著者
佐倉 統 五十嵐 太郎 片山 杜秀 菅 豊
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

この研究は、近代以降「『日本的』という標語がどのように語られてきたか」を分野横断的に比較し、近代・現代における「日本的」イメージの多様性を総覧するとともに共通性を抽出するものである。「民族」について様々な言説が乱れ飛ぶ現在、学術的かつ専門的な見地から、日本とその国民が自らをどのようにイメージしてきたかを明らかにして、現在におけるひとつの「規矩」を提供することは、社会的にも意義があると考える。
著者
金井 雅彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は本来 Margulis の超剛性定理を典型とする高階リー群の格子の剛性に関わるものであった.しかし,研究方向は1年ほど前から変わりつつある.それを説明したい.Margulis の超剛性定理に先行して確立されたリー群の剛性定理のひとつに Mostow のそれがある.とくに,n 次元実双曲空間の等長変換群の一様格子は n が 3 以上のとき剛性を有する.一方,n=2 の場合には剛性現象は発現せず,逆に柔軟性とでも呼ぶべきものが観察される.その柔軟性を極めて精密な形で記述したのがタイヒミューラー空間論である.この類似がトンプソン群というまったく異種の離散群に対しても観察されることを認識したのが1年のことである.それ以降,この類似性を追求している.ところで,トンプソン群には F, T, V と言う記号で表される合計3種が存在する.いま,問題にしているのは,F ないし T である.これらの離散群の定義においては,Z[1/2] が登場する.そこに現れる 2 を 2 以上の整数 m で置き換えることにより,あらたな離散群が得られる.それを F(m), T(m) と書くことにしよう.McClearly-Rubin と Brin の結果を合わせると,F=F(2), T=T(2) に対しては Mostow の剛性定理に相当する結果が得られる.一方,m が 3 以上の場合には,柔軟性が発現することが Brin-Guzman により指摘されている.しかし,いま名前を挙げた研究者たちは,彼等の結果と Mostow の剛性定理やタイヒミューラー空間論との類似性を意識していないよう推察される.一般化トンプソン群 F(m), T(m) の剛性ー柔軟性を Mostow の剛性定理やタイヒミューラー空間論の類似性を強く意識しながら,新たな理解を目指し,部分的ではあるが成果を上げた1年間であった.
著者
宇野 精一
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1955

博士論文
著者
眞溪 歩
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

近年,脳機能を解明するための研究が盛んになってきており,その一例に脳神経活動の副産物として発生する磁界を多点で計測する脳磁界計測(以下,MEG,Magnetoencephalography)がある.MEGの目的のひとつは,逆問題を解き,脳神経活動を時間空間的に同定することである.この逆問題は不良設定問題であり,従来から行われている最適化による解法や,近年登場した統計的処理による解法では,それぞれ局所解に陥る,部分解能が悪いなどの問題を抱える.このような状況下で,本研究では2種類の手法を提案し,評価を行った.主な実績は,それぞれ下記のとおりである.1)ビームフォーミングによって,できるだけ高分解能に,空間的に離散化した脳内の各点の電気的活動を推定する.この段階での分解能は高くないが,各点の活動は時系列データとして得られるため,時系列間の相関をもとにクラスタリングを行い,同期して活動を行った部位ごとに表示することにする.聴覚野と運動野が時間帯をオーバーラップさせ活動するMEGデータに対し本手法を適用し,従来法では不可能であったそれぞれの活動の分離に成功した.2)必ずしも脳内の活動源推定に還元することなく,データどおしを比較し,その類似性を評価する手法としてバーチャルビームフォーミングを提案する.これは,脳内の具体的部位ではなく,特定のMEG活動のような抽象的なものをターゲットするビームフォーミングである.バーチャルビームフォーミングは,心理評価などの意識の介在する評価と異なり,MEGデータのみから脳内処理の類似性などを定量評価できる.音像定位関連MEGに対し,本手法を適用し,音源の移動幅が大きくなるにつれ,音源の出現・消失の反応と近くなることが確認された.
著者
稲田 正次
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1962

博士論文
著者
村尾 次郎
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1961

博士論文
著者
伊藤 友貴
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-04-26

今年度は前年度に引き続き、文書のポジネガ分類予測のタスクにおいて予測までの過程を単語センチメント・その極性反転・文書全体のうちどこが重要かをそれぞれ出力することで説明可能な、解釈可能なニューラルネットワークモデルの構築について取り組んだ。今年度は前年度に比べ、より理論的・そして俯瞰的な側面から本理論について解析し、上記を満たすためには「何が必要十分なのか」を理論的に解析することに成功した。その結果、求められる説明のシチュエーションに応じて柔軟に形式を変えて解釈可能なニューラルネットワークモデルを構築できるような汎用的な枠組みを構築することに成功した。金融業界に限らず、実ビジネスにおいては状況によって求められる説明の仕方が変わりうることを考えると、この「柔軟性」への対応は学術的な側面のみならず産業的な側面からも大きな前進であると言える。また、本プロジェクトの研究成果について、今年度は 査読あり国際会議 6本に採択させることに成功した。特に、今年度は、AI分野のトップカンファレンスである AAAI (採択率 21 %)、データマイニング分野のトップ・難関国際会議である ICDM (採択率 19 %) や SDM (採択率 24 %) といった一流会議に複数採択され、研究実績としても申し分のない結果を出巣ことに成功したと考えられる。らに、共同研究先であるヤフー株式会社と共に本研究成果を用いた金融文書やショップレビューの可視化技術の開発についても取り組み(その一部を言語処理学会年次大会にて発表)、本研究の社会実装に向けても大きな前進を遂げることができた。以上のように、本年度は本研究プロジェクト達成のために核となる技術の創出を行うと共に、研究成果の社会実装に向けて大きく前進することに成功した。
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
vol.第5年報, 1878
著者
東京大学百年史編集委員会
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1985-03

第四編 東京帝国大学の整備第五編 東京帝国大学の拡充第六編 戦時下の東京帝国大学
著者
東京大学百年史編集委員会
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1987-03

第十五編 教養学部第十六編 東洋文化研究所第十七編 社会科学研究所第十八編 新聞研究所第十九編 史料編纂所第二十編 宇宙線研究所第二十一編 原子核研究所第二十二編 物性研究所第二十三編 海洋研究所第二十四編 宇宙航空研究所第二十五編 総長室・事務局・学生部第二十六編 附属図書館第二十七編 諸センター
著者
相馬 尚之
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

本研究は、20世紀初めのドイツ語圏の文学作品等における「人造人間」表象について、当時の科学の発展を踏まえつつ検討することで、文学と科学の相互作用を明らかにするとともに、人間観および科学観に迫ることを目的とする。20世紀初めには、単為生殖や臓器移植実験が成功し、ドイツ圏で科学者たちは「一元論」という世界観を形成した。これらの成果は、熱狂的にあるいは戯画的に文学や映画に取り込まれ、ハンス・ハインツ・エーヴェルスの『アルラウネ』や『フントフォーゲル』、フリッツ・ラングの『メトロポリス』等が現れた。人造人間表象の分析から、当時の人間観の変化、および科学と社会の関係が明らかにされるだろう。
著者
跡見 順子 村越 隆之 平工 志穂 三上 章允 桜井 隆史
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

東京大学教養学部では新入生を対象に必修科目のスポーツ・身体運動を行っている。その科目の一つとして、自分自身の身体を用いて運動を行いながら、運動時の身体変化を科学的に理解することを目的とした「スポーツサイエンスコース」を開講している。約30人の受講生を対象として、生命科学を基本とし、自分自身のからだを通して、また実際に運動することを通して、生命と脳を理解するための、以下の4つの教育プログラムの開発を行っている。1)フィールドにおける呼吸数による至適運動強度の推定を行い、運動に苦手意識を持つ学生にも自分自身のからだの機能を理解させる効果が得られた。2)運動後の脳の活性化を測定するためのプログラムを開発した。パソコンを用いた数分で修了する試験により、脳の活性状態を数値化し、比較検討することを可能としている。3)自分自身のからだを、構成単位である細胞から理解するために、ラットの解剖を行っており、現在、映像コンテンツを作成中である。4)自分自身の身体の動きを理解するために、ゆっくりとした動きを制御する太極拳を実習科目に取り入れ、太極拳について科学的な視点を持って身体の理解につなげる研究を行っている。伝統武術太極拳の脳機能への効果を、近赤外分光法(NIRS : Near Infrared Spectroscopy)を用いて検討した結果、太極拳実施中のOxyHbは対照課題実施時と異なる変化を示すことが明らかになった。1-3の内容をまとめたものを、日本体育学会第56回大会にて跡見、桜井が口頭発表、The American Society for Cell Biology, 44^<th> annual meetingにて跡見がポスター発表を行った。4の内容についてまとめたものを、日本体育学会第56回大会にて平工がポスター発表および共同研究として口頭発表を行った。
著者
中谷 和弘 鶴田 順 石井 由梨佳 坂巻 静佳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

海洋における船舶の安全の確保は単に円滑な海運にとってのみならず「国際社会における法の支配」にとって不可欠の重要性を有するものである。本研究においては、国際海峡とりわけ中東からの石油の輸送路として死活的な重要性を有する海峡であるホルムズ海峡の法的地位と同海峡における船舶の航行をめぐる法的課題、免除を享有する軍艦及び政府船舶に特有の安全確保に関する法的課題、海賊問題、原子力船の地位、防空識別圏、船舶の安全を脅かす行為に対する海上での法執行をめぐる課題等について、国連海洋法条約等の国際法及び海上保安庁法等の国内法の双方の観点から、また法解釈・適用にとどまらず立法論的な観点もふまえて検討した。
著者
黒嶋 敏 谷口 央 金子 拓 播磨 良紀 鴨川 達夫 畑山 周平 山田 貴司 福原 圭一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、戦国時代でも非常にまれな合戦での「大敗」に着目して、敗者側の大名領国に与えた政治的・社会的影響および精神面への影響を考察し、そこから戦国大名権力の特質に迫ろうとするものである。3年間の研究期間を通じて、7つの「大敗」事例に関する史料の収集・調査、ならびに関連する史跡の現地調査を行った。また、期間最終年次となる2017年の12月には、「戦国合戦<大敗>の歴史学」と題する公開研究会を東京大学において開催し、研究代表者を含む7名が成果を報告した。

1 0 0 0 OA 大日本史料

著者
東京大学史料編纂所 編
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
vol.第1編之6, 1928
著者
富永 京子
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2015

審査委員会委員 : (主査)東京大学教授 佐藤 健二, 東京大学教授 松本 三和夫, 東京大学准教授 赤川 学, 東京大学准教授 出口 剛司, 明治大学教授 大畑 裕嗣
著者
村田 道雄 佐々木 誠 安元 健
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

マイトトキシンは、植物プランクトンである渦鞭毛藻が生産する分子量3422のポリエーテル化合物であり、天然物中最大の分子量と非常に強い毒性によって、現在最も注目されている海洋天然物である。われわれは、1993年にマイトトキシンの平面構造とエーテル環が連続している部分の立体化学を明らかにしたが、その他の鎖状部分に関しては未解明の部分が多い。本一般研究Bにおいて、エーテル環をつなぐ部分の立体配座(F-G環の間の2個の不斉炭素とM-N環の間の2個の不斉炭素)を主に有機合成化学的手法により決定することができさらに、C1-C14とC134-C142の側鎖部分に関して立体化学と回転配座を求めた。新たに開発したNMRのスピン結合定数(^<2,3> J_<C,H>と^3 J_<H,H>)と分子力場計算を併用した方法をこの部分に適用した結果、側鎖に存在するすべての不斉炭素を推定することができた。さらに、推定立体構造を有する合成フラグメントと天然物のNMRデータを比較することによって確認作業を進め、同時に、エナンチオ選択的なフラグメントCの合成を行ない、天然の分解物と比較することによって絶対構造を決定することができたので、ここにマイトトキシンの完全構造決定が完成した。
著者
菅野 太郎
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

危機対応における多組織連携をタスク,ヒューマン,ネットワークの観点からモデル化し,危機対応システムを評価するシステムの開発を目指した.上述の3要素を考慮した計算モデルを作成し,シミュレータの開発を行った.具体的には,1)連携におけるタスクモデル構築,2)ヒューマンモデルの構築,3)ネットワークモデルの構築,4)3要素を考慮した連携モデルを構築した.下層の連結性が上層の実行条件となるように実装した.また,各モデルの設定インタフェースとして拡張PCANSモデルを用いた表現,記述を可能にした.各モデルのパラメータを変化させたシミュレーションを行い,以下のこと等が示された.情況依存ルールの有無によって連携パフォーマンスは大きく影響を受ける.既存の規範ルールをベースとしたコミュニケーションライン被害への対応は最適とはならない場合が多い.既存の災害対応訓練のシナリオはしばしば現実性が低い.本研究の結果,今後,訓練シナリオのみならず災害時の医療ネットワークといったコンテキストを絞った危機対応システムを対象することで,より詳細なシミュレーションモデルの構築と現場との連携への展開を図る目途がたった.
著者
臼井 翔平
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

情報過多社会である現在、玉石混交の情報が溢れている。人が閲覧する情報量は膨大で、処理できる情報量を明らかに超えている.そこで本研究では、質の高い情報を系から抽出する事により、誰でも容易に質の高い情報にアクセスできる整理された情報化社会の構築を目指している。情報の質は自然言語における情報量とは大きく異なり、その情報によって呼び起こされる背景知識に基づいている。そのため、自然言語と機械学習のアプローチから情報の質を測定することは困難であった。そこで、本研究では、情報を「拡散しているユーザの集合」として捉える事で、ユーザに蓄積された知識を活用することを提案する。そのためには、ユーザがRTをする確率を推定する必要がある。本研究では、各ユーザがあるtweetにどの程度興味を持っているのかを推定した。本研究においては2017年衆議院総選挙時のtweetを用いた。しかし、ユーザがtweetをRTするかどうかを推定することは本質的に推定することは難しいと言われている。そこで、本研究ではユーザがあるtweetにどの程度の興味を持っているのかを推定した。まず、tweetのクラスタリングを行い、ユーザがどのようなtweetに興味を持っているのかを分析した。tweetのクラスタリングは、自然言語ベースの分類は困難であると言われている。そこで、本研究では、ユーザのRT情報を用いたtweetの分散表現を用いたクラスタリングを行った。その結果、twitter上のユーザは興味のある情報しか見ないということがわかった。この分析結果を用いることによって、多くのユーザから関心を得ているtweet情報を抽出することが可能であると考えられる。