著者
横山 正人 井上 和夫
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.41-48, 1984-02-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9

本論文は人間の声質感覚に基づく音声の個人性知覚情報の抽出を目的としている. まず, 一対比較法により話者の類似性判断, および音声の嗜好性判断に対する聴覚実験を行っている. 音声資料として13名の話者の発生した単母音 [e] を用いる. 次に声質を表す5つの日常表現語を用いて, 音声の類似性評価実験を行っている. さらに改良ホモモルフィック予測法 (IHPA) を適用し, 音声信号より音響パラメータの抽出を行う.以上の実験結果に基づく相関分析およびMDSによる解析の結果, 次のことが明らかになった. (1) 話者の類似性および音声の嗜好度を判断する場合, ある特定の声質感覚が大きく寄与する. (2) これらの声質情報は, 主にピッチ周波数, および高次フォルマント周波数によって特徴づけられる.
著者
坂本 治美 日野出 大輔 武川 香織 真杉 幸江 高橋 侑子 十川 悠香 森山 聡美 土井 登紀子 中江 弘美 横山 正明 玉谷 香奈子 吉岡 昌美 河野 文昭
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.322-327, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
25

近年,妊娠期の歯周病予防は周産期の重要な課題とされているが,日本における歯周病と低体重児出産や早産との関連性を示す報告は少ない.本研究の目的は観察研究により妊娠期の歯周状態と低体重児出産との関連性について調査することである.徳島大学病院の妊婦歯科健康診査受診者190名のうち,年齢バイアスの考慮から対象年齢を25~34歳とし,出産時の状況が確認できない者,多胎妊娠および喫煙中の者を除外した85名について,歯周状態と妊娠期の生活習慣や口腔保健に関する知識および低体重児出産との関連性について分析を行った.その結果,口腔内に気になる症状があると答えた者は61名(71.8%),CPI=3(4 mm以上の歯周ポケットを有する)の者は29名(34.1%),CPI=4の者は0名であった.また,対象者をCPI=3の群と,CPI=0, 1, 2の群とに分けてχ2 検定を行った結果,低体重児出産の項目,およびアンケート調査では,「歯周病に関する知識」,「食べ物の好みの変化」の項目について有意な関連性が認められた.さらに,ロジスティック回帰分析の結果,低体重児出産との有意な関連項目としてCPI=3(OR=6.62,95%CI=1.32–33.36,p=0.02)および口腔内の気になる症状(OR=5.67,95%CI=1.17–27.49,p=0.03)が認められた.以上の結果より,わが国においても,妊婦の歯周状態が低体重児出産のリスクとして関連することが確認できた.本研究結果は,歯科医療従事者による妊婦への歯科保健指導の際の要点として重要であると考えられる.
著者
碇 浩一 海塚 敏郎 井上 豊久 亀口 憲治 横山 正幸 藤山 正二郎 と 廷良 イスラブル ユソフ アサン トホティサ 三本松 正敏 木舩 憲幸
出版者
福岡教育大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1. ウイグル民族と日本の子どもの生活環境の比較研究分析・検討を教育学、心理学、障害児教育、社会教育、精神医学、文化人類学等の観点から行い、研究発表(日中教育文化研究会シンポジウム、家族心理学会、日本生涯教育学会等)及び研究成果(北大路書房「いじめのない世界」他)としてまとめた。2. 中国中央民族大学及びウイグル自治区新彊師範大学・新彊教育委員会からの研究者を日本(福岡)に迎え(平成10年11月4日から11月15日の12日間)、セミナーの開催、中国側の研究者を中心とした日本の子どもの生活実態調査を実施した.3. 日中両国の研究者による共同研究会及び共同作業により、子どもの生活環境に関する総合的分析を行った。4. 平成11年3月10日調査研究成果を、はじめにでは「子ども・家族・老人」,第1部では「幼老共生-ウイグル社会における乳幼児の養育環境-」など「子どもと老人」,第2部では「ウイグル民族と日本の中学2年生の生活環境の比較研究」など「ウイグル社会と子どもの生活」,第3部では「生活環境の変容から見た中国ウイグル族と日本の子どもの家族観」など「家族」,第4部では「パネルディスカッション・子どもと老人」など「研究会とシンポジウム」,付録・調査研究の経過では研究活動概要・研究業績・研究者名簿・統計資料・関連新聞記事を報告書にまとめた.
著者
横山 正尚
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.445-455, 2007 (Released:2007-10-06)
参考文献数
32

多くの局所麻酔薬のなかから硬膜外麻酔の用途に応じて薬剤を選択することは理想である. しかし, 心毒性, 神経毒性などが明らかとなり, 危険性の少ない薬剤が登場した今, 安全性は第一に考慮される選択基準である. さらに局所麻酔薬の効果の増強目的でさまざまな薬剤の添加が報告されているが, 効果と副作用のバランスを考慮した場合, その選択はごく限られる. また, 医療経済および事故防止の面から多種の同効薬剤を使用することは問題となりうる. その意味ではテスト注入に短時間作用性の薬剤を使用し, そのほかには安全性の高い局所麻酔薬を選択し, 用途に応じた濃度を使用すべきと思われる.
著者
鈴木 啓太 横山 正典 吉田 成朗 望月 崇由 布引 純史 鳴海 拓志 谷川 智洋 廣瀬 通孝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.52-60, 2018-01-15

本研究では,カスタマーセンタや,遠隔授業などの遠隔コミュニケーションにおいて,対話相手との同調的な感情表出を支援するビデオチャットシステムを提案する.他者の表情を模倣する「ミラーリング」は,他者と友好な関係を築くうえで有効である.しかし,継続的な感情の表出と抑制には本人の意識的な努力を必要とする場合があり,感情労働による消耗を助長させる恐れがある.他方,遠隔コミュニケーションにおいては,ビデオチャットのような情報メディアを介する段階でコミュニケーションに関する要素に情報的変調を加え,感情表出を補助することで対話者間の共感を深めて,コミュニケーションを拡張することができると考えた.本研究では,表情認識センサによって取得した自身の表情と同調するように,対話相手の表情を画像処理によって変化させることで,疑似的なミラーリングを発生させる.提案システムを用いた評価実験として,表情変形が施される模倣者と,自身の表情と同調した表情変形を観測する被模倣者のペアで会話してもらった.その結果,模倣者と被模倣者の両者に対して,会話の円滑さや,共感度の指標が向上することが示唆された.疑似的なミラーリングの効果が,被模倣者だけでなく,模倣者に対しても影響していることが分かった.
著者
山根 英征 横山 正 長田 芳和 山田 卓三
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.135-147, 2004-11-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
18
被引用文献数
5

The reproductive ecology and early life history of the bagrid catfish, Pseudobagrus nudiceps, were investigated in the field and laboratory. The species reproduced between late June and early August in a tributary of the Kinokawa River, Wakayama Prefecture. During the reproductive period, large mature males maintained a territory around crevices along shoals and banks. Mating behavior was observed there and in an aquarium, the field observations being the first for any Asian bagrid. When a female visited a male's territory, a series of behavioral activities, including courting, embrace and egg-stirring by the female were observed. Females (115-137mm SL) produced 1200-3000 developed ovarian eggs, apparently spawning in the nests of several males. Parental males cared for the eggs by fanning and cleaning, using the pectoral and pelvic fins, and displayed aggressive behavior against fish approaching the nest. Spawned eggs were adhesive and between 2.5-2.7mm in diameter. The eggs hatched 2.5-3 days after fertilization at an average water temperature of 26°C. At 2 days posthatching, the larvae began to move at night, leaving the nest after 7 days. Brood parasitism by the Japanese minnow, Pungtungia herzi, was frequently observed in the nests of Pseudobagrus nudiceps.
著者
横山 正
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

1.資料の収集 これについては平成2年度に相当の成果をおさめたが、それにひきつづき、未収集で重要なものの収集につとめた。しかし店頭に古書としてあらわれるものには、もはや目新しいものは無く、それゆえ方針を切りかえて、図書館,個人の収蔵本で必要なものを撮影あるいは複写して収集することに力点を置いた。しかし設備備品費(旅費予定分も自己負担で旅をすることで一部これに充てた)によって購入した書籍には、研究の遂行上、きわめて有益なものが多く、直接の原典では無くても充分、研究成果をあげるのに役立った。一部、朝鮮半島関係の資料が入手出来たことも、研究に大いに参考になった。2.資料の分析 資料の分析も同じく平成2年度にひきつづき進めた。分析にあたっては、とくに庭園書についてまとまった成果が早く得られそうなことから、庭園書にかなり力点を置く形で研究を進めた。カ-ド化及びデ-タ・ベ-ス化の作業も前年度にひきつづいて行なったが、デ-タ・ベ-スについては、この研究を今後も進めていくなかで、かなりの手直しをしなければならないかと考えている。分析の進展につれて新しい視かた,分類の仕方が考えられて来たからである。3.総括 今回の研究についてはそれなりのいちおうの総括は可能であり、再度、分析内容を再検討して順次、論文として発表していく予定であるが、とにかくきわめて〓大でしかも複雑な内容が対象であるために、そのすべてをいますぐ総括するのは不可能である。今回の研究のかなりの力点はとりあえず資料を収集,分析することにあり、今後、これによって出来た蓄積によって、その成果を数年かけて発表していくことになると考える。
著者
横山 正博 堤 雅恵
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.39-55, 2020-02-28 (Released:2021-09-17)
参考文献数
36
被引用文献数
1

地域包括支援センターの専門職が地域ケア会議において,地域ケア会議の理解の促進や地域包括ケアシステム構築のための能力や意欲を身につけることができたかの成果を評価し,またその成果にはどのような要因が影響しているかを明らかにし,地域ケア会議の推進上の課題を探索することを目的とした. 高齢化率上位5県のすべての地域包括支援センターの地域ケア会議に参加したすべての専門職を対象とし,郵送留置自記式による無記名質問紙調査を行った.調査内容は,対象者の基本属性,地域ケア会議に対する基本的理解に関する質問,地域ケア会議に参加した所感に関する質問,地域ケア会議運営の阻害要因に関する質問および地域ケア会議で得られた成果に関する内容とした.回答結果を単純集計するとともに,地域ケア会議の成果に影響を及ぼしている要因を共分散構造分析により分析した. 地域包括支援センターの専門職は,個人的な地域ケア会議に対する準備を前提として,地域ケア会議の基本的理解をし,自己効力感をもつことで具体的な成果が得られるという認識の構造をなしていた. 地域ケア会議推進上の課題として,地域包括支援センターの専門職は,参加者の地域ケア会議に対する理解度を把握し,効果的に地域ケア会議の趣旨や議論する課題や意図を明確に事前に伝達する工夫が必要である.次に,地域のインフォーマルな人的資源の開発という視点をもって地域包括支援ネットワークの一員となり得る人に参加を呼びかけ,さらに地域住民の主体性を形成する意図をもって地域ケア会議に参加する必要がある.さらに,地域ケア会議の検討技術の向上のためには,熟練した専門職が教育的スーパーバイザーを担うことが必要である. 特に,地域ケア会議に対する自己効力感は地域ケア会議の成果を得るための必要不可欠な要因であることが示唆された.
著者
横山 正典 鈴木 啓太 木下 由貴 望月 崇由 山田 智広 櫻井 翔 鳴海 拓志 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.4, pp.1-5, 2015-05-07

異なる場所にいる人同士が同じ場所で対話しているかのような体験を実現する技術であるテレプレゼンスの研究が進められている.本稿では,人の非言語メディアを拡張することで F2F では生じ得ない心理効果を伴う遠隔コミュニケーションを実現する "超現実テレプレゼンス" を提案する.超現実テレプレゼンスの具体例として,視線の指向性の制御,Social Touch の心理効果の制御,Proxemics に基づく対面距離の制御を行うテレプレゼンスインタフェースを示し,今後の課題,想定される適用例,今後の展望について述べる.
著者
横山 正 鈴木 創三 渡邉 泉 木村 園子ドロテア 大津 直子
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

福島県二本松市の放射性Csによる農耕地汚染実態の解明と植物-微生物相互作用によるその除去の加速化を検証した。二本松の優占粘土の雲母は、有機酸で固定したそれを放出した。阿武隈川流域の河川堆積物のその濃度は、秋季に減少し春季に増加した。水田ではオタマジャクシでその濃度が高く、イノシシ筋肉中のそれは自然減衰以上の減少を示した。また、鳥類の精巣や卵巣にその蓄積が見られた。畑の可給態のそれは2013年には1~5%に減少したが、森林土壌では3~13%を示した。植物はPGPR接種で、その吸収量を増大させたが、雲母が固定した分を吸収できず有機酸を生成するカリウム溶解菌の併用で、植物の吸収量を増加させられた。
著者
青嶌恵倫香 颯佐達也 横塚慎太郎 横山正樹 紫合治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.715-717, 2012-03-06

冷蔵庫の食材の量や賞味期限をもとに,所有する食材を利用したレシピを検索するシステムについて報告する.近年,レシピ検索のアプリやサイトが増えている.種類は様々だが,それらは外出先でも手軽にレシピを調べることが出来るという利点がある.しかし,外出先でレシピ自体は検索できても,自宅にどんな食材があるかを自分自身が把握していなければいけないという欠点がある.本論文のシステムは,買ってきたものを登録し,管理することによって,所有する食材を使用するレシピを手軽に検索できるというものである.
著者
大山 卓爾 横山 正 安藤 象太郎
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 = Agriculture and horticulture (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.203-212, 2009-01 (Released:2011-03-05)
著者
重松ロカテッリ 万里恵 河野 崇 山中 大樹 立岩 浩規 北岡 智子 横山 正尚
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.29-32, 2017

<p>鎮痛薬の有効性はプラセボ・ノセボ効果の影響を強く受ける.特に,鎮痛薬への期待と不安は,それらの発現に重要と考えられる.今回,臨床実習前の医学生を対象として新規に説明を受けた鎮痛薬の期待と不安の関係についてアンケートを用いた予備調査を行った.医学部4年生(108名)に対し,弱オピオイド鎮痛薬のトラマドールの説明を通常臨床と同様に行った.その後,トラマドールの鎮痛効果への期待と副作用の不安について11段階で評価した.その結果,トラマドールの鎮痛効果への期待度と副作用の不安度には有意な正の相関が見られた(Spearmanの順位相関係数:0.392).鎮痛薬のプラセボ効果を最大限にして,ノセボ効果を最小限にすることは医療従事者にとって永遠の課題といえるが,その達成のため今後もさらなる検討が必要と考えられる.</p>