著者
田中 信雄 辻田 純三 堀清 記 千賀 康利 大槻 寅之助 山崎 武
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.114-123, 1977-09-01
被引用文献数
2

男子大学生 (18〜20才) の運動選手 (水泳競技, ハンドボール, サッカー, ラグビー, 陸上競技 (長距離, 短距離, 跳躍, 投擲), 柔道 (軽量級, 中量級, 重量級), 体操競技, 計168名および一般学生178名について, 身体計測を行って次のような結果を得た。一般学生の身長と体重の平均値は夫々170.2cmおよび59.7kgであった。体操, 長距離選手以外の運動種目の選手の身長, 体重の平均値は一般学生より大きかった。胸囲については全ての種目の運動選手の平均値は一般学生の値より大きかった。一般学生の上腕囲, 大腿囲の平均値は夫々26.9cmおよび50.6cmであった。バスケットボール, 長距離, 跳躍以外の運動種目では選手の上腕囲の平均値は一般学生より大きく, 長距離, 跳躍, 体操以外の運動種目では選手の大腿囲の平均値は一般学生より大きかった。柔道の重量級以外の運動選手の皮下脂肪厚は一般学生より薄く, 平均皮下脂肪厚, 体表面積, 体重を使って体脂肪含有率を求める予知式を用いて推算された体脂肪合有率は全ての種目に亘って運動選手の方が少なかった。縦軸に体重と体脂肪含有量を, 横軸に身長をとっていずれも一般学生の値を基準にとって, 運動種目別の平均値を標準測度で表して運動選手の体構成と体型を比較した。原点からの距離 (R) は一般学生との絶対値の差を, 一般学生の測定値から得られた標準直線からの偏りの程度 (r) は体型の差違を示す。Rを縦軸, rを横軸としてとり, その中に等身長線を入れると運動競技種目別の体型の差がよく削り, 又, 運動鍛練が身体的特徴に与える影響を評価するのに便利である。上腕囲と大腿囲を縦軸に, 胸囲を横軸にとって一般学生の測定値を基準にして運動種目別の平均値を標準測度で表すと運動種目別の体型の差を判定することができる。
著者
森本 武利
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.9-10, 2007-02-01
被引用文献数
3 1
著者
江崎 和希 宮上 寛之 圓 吉夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.429-439, 1996-08-01
参考文献数
26
被引用文献数
2 1

本研究は, 初心者や一般愛好家の参加が認められているトライアスロン競技のなかの一つであるミドルディスタンスタイプを取り上げ, 被検者8名を対象とし, それが生体にどのような影響を及ぼすかということについてロングディスタンスタイプのトライアスロン競技の値との差を比較検討することを目的とした.採血は, 競技前日, 競技終了直後, 競技翌日に行った.<BR>1) RBC, Hb, 血糖値は, 競技前日, 競技終了直後, 競技翌日において有意な変動はみられなかった.<BR>2) WBCは, 競技終了直後, 有意な上昇を示し, 競技翌日には, 競技前日の値に回復した.3) 血清CPK, LDH, GOT活性値は, 競技直後, 有意な上昇を示した.さらに血清CPK活性値は, 競技翌日, 競技前日の値に比べ著しい上昇を示した.<BR>4) 腎機能を反映する血清クレアチニン値は, 競技終了直後, 有意な上昇を示したが, 翌日には競技前日の値へ回復した.また, 血清尿酸, 血清BUNは, 競技終了直後, 有意な上昇を示し翌日も同様な値を維持していた.<BR>これらの結果とロングディスタンスタイプのトライアスロン競技の先行研究の値と比較検討した結果, ミドルディスタンスタイプのトライアスロン競技は, 血清CPK活性値の上昇率が6分の1ほどであり, 血清GOT活性値や血清GPT活性値の上昇率も比較的少なかった.このことからミドルディスタンスタイプのトライアスロン競技は, 骨格筋や肝臓への影響が比較的少ないことが示唆された.しかし, すべての酵素活性とも安静時あたりより明らかに上昇しており, 生体への影響は無視できないと考えられる.<BR>また, 初心者や一般愛好家がトライアスロン競技に参加するうえで, 自分の体力レベルを十分に把握し, レベルに合わせたレースを楽しむならば, ミドルディスタンスタイプのトライアスロン競技は, ロングディスタンスタイプのトライアスロン競技に比べ生体への負担が少ないと考えられた.
著者
衣笠 隆 長崎 浩 伊東 元 橋詰 謙 古名 丈人 丸山 仁司
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.343-351, 1994-10-01
被引用文献数
60 30

高齢者用の運動能力テストバッテリーを確立するために, Fleishmanの運動能力のモデルに準拠し, 高齢者でも安全に行えるテストを選び, 若年者から高齢者までを対象として, 運動能力の加齢変化を調べた.<BR>被験者は男性150名 (年齢: 18歳から83歳) であった.運動機能は8項目を測定した. (1) 握力と等尺性膝伸展力. (2) ステップテスト. (3) 開眼時と閉眼時の重心動揺距離と重心動揺面積. (4) 立位体前屈. (5) 指タッピング (最大タッピングと2Hz, 3Hz, 4Hz, 5Hzの音に合わせるタッピング) . (6) ペグボードテスト. (7) 視覚単純反応時間. (8) 通常の速さの歩行 (自由歩行) とできるだけ速い歩行 (最大歩行) .自由歩行の速度と5Hzの指タッピングの変動係数を除いて, すべての運動機能に加齢に伴う低下がみられた.20歳を100%とした時の, 80歳の主な運動能力の低下は, 仮定した運動能力ごとに以下のような特徴がみられた.手指巧緻性や反応時間は30%以内の低下, 筋力, 持久性および歩行に関する運動能力は40~60%の低下, 柔軟性や平衡性は70%以上の低下であった.以上の結果より, 運動能力の加齢変化の総合的な評価ができ, かつ安全性の面からも適切な運動能力テストバッテリーとして, 体前屈, 握力, 膝伸展力, 最大速度歩行, 閉眼重力動揺距離, ステップテスト, 指タッピングが上げられる.
著者
石倉 恵介 宮川 俊平 矢田部 佳久 竹越 一博 大森 肇
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (Japanese journal of physical fitness and sports medicine) (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.475-484, 2008-08

To determine the effect of taurine on blood glucose concentration during prolonged exercise, fifteen male university students cycled for 120 min at 50%VO2max after 7 days with or without taurine supplementation. Exercise tended to reduce the blood glucose concentration, whereas taurine significantly prevented this decline. Exercise significantly increased plasma glucagon concentrations in both groups to a similar degree. Serum insulin concentrations did not differ during exercise under both conditions. Taurine supplementation respectively significantly inhibited and tended to inhibit the plasma noradrenaline and adrenaline concentrations increased by exercise. These results suggest that taurine supplementation can maintain the blood glucose concentration during prolonged exercise through enhanced catecholamine sensitivity.
著者
尾松 芳男 越川 裕正 飯塚 恒雄 小野 悌之助 美崎 教正
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.69-74, 1960-02-01

模型型実験により視覚及び聴覚反応時間を測定し,ランニング記録の計時誤差を検討した。1. スタートの合図にピストルの閃光を用いた場合には平均150msec程度の遅れを生ずる。2. ピストルの煙をスタートの合図とすると140乃至260msecと非常に広い範囲で遅延が認められる。(これは雷管紙の不均一なことと気象条件の差によって煙の発生が一定でないことに起因すると考えられる。)3. スタートと計時員との距離が接近すると,計時員がピストルの爆発音によって反応する可能性がある。4. ゴールに於ける誤差はスタートのそれに比して遙かに小さく,且つゴールイン以前に時計を停止する事がしばしばあり,走者と計時員との距離が多少変わっても反応時間には認むべき差がない。5. 計時誤差のうち,大きな部分を占めるのはスタートの誤差であり,これとゴールに於ける誤差との組み合わせ如何によって総合誤差は減殺され,或は増大するが,計時誤差が全く0となることは偶然以外には存在しないと云える。6. 現在公表されているランニング記録は真の記録より0.1乃至0.2秒,時には0.3秒短い値と考えられる。7. 公認審判員と他の被検者との間には何等差異を認めなかった。
著者
田原 靖昭 綱分 憲明 西澤 昭 湯川 幸一 森 俊介 千住 秀昭
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.198-206, 1990

全国サッカー優勝チーム (1988.1) , 準優勝チーム (1987.1) を含む46名を4期に分けて, 体格, 身体組成, Vo<SUB>2</SUB>max, Max O<SUB>2</SUB>debtを測定した.得られた結果の概要は次の通りである.<BR>A.身長の平均値は, GK17&9±5.7cm, FW172.5±3.6cm, MF171.9±6.2cm, DF172.5±5.3cmであった.体重はそれぞれGK72.5±4.0kg, FW66.8±6.1kg, MF64.4±6.3kg, DF64.3±3.8kgであった.<BR>3.皮脂厚和 (8部位) の平均値は, 63.5±14.3mmであった.GKは7&5±12.6mmであった.<BR>C.%Fatは, GKが14.3±3.9%, 他のポジションは8.2~10.4%であった.LBM/Ht (kg/m) は, 全員 (N=46) の平均値で34.2±2.5kg/mであった.<BR>D.Vo<SUB>2</SUB>maxの全員の平均値は, 60.0±5.6m<I>l</I>/kg・minで, MF62.7±4.6m<I>l</I>, DF60.5±5.3m<I>l</I>, FW58.7±5.3m<I>l</I>, GK54.3±5.7m<I>l</I>であり, MFが最も高かった.<BR>E.Max O<SUB>2</SUB>debtは, 平均値で124.8±19.2m<I>l</I>/kgであった.中でもFW133.1±14.5m<I>l</I>, GK126.1±8.1m<I>l</I>で高かった.<BR>F.国見高校選手のVo<SUB>2</SUB>max, Max O<SUB>2</SUB>debt, LBM/Htが高かったのは, その年間を通して競技の特性を踏まえた体力トレーニング・練習内容と多い試合数 (年間130試合前後) に負うところが大であった.また, 資質の優れた選手が多く入部することも高い競技力に貢献している.