著者
諸井 陽子 小林 元 菅原 亜紀子 石川 和信
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.401-404, 2020-08-25 (Released:2021-03-15)
参考文献数
9

背景 : ソーシャルメディアの汎用化に伴い, 倫理・プロフェショナリズムに関わる問題が出現している. 目的 : 医療系学生や医療専門職に対するソーシャルメディア利用の教育や研修に用いるチェクリストを開発する. 方法 : わが国の事例を分析・区分化し, 事例に基づいたチェックリストを作成する. 結果 : モラルハザード事例は3区分に分けられ, 10項目からなるソーシャルメディア利用のチェックリストを作成した. 考察 : ソーシャルメディアが日常生活に深く関わってきている現在, そこで展開・交換される内容について, 医療系学生・医療専門職の誰もがモラルハザードに陥る可能性がある. 事例を踏まえた教育ツールを開発した.
著者
小林 元気
出版者
日本特別活動学会
雑誌
日本特別活動学会紀要 (ISSN:13437151)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.51-60, 2021-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
27

本稿は、児童会・生徒会選挙に着目し、全国の学校教育における実施状況と、成人後の若年層における主権者教育の知識定着という教育効果の有無を検証することを目的としている。分析の結果、⑴大半の中学校では投票選挙が行われる一方で、小学校と高校での実施状況はおよそ半々であり、個人の学校生活を通じた選挙経験の蓄積にはばらつきがあること、⑵学校生活での選挙経験は成人後の主権者教育の知識定着を強めていることが明らかになった。これらの知見は、全国で実践されてきた児童会・生徒会選挙の教育効果を示唆している。本稿は、特別活動の社会的意義に関するエビデンスの提示を目指した定量的実証研究として、萌芽的な意義をもつものである。
著者
小林 元樹
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.9-17, 2021 (Released:2022-07-26)
被引用文献数
1

ここ十年ほどで急速に進展した環形動物の高次系統に関する研究を,陸域の研究者向けに概説した.最近の研究か ら,環形動物門は初期に分岐したいくつかの系統と,遊在類および定在類(貧毛類やヒル類を含む)としてまとめられる系統からなることが分かっている.この系統関係は,既存の高次分類体系と合致せず,分類体系の大幅な見直しが必要であることが示されている.しかし,新しい分類体系はまだ提案されていない.環帯類内部についても,高次の系統関係について理解が進んできているが,分類体系の整理は今後の課題となっている.近い将来,環形動物の系統関係に関する最新の知見に基づいて,包括的な高次分類体系の整理が行われることが期待される.
著者
松政 正俊 阿部 博和 小林 元樹 鈴木 孝男
出版者
日本ベントス学会
雑誌
日本ベントス学会誌 (ISSN:1345112X)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.54-59, 2022-12-25 (Released:2023-01-27)
参考文献数
25
被引用文献数
2

The tidal flats at Otomo-ura (Iwate Prefecture), which had been converted to farmland through a reclamation project from 1959 to 1969, have been partially restored after the tsunami caused by the Great East Japan Earthquake in 2011. In the course of monitoring the benthic fauna of the tidal flats for 11 years after the tsunami, we found some adult sentinel crabs of the genus Macrophthalmus at a muddy area for the first time on July 28, 2022. During subsequent observations of the mud flat, we noted that the adult male crabs exhibited waving display of vertical non-forward-pointing type. Allocleaning, performed by both sexes, was also observed. Morphological characters include: the carpus and propodus of the ambulatory leg 3 of the adult male are not associated with tuft of setae on their ventral surfaces, and the subdistal tooth of leg 3 is not distinct. Based on these behavioral and morphological characteristics, the macrophthalmid crab was identified as Macrophthalmus japonicus. This is the first record of this species along the coast of Iwate Prefecture. In addition, five of six females captured on July 28 and August 14, 2022, were ovigerous (range in carapace width: 19.1–25.0 mm), which indicates that the crabs are reproducing on the tidal flat.
著者
小林 元気
出版者
留学生教育学会
雑誌
留学生教育 (ISSN:13452398)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-68, 2017-12

2000 年代の後半から,「内向き」という言葉が,若者の海外志向の低下という文脈において,特に,海外留学者数の減少の原因として語られるようになり,政府の海外留学政策の基本認識としても定着している。本論は,そのような「内向き」イメージが社会的に構成されたものであるとの前提に立ち,新聞・雑誌記事の言説を分析した。結果,「内向き」イメージは,2009 年の政府資料をきっかけとして社会的に構成され,社会に定着したことが明らかになった。また,「内向き」言説の根拠として言及される日本人の海外留学に関する各種統計について,多様な留学の定義を整理しながら検討した結果,エリート層が中心となる長期留学が減少する一方,非エリート層中心の短期留学が増加していると考えられる点が示唆された。最後に,長期留学の減少について若者の「内向き」志向と一般化してしまうことの誤謬と,教育格差の視座から短期留学に着目する必要性について指摘した。
著者
芳井 研一 井村 哲郎 広川 佐保 児嶋 俊郎 塚瀬 進 小林 元弘
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、日中戦争期とアジア太平洋戦争期の南満州鉄道沿線の社会変容に関する資料調査研究を行うことであった。そのため交付期間中を通して遼寧省档案館や吉林省社会科学院満鉄資料館、社会科学院近代史研究所図書室、北京市档案館などでの調査を実施し、資料の収集を実施し得たことは計画通りの成果であった。収集したいくつかの重要史料については、不二出版社から5冊の史料集として刊行し得たことは、本研究をめぐる成果の一環である。他方、一連の資料の収集を踏まえて研究をとりまとめ、研究期間中の毎年度に国際ワークショップを共催して成果を発表したことは主な実績である。
著者
小林 元気
出版者
留学生教育学会
雑誌
留学生教育 (ISSN:13452398)
巻号頁・発行日
no.24, pp.33-41, 2019-12

本稿の目的は,日本人学生の留学経験とその後の就労内容の関係性を明らかにすることである。学生の留学経験は国際的な仕事につながるのかというテーマに関して,海外では一定の先行研究の蓄積があるが,日本人学生を対象とする研究は十分に行われていない。そこで本稿は,教育システムと労働システムの関係性について問う「職業的レリバンス」の概念枠組みから,日本人学生の留学経験が仕事での英語使用頻度の高さや海外勤務経験につながるかどうかについて,大規模な全国統計調査の個票データを用いて二次分析を行った。その結果,在学中の留学経験は,仕事での英語使用頻度と海外勤務経験率の双方を有意に高めていた。このことから,学生の在学中の留学経験は,将来の就労において国際的な仕事につながるという留学の「職業的レリバンス」の存在が明らかになった。The purpose of this paper was to reveal the relationship between Japanese students' experience of studying abroad and the contents of their careers. While there have been a few foreign studies that have examined "how the experience of students' study abroad is linked with international jobs," little attention has been paid to the Japanese case. This paper, therefore, used large-scale national statistical survey data to analyze the correlation between Japanese students' experience of studying abroad, their use of English at work, and the potential for working abroad in the future from the conceptual outline of "vocational relevance." Results showed that the effect of the experience of the students' studying abroad affected both a high frequency of English use at work and the probability of working abroad. These analyses confirmed the "vocational relevance" of students' study abroad for the Japanese labor system.
著者
永原 陽子 粟屋 利江 鈴木 茂 舩田 さやか 阿部 小涼 今泉 裕美子 小山田 紀子 尾立 要子 小林 元裕 清水 正義 前川 一郎 眞城 百華 濱 忠雄 吉澤 文寿 吉田 信 渡邊 司 津田 みわ 平野 千果子 浅田 進史 飯島 みどり 板垣 竜太 大峰 真理 後藤 春美 高林 敏之 旦 祐介 津田 みわ 中野 聡 半澤 朝彦 平野 千果子 溝辺 泰雄 網中 昭世 大井 知範 柴田 暖子
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、「植民地責任」概念を用いて、脱植民地化過程を第二次世界大戦後の植民地独立期に限定せず、20世紀の世界史全体の展開の中で検討した。その結果、第一次世界大戦期の萌芽的に出現した「植民地責任」論に対し、それを封じ込める形で国際的な植民地体制の再編が行われ、その体制が1960年代の植民地独立期を経て「冷戦」期にまで継続したことが明らかになった。
著者
三枝 令子 丸山 岳彦 松下 達彦 品川 なぎさ 稲田 朋晃 山元 一晃 石川 和信 小林 元 遠藤 織枝 庵 功雄
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.176, pp.33-47, 2020-08-25 (Released:2022-08-26)
参考文献数
16

執筆者らは,日本で医学教育を受け,最終的に日本の医師国家試験合格を目指す外国人学習者に効果的な支援を行うことを目的として,医学用語の調査研究並びに教材作成を進めている。一口に医学用語といっても,その範囲は多岐にわたるため,医学用語の効率的な学習を目指すならば,まず医学用語の網羅的な収集と体系的な分類が必要になる。そこで本研究では,医学用語の体系的な語彙リストを作成する準備段階として,医学書のテキストから医学書コーパスを構築し,27種類の診療分野に分けて,そこに含まれる語を収集・分類した。その上で,高頻度の助詞,接辞,動詞や,領域特徴度の高い名詞について,医学テキスト固有の特徴という観点から分析を行った。その結果,接辞や動詞において医学分野特有の語がみられた。また,名詞に関しては診療分野ごとに頻出語が異なることから,診療分野別に語彙リストを構築することが重要であることがわかった。
著者
小林 元裕
出版者
東方書店
巻号頁・発行日
1999-06

天津史 : 再生する都市のトポロジー
著者
高原 淳 小林 元康
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.15-20, 2013-01-01 (Released:2014-02-20)
参考文献数
40
被引用文献数
3 3