著者
矢口 貴志 田中 玲子 西村 和子 宇田川 俊一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.51, 2005

2004 年,de Hoog 等が ITS 領域の系統解析で <I>Fonsecaea</I> 属を <I>F. pedrosoi</I> と新規提唱の <I>F. monophora</I> に分け,伝統的な分類における <I>F. pedrosoi</I> と <I>F. compacta</I> とは一致しないと報告した.そこで,当センター保存の臨床および食品由来の <I>Fonsecaea</I> 属に含まれる菌株について ITS 領域の塩基配列を決定し,既存のデータと合わせ系統解析を実施した.その結果,2 つの主要なグループに分かれ,日本産の分離菌は <I>F. monophora</I> と同じグループに類別された.このグループは,<I>F. pedrosoi</I>,<I>F. compacta</I> の代表株とは系統的にはっきりした違いを示し,de Hoog 等の" B タイプ",Tanabe 等の ITS-RFLP 解析による"タイプ 2 "にほぼ一致した.さらにこのグループは 2 つのサブグループに分かれ,その 1 つに日本産の菌株がすべて含まれ,もう一方のグループに南米由来の株が含まれていた.この結果は,日本産の <I>F. pedrosoi</I> が de Hoog らが示した <I>F. monophora</I> であることを示唆している.しかし,ITS 領域のみの結果から断定することは控えて,さらに複数の遺伝子解析の実施結果から判断したいと考える.
著者
杉田 隆
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.37, 2008

最新の疫学解析から、近年の深在性真菌症の特徴が明らかにされた。すなわち、1) カンジダ症とアスペルギルス症患者数の逆転、2) カンジダ症の原因菌が<i>C. albicans</i>からnon-<i>albicnas</i> spp.に、また3) 重篤型の比率が上昇していることがあげられる。この様な真菌症の変遷や起因菌の多様化には使用される抗真菌薬とも大きな関わりがある。アゾール薬にみるように、広域スペクトル化や活性の増強と薬剤そのものも進化している。一方で、接合菌症やトリコスポロン症は、ある種の薬剤の使用によるブレークスルー感染症として認識されるようになった。新興真菌症は一般に治療困難であるが、その診断には菌学的同定法の進歩が大きく貢献していることは言うまでもない。新規抗真菌薬の登場や環境の変化により新たな感染症が登場したり、あるいは頻度が変化したりと深在性真菌症そのものも変遷していく。本セミナーでは、各種疫学情報をレビューしながら深在性真菌症の過去、現在、未来を議論してみたい。
著者
荒谷 康昭
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.22, 2005

ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は主に好中球のみに存在し、単球にわずかに検出されるほかには MPO を保持している組織は同定されていない。感染等によって活性化した好中球は、NADPH オキシダーゼにより酸素からスーパーオキシド(O<SUB>2</SUB><SUP>-</SUP>)を、次いで O<SUB>2</SUB><SUP>-</SUP> から過酸化水素(H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>)を産生する。さらに、MPO により H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB> と塩素イオンから次亜塩素酸(HOCl)が産生される。ヒトの単離好中球を用いた試験管内実験では、MPO 欠損好中球は殺菌能の低下が認められる。しかし、我が国では 40,000 人に 1 人、欧米では 2,000 から 4,000 人に 1 人の頻度で存在しているといわれる MPO 欠損患者の大半は健康な生活を営んでおり、時にカンジダ菌に易感染性を示す傾向が認められるに過ぎない。すなわち、個体の真菌感染防御における MPO の役割はいまだ明確ではない。そこで、MPO のノックアウトマウス [MPO (-/-) マウス] を作製して、このマウスの真菌易感染性を解析した。<BR> MPO (-/-) マウスは、クリーンな飼育環境下では何ら異常を示さない。ところが、<I>Candida albicans</I> を鼻腔内投与すると、野生型マウスはまったく死亡しなかったのに対し、MPO (-/-) マウスは感染後 5 日目までに重度の肺炎を起こして大半が死亡した。さらに、<I>Aspergillus fumigatus</I>、<I>Candida tropicalis</I>、および <I>Trichosporon asahii</I> を感染させた 2 日後の肺における殺菌能も、野生型マウスに比べて有意に低下していた。また、<I>Cryptococcus neoformans</I> に対する MPO (-/-) マウスの感染防御能の低下は、感染後 1 週間を経過してから顕著に現れた。すなわち、MPO はこれらの真菌に対する生体防御に重要な役割を担っていることが示された。次に、MPO (-/-)マウスの <I>C. albicans</I> に対する易感染性を NADPH-オキシダーゼのノックアウトマウス (CGD マウス) と比較した。CGD マウスの感染重篤度は、投与した菌量依存的に増大した。一方、MPO (-/-) マウスは、低量の菌を投与すると野生型マウスと同程度の軽度な感染しか示さなかったにもかかわらず、高量を投与すると CGD マウスに匹敵する重篤な感染症状を示した。すなわち、MPO は多量の菌が感染した際の生体防御機構として、NADPH オキシダーゼと同等の重要性を有していることが明らかとなった。<BR>共同研究者:倉 文明<SUP>1</SUP>,渡辺治雄<SUP>1</SUP>,高野幸枝<SUP>2</SUP>,鈴木和男<SUP>2</SUP>,小山秀機<SUP>3</SUP><BR> (<SUP>1</SUP>国立感染研・細菌,<SUP>2</SUP>国立感染研・生物活性,<SUP>3</SUP>横浜市大・木原研)
著者
森 健 八幡 悠里子 築根 豊
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.283-289, 2011 (Released:2011-11-28)
参考文献数
20
被引用文献数
5 5
著者
鈴木 孝仁 岩口 伸一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.61, 2006

Van der Walt(1967)が記載したsexually active strainに相当する<I>Candida</I> <I>albicans</I> NUM51株では、接合型遺伝子<I>MTLa</I>および<I>MTL</I>&alpha;が異型接合状態で存在し、二倍体と四倍体の細胞が培養中に混在する。クローン化された優性なミコフェノリック酸耐性遺伝子と<I>MTL&alpha;2</I>とから<I>MTL&alpha;2:MPA<SUP>R</SUP></I>ブラスターを作成し、<I>MTL</I>a遺伝子破壊株B1を得た。B1株では、培養中の細胞は二倍体から構成されるようになり、核相の変換を伴うsexually activeの形質が失われた。また、ソルボース培地上で<I>MTL</I>&alpha;が座乗する5番染色体の一方を喪失させたTN1株でも同様にsexually activeの形質が失われたことから、核相を変換するsexually activeの形質には接合型遺伝子の異型接合性が必要であることが判明した。また、接合型遺伝子座における異型接合性が失われたこれらの変異株では、カザミノ酸―グルコース培地での菌糸形成能が失われることも判明した。これらの事実から、<I>C. albicans</I> 接合型遺伝子には形態形成における多面的な制御に関わっている可能性が示唆された。非会員共同研究者:竹内まり子, 中西典子(奈良女子大・理・生物科学)
著者
阿部 美知子 久米 光 奥平 雅彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
真菌と真菌症 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.289-295, 1985
被引用文献数
1

真菌症の免疫血清学的検査の診断学的有用性について臨床材料652検体および健康者88検体の合計740検体を供試材料として, counterimmunoelectrophoresis (以下CIE), passive haemagglutination (以下PHA) および latex agglutination test (以下LA) の三法で比較検討した.<br>臨床的および病理組織学的にカンジダ症が確認された66例中, CIEによる抗カンジダ抗体陽性率は48.5%およびPHA37.9%で, 病型別には内臓カンジダ症の陽性率が高かった.<br>同様にアスペルギルス症が確認された39例中, CIEによる抗アスペギルス抗体陽性率は38.5%およびPHA 77.3%であった.<br>クリプトコックス症11例のCIEによる血清中抗クリプトコックス抗体陽性率は30.0%, 同様に抗原陽性率50.0%で, 髄液中の抗体陽性率は0%, 同様に抗原陽性率は62.5%であった. また, LAによる抗原検出率は血清および髄液ともに100%で, クリプトコックス症では抗原検索の有用性が示唆された.<br>なお,内因性の感染症であるカンジダ症の診断では, 確定しえなかった症例でも臨床材料より頻回に大量のカンジダが分離される症例では高頻度にカンジダ抗体の検出をみた. このことは検索成績の評価に充分な配慮が必要であることを示唆するものである.
著者
木村 有太子 須賀 康
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.J45-J49, 2018 (Released:2018-08-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

爪白癬の治療において,抗真菌薬の内服・外用以外の治療の選択肢としてさまざまな工夫がなされてきた.爪白癬に罹患した爪甲部分の爪切りやグラインダーを用いて機械的に除去する方法,スピル膏や尿素配合軟膏のODTによる化学的除去法もあるが,近年ではレーザー療法もその1つとして注目されている.わが国で報告されている爪白癬のレーザー治療としては,炭酸ガスレーザーと外用抗真菌薬を併用した方法,フォトダイナミックセラピーを用いた治療,Nd:YAGレーザーによる治療報告がなされ,良好な結果が得られている.しかし,レーザーの照射条件や照射回数,有効性の判定などが施設や論文によって一定でなく,いまだエビデンスレベルとして確立しているとはいえない.また,Nd:YAGレーザーと外用抗真菌薬の併用では,それぞれの単独療法とくらべて効果が高くなるとの報告もある.今後,爪白癬に対するレーザー治療の有効性や外用抗真菌薬との併用による治療効果の増強,治療期間の短縮の可能性について,確かな臨床的知見が得られることを期待したい.
著者
高橋 英雄 高橋 広志 高橋 容子 鎗田 響子 猪股 智夫 佐野 文子 西村 和子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.152, 2005

2005 年 9 月 1 日より輸入動物の検疫体制が整う予定であるが,すでに輸入された動物が保菌している病原体は世代を超えて感染が広がっている.今回,国内の動物園で繁殖し飼育されている 5 ヶ月齢のカナダヤマアラシに <I>Arthroderma benhamiae</I> による脱毛が発症した.同居している母個体はカナダ,父個体はアメリカ合衆国から輸入されたもので,無症状であったが,同菌種を保菌していた.分離菌株は当該獣より 4 株,母獣より 5 株,父獣より 2 株分離され,いずれも形態,rRNA 遺伝子の ITS 領域の配列,<I>A. benhamiae</I> Americano-European race との交配成立から同種と同定した.11 株のうち 42℃ で生育可能であった株は母由来 1 株,ITS 領域の配列は母由来 2 種,他は 1 種で GenBank 登録配列とは一致せず,RAPD バンドパターンも複数種確認した.この家族内感染は国内未確認の遺伝子型をした <I>A. benhamiae</I> 複数株によるものであった.なお,同動物園ではふれあい動物園を併設していることから,飼育しているげっ歯目および食虫目動物 33 頭について皮毛を培養したが,本菌種は分離されなかった.<I>A. benhamiae</I> によるヒト感染は命に関わる疾患ではないが,この家族内保菌・感染はすでに輸入された個体が我が国に無い病原体を保持し,それを次世代に伝播している一例である.他の真菌,原虫,細菌,ウイルスによる感染症も同様な状況が推測されるため,人と動物の共通感染症の予防にはすでに輸入された動物にも細心の注意が必要である.
著者
豊留 孝仁
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.J149-J154, 2016 (Released:2016-11-29)
参考文献数
40
被引用文献数
1 2

アスペルギルス症は深在性真菌感染症の重要な位置を占めている.アスペルギルス症の原因真菌はAspergillus fumigatusが最も重要であるが,そのほかにもAspergillus flavusやAspergillus niger, Aspergillus terreusなども重要な原因菌種である.また,近年になって隠蔽種と呼ばれる各Aspergillus sectionの代表的な種に非常によく似た菌種の存在が認識され,一部のアスペルギルス症の原因となっていることも分かってきた.最近の研究で,それらの菌種間では抗真菌薬に対する感受性や二次代謝産物の産生プロファイル (エクソメタボローム) が異なることも明らかとなってきた.一方,治療中のA. fumigatusアゾール耐性化や近年の欧州を中心とした環境中アゾール耐性A. fumigatusの出現も報告され,これら菌種を正確に同定し,加えて感受性を評価することの重要性が高まってきている.本総説ではA. fumigatusを含めたアスペルギルス症原因菌種,特に隠蔽種について触れ,エクソメタボローム解析を利用した同定の可能性を述べる.加えて,A. fumigatusアゾール系抗真菌薬耐性について最近の報告を交えて概説したい.

1 0 0 0 OA 爪白癬

著者
原田 敬之
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.77-95, 2011 (Released:2011-06-20)
参考文献数
236
被引用文献数
7 8

爪白癬は長年治療に難渋する疾患の1つであったが,1990年代に入ってわが国においてもイトラコナゾール,テルビナフィンといった新しい経口抗真菌薬が使用できるようになった.その優れた有効性,安全性から積極的に治療することが可能となり,改めて爪白癬の病態,診断,治療などについて脚光を浴びている.爪白癬はわが国の人口の約10%に罹患者が存在し,特に高齢者ではさらに頻度が高い.今後高齢化社会が益々進むにつれて爪白癬を有しているために肉体的ならびに精神社会的な負担を生じ,老後のQOLを大いに損ねる危険性も予想される.また,爪白癬の病巣が他の病型の白癬や他人に白癬を感染させる感染源となりうる.治療に当たって爪白癬の確定診断を行うことが必須であることはいうまでもないが,単に画一的に内服療法を行うのではなく,外用療法,局所療法を駆使して症例ごとに最良の治療法を探求・選択することが最も重要である.爪白癬に関して今までに優れた成書や総説を始め論文は極めて数多く出版されているが,今回はわが国の実情も踏まえていま一度概説したい.
著者
時松 一成 辛島 礼子 山形 英司 山上 由理子 永井 寛之 門田 淳一 那須 勝
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.181-186, 2003
被引用文献数
1 10

<i>Trichosporon</i>属は易感染性宿主に発症する致死的な日和見感染症の起炎真菌の一つとして注目されている.深在性トリコスポロン症を惹起する菌種は最近の分離学的な再考の結果<i>T. asahii, T. mucoides</i>とされた.大分医科大学第二内科において過去20年間に13例の深在性トリコスポロン症を経験した.本症は抗癌化学療法を施行された血液悪性疾患患者において白血球の減少期に発症,重篤な臨床経過をとることが多い.我々は<i>T. asahii</i>と<i>T. mucoides</i>に特異性を認めるPCRプライマーを設定し,トリコスポロン症患者の保存血清を用いてPCR法を検討した結果,患者の血清中から<i>Trichosporon</i>のDNAが高率に,しかも血液培養陽性になる数日から数週前から検出されることを明らかにした.またマウスモデルにおける治療研究ではコロニー刺激因子(G-CSF)とフルコナゾールの併用療法が最も効果的であった.さらに新たなマウスモデルでの検討では,血液培養陰性にもかかわらず血清PCRが陽性を示す潜在的トリコスポロン血症ともいうべき状態が存在することが明らかになった.この時期における早期治療開始が深在性トリコスポロン症の感染制御には重要であると思われる.
著者
羽山 和美 石島 早苗 小野 佳子 出雲 貴幸 井田 正幸 柴田 浩志 安部 茂
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.J123-J129, 2014 (Released:2014-09-18)
参考文献数
17
被引用文献数
6 8

Lactobacillus pentosus S-PT84加熱死菌体(以下,S-PT84死菌細胞)の,カンジダ増殖に対する影響をin vitroおよびin vivoで検討した.C. albicansに各濃度のS-PT84死菌細胞を添加し培養したところ,S-PT84死菌細胞は2 mg/mlの添加濃度でC. albicansの菌糸形発育を著しく阻害し,残存した菌糸にはS-PT84死菌細胞と思われる粒形が付着している像が観察された.次に,本菌の口腔および胃内C. albicans感染モデルマウスにおける感染防御効果を検討した.その結果,S-PT84死菌細胞は2 mg × 3 回の口腔内投与で口腔カンジダ感染モデルマウスの舌症状を有意に改善し,口腔カンジダ症の治療に有効性を発揮する可能性を示した.さらに,C. albicansの胃内増殖に対する効果として,少なくともS-PT84死菌細胞を 0.5 mg口腔内+ 2 mg胃内× 3 回投与することで,胃内C. albicans生菌数が有意に低下することが明らかとなった. S-PT84死菌細胞はすでに機能性食品素材として使用されていることから,粘膜カンジダ症,特に消化管カンジダ症に対する補完代替医療として使用できる可能性が示唆された.

1 0 0 0 OA 外用薬

著者
五十棲 健
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.269-278, 2013 (Released:2013-08-30)
参考文献数
21
著者
常深 祐一郎
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-2, 2013 (Released:2013-03-08)
参考文献数
1
著者
青木 孝弘 岡 慎一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.13-17, 2012 (Released:2012-03-30)
参考文献数
25
被引用文献数
2
著者
笠井 達也
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.5-9, 2006 (Released:2007-07-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

国立仙台病院皮膚科に於ける1968年以降30年間の皮膚真菌症の集計をもとにして, 皮膚真菌症の推移を検討した. 本統計の詳細は既に報告してあるので, ここでは経時的な推移に主眼をおいて論じた. 皮膚真菌症全体としては1970年代前半に急増後はほぼ平均した値が維持されているが, 病型別に見ると, 足白癬と爪白癬は増加, 体部白癬と股部白癬は減少傾向が顕著である. 手白癬は比較的変動が少なく, 少しずつ減少, 頭部白癬も全体としては少数ながら, 期間の中期にやや増加した後, 後期には減少傾向にある. 年齢分布の推移を見ると, 足白癬, 爪白癬では分布のピークが5年毎に5歳ずつ高齢側に移動すると共に, 分布曲線の山が広くなだらかとなり, 若年層の罹患の減少傾向を見る. 股部白癬では当初の若年層の山が後半全く消失して, 高齢側の低く広い分布に変わっている. 体部白癬でも同様の傾向が見られる. 皮膚カンジダ症は乳児寄生菌性紅斑の急増に伴い1970年代前半に顕著に増加した後, 急減. カンジダ性間擦疹も同時に増加後は, 余り減らないままに推移している. カンジダ性爪囲爪炎と指間びらんは女性に圧倒的に多いが, 近年やや減少傾向にある. 非定型疹も減少している. 癜風は終始ほぼ変動がない. スポロトリコーシスは20例, 深在性の皮膚アスペルギルス症と黒色真菌症は各1例観察された.
著者
清 佳浩 小林 めぐみ 早出 恵里
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.229-237, 2011 (Released:2011-08-31)
参考文献数
14
被引用文献数
2 3

フケ症を対象に,ミコナゾール硝酸塩配合シャンプー(COF)にミコナゾール硝酸塩配合リンス(COFRM)を併用した際のCOFRMの有用性について,リンス基剤(COFR)併用群を対照とした二重盲検比較試験により検討した.その結果,両群間で有効性に差はみられなかったが,いずれの群でも約80%の症例で改善効果が認められた.また,瘙痒については,試験開始2週後で統計学的有意差は認められなかったが,COFR併用群に比べCOFRM併用群の方が高い改善率を示した.また洗髪頻度によって効果に違いがみられたCOFR併用群に対し,COFRM併用群は洗髪頻度に依らず効果がほぼ同等であったことが示された.この事からシャンプーのみならずリンスにもミコナゾール硝酸塩を配合することにより,洗髪間隔に係わらず有効濃度が維持され,その結果Malassezia属真菌の増殖を妨げ,より確実かつ早期に効果が現れるものと考えた. 以上のことから,COFRMはCOFと併用することで,短期間で効果を実感でき,その結果患者のコンプライアンス向上に寄与する有用なリンス剤であると考えられた.
著者
荒谷 康昭 三浦 典子 大野 尚仁 鈴木 和男
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.123-128, 2012 (Released:2012-06-25)
参考文献数
9
被引用文献数
8 11

感染によって活性化された好中球は,活性酸素を放出して殺菌に寄与する. ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は好中球のみに存在し,過酸化水素と塩化物イオンから次亜塩素酸が産生される反応を触媒する. MPOのノックアウト(MPO-KO)マウスが,Candida albicans, Aspergillus fumigatus, Cryptococcus neoformans の肺感染に対して極度の易感染性示す筆者らの以前の報告からも,生体防御における好中球由来の活性酸素の重要性が理解できる. 一方,興味深いことに,炎症誘発剤として頻繁に使われているザイモザンをMPO-KOマウスに経鼻投与しても,生菌感染時と類似した重篤な好中球性の肺炎を発症することを筆者らは見いだした. その発症機構を解析した結果,MPO-KO好中球は野生型好中球よりも,MIP-2を過剰分泌することが判明し,このことが,MPO-KOマウスの肺炎が野生型マウスよりも重篤化する一因であることが示された. 以上のことより,MPOの欠損は,単に感染防御能の低下を導くだけでなく,組織の炎症を助長する可能性もあることが強く示唆された.