著者
植村 恒三郎
出版者
日本森林学会
雑誌
林學會雑誌 (ISSN:21858187)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.293-308, 1931-05-10 (Released:2009-02-13)
参考文献数
4
著者
水谷 瑞希 中島 春樹 小谷 二郎 野上 達也 多田 雅充
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.76-82, 2013
被引用文献数
8

富山県, 石川県および福井県における, 2005年から2011年までの7年間の豊凶モニタリング調査の結果を用いて, 北陸地域におけるブナ科樹木の豊凶とツキノワグマの人里への出没との関係について検討した。北陸3県ではいずれも, 高標高域に分布するブナとミズナラの県全体の結実状況に大きな年変動があり, とくに北陸地域でクマ大量出没が発生した2006年と2010年には, 極端な結実不良となっていた。低標高域に分布するコナラでは県全体の結実状況の年変動は小さく, 極端な結実不良の年はなかった。このことから北陸地域では, ブナとミズナラの結実不良が広域的に同調して発生したことに起因する山地の餌不足が, クマ大量出没の引き金になっていたと推察された。クマ大量出没に影響するこれら「鍵植物」の豊凶は, 県をまたがる広い地域で同調していた。このことから現在各地で実施されている豊凶モニタリング調査を, 相互に比較可能な方法で連携して実施すれば, 効果的な豊凶把握やクマ大量出没の予測精度の向上に役立つと考えられる。
著者
久留 景吾 恩田 裕一 河守 歩 加藤 弘亮
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.267-274, 2013-10-01 (Released:2013-11-13)
参考文献数
13
被引用文献数
9 23

福島第一原子力発電所の事故により放射性物質が降下した福島県内の林相の異なる森林3地点を対象に, 樹冠から林床へ降下するリターを通じた放射性セシウムの移行の特徴を明らかにした。事故後4カ月目から11カ月間, 定期的にリターの134Csおよび137Csの放射能濃度を測定し, 降下量の解析を行った。リターの放射能濃度は総じて落葉広葉樹-アカマツ混交林よりもスギ人工林で高い値を示したのは, 事故発生時に広葉樹が落葉していたために, 飛散した放射性セシウムの多くが広葉樹の樹冠を通過して林床へ降下した結果と考えられる。一方, スギ人工林ではリターに伴う放射性セシウム降下量の累積値が大きく上昇し続けており, 調査終了時でも樹冠に放射性セシウムが相当量残存していることが確認された。2011年10月以降各林分でのリターの放射能濃度が概ね横ばいに推移する中, 放射性セシウム降下量は樹冠からのリター降下量に大きく影響されていることが明らかとなった。今後は降下するリターに加え, 樹冠における生葉の鉛直分布や林床でのリターの平面分布, 林内雨や樹幹流などを含めて総合的に放射性セシウムの移行機構を解明していく必要がある。
著者
五名 美江 蔵治 光一郎
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.214-222, 2012-10-01 (Released:2012-11-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

本研究は東京大学演習林生態水文学研究所穴の宮試験流域を対象とし, 単独流域法を適用して, ハゲ山に砂防植栽を施して森林再生を開始した期間 (前期: 1935∼1946年) と, それから65年が経過して森林に被覆され, 土壌が回復途上にある期間 (後期: 2000∼2011年) で, 森林の洪水緩和機能の指標の一つである降雨量と直接流出量との関係の違いを定量的に明らかにすることを目的とした。その結果, 後期と比べて前期の方が, 同じ降雨量に対して推定直接流出量が大きく, その差は, 200, 300, 400 mmの降雨量の降雨に対してそれぞれ16.0, 25.8, 33.5 mmと推定された。前期と後期の差は, 初期水分条件が乾燥の場合や, 最大降雨強度が大きい場合により明瞭に現れた。例えば, 初期水分条件が乾燥の場合, 後期と比べて前期は, 200, 300, 400 mmの降雨に対して推定直接流出量がそれぞれ19.1, 29.1, 36.6 mm大きく, 最大降雨強度が大きい場合, 後期と比べて前期は, 200, 300, 400 mmの降雨に対して推定直接流出量がそれぞれ36.3, 56.7, 71.3 mm大きかった。一方, 土壌が湿潤な場合および最大降雨強度が小さい場合は, 両者の差は小さかった。
著者
鳥田 宏行 武田 一夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.39-44, 2007 (Released:2008-07-10)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

森林の雨氷害を軽減する知見を得るため,2004年2月に北海道日高町で発生した雨氷害の調査データを解析したところ,直径階ごとの本数被害率の分布形状は,大きく五つのタイプ((1)中庸木に被害が多い,(2)劣勢木に被害が多い,(3)優勢木に被害が多い,(4)立木のサイズに関係なく被害率の変動が激しい,(5)直径階の大小に関わりなく被害率が一定)に分類された。分布形状に差異がみられるのは,風や着氷量などの気象因子が少なからず影響したためだと推察される。また,密度管理図上で軽害林分と激害林分間の判別分析を行った結果,的中率は75%であった。判別分析で得られた判別式と収量比数0.9線を用いて安全域と危険域の境界線を描き,被害軽減が期待できる範囲を密度管理図上に示した。次に,林分平均樹高との限界形状比の関係をロジスチック式で近似して限界形状比曲線を求めたところ,生育段階で限界形状比は異なることが示された。これらの結果は,森林の雨氷害を軽減するためには,植栽密度に沿った適切な間伐が重要であることを示唆している。
著者
正木 隆 森 茂太 梶本 卓也 相澤 州平 池田 重人 八木橋 勉 柴田 銃江 櫃間 岳
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.48-57, 2011
被引用文献数
1 3

林冠の閉鎖した94年生アカマツ人工林において, 間伐後8年間の個体の成長経過を同齢の無間伐林, 140年生天然アカマツ林と比較しつつ, 成長が改善されたか否か, 成長変化と相関する因子は何か, この人工林を天然アカマツ林のような大径木を含む林型に誘導できるか否か, を検討した。サイズは天然林 (DBH=68 cm, <I>H</I>=30∼35 m) の方が人工林 (DBH=41 cm, <I>H</I>=25∼30 m) よりも高い値を示した。形状比は人工林で50∼80, 天然林で40∼70だった。樹冠長率は人工林0.2∼0.4に対し, 天然林では0.25∼0.5だった。間伐により人工林の約4割の個体の成長が0.1 cm yr<SUP>−1</SUP>改善されたが, 無間伐林では逆に8割の個体の成長が低下した。個体の成長の改善度は, 隣接個体との競合環境の変化や, 樹冠長率など個体の着葉量の指標と連関していなかった。この人工林が140年生時に天然林のような大径木を含む林型に達するには, 今回観測された成長の改善では不十分である可能性が高いと考えられた。
著者
江崎 功二郎
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 = Journal of the Japanese Forest Society (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.391-396, 2008-12-01
被引用文献数
3 4

コナラ林およびミズナラ林においてフェニトロチオン乳剤(以下, MEP)をカシノナガキクイムシ成虫の発生前に1回, 地上から6mまで樹幹散布した。コナラ林の成虫発生密度は, ミズナラ林より5倍以上高かった。コナラ林において, イニシャルアタック防止率は散布後1∼3週間は100%であったが, 散布5週間後には50%に低下した。さらに, イニシャルアタック防止効果を示す未穿入木での♂捕獲数7頭以上は22回出現し, 20回は散布1∼5週間後に集中していた。また, マスアタック防止効果もこの期間示された。ミズナラ林において, イニシャルアタック防止率は散布5∼7週後まで100%であったが, それ以降は約80%に低下した。コナラ林において薬剤散布高までの穿入密度は無処理木より低く, 地上高0.5∼1.5 mの範囲で最も差が大きかった。これらのことより, MEPの樹幹散布はカシノナガキクイムシの穿入防止に有効で, MEPを1回散布すると, 3週間以上にわたり高い穿入防止効果を維持できることが明らかになった。
著者
小島 康夫 安井 洋介 折橋 健 寺沢 実 鴨田 重裕 笠原 久臣 高橋 康夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.337-341, 2006-10-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
38
被引用文献数
3 4

東京大学北海道演習林では, 積雪期にエゾシカによる激しい樹皮剥ぎが発生し, おもに小径の樹幹が剥皮される。この演習林では, イタヤカエデ, イチイ, イヌエンジュ, ウダイカンバ, エゾマツ, オヒョウ, シウリザクラ, シラカンバ, ハリギリ, ハルニレ, ミズナラ, ヤチダモが森林施業や保全の上で重要である。われわれは, これら12樹種小径樹幹の内樹皮成分を分析し, 各成分とエゾシカの樹皮嗜好性との関連を検討した。エゾシカはイヌエンジュに対して低嗜好性を示したが, この樹種はアルカロイドを含む唯一の種であった。他の11樹種に関しては, エゾシカの樹皮嗜好性に対して灰分含有割合が正の, 酸性ディタージェントリグニン含有割合が負の関係をそれぞれ示した。
著者
片井 秀幸 高橋 誠 平岡 宏一 山田 晋也 山本 茂弘 加藤 公彦 袴田 哲司 戸丸 信弘
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.73-78, 2011 (Released:2011-06-22)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

静岡県のブナ集団の遺伝的系統を推定するため, まずブナの分布域全体にわたる55集団を用いて葉緑体DNA (cpDNA) ハプロタイプの地理的分布を調べた。調査した集団にはハプロタイプD, EおよびFの3種類が存在し, 中部地方の太平洋側に分布するDとEが大部分を占めていた。次にブナの分布域および明らかとなったハプロタイプの地理的分布にもとづいて6集団を選定し, 核マイクロサテライト (nSSR) により遺伝的多様性を調査した。nSSR座の対立遺伝子頻度から計算された集団間のDA距離にもとづいた無根近隣結合樹から, 調査した集団は全て太平洋側の系統群に属し, 地理的な位置関係と一致することが明らかとなった。nSSR座の対立遺伝子頻度は集団間でほぼ均一であったが, cp DNAハプロタイプの地理的分布には構造が認められた。この差異はcpDNAと核DNAの遺伝様式に起因する遺伝子流動率の違いを反映していると考えられる。