著者
宮崎 朝子 志村 浩己 堀内 里枝子 岩村 洋子 志村 浩美 小林 哲郎 若林 哲也 田草川 正弘
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.789-797, 2011 (Released:2013-07-31)
参考文献数
18

目的:人間ドックにおいて甲状腺腫瘤の有所見率は非常に高く,臨床的に治療の必要がある腫瘤性病変を,的確にスクリーニングするためにはエビデンスに基づく基準が求められている.そのため,今回過去5年間にわたる当院の甲状腺超音波検査結果およびその推移について検討した.方法:2004年4月から2009年3月までの人間ドック受診者全例,21,856名に甲状腺超音波検査を実施した.結果:充実性腫瘤が4,978名(22.8%)に認められた.細胞診にてクラスIまたはII(B群)が165名,クラスIII(B/M群)が20名,クラスIVまたはV(M群)が57名であった.各群間で性差や精査時平均年齢,平均腫瘤径に有意差はなかった.平均腫瘤径の年間変化を検討したところ,B群では+0.2±0.3,B/M群では+0.8±0.5,M群では +1.3±0.5 mm/yearであり, M群ではB群と比較して有意差をもって増大傾向が認められた.また,M群では腫瘍径の縮小した症例は認めなかった.さらに,M群において腫瘍径が10 mm以下の場合,腫瘍増大はほとんどみられなかったが,11 mm以上では腫瘍増大傾向が認められた.結論:本研究より,超音波健診にて多数発見される甲状腺腫瘤に対する対応において,腫瘤径分類による方針決定とその後の経過観察の重要性が示唆された.
著者
羽生 京子 仲村 洋子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.11-26, 2004-03-31

わが国独自の和服は、着付けることによって衣服としての機能を果たす。着装後時間を経過することによって、動きに伴い着装直後と形状の変化つまり着崩れが生じる。この着崩れについて、前報に引き続いて究明したのが本研究である。前回の実験について疑問視された、いくつかの点について解決を計るために、今回も、3タイプ、つまりS・M・Lサイズの被験者について、標準寸法と割り出し法による仕立て上がり寸法を採用した試着衣を新たに作製し、着装実験を行った。試着衣の作製条件として、視覚的判断を考慮して実験に用いる浴衣地の図柄などを同一にすること、ある程度幅のある標準寸法を一律に定めること、一定の技術で縫製し均一に仕上げることなどについて配慮した。着装実験によって、前回とほぼ同様な結果を得ることが出来た。つまり、S・Mサイズについては、標準寸法を統一したことで着装スタイルの変化はあっても、着崩れ量の変動は少ないし、割り出し法においてのスタイル・着崩れ量も同程度と判断できた。Lサイズに関しては標準寸法での不足が一層明瞭になり、割り出し法によっても許容範囲ではあるが充分ではない。ただし、それによる着崩れは同程度であることを確認した。加えて、Lサイズについて、課題を解決する手掛かりとして、幅の広い浴衣地を準備し布幅の関係で、試みてない割り出しで算出した数値によって試着衣を作製し再実験を試みた。結果、着装スタイルはほぼ満足出来る形となったが、接合線位置つまり各身幅の比率について新たな課題が残される結果となった。
著者
河村 洋子 横田 康成 亀谷 謙 竹田 寛 松村 要
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.493, pp.45-52, 1999-12-11

自己が認識している性,つまり心理学的な性が身体的な性,つまり生物学的な性と異なる症例を性同一性障害と言う.こうした障害の診断やその患者に対する性別再判定手術(性転換手術)の適用の可否の決定には,複数の精神科医による患者との診断面接が基本的手段として用いられているのが現状であり,診断の確実性を向上させるため,心理学的な性を客観的かつ定量的手段により同定する手法の確立が急務とされている.古くから左右大脳半球を連結する脳梁の形状に性差があるといわれ,それが心理学的な性の同定に利用できると期待されてきたが,脳梁形状に有意な生物学的性差があることもいまだ明確にされていない.本稿では,脳梁形状をフーリェ記述子,中心モーメントを用いて記述し,その生物学的性差を調査した.その結果,男性より女性の方が脳梁が有意に前傾している傾向にあることを見出し,脳梁の主軸方位を特徴量として用いる生物学的な性の推定法を提案した.主軸方位の情報を利用しない場合,性別同定における識別率は約60%であることに対し,提案法では約70%の識別率で性別を推定可能であることが示された.このことは,これまで指摘されてきた脳梁形状そのものの性差に加え,脳梁の頭蓋内における配置に大きな性差がある可能性を示唆しており,まったく新たな知見を与えている.
著者
仲村 洋子 羽生 京子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.9-20, 2008-03

和服着用時に生じる着崩れの要因を、長着の仕立て上がり寸法と体格・体型の関連と捉えて追求してきたのが、本研究である。Lサイズを対象として取り上げ実験を試みた結果、「割り出し法」の有効性を確認した。身体に合わせて縫製された和服は、簡単に姿よく整えられかつ着崩れも少なく抑えられるとの感触を得た。この結果をうけて、試着衣を「ゆかた」としていたことにより省略していた長襦袢を着用して、実験を進めたのが前報である。長着はゆかたをそのまま用い、長襦袢はウール地、絹地の2種類を作製し実験を試みた結果、長襦袢着用が着崩れの抑制に効果的に作用し、さらに少量化が認められた。現在での和服着装は、礼服や晴れ着といった盛装用が主流であり、長着を袷に仕立て、材質も絹素材を扱うことが一般的である。そこで、今回は袷長着を試着衣として採用することとし、表・裏地とも絹地を使用し、変動が明確になるよう格子柄を選んで作製した。あわせて、長襦袢についてもポリエステル素材によるものを加えた。絹地で袷に仕立てた長着と、3種類の素材による長襦袢との組み合わせによる着崩れについては、前回のゆかたを用いた結果と同じレベルに留まっている。つまり、長襦袢の素材の如何をとわず簡単なしかも若干の手直しで修正可能な範囲であった。特に、衿元については長着を広衿に仕立てたことにより、手直しも必要としない微量に留まった。以上、着装者の身体に合わせた和服であれば、着崩れは問題視するに値しないレベルであることが把握できたとともに、割り出し法の必要性を再確認した。
著者
河村 洋子 横田 康成 亀谷 謙 松村 要
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.56-65, 2001 (Released:2011-10-14)
参考文献数
21

Gender identity disorder (GID) is a condition in which sex differs from gender identity. The basic methodology used to diagnose such a disorder involves examination by more than one psychiatrist. It is necessary to develop objective, quantitative criteria for diagnostics in order to improve the credibility of diagnosis, and to aid in decisions as to whether a patient is eligible for sex reassignment surgery. It has long been believed that there are sex-related differences in the shape and size of the corpus callosum (which interconnects the two cerebral hemispheres), and that these differences could form the basis of an objective, quantitative diagnostic technique. Unfortunately, there are, as yet, no established methods. In this study, we used MRI to investigate sex-related differences in the corpus callosum. We described the callosal figures at the midsagittal plane, using Fourier descriptors and central moments to represent the shape. We found that females have stooping corpus callosum relative to males, at a significance level of 10-14. This suggests that sex-related differences in the corpus callosum may consist of differences in the callosal configurations in the cranium, rather than the shape and size of the corpus callosum. Furthermore, using statistical tests (a likelihood ratio test, Kruskal-Wallis test and Mann-Whitney test), we found that most of the GID subjects in our study (MTF, 4; FTM, 11) have a principal orientation of the corpus callosum that is closer to female than male in sex. This means that the callosal principal orientation may qualify as an objective, quantitative criterion for MTF diagnosis.
著者
大塚 泰介 山崎 真嗣 西村 洋子
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.167-177, 2012-07-30
被引用文献数
2

水田の多面的機能は、そこに生息する生物間の相互作用に負うところが大きい。水田にキーストーン捕食者である魚を放流して魚を放流しない水田と比較すれば、対照区つきの隔離水界実験(メソコスム実験)になり、水田の生物間相互作用を解明する上で有効である。水田にカダヤシを放流しても、カに対する抑制効果が見られないことがある。カダヤシはカの幼虫・蛹のほかに、その捕食者や競争者も食べるので、捕食による効果の総和が必ずしもカを減らす方向に働かないためである。メコン川デルタの水田に3種の魚を放し、魚を放さない水田と生物群集を比較した実験では、ミジンコ目が減少し、原生動物とワムシが増加し、水中のクロロフィルa濃度が増加するという結果が得られている。水田にニゴロブナの孵化仔魚を放流した私たちの実験でも、これと類似の結果が得られた。ニゴロブナの後期仔魚および前期稚魚はミジンコ目を選択的に捕食し、ほぼ全滅させた。すると放流区では対照区よりも繊毛虫、ミドリムシなどが多くなった。また放流区では、ミジンコ目の餌サイズに対応する植物プランクトン、細菌、従属栄養性ナノ鞭毛虫などの数も増加した。メコン川デルタと私たちの結果は、ともに典型的なトップダウン栄養カスケードとして説明できる。また、魚の採食活動が、底泥からの栄養塩のくみ上げや底生性藻類の水中への懸濁を引き起こしたことも示唆される。これとは逆に、コイの採食活動によって生じた濁りが、水田の植物プランクトンの生産を抑制したと考えられる事例もある。こうした実験の前提となるのは、魚が強い捕食圧を受けていないことである。魚に対する捕食圧が大きい条件下での水田生物群集の動態は、今後研究すべき課題である。
著者
嶋田 容子 志村 洋子 小西 行郎
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.112-117, 2019-03-01 (Released:2019-09-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2

幼児の聴覚は成人とは異なり,雑音下における選択的聴取の能力が十分に発達していない。本研究では,幼児にとって生態学的に必要性の高い音をシグナルとし,雑音下での聴取力の発達変化を4~6歳児70名を対象に検討した。実験は,交通音や多人数音声を背景雑音とし,車・バイクの通過音や呼びかけ音声等のターゲットを検知するクイズ形式で実施した。実験に先立ちOAEにより基本的な聴力を確認した。実験の結果,4歳児と5及び6歳児との間に有意差があり,雑音下での聴取能力が4歳以降で顕著に発達することが示唆された。発達途上の幼児の音環境はこのような聴覚特性を踏まえて検討する必要がある。
著者
西村 洋子
出版者
創価大学社会学会
雑誌
Sociologica (ISSN:03859754)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.p1-21, 1980-03

以上,高知市における単親家族実態調査の結果を報告した。これはあくまで一部項目の素集計,単純集計による分折段階である。調査項目はもっと多く,とくに本稿では生活福祉面を載せきれなかった。またクロス集計分析がまったくなされなかったがそれらは今後ひきつづき充実整備をはかるつもりである。以上の分析を簡単に要約する。(1)単親家庭になった理由では,母子家庭も父子家庭も,配偶者との死別よりも生別の方が多い。ことに高知市では,母子家庭の「離別」が約8割弱,父子家庭では実に9割が相当する。それも中身は,離婚が最大理由で,全
著者
宮脇 梨奈 加藤 美生 河村 洋子 石川 ひろの 岡 浩一朗
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.23-021, (Released:2023-09-05)
参考文献数
24

目的 近年,インターネットは,情報を検索し取得するだけでなく,情報発信や共有も可能となっている。それに伴い医療・健康分野でも,健康情報を収集する能力だけでなく,双方向性に対応した多様な能力も必要とされるようになっている。しかし,両方の能力を評価する尺度は見当たらない。そのため,本研究では欧米で開発されたDigital Health Literacy Instrument (DHLI)の日本語版を作成し,その妥当性と信頼性について検討した。またデジタル・ヘルスリテラシー(DHL)の程度と対象者の特徴との関連を明らかにした。方法 尺度翻訳に関する基本指針を参考にDHLI日本語版を作成した。社会調査会社にモニター登録している20~64歳男女2,000人(男性:50%,年齢:40.7±12.0歳)にインターネット調査を実施した。DHLI日本語版,社会人口統計学的属性,健康状態,インターネットの利用状況,eヘルスリテラシー(eHEALS)を調査した。構成概念妥当性は,確証的因子分析による適合度の確認,基準関連妥当性は,eHEALSとの相関により検討した。内部一貫性および再検査による尺度得点の相関により信頼性を検証した。DHLと各変数との関連は,t検定,一元配置分散分析および多重比較検定を用いた。結果 確証的因子分析では,GFI=.946,CFI=.969,RMSEA=.054と良好な適合値が得られ,日本語版も原版同様に7因子構造であることを確認した。またeHEALS得点との相関(r=.40,P<.001)を示し妥当性が確認された。信頼性では,Cronbachのα係数は.92であり,再検査による尺度得点の級内相関係数はr=.88(P<.001)であった。尺度得点は,主に性,世帯収入,健康状態,インターネットでの情報検索頻度および使用端末が関連していた。また信頼性の評価,適応可能性の判断,コンテンツ投稿の下位尺度得点が低い傾向にあった。結論 DHLI日本語版は,日本語を介する成人のDHLを評価するために十分な信頼性と妥当性を有する尺度であることが確認された。DHLの低さが健康情報格差につながる可能性もあるため,DHLの向上が必要な者や強化が必要なスキルの特定をし,それに合わせた支援策を検討する必要がある。
著者
羽生 京子 仲村 洋子 ハブ キョウコ ナカムラ ヨウコ Kyoko HABU Youko NAKAMURA
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編
巻号頁・発行日
no.44, pp.11-26, 2004-03-31

わが国独自の和服は、着付けることによって衣服としての機能を果たす。着装後時間を経過することによって、動きに伴い着装直後と形状の変化つまり着崩れが生じる。この着崩れについて、前報に引き続いて究明したのが本研究である。前回の実験について疑問視された、いくつかの点について解決を計るために、今回も、3タイプ、つまりS・M・Lサイズの被験者について、標準寸法と割り出し法による仕立て上がり寸法を採用した試着衣を新たに作製し、着装実験を行った。試着衣の作製条件として、視覚的判断を考慮して実験に用いる浴衣地の図柄などを同一にすること、ある程度幅のある標準寸法を一律に定めること、一定の技術で縫製し均一に仕上げることなどについて配慮した。着装実験によって、前回とほぼ同様な結果を得ることが出来た。つまり、S・Mサイズについては、標準寸法を統一したことで着装スタイルの変化はあっても、着崩れ量の変動は少ないし、割り出し法においてのスタイル・着崩れ量も同程度と判断できた。Lサイズに関しては標準寸法での不足が一層明瞭になり、割り出し法によっても許容範囲ではあるが充分ではない。ただし、それによる着崩れは同程度であることを確認した。加えて、Lサイズについて、課題を解決する手掛かりとして、幅の広い浴衣地を準備し布幅の関係で、試みてない割り出しで算出した数値によって試着衣を作製し再実験を試みた。結果、着装スタイルはほぼ満足出来る形となったが、接合線位置つまり各身幅の比率について新たな課題が残される結果となった。
著者
北村 陽英 鯰 裕美 木村 洋子
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 自然科学 (ISSN:05472407)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.51-60, 2004-10-29

Using a questionnaire which asseses premenstrual syndrome and dysmenorrhea symptoms, we investigated 392 senior high school female students in June and July, 2002. Sixty-eight percent of these students were suffering from premenstrual syndrome, and eighty-three percent of these students were suffering from dysmenorrhea symptoms. Comparing symptoms of premenstrual syndrome with dysmenorrhea, there are a lot of somatic symptoms in both conditions, but premenstrual syndrome has more symptoms of swelling and breast pain than dysmenorrhea. Symptomatically, it is recognized that symptoms of premenstrual syndrome are different from symptoms of dysmenorrhea. In daily and school life, thirty-three percent of those students were disturbed by premenstrual syndrome. This study proposes that it is necessary to teach students not only about dysmenorrhea but also about premenstrual syndrome in school health education and mental health counseling classes.
著者
仲村 洋子 羽生 京子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.37-51, 2003-03-31

和服着装時における着崩れについて究明したのが本研究である。和服は、洋服と異なり着付けることによって形づくるものである。和服を着た時でも、日常の立ち居ふるまいとまったく異なるわけではないので、当然動きに伴った変化が起きる。つまり着崩れが生じる。この着崩れの要因の一つとして、着物のサイズと体格・体型との不一致があると想定し探ることを目的とした。従来より平面構成学演習の授業において、身体の各部を採寸し割り出し法によって算出した寸法を用いて縫製した試着衣と、一年次にほぼ標準寸法で縫製したゆかたを着装して比較実験を行ってきた。今回は、着装後に階段の昇降といった一定の動作を加えて、着装直後と動作後に撮影した写真による観察と、被験者自身の着心地といった感覚面から着崩れの状態を把握することを試みた。被験者をJIS規格を参考にして、S、MおよびL・LLサイズの3グループに分けて、被験者である学生自身の報告を参考にしながら比較検討した。結果として、S・Mサイズについては、ゆかた、試着衣いずれも問題とするほどの目立った着崩れは認められない。その若干の変化は、階段の昇降といった下半身の動きによって生じた現象であるにもかかわらず、裾の部分が広がることだけでなく上半身の衿の交差の形状にも見られる。違いが顕著に現れたのはLLサイズである。標準寸法のゆかたは、着装条件そのものを満たすことも困難であり着崩れを論ずる以前の問題となった。一方、試着衣については着装状態もほぼ満足できるとともに、着崩れについてもS・Mサイズと同程度になった。今回の着装実験によって、LLサイズといった極端な例ではあるが、予測通り、着崩れは体格・体型といった身体に合わせたものがより少ない事を確認した。
著者
竹村 洋子 杉山 雅彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.73-84, 2003-03-31 (Released:2019-04-06)

通常学級で発達障害児が示すいわゆる問題行動は回避行動としての機能をもち、教師の評価と関連した周囲との相互作用の中で、生起・維持している可能性がある。本研究では、攻撃行動を示す児童を対象に対人回避の低減を標的とした個別指導を行い、個別指導場面での児童の行動変化が、授業場面における児童と教師の行動、児童とのかかわりにおいて生じる問題に対する教師の評価に及ぼす影響について検討した。個別指導場面での児童の行動変化に伴い、授業場面での問題行動が低減し、教師への視線が増加した。教師が児童に接近する行動の生起頻度も増加したがその生起頻度は不安定で、児童の問題行動は再度増加傾向を示した。児童とのかかわりにおいて生じる問題に対する教師の評価については認知的評価尺度影響性因子の得点が増加、コーピング測定尺度各因子の得点が減少し、問題が示された。児童との相互作用における教師の評価と行動の関連について論じられた。
著者
河村 洋子 横田 康成 亀谷 謙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.659, pp.85-90, 2006-03-10

性同一性障害(以下,GID)の診断では,診断精度向上と迅速な診断を実現するため,心理的性(gender)の客観的かつ定量的な評価法が必要とされる.本稿では,正常男女とGIDを有する被験者の頭部MRIを用いて,正中矢状断における脳梁形状の性差を調査した.まず,脳梁形状をフーリエ記述子で表現し,ソフトマージンをもつ線形サポートベクタマシンを用いて,フーリエ記述子によって張られるベクトル空間において,正常男女の標本群を最も良く分離する超平面を決定した.各被験者の脳梁形状を得られた超平面に直交する線形部分空間に正射影した座標を,正常男女の生物学的性(sex)差を最も顕著に表す特徴量として定義した.さらに,GID患者に対し,この特徴量の値を調べた結果,この特徴量は,生物学的性差ではなく心理的性差を反映することが示された.このことは,提案した特徴量を用いて心理的「性」の推定が可能,更には,GID診断の客観的尺度として利用できることを意味する.