著者
平野 弘之 渡辺 好博 大貫 義人
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.485-493, 1996-10-01
被引用文献数
1 1 1

国民体育大会出場レベルの男子水球選手で15から16才 (平均年齢15.6±0.7才) に整形外科的メディカルチェックを6カ月のあいだ3回にわたり, 身長, 体重, 視力, 外傷歴, 手術歴およびスポーツ歴の総合6項目と身体各部位の整形外科的診察50項目について追跡調査し, 以下の結果を得た.<BR>1.中学2年生次にスポーツ外傷が多い.<BR>2.プールサイドでの不注意や悪ふざけに起因する不慮の事故への注意と指導が必要である.<BR>3.体脂肪率, 体格指数および除脂肪体重は選手間で均一の値を示した.<BR>4.腸脛靱帯炎と鵞足筋腱炎はメディカルチェック時の指導で予防可能であった.<BR>5.国体レベルの水球競技に経時的な整形外科的メディカルチェックは有意義であった.
著者
山本 正嘉 山本 利春
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.82-92, 1993-02-01
被引用文献数
9 2 7

自転車エルゴメーターを用い, 5秒間の全力駆動を8セット反復するという激運動を行い, 33分間の休憩後に同じ運動を繰り返した.休憩中10分間にわたり, ストレッチング, スポーツマッサージ, 軽運動 (被検者の無酸素性作業閾値の80%相当の強度) , ホットパックの4種類の回復手段を実施し, これを実施しないで安静にして回復した場合と比較検討した.疲労回復の指標として作業能力および血中乳酸濃度 (La) の回復をみた.被検者は各回復手段について12名ずつとした.結果は以下のとおりである.<BR>1.ストレッチングとスポーツマッサージは, Laの回復には有意な効果をもたらさなかったが, 作業能力の回復には有意な効果をもたらした.<BR>2.軽運動は, Laの回復には有意な効果をもたらしたが, 作業能力の回復には有意な効果をもたらさなかった.しかし, 作業能力の回復が悪かった被検者の多くは, 軽運動の運動強度が強すぎたと訴えていたことから, これらの被検者には運動強度をさらに低く設定することによって作業能力の回復にも有意な効果がもたらされる可能性がある.<BR>3.ホットパックは, Laの回復にも, 作業能力の回復にも有意な効果をもたらさなかった.<BR>4.1~3の結果から, 激運動後に作業能力の回復を促進する手段として, ストレッチングとスポーツマッサージは有効であると考えられる.軽運動については, 運動強度が適切に処方されるならば有効と考えられるが, さもないと逆効果となる可能性もある.<BR>5.Laの回復率と作業能力の回復率との間には, 有意な相関関係は認められなかった.したがって, 作業能力の回復を規定するのはLa以外の要因であることが示唆された.また, Laを作業能力の回復を表す指標とすることには問題があることが示唆された.
著者
齋藤 義信 岩井 一師 中里 浩一 入江 一憲 水野 増彦 中嶋 寛之
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.99-108, 2009-02-01
被引用文献数
1 1

The purpose of this study was to clarify physical characteristics related to low back pain (LBP) in collegiate track and field athletes. We particularly focused on the nature of the track and field. The subjects were 21 male collegiate track and field athletes including only sprinters, hurdlers, long jumpers and triple jumpers. The examined parameters were physical characteristics, isokinetic flexor and extensor strength in the knee and trunk regions. The evaluation of LBP was estimated by a questionnaire test and orthopedic surgeons' diagnosis. According to these evaluations, we divided all track and field athletes into two groups ; LBP group (n=11, 52.4%) and no LBP group (n=10, 47.6%). As a result, a take-off leg of knee flexor/extensor strength ratio in the LBP group was significantly lower than that in the no LBP group (P<0.05). The LBP group showed a significant difference between a take-off leg and a lead leg in knee flexor strength compared with the no LBP group (P<0.05). The LBP group has been short engaged in the track and field than the no LBP group (P<0.05). In the trunk flexor and extensor strength, there was no significant difference between the LBP and the no LBP group in this study. These results suggest that the imbalanced knee muscle strength may be one of some factors related to chronic low back pain in collegiate track and field athletes.
著者
寺尾 保 三好 基治 成澤 三雄 吉岡 利忠 中野 昭一
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.235-244, 1984-10-01
被引用文献数
1

長期間にわたって持久的トレーニングを行ってきている長距離ランナーと,日常,運動習慣を有していない者を被験者として,それぞれの安静時,運動中,運動終了後のリポ蛋白代謝について検討した.被験者には,毎週150km以上走行している大学陸上部長距離ランナー5名,ならびに非運動群として文学部学生5名の計10名を選んだ.なお,これらの被験者は,すべて肥満,高脂血症,喫煙,加齢,疾病などを有していない.実験方法は,60%V^^・o_2maxの運動強度で30分間固定負荷法による自転車エルゴメーター運動を行わせた.その結果を示すと次のごとくである.1)安静時における長距離ランナー群は,非運動群に比べて,VLDL中のCho.,TG,PLが低く1%水準で有意な差を認め,一方,HDL中のCho.,PLが逆に増加し,5%水準で有意の差を認めた.2)安静時におけるVLDL-TGとHDL-Cho.,VLDL-TGとHDL-PLの関係は、それぞれ1%,0.1%水準で有意な負の相関を認めた.HDL-Cho.とHDL-PLの関係は,0.1%水準で有意な正の相関を認めた.3)最大下運動を行った場合,長距離ランナー群では,運動開始とともにVLDL中のTGが低下し,運動終了直後約12%の減少を示した.しかし,非運動群では,ほとんど変化がみられず,長距離ランナー群とは異なっていた.また,両群ともしDLおよびHDL中のPL,Cho.に変化がみられなかった.以上の成績から,運動に対応するエネルギー産生に際し,長距離ランナー群は,非運動群に比較して脂質を利用する割合が多く,今回行った最大下運動においても運動中VLDL中のTGが分解してエネルギーを供給していたことが考えられた.しかし,LDLおよびHDL中のPL,Cho.に変化がみられなかったことから、一過性の運動においてはVLDL中のCho.,PLが他のリポ蛋白へ転送される可能性の少ないことを示していた.しかし,安静時において両群間を比較すると,VLDLとHDL中の脂質組成に有意な差や相関が認められたことから,長期間にわたる持久的な運動の積み重ねによって体内リポ蛋白代謝過程に微妙な変化をきたさせ,VLDL中のPL,Cho.が徐々にHDLへ転送されていることが考えられた.
著者
三田村 将史 遠藤 隆志 高橋 麗 小宮山 伴与志
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.555-563, 2003-10-01
被引用文献数
3

1.健常成人男子11名を対象として, 自転車エルゴメータによる最大パワーが発揮可能な負荷の30% (HF課題) および80% (HP課題) の負荷で10秒間の最大努力によるペダリング運動を, 20秒の休息をおいて各最大パワーが80%以下になるまで間断的に行い, 大腿直筋 (RF) ならび外側広筋 (VL) の表面筋電図の変化ならびに経頭蓋的磁気刺激によって誘発された運動誘発電位 (MEP) の変化について検討を加えた.<BR>2.最大発揮パワーはHF課題では運動課題の第一セットと比較して10.1±1.45セットで80.6±1.58%まで, HP課題では4.1±0.25セットで77.3±0.77%まで低下した.<BR>3.MEP面積に関し, RFではHF課題で有意な増加が見られなかったが, HP課題では課題前半に比して課題後半では有意な増大が観察された.一方, VLではHP課題において課題中盤から後半にMEP面積は有意に増大したが, HF課題では有意な変化は見られなかった.結果として, VLではMEP面積の変化に関しHF課題とHP課題間に有意な差が観察された.<BR>4.MEP持続時間はRFおよびVLともに10秒間のペダリング中に漸増し, さらに課題の中盤から後半にかけて有意に延長した.しかし, MEP持続時間の延長はHF課題に比してHP課題の方が有意に大きかった.<BR>5.運動開始直後の5回転についてのEMGの積算面積とその間に増加したパワーの比 (EMG/Power比) は運動課題の進行にともなって有意に増大した.さらに, VLではEMG/Power比はHF課題に比してHP課題の方が有意に大きかった.<BR>6.これらの結果は, ペダリング運動による間断的な最大パワー発揮の低下に中枢性疲労が関与し, この中枢性疲労はRFよりもVLで大きいことを示唆する.また, 低負荷での高回転運動課題では発揮パワーの低下に大脳皮質運動野以外の中枢性疲労が関与する可能性が考えられた.
著者
武村 正義
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, 1981-12-01