著者
岩佐 光啓
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.33-39, 1998
被引用文献数
5

日本産チーズバエ科(Family Piophilidae)のハエについては, 福原(1965)が2種, Piophila casei (Linnaeus)チーズバエおよびProtopiophila latipes (Meigen)チビチーズバエを記録して以来, 分類学的研究はなされていなかった。本報告では, いままで記録されていた2種に加えて次の日本新記録3種を見出した;Protopiophila contecta (Walker)ミナミチーズバエ(新称), Liopiophila varipes (Meigen)ケブカチーズバエ(新称), Stearibia nigriceps (Meigen)クロチーズバエ(新称)。これにより日本産の種は5種となり, これらの種の特徴を示した図とともに再記載を行い, 検索表を付した。本科の成虫は, 野外で腐肉によく集まり, 幼虫は, 人を含む動物の死骸, 骨(骨髄)を好む死肉・腐肉食性の種が多い。とくにPiophila casei (Linnaeus)チーズバエは, 人類親和性で, 肉製品, 魚, チーズ, 毛皮などに発生することが知られている。
著者
松瀬 イネス倶子 武田 カチア美知枝 上村 清 吉田 政弘
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.117-122, 1997
参考文献数
6
被引用文献数
5 8

セアカゴケグモは1995年9月に大阪府の高石市で発見され, 大阪湾沿岸地帯, 三重県四日市市などでも生息が確認された。また1996年3月上旬の現地調査ではセアカゴケグモの越冬が確認され, 春夏秋冬のいずれの調査において成成虫, 若虫, 卵嚢のいずれもが採集できた。採集したクモと卵嚢は研究室に持ち帰り, 25℃, 60% RH, 14時間照明で, 50ml容量のガラス瓶内で, ショウジョウバエを餌とし, 個別飼育を行った。その内, 卵嚢より脱出した若虫を用いて, セアカゴケグモが寒冷期に, 冬期と同様の低温条件下の飼育によって生存できるかどうかを検討した。その結果, 5℃においては最長47日間生存し, 10℃及び15℃ではそれぞれ175及び270日生存した。この間の発育零点は15℃前後であった。セアカゴケグモを含むゴケグモ類が日本に分布していなかった主因は気温によるものと推定されているが, 飼育実験の結果, セアカゴケグモは日本に定着し, さらにより広範囲に広がる可能性があることが示唆された。
著者
高岡 宏行
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.55-80, 2002
参考文献数
32
被引用文献数
2

This paper reviews taxonomical and ecological aspects of the black flies (Diptera : Simuliidae) of the Nansei Islands in Japan : All the 18 taxa so far reported are assigned in the genus Simulium Latreille s. l., and are further placed into five subgenera, i.e., Eusimulium Roubaud (1 sp.), Nevermannia Enderlein (4 spp. and 1 subsp.), Wallacellum Takaoka (1 sp.), Gomphostilbia Enderlein (3 spp.) and Simulium Latreille s. str. (8 spp.); a brief description is given for each subgenus and included species, and keys to the species for females, males, pupae and larvae are provided, together with figures of pupal gills, cocoons and larval head-capsules; data on geographical distribution are updated for each species; the possible role as a vector of zoonotic onchocerciasis is briefly discussed for some mammalophilic black-fly species; and larval preference of each species for aquatic habitats is roughly classified by the types of breeding streams. In addition, a detailed account is given on techniques for collection, preservation, slide preparation, and microscopic observation, of larval, pupal and adult stages of black flies.
著者
緒方 一喜 三原 実
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.262-267, 1962
被引用文献数
2 1

現在使用されているバタートラップは, 捕集能力がはなはだ低いので, この改良のための検討と, 規格化のための資料を得るため, チャバネゴキブリを対象に, 実験装置内で実験を行つた. 0.15m^3の金属缶内に, 16箇の腰高シャーレを用い, 4種の試料を組合わせて, 4×4のラテン方格による配置で, 誘引餌の効力比較を行つた. 50種の試料について23種の組合わせを行い, 延47回の比較実験を行つた結果, 米ヌカ, ヒエ, 某社製毒餌剤が他に比べて捕集力が高い傾向がみられた.トラップ容器の形態の検討として, 腰高シャーレと, 3種のプラスチック容器を比較したが, 腰高シャーレが最もよく集めた.トラップの内壁には, マーガリンを上半部に塗つた場合が, ワセリンよりも, そして, 下半部に塗つた場合より多くの虫を捕集した.トラップの外壁には, 何も巻かないより, そして新聞紙やばんそうこうを巻くより濾紙を巻いた方が多く虫を集めた.濾紙は, 新品よりも, 5%白砂糖液に浸したものが多く虫を集めた.以上の結果から, チャバネゴキブリに対しては, 腰高シャーレを用い, 内壁上半部にマーガリンを塗り, 外壁には砂糖水に浸して風乾した濾紙を巻いたものが, 最も捕集力が高いものと考えた.なお, 深さ6cm, 口径9cmの大きさで, 少くとも, チャバネゴキブリ雌成虫200匹までは脱出逃亡させないで捕集できる.
著者
栗原 毅
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.1-28, 2002
被引用文献数
2 4

The present paper will describe guidelines for a malaria vector survey by public health personnel engaged in entomological work. The history of the past 100 years of taxonomic studies on Anophelini mosquitoes in Palearctic Japan is reviewed. Among the mosquitoes recorded in the area, Anopheles sinensis was considered the main vector. However no survey designed to systematically assess the presence and abundance of malaria vectors has been carried out since malaria transmission was interrupted in the Islands. There is uncertainty about many aspects of a suspected vector Anopheles lesteri, particularly its distribution. It is recommended that an occasional survey should be carried out in this region considering the possible reintroduction of malaria to the Islands.
著者
津田 良夫 助廣 那由 梅澤 昌弘 稲垣 俊一 村上 隆行 木田 中 土屋 英俊 丸山 浩 沢辺 京子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.209-214, 2013-12-25 (Released:2014-06-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

Experiments exposing Aedes aegypti to winter conditions were conducted at Narita International Airport, Japan during December 2012 to March 2013 to evaluate the possible overwintering of the species. Four and 2 study sites were selected inside and outside the terminal buildings, respectively, and air temperature and relative humidity were recorded hourly at each site. Eggs were placed for 91 or 63 days at each study site, respectively, and the hatching rate and adult emergence rate were examined in March 2013. Under outdoor conditions (daily average of 5.2°C and 57.3%R.H.), 6% of the exposed eggs hatched but no adults emerged. Eggs exposed to indoor conditions (daily average of 14.3–19.4°C and 34.3–36.8%R.H.) showed 2 to 8% adult emergence. Exposure experiments using larvae were conducted for 1 week every month, and their development and survival rate were observed. Under outdoor conditions in January and February 2013, all the exposed larvae died within a week. Larvae placed inside the terminal building developed well and the threshold temperature for larval development was estimated as 10.6°C and 11.6°C for hatched larvae and 4-day-old larvae, respectively.
著者
渡部 泰弘 田原 雄一郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.1-8, 2010
被引用文献数
3 1

Lethality and repellency of emulsifiable concentrates (EC) or microencapsulated concentrates (MC) of fenitrothion, diazinon, propetamphos and chlorpyrifos-methyl were examined with 12 separate colonies of the German cockroach, Blattella germanica. Field colony individuals were collected from 5 different restaurants situated on the 7th floor of a building in Koto-ku, and 7 restaurants located on the 5th floor of another building in Meguro-ku, Tokyo, Japan. Adult male progeny of each colony were released into a container with insecticide-treated harborage surfaces. All colonies, except for the one from the Italian restaurant in Koto-ku, showed low levels of susceptibility to fenitrothion EC and MC, diazinon EC and MC, chlorpyrifos-methyl EC and propetamphos EC. However, the levels of lethality against colonies varied even though they originated from the same floor of a building. The poor efficacy of the test insecticides was probably a result of long-term use of these compounds in this area of building. Various susceptibilities among colonies indicate that the German cockroach does not frequently hybridize between restaurants even located on the same floor of a building. Propetamphos MC was the most effective against all exposed colonies, followed by fenitrothion MC and diazinon MC. Changes in behavior toward insecticides and insecticide resistance in the EC formulations may cause low mortalities in cockroaches. The test colonies showed two different types of low susceptibilities, one due to high aversion to the test formulations and another due to insecticide resistance.
著者
松沢 寛 北原 洋生
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.232-235, 1966
被引用文献数
3 3

ヒトスジシマカの生態, とくに, その産卵, 発育, 成虫の生存期間等を調査研究し(1965), 次のような成績をえた. 1) 野外から採集した吸血ずみの雌蚊は, 25℃で80%ぐらいまで, 正常に産卵した.これらは, 捕獲後3〜5日間に, 全卵の80%まで産卵した. 2) 1雌成虫あたりの平均産卵数は, 25℃の温度のもとで, 80個内外であつた. 3) 各ステイジの発育所要日数は, 20℃では, 卵8.1日, 幼虫10.2日, さなぎ5.9日計24.3日, 25℃では卵3.8日, 幼虫7.5日, さなぎ2.4日, 計13.7日となり, 30℃では, 卵3.8日, 幼虫5.9日, さなぎ2.3日計12.0日であつた.これらの成績から, 本種の発育零点は, 卵10°〜11℃幼虫9℃, さなぎ11.5°〜13.5℃, 全体を通すと9°〜10℃と推定された. 4) 成虫の25℃における生存日数は, 雌より雄の方が多少短かかつた.水のみを給与した場合は, 概して6〜7日, 砂糖水(20%)を給与した場合は, 21〜26日であつた.しかし, 飼育容器が適当であれば, いつそう生存日数が長びくものと思われる.
著者
千種 雄一 篠永 哲 国吉 徹 桐木 雅史 松田 肇
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.243-246, 2005
被引用文献数
3 4

総合病院の看護師が6月6日の午後6時に配達された鮭弁当を, 翌朝の5時に摂食した.摂食時に鮭の裏側にハエ幼虫が多数付着している事に気付き, 摂食を中止した.何匹かの幼虫は摂取されたと思われるが, その後数日間に消化器症状等は出現しなかった.寄生していたハエ幼虫はヒロズキンバエの2齢幼虫と同定された.一般に広く利用されている弁当の食材にハエ幼虫の寄生をみる事があり, 消化器ハエ症を惹起する可能性も否定出来ない事を指摘した.
著者
西田 弘平 中山 太門
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.187-190, 1958

八丈島のマムシ咬症について, 町立診療所のカルテ及びこれにもとづく面接調査によつてその疫学相をしらべた.1.八丈島はマムシの濃厚な発生地として有名で, 咬症患者も比較的多く, 我々が知りえた患者だけでも1952年から1957年の6年間に60名, 年平均10名, 人口千人に対し年間約1名の割合であつた.2.患者は男子41, 女子19で, 圧倒的に男に多く, 年齢別には11〜20歳の24名が最高であるが, 女子では51〜60歳の9名が多いことが注目された.これは野外性病害動物による疾患の疫学的特徴を示すものと解される.3.受傷場所は草むら, 耕地25例(41.7%), 山林21例(35.0%), 通行中11例(18.3%)が多く, ハブ咬症と異つて屋内の受咬例はみられなかつた.受傷時刻は早朝や日没時に多いようであつた.4.受傷部位は手27例(50.0%), 足26例(48.2%), 下腿1(1.8%)で, ほとんど全例が手足に限られ, 上膊, 大腿, 躯幹にはみられないことがハブ咬症と異り, マムシがハブよりずつと小型で, その攻撃姿勢も低いことに起因する差異と推定された.5.季節的には明らかに夏型で, 11〜3月に患者がみられず, 最高は7月の15例(25.0%)で, 最盛夏の8月には11例で9月の13例よりも少なかつた.この面でも奄美大島のハブ咬症の発生状況と近似している.6.治癒日数は蛇毒血清を使用した者は経過よく, 26例中23例(88.5%)が5日以内に治癒した.血清を使用しないものは20例(58.8%)が6〜10日で治癒し, 残りは11〜112日を要している.7.以上の疫学相を恙虫病のそれと比較すると, 季節分布, 地域分布, 年齢, 性別罹患状況などの点で新潟型恙虫病と近似し, 同じ八丈島の七島型恙虫病とは, これらの諸面で著しい相違があることが注目された.
著者
辻 英明 種池 与一郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.19-25, 1988
被引用文献数
2

昆虫脱皮阻害物質のジフルベンズロン(デミリン[○!R])によるゴキブリ防除の可能性を評価するために室内実験を行った。25%水和剤を水でうすめた20ppm液に浸し乾燥させたろ紙を休息場所とすると, チャバネゴキブリ1齢幼虫は脱皮異常を起こし100%死亡した。一方, 実験動物用粉末飼料に100ppm相当混合して与えても100%の死亡率は得られなかった。休息場所処理の効果は, ワモンゴキブリ1齢幼虫, チャバネゴキブリ終齢幼虫でも示された。チャバネゴキブリ終齢幼虫に対し, 1頭あたり2.5μgのトピカルアプリケーションで♂76%, ♀62%が死亡した。26℃で経過させたワモンゴキブリの1齢幼虫では脱皮4日前, チャバネゴキブリ終齢幼虫では脱皮3∿6日前が最も感受性が高く, その時期に処理ろ紙を1日与えるだけで後日100%の死亡が起こった。成虫は500ppm液によるろ紙処理でも死亡せず, 卵鞘の生成も阻害されなかったが, その卵鞘からは幼虫がふ化しなかった。経済性次第で本化合物の利用検討が考えられる。
著者
佐々 学 西野 麻知子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.317-322, 1996
被引用文献数
3

琵琶湖に発生するユスリカ科Chironomidaeの昆虫については既に佐々, 河合(1987)の年間にわたる調査, および佐々, 西野(1995)の冬期における調査が報告されているが, 今回は年間において最も寒い時期における1995年2月8日の昼間に琵琶湖の南湖の岸2カ所と北湖の岸3カ所で, 捕虫網と吸虫管を用いユスリカの成虫を採集し, かつ湖岸の水面に浮かんでいる成虫, 蛹を拾いあげて, ガムクローラル封入標本として同定を行った。合計して76個体の雄標本が得られ, それらはBiwatendipes motoharui Tokunagaが60,Hydrobaenus biwaquartus Sasa et Kawaiが5,Orthocladius biwaniger Sasa et Kawaiが1,Smittia aterrima (Meigen)が3,Smittia nudipennis (Goetghebuer)が3の既知種に加えて, 今回Biwatendipes biwamosaicus sp. nov。と命名した雄が3個体, およびHydrobaenus biwagrandis sp. nov.と命名した雄が1個体であった。ここに両新種の雄の記載を行った。前者はハネや脚の構造はBiwatendipes属の特徴に一致するが, 触角の構造はユスリカの雌のそれに似た極めて特異な形態を示し, かつハネが異常に幅広い。後者は日本産の本属のうち特にH. togaundecimus (Sasa et Okazawa)に近い形態を示しているが, それより体がはるかに大きく, ARやP/Hの値が大で, SO, CL, PN, などの毛の数も2倍以上, かつ生殖器の形態にも差があって, 明らかに別種とみなされる。
著者
前川 芳秀 津田 良夫 沢辺 京子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-12, 2016-03-25 (Released:2016-09-25)
参考文献数
41
被引用文献数
7 12

A nationwide survey of mosquito distribution in Japan was carried out in 2013 and 2014, in order to determine the current distribution of vector mosquitoes. Forty-two study sites located either in coastal or inland areas were selected from Hokkaido to Kyushu, and mosquitos were collected using CDC-like traps with 1 kg of dry ice (dry ice traps), a sweeping net and a dipper for collecting larvae. Ten dry ice traps were operated at each study site for 3 or 4 days. Larvae were collected from various bodies of water and carried to the laboratory, where they were reared until adult for species identification. The locations of the trap and larval collection sites were recorded using GPS. A total of 16,608 mosquitoes of 44 species and 11 genera were collected in this study. Adult density ranged between 0.002 and 16.51 adults/trap night among the 34 species collected by the dry ice traps. The geographical and altitudinal distributions of the mosquito species were compared. Culex tritaeniorhynchus, Cx. pipiens group, Aedes albopictus, and Cx. orientalis were distributed widely and with a relatively high density of >2 adults/trap night, suggesting that these species are of high medical importance. In Hokkaido Ae. excrucians, Culiseta nipponica, and Ae. punctor/communis were collected at relatively high densities ranging between 0.51 and 1.98 adults/trap night, and are thus considered a locally abundant species.
著者
佐々木 均 秦 和寿 野沢 森生 橋場 利雄
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.329-331, 2020-12-25 (Released:2020-12-17)
参考文献数
26

The role of zebra stripes is considered to be defensing from blood sucking by insects, such as tsetse flies and tabanid flies, those perform actively host-seeking flight. Aedes albopictus is opportunistically blood sucker, so, the reaction to zebra stripes may be different from such flies. Thus, we investigated the reaction of A. albopictus to the rugs of three color patterns, black, white, and zebra stripes. During the sunny days on August and September, 2019 with three different times in a day (morning, daytime, and evening), we counted the number of mosquitoes landed on the rugs on human decoy at a park in Tokyo. Significant difference (p<0.05) was found in the total number of mosquitoes landed on the three types of rugs, while no significant difference (p>0.05) was found in the numbers of mosquitoes landed on the rugs at each observation time. The number of A. albopictus which landed on the black-colored rug was two times more than that of a mosquito flying around the face of human decoy, while those on the rugs of white color and zebra stripes were a half and only 3% of those flying around the face of human decoy, respectively. The lured A. albopictus landed smoothly on the black rug, but the landings were not smooth on the zebra-striped rug. It was revealed that A. albopictus avoids zebra stripes as same as tsetse flies and tabanid flies.
著者
黒佐 和義
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.245-276, 1958-12-10 (Released:2016-09-04)
被引用文献数
8 8

1)線状皮膚炎を惹起する有毒甲虫, Paederus fuscipes Curtisアオバアリガタハネカクシの生活史・習性について野外観察並びに実験的調査を行い, また各期の外部形態を記載した.2)成虫は体長7mm内外で一見蟻のような形状を有する.蛹は体長4.5mm内外の裸蛹で, 全体乳白色乃至橙黄色を呈し, 前胸背の前縁部と後縁部及び第1, 3〜7腹節の側端に各1対の非常に長い剛毛状突起がある.第2齢(終齢)幼虫は体長4〜6mmで, 細長く, 白色乃至橙黄色を呈し, 第9腹節に1対の長い尾突起を具える.第1齢幼虫は体長2.2〜2.4mm.卵は殆ど球形で, 産下当初は淡黄白色で長径約1.1〜1.2mmであるが, 発育に伴つて急速に増大し, 色彩も黄褐色に変る.3)本種は本邦では北海道から九州迄全土に亘つて広く分布するが, 概して暖地に多産し, 水田・畑・池沼の周辺・川岸などに棲息する.成虫は地表及び雑草上で生活する.東京都の成増では成虫は4月下旬乃至5月中旬頃から10月下旬に亘つて灯火に飛来し, 6・7月頃にピークを形成するのが認められた.成虫の灯火飛来活動はいわゆる前半夜型に属し, 暗化後2時間半以内の飛来個体が1夜の総飛来数の過半に達した.4)交尾の際, 雄は雌の背上に乗り, 大腮で雌の前胸と中胸の間の縊れた部分をくわえる.卵は地表の土壌間隙に1個ずつ産下される.1頭の雌の総産卵数は18〜100個(平均約52.3個)であつた.越冬した雌は4月下旬乃至5月中旬から通常7月中・下旬迄産卵を行い, 6月上旬に羽化した成虫は7月から9月に亘つて産卵を行つた.5)卵期間は3〜19日で, 孵化率は96.2%であつた.幼虫期は僅か2齢からなる.第1齢及び第2齢の期間はそれぞれ約4〜22日及び7〜36日であつた.老熟した幼虫は浅い土中に蛹室を造り, 約2〜9日後蛹化する.蛹の期間は約3〜12日であつた.6)成虫は雑食性であるが, 特に食肉性の傾向が強く, 野外では種々の昆虫, ダニ, 土壌線虫などを捕食し, また植物のやや腐敗した部分などを食するのが見られた.幼虫の食性も成虫と同様であつて, 捕食性の傾向が強く, 実験室内では牛肉或いはキュウリの一片の何れを与えても飼育することが出来た.7)周年生活環は東京附近では不規則で1年3世代のものと2世代或いは1世代のものがある.越冬は常に成虫態で行われる.越冬の際多数の個体が集団を作ることがある.8)有毒物質は卵・幼虫・蛹・成虫の何れからも証明された.成虫では有毒物質は体液中に含まれており, 虫体が破壊されて体液が外へ洩れ出ない限り皮膚炎を起すことはないと考えられる.本邦に産するPaederus属のハネカクシ8種のうち, fuscipes, tamulus, poweri, parallelusの4種は有毒物質を含むことが判明したが, 線状皮膚炎の原因として実際に重要なのはアオバアリガタハネカクシ唯一種である.本邦に於いて筆者により明かにされた灯火飛来性を有する68種のハネカクシの内には皮膚塗擦試験で軽微な皮膚炎を惹起するものがあるが, アオバアリガタハネカクシ以外に線状皮膚炎の症状を呈するものはない.