著者
大橋 良一
出版者
東京大学
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.82, pp.37-"42-14", 1915-12-04
被引用文献数
2

付録14頁
著者
中里 透
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.55-69, 2005-02-07

本稿では1990年代に財政赤字の拡大が生じた理由について,政治的環境の変化に留意しつつ検討を行なった.本稿の分析によれば,現実の財政赤字の相当程度はこの間に日本経済に生じたショックに対する適切な反応(課税平準化)の結果としてとらえられるが,課税平準化のもとでの「最適な」赤字の水準と比較した場合に現実の財政赤字はなお過大なものとなっており,経済的要因以外の理由によって財政赤字のさらなる拡大が生じた可能性が示唆される.財政赤字と政治的環境の関係を扱った一連の研究によれば,連立政権への移行や政権基盤の脆弱化が財政赤字の拡大につながる可能性があることから,「過大な」財政赤字を政治的要因によって説明する推定を行なったところ,内閣支持率や衆議院における自民党議席率が「過大な」財政赤字と有意な負の相関をもっていることが確認された.この推定結果は90年代に生じた政治的環境の変化(連立政権への移行と政権基盤の脆弱化).と財政赤字の拡大の間に一定の関係があることを示唆するものである.
著者
荒井 英治郎
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.401-410, 2007-03-10

The purpose of this paper is to describe contemporary phase of the controversy about governmental subsidies for private educational institution. Subject of research is Article 89 of the Constitution, it means, No public money or other property shall be expended or appropriated for the use, benefit or maintenance of any religious institution or association, or for any charitable, educational or benevolent enterprises not under the control of public authority. This paper reexamines various theories concerned with legislative intent of latter clause of Article 89 and the meaning of "under the control of public authority", and clarifies the point of controversy.
著者
裏田 武夫 小川 剛
出版者
東京大学
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.153-189, 1965-09-30
著者
大森 房吉
出版者
東京大学
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.57, pp.33-34, 1907-02-15
著者
大西 晶子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

29年度は28年度中に実施した調査を継続、またその結果を分析して学会などで報告を行うとともに、研究論文にまとめ学術誌への投稿を行った。まず、28年度中に実施した留学生を対象としたインタビュー調査等の結果をまとめ、学会で成果を発表し、研究論文にまとめた(掲載決定済み)。また質的調査を踏まえて、留学生向けのキャンパス多文化風土評価尺度を作成し、日本語、英語、韓国語、簡体字、繁体字版の多言語版への翻訳作業を行った。翻訳版の内容の等価性を確認のちに、留学生を対象としたパイロット調査を実施し、尺度としての有効性を確認する作業を進めている。次に、留学生を対象としたインタビュー調査より、大学の組織としての対応体制が、キャンパスの風土形成に強く寄与することが予想されたため、国立大学の留学生支援体制に関して調査を実施した。中でも、学生のニーズやニーズの変化を各大学がどのように把握しているのかを明らかにするために、各大学の学生調査の実施状況に注目し、その特徴を検討した。その結果、留学生等の少数派の学生のニーズの把握を可能とするような全学的な調査実施体制は十分に整備されていない状態が確認できた。調査結果を整理し、学術誌に投稿を行った(掲載決定済み)。これら国内の関係者を対象とした調査結果と並行して、28年度に延期していた国外大学の訪問を行った。訪問先を、日本同様にアジア出身の学生を多く受け入れているが、日本とは異なる学生支援の体制を整備している豪州の大学とし、関係者の聞き取り調査を実施した。
著者
玉井 義浩
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.87-106, 2006-03-30

現実の報酬支払契約の多くは,純然たる「成果連動型報酬」ではなく,低位の成果に関しては固定的な「基本給」を支払う,という形態をとる.このような,固定給と変動給の組み合わせによる報酬契約を従来の標準的なプリンシパル・エージェント問題の次善解として導出するには努力と成果の間の確率的関係に特殊な仮定(尤度比が下方の成果に関して一定となる)が必要である.これに対し本稿は,エージェントが,確率分布そのものがよくわからないという意味での,より高次の不確実性(ナイト流不確実性)に直面し,epsilon-contaminationと呼ばれる複数の確率分布から成る集合についてのMaximinの期待効用の最大化を図る場合には,より一般的な主観確率分布に関して下方に硬直的な報酬契約が次善解として自然に導き出されることを示したものである.エージェントが抱くナイト流不確実性の度合いが強まるほど,固定給の対象となる成果の範囲が広がる一方,変動給部分の賃金増加率は高まる,という結果が得られる.
著者
馬場 健一
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.5-38, 2007-02-20

近年連続的に実施された, 戦後初めての日本の裁判官報酬の減額は, デフレ状況下における国家公務員給与の引き下げに連動した施策であった.憲法は在任中の裁判官の報酬の減額を無条件に禁じており, 憲法違反の可能性があったにもかかわらず, この減額措置はそれほど大きな抵抗を受けることなく実現し, この問題に対する社会的関心も低い.しかし, 明白な禁止規定をもちながら裁判官報酬の引き下げが簡単に認められる, 日本の法律解釈と実務は, 比較法的にみてかなり特異なものである.またこうした現実の背景には, 最高法規として英米法型の憲法を戴きつつ, 現実の司法機構においては憲法の理念とは必ずしも一致しない大陸法型の運用が続いているという統治体制のねじれの問題がある.この事件は, 日本における裁判官制度や司法のかかえる課題や, 法の支配の脆弱さを示す事例であるといえる.しかしそこからは逆に, 改革の時代における可能性の萌芽や長期的展望をも見いだすことができるように思われる.
著者
小竹 美子
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.229-334, 2000
被引用文献数
2

The western Pacific to eastern Asia region is an area where several mega-plates including Eurasian, Pacific, Indian-Australian, and North American plates converge. A variety of geodynamic phenomena occur in this area such as continental collisions in the Himalayan area and large-scale intraplate deformation in Chinese continent, subduction of oceanic plates and backarc spreading behind the subducting plates, as well as instantaneous events such as earthquakes and volcanic eruptions. Although geological plate motion models have been proposed for these large plates such as NUVEL-1 (DEMETS et al, 1990) to investigate tectonics in this region, these large-scale models lack smaller scale plates such as Amurian plate, Okhotsk plate, and Caroline plates.西太平洋・東アジア地域は太平洋プレート,ユーラシアプレート,インド・オーストラリアプレートなど大きなプレートが互いに沈み込み,衝突しあう収束の場である.このため,この地域では複雑・多様な地学現象が発生する.たとえば,インド大陸の衝突によるヒマラヤ山脈の隆起,チベット高原~中国大陸に至る地殻の変形,インドネシア~フィリピンの複雑なテクトニクス,背弧海盆の拡大や太平洋プレート,フィリピン海プレートの沈み込みによる日本列島の変形など多くの興味深い現象が指摘されている.これらのプレートに関しては,海洋底磁気異常の縞模様などから,地質学的な時間スケールでの剛体的なプレート運動モデルが提唱されている.一方,この地域ではアムールプレートをはじめとする,いくつかのマイクロプレートが提唱されているが,これらのプレートの運動や境界は必ずしも明確になっていない.そこでこの地域のテクトニクスを解明するためには,まず計測に基づく現在のプレート相対運動モデルを確立することが必要である.プレートモデルが確定すれば,さらに詳細な観測事実からプレートの内部や境界における変動場を検出することが可能になり,そこからプレート間相互作用を推定してテクトニクスをより詳しく知ることが可能になるであろう.このような,現在のプレート相対運動と内部変形の精密な解明のためには宇宙測地技術を用いることが必要であり,わけても上記のような目的のためにはGPSを用いることがもっとも適切と考えられる.そこで本研究では地震研究所が中心となって実施してきたこの地域のGPS観測のデータを解析して以下のことを解明しようと試みた: 1)西太平洋~アジア地域の変位速度場を明らかにする. 2)精密なフィリピン海プレートの運動に基づいて,マリアナの背弧拡大やヤップパラオ地域の変位速度場を明らかにする.使用したデータは当地域における1995年7月から1998年6月までのWING, IGS, GSIによる連続観測データおよび沖の鳥島,マリアナ,ヤップ・パラウにおける1992年以降のキャンペーンデータである.連続観測点は解析当初においては十数点にすぎなかったが,その後増加して1998年には38点にのぼった.解析にはBernese software v4.0 (ROTHACHER and MERVART, 1996)を用いfiducial-freeの方法を適用した.基線長が2000kmを越える長基線も含まれるので,初期位相不確定の解決にはMelbourne-Wuebbena一次結合も導入した.座標系はHEKI (1996)によるKinematic Reference Frameを採用して,ユーラシア安定地塊に対する変位を求めた.まず,西太平洋~東アジアにおけるGPS連続観測データの解析結果から以下のことが判明した;1)太平洋プレートやフィリピン海プレートなどの海洋プレート上の観測点,たとえば南鳥島,トラック島などプレート境界から隔たった内部の観測点は,剛体プレートモデルから予測される速度と調和的である. 2)石垣島やグアムなど,プレート境界で背弧拡大を示唆する観測点がある. 3)ユーラシア大陸地殻上の観測点,ラサ,西安,武漢,上海などでは大規模なプレート内変形が進行し,インド大陸の衝突の影響が東方へ伝搬していく様子を示している.次に,沖の鳥島の繰り返し観測データに地理院の南大東島,父島,八丈島の観測データをあわせてフィリピン海プレートの回転運動を求めた.繰形最小二乗法を用いることで,Euler vectorは(41.55N±0.42, 152.46E±0.43, -1.50±0.04deg/my)と精度良く求められた.第三に,フィリピン海プレート内部で顕著な変形を示すマリアナトラフの背弧拡大の解明を試みた.グアム島を含む北マリアナ諸島のGPS繰り返し観測のデータを解析し,以下の結論を得た; 1)マリアナ諸島はフィリピン海プレートの主要部分に対し近似的には1つのブロックとして回転している, 2)マリアナトラフの拡大速度はグアム島付近で約6cm/yrに達するが,その速度は緯度に依存して北に行くほど遅くなる.これは,海底磁気異常データから得られる速度と定量的にも調和的である, 3)マリアナ小プレートの剛体的モデルから推定される運動と観測値を比較すると,北部のパガン島,ググアン島,アナタハン島はわずかに北向きにずれており,南部のサイパン,グアムではほぼ一致する.マリアナ小プレートは北緯16度近傍において南北に分かれている可能性があり,提唱されているセグメント化の考えと調和的である.最後に,フィリピン海南端に位置するヤップ.パラウ付近の変位速度場について考察した.パラウの連続観測に基づく変位速度の観測値(約2年)とモデル値は有意に異なっており,その原因は明らかでない.そこで太平洋プレート側のウリシ島・ファイス島を含むこの地域で実施された繰り返し観測のデータ(1992~1996)を解析して,より長期間の変動を調査したところ,以下のことが明らかとなった; 1)ヤップ島の変位速度はモデル値よりも22~25%遅くその差は有意であると思われる. 2)ヤップ海溝で両側のプレートはおよそ1cm/yrの速度で収束していることが示唆される. 3)ウリシ島・ファイス島の変位速度は太平洋プレートのNUVEL-1Aの速度とほぼ一致する.またトラック島とウリシ島・ファイス島間の距離に有意な変化はなく,カロリンリッジはこの地域では変形していないと考えられる.すなわち,台湾で観察されるような沈み込み(衝突)直前の海洋プレートの変形は,ここでは観測されない. 4)パラウ島では観測された変位速度はモデルに比較して35%程度遅いが,連続観測による推定値と非調和的であり,さらに観測と解析を継続する必要がある.
著者
西原 真杉
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

哺乳類における脳の性差は、発生過程の特定の時期(臨界期)に脳がアンドロジェンに曝露されるか否かによって生じる。アンドロジェンは脳内の細胞において芳香化酵素によりエストロジェンに代謝され、エストロジェン受容体と結合して特定遺伝子群の転写を活性化することにより脳の性分化を誘導する。我々は、齧歯類の周生期の脳において性ステロイド依存性発現の高まるグラニュリン遺伝子が、脳の雄性化に関与していることを示している。本研究においては、グラニュリン・ノアウト(KO)マウスを用いて、グラニュリンによる脳の性分化の誘導機序について検討を行った。不安傾向を検討した結果、野生型(WT)マウスにおいて雄は雌と比較すると不安傾向が低いという性差の存在が示された。一方、KOマウスにおける雄不安傾向はWTの雄より高く、雌とほぼ同じレベルであった。青斑核は不安様行動への関与が示唆されているが、青斑核の体はWTマウスでは雄に比べて雌の方が大きい傾向が見られ、KOマウスでは雌雄のWTマウスよりも有意に大きくかつ性差も認められなかった。グラニュリンは青斑核の発達を抑制することで形態学的な性差を形成し、不安傾向の性差を発現させていることが示唆された。さらに、周生期のWTマウスおよびKOマウスの視床下部における遺伝子およびタンパク質の網羅的発現解を行い、グラニュリンの下流に存在する分子の同定を試みた。その結果、LIMホメオボックス遺伝子Lhx1およびやはりLIMドメインを持つタンパク質であるLASP1の発現がKOマウスにおいて減少していた。これらの結果より、神経細胞の分化や発達関与していると考えられているLIMドメインをもつタンパク質がグラニュリンの機能発現に関与していることが示唆された。
著者
飯田 泰之
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2000

昨年、一昨年は景気循環の中でも在庫変動の役割に注目した研究を行ってきたが、本年度は特定の需要項目に注目せず景気循環全体に関する政策課題としての金融政策を中心に研究を進めてきた。80年代以降の日本経済の動向にとり金融政策が非常に大きな影響力を持ったことは数多くの論者により指摘されている。90年代、特にその後半のデフレ期に至ってその重要性はさらに増しているといえるだろう。実証的なアプローチでは80年代以降の日本経済に関し、信用乗数の変化、為替レートを通じての金融政策の波及が期待インフレ率に大きく依存することがわかった。両研究「信用乗数の変化はいかにして説明されるか」(飯田泰之・原田泰・浜田宏一)、「金融政策の波及チャネルとしての為替レート」(寺井晃・飯田泰之・浜田宏一)は2月に内閣不経済社会総合研究所で報告し、3月末にDiscussion Paperとして同研究所より発行される。また、90年代の日本経済を考えると言うことはデフレーションと失業の問題を考えることに他ならない。前者の「デフレ経済」に関しては戦後の事例が無く、その特性を確かめるためには戦前期、特に昭和恐慌期にさかのぼる必要がある。そこで、1920年代の市況等に関し新聞データを用いた再現を交えながら同時期の期待インフレ率を推計した。本研究「戦前期日本経済の期待インフレ率推計」は昭和恐慌研究会(於東洋経済新報社)での発表へのコメントなどをうけて現在改稿を進めている。後者の、失業の問題に関しては労働者の部門間移転を容易にする賃金体系はなにか、という問題意識を元にサーチ理論を用いたモデル化を試みた。本研究は論文「産業構造の変化と労働力配分のrestructuring-Search理論によるモデル化」(飯田泰之・寺井晃)にまとめられ、2002年度日本経済学会秋季大会にて報告し、現在投稿準備中である。
著者
月村 辰雄 浦 一章 葛西 康徳
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

本年度は研究対象をもっぱら近世・近代のフランスにおけるレトリック教育、とりわけディセルタシオン(論文作成)とエクスプリカシオン・ド・テクスト(テクスト購読法)という二つの主要教育メソッドの展開の過程に焦点を絞って研究を進めた。ディセルタシオンは18世紀半ばのパリ大学の教授資格試験から採用されたディスクール形式で、スコラ学の論述形式の近代版といえる。初め哲学の問題が扱われたが,19世紀以降は順次ラテン文学,フランス文学研究の問題の解答形式ともなり,正-友-合という論旨の展開が義務付けられて現在に及ぶ。一方、エクスプリカシオン・ド・テクストは、初めはルネサンス期の古典語購読の方法として出発し,17〜18世紀には主としてイエズス会のコレージュでラテン語購読の方法として精錬され,次いで19世紀にはフランス語古典の解説法として発展する。ひとつひとつの語釈,難語解,構文説明,その部分の著作全体における意味,またその著作の著作家において占める意義,さらには時代との関係という具合に,1節から始まって文学史にまで話が及ぶスタイルが確立するのは1880年代である。
著者
山田 太造
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では日本史学研究における研究過程支援のため,史料目録・テキスト等から史学的知識を抽出し,知識間・知識-史料間・史料間などの関係を明確にしながら,内在する史学的知識・暗黙知を外在化する研究を行うため,特に(1)史学的知識の抽出・蓄積,(2)史学的知識間,史料学的知識-史料間,史料間の関連性の検出,(3)知識表現・関連表現とそれらを用いた検索手法の確立を目指した.