:2013-03-08)
参考文献数
8

本研究は,健常成人女性12名(年齢21.3±0.6歳)を対象に,マッサージによる末梢循環動態に与える影響を検証する目的で,マッサージ前後の足趾容積変動およびサーモグラフィーによる手背部皮膚温度分布の変化を調査した。15分間の安楽座位を対照課題とし,実験課題は15分間のマッサージ(肩部,腰背部,下腿部)を実施した。その結果,マッサージ実施後の足趾容積変化量は,-0.83±0.26ml/100ml/?(平均±標準誤差)であり,有意に減少した(P<0.05)。皮膚温度分布の変化は,安楽座位およびマッサージ有のいずれにおいても上昇傾向を示したが,有意な差は認めなかった。これらのことから,マッサージによる末梢循環動態の受ける影響は,下肢のむくみ軽減や皮膚温度の変化を反映することが示唆された。
著者
宮原 洋八
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.159-162, 2013 (Released:2013-05-24)
参考文献数
10

目的:地域高齢者の初期調査時の歩行時間が,5年後の要介護度との関連を検討することを目的とした。方法:2007年A市保健センターにおいて健康診断を受けた60歳以上の住民のうち,男女211名を対象に,要介護度と歩行時間の調査・測定を行った。その内,自立者158名を対象に5年度の要介護度を調査した。結果:追跡時の各転帰における歩行時間(2007年時)の比較では,自立群より要介護3・4・5群が有意に増加した。またROC 分析では,要介護度のAUC(area under the curve)は高い値を示した(0.79)。結論:歩行時間は要介護度について評価が可能であることが示唆された。
著者
城野 靖朋 金井 秀作 後藤 拓也 原田 亮 藤高 祐太 谷出 康士 長谷川 正哉 大塚 彰
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.47-51, 2013 (Released:2013-10-08)
参考文献数
21

本研究では運動課題にタンデム立位保持課題,認知課題にストループ干渉課題を用いて,各課題パフォーマンスが受ける二重課題干渉効果について検討した。健常成人60名を対象とし,タンデム立位保持課題を重心動揺で評価し,ストループ干渉課題を正答数で評価した。それぞれ単一課題で評価した後,同時遂行課題で評価した。二重課題干渉効果で運動課題パフォーマンスは向上し,認知課題パフォーマンスは低下した。このことから本研究の課題設定では,運動課題の高いパフォーマンス発揮のために,多くの注意資源は必要でないことが示唆された。
著者
安田 直史 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.55-63, 2014-07-01 (Released:2014-09-12)
参考文献数
43
被引用文献数
1 2

[目的]本研究の目的は,フットケアと足把持力トレーニングの介入を要介護高齢者に行い,その効果について無作為化比較対照試験によって検討することである。[方法]対象は52名,フットケアと足把持力トレーニングを行う群18名,足把持力トレーニングのみを行う群17名,コントロール群17名の3つの群に分けた。介入は週に2回,12週間実施した。足把持力,足部柔軟性,Functional Reach Test,歩行速度,重心動揺,握力,大腿四頭筋筋力を介入前後に測定した。[結果]二元配置分散分析の結果,フットケアとトレーニングの併用群の足把持力,足部柔軟性,FRT,歩行速度は有意に高まり,トレーニングのみの群やコントロール群と比較しても有意に高値を示した。また,トレーニングのみの群の足把持力,FRT,歩行速度も介入後有意に高まり,コントロール群と比較して有意に高値を示した。[結論]フットケアと足把持力トレーニングの併用を行うことは,トレーニングを単独で行うより足部柔軟性が改善され,足把持力が増強し,動的立位バランスの向上や歩行速度が増加することが示唆された。
著者
竹井 和人 村田 伸 大田尾 浩 安田 直史 甲斐 義浩
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.89-92, 2012 (Released:2013-04-02)
参考文献数
20

[目的]下肢荷重力および臀部荷重力を端座位で計測可能な装置を作成し,その測定器から得られる測定値の臨床的意義について検討した。[対象]要介護女性高齢者23名(要介護認定:要支援1~要介護1,平均年齢83.8±8.5歳,平均体重44.0±8.6?)とした。 [方法]下肢荷重力および臀部荷重力測定値と身体機能(座位保持能力,歩行能力,下肢筋力)との関連を,ピアソンの相関係数を用いて分析した。[結果]下肢および臀部荷重力は各身体機能との間に有意な正相関が認められた。また,下肢荷重力と臀部荷重力との間に有意な正相関が認められた。[結語]本測定器は,下肢機能の評価に加え,体幹機能を含めた総合的な身体機能評価としての活用が期待できる。
著者
岩瀬 弘明 村田 伸 阿波 邦彦 松尾 奈々 山﨑 康平 米山 智彦 小松 直正 重田 裕子 窓場 勝之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.163-167, 2013 (Released:2013-05-24)
参考文献数
22

本研究の目的は,高齢入院患者を対象に,異なる歩行速度における下肢筋力の貢献度を明らかにすることである。方法は,入院中の高齢患者13名を対象に,光学式歩行分析装置を用いて最速歩行と最大低速歩行の歩行パラメーターを計測した。また下肢筋力の代表値として,大腿四頭筋筋力と足把持力を評価した。歩行条件別に下肢筋力との関連を検討した結果,足把持力は最大低速歩行時の歩行率,歩幅,重複歩距離,立脚時間,遊脚時間との間に有意な相関が認められた。一方,大腿四頭筋筋力は最速歩行時の歩行率,立脚時間,遊脚時間との間に相関を示す傾向が認められた。最速歩行時の足趾把持力および最大低速歩行時の大腿四頭筋筋力は,すべての歩行パラメーターと有意な相関は認められなかった。これらの知見から,足把持力は最大低速歩行時の姿勢の安定化に関与している可能性が示された。一方,大腿四頭筋筋力は,身体を前方へ進める推進力としての役割が大きいことが推察された。