著者
琉子 友男 福永 哲夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.168-174, 1986
被引用文献数
3 2

トレーニング経験のない16名の健康成人男子を用いて, 脚伸展筋の等尺性最大筋力に対する筋断面積の影響, および, 筋断面積あたりの等尺性最大筋力に対する外側広筋の筋線維組成の影響について検討し, 次の結果を得た.<BR>1.等尺性最大筋力と筋断面積との間には, 先行研究と同様, 有意な正の相関係数 (r=0.61, p<0.05) が得られた.<BR>2.筋断面積あたりの等尺性最大筋力と外側広筋の筋線維組成との間には, 統計的に有意な相関係数は得られなかった.<BR>以上の結果から, 静的な最大筋力を発揮することに対しては, 筋線維組成よりも筋断面積の方がより重要な影響を及ぼしていること, さらに, 筋断面積あたりの等尺性最大筋力の大きな個人差の生ずる原因は, 筋線維組成以外の要因に依るものであることが示唆された.
著者
角田 直也 金久 博昭 福永 哲夫 近藤 正勝 池川 繁樹
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.192-199, 1986-08-01
被引用文献数
7 3

本研究では,スポーツ選手89名(短距離5名,長距離10名,バレーボール8名,サッカー12名,ボート22名,スピードスケート16名、相撲16名)と一般男子14名を対象に,大腿四頭筋(MQF)とそれを構成する大腿直筋(RF),外側広筋(VL),内側広筋(VM),中間広筋(VI)の各断面積における種目差および等尺性脚脚伸展力(KES)との関係について検討し,以下の結果を得た. 1.MQF断面積は,相撲(110.18cm^2)が最も高く,ついでスピードスケート(104.09cm^2),バレーボール(99.36cm^2),ボート(96.30cm^2),サッカー(89.92cm^2),短距離(86.34cm^2)の順であり,長距離(73.86cm^2)が最も低い値を示した. 短距離および長距離を除く他の種目は,一般人(75.32cm^2)より有意に高い値であった. 2.MQFを構成する各断面積は,相撲,バレーポール,スピードスケートが高い値を示し,短距離と長距離は,一般人とほば同様な値であった. 3.大腿部の全筋断面積に対するMQF断面積の比率は,バレーボール(58.66%)およびボート(57.53%)が高く,サッカー(53.81%)が低い値を示した. しかし,MQF断面積比率は,いずれの種目も一般人との間に有意な差を示さなかった. 4.MQF断面積に対する各構成筋群の断面積比率では,サッカーがRFで,スピードスケートがVLで,それぞれ一般人および他の種目より有意に高く,種目によって特異的に発達する筋が認められた.