著者
脇 崇晴
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 : 熊本大学倫理学研究室紀要 (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
no.6, pp.101-117, 2012-03

The aim of this paper is to show the significance of feelings in ethics. First, I will explain that the way of caring in terminal care enables us to accept patient's feelings. It is important for patients to express their own feelings to relieve pain, anger, grief and so on. Secondly, I will show that incidents such as ethnic conflict can not be solved simply by justice. Hatred and desire for revenge can not be removed by judgements or punishments. Such feelings have to be healed. Finally, I try to value feelings highly from a standpoint of virtue ethics. According to Aristotle, acting with opportune feelings is virtuous. Here the feelings are not opposed to reason, but rather reasonable. Everywhere in society, expressing feelings adequately is required.
著者
柴田 潤二
出版者
熊本大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

HIVのエンベロープタンパク(Env)を標的とし、感染を抑制する抗体を誘導するワクチン開発が求められている。しかし、HIVはEnvを変異させ、中和抗体から逃避することができる。変異が引き起こす中和抗体逃避メカニズムを詳細に解明することは、ワクチン開発を行う上で重要である。我々は、これまでにHIVの抗gp120-V3領域中和抗体(抗V3抗体)からの逃避に関する研究を行ってきた。V3領域はHIVが標的細胞に感染する際、受容体との結合に重要な領域であり、この領域を標的とした抗体には強い中和能があることが知られている。抗V3抗体を用い、この抗体から逃避するような中和抵抗性ウイルスを誘導したところ、エピトープ以外の領域であるV2領域の数アミノ酸変異で逃避できることが分かった。そこで、本年度はV2領域変異が引き起こす中和抵抗性メカニズムを詳細に解析した。site-directed mutagenesis法を用い、gp120のV2領域の変異を組み合わせたウイルスを作製し、中和感受性に影響を与える変異を探索したところ、L175P変異が抗V3抗体に対する感受性を20000倍以上上げることが分かった。その変異はウイルス膜上に存在する三量体gp120の立体構造に影響を与え、中和感受性を変化させる働きがあることがわかった。つまり、HIVは感染に最も重要と考えられるV3領域を守るため、エピトープ以外のV2領域に変異を入れることにより三量体構造を変えてエピトープを隠し、中和抗体のプレッシャーから逃れることが分かった。本研究により、今後、中和抗体誘導ワクチンを開発するためには、(1)V2領域の変異に左右されないエピトープを標的とした抗体の誘導、(2)V2領域が変異しても、隠れたエピトープを露出させる方法の探索、などが必要であることが示された。
著者
木下 尚子
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
no.78, pp.83-106, 2003-03
著者
寺本 亮太 中村 真之 松尾 翔太 孫 学強 高木 良太
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.93-104, 2011

現在日本では中心部から離れた郊外に存在するオールドニュータウンが問題となっている。自動車での移動に依存していた世代の高齢化により移動手段が確保できず公共交通機関も少ないため不便地域となりつつある。この現状を改善するため交通面から三つの提案を行う。一つ目の提案は電動アシスト付自転車の共同利用である。団地内の数ヶ所に高齢者でも乗ることのできる電動アシスト付自転車を配置し、住民の方々に共同で利用してもらう。二つ目の提案はバスロータリーの設置である。これはバスの本数が少ない地域に路線バスを引き込みバスの便数を増やす方法である。三つ目の提案は電動カートの導入である。比較的低コストで走らせることのできる電動カートを導入することにより、不便地域から駅やバス停までを繋ぐことが出来る。本稿では三つ目の電動カートの導入を中心に提案を行う。The old new town which exists in suburbs has several problems in Japan nowadays. Residents having moved by car is aged and unable to drive, so the town is now an inconvenient area because there are few public transportation. In order to improve this current situation, three transport policy proposals are presented. The first proposal is the shared use of bicycles with electric assistance. We arrange the bicycle with electric assistance by which elderly people can ride, and get residents to use together. The second proposal is installation of a bus rotary. This policy improves the bus service by increase the frequency and changing routes and facilities. The third proposal is introduction of an electric cart. By introducing the electric cart which can be comparatively run at low cost, inconvenient areas can be connected to stations and bus stops. In this paper, we focuses on the third proposal: introduction of electric cart.
著者
清水 俊
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
no.1, pp.146-156, 2006-03

本稿では、ハンス・ヨナスの『責任という原理』において、ヨナスが責任をどのようなものとして捉え、そして私たちが何をしなければならないと考えていたかを明らかにする。そのためにまずヨナスの形而上学的な論理を明らかにし、その後に今日の科学技術文明において求められる責任原理による倫理学の必要性について検討する。
著者
村上 清明 松永 奈美子 赤松 亜弥 大川 高司 山本 俊一郎 マツナガ ナミコ アカマツ アヤ ヤマモト シュンイチロウ Matsunaga Namiko Akamatsu Aya Yamamoto Shunichiro
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.167-176, 2015-03-31

熊本市中心市街地へ通勤する人々が「もっと楽しく!もっと元気に!もっと健康に!」朝を過ごせるような通勤方法「通勤班」を提言する。小学校時代に誰もが経験した集団登校のように、勤務先が同一または近い者同士が集まり、コミュニケーションを図りながら一緒に通勤することで、気軽に楽しく運動ができ、朝から元気になれるのではないだろうか。そこで、熊本市役所周辺を目的地として通勤する「通勤班」を提言する。
著者
大坪 志子 森 康 森 未来
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

縄文時代後期後葉(太郎迫式期)に、九州に出現・盛行するクロム白雲母製の石製装身具は、後期末~晩期にかけて東日本に拡散する。悉皆調査の結果、中部地方が主要分布圏の東限とみられる。クロム白雲母製装身具の東進の背景は、韓半島からの初期農耕の受容と拡散に関連があると想定したが、太郎迫式期に近畿地方での加工が確認され、関東にも数例の類例があることが判明した。東進の背景は、太郎迫式期の土器の動態とより関連が強い可能性がある。
著者
深堀 建二郎 フカホリ ケンジロウ Fukahori Kenjiro
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢
巻号頁・発行日
vol.98, pp.1-2, 2008-03-07
著者
大杉 成喜 岩切 昌大 肥後 祥治 オオスギ ナリキ イワキリ ショウダイ ヒゴ ショウジ Osugi Nariki Iwakiri Shodai Higo Shoji
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 人文科学
巻号頁・発行日
vol.61, pp.145-152, 2012-12-12

For evaluating the developing process of special needs education system at high school level in "P" prefecture, an attitude survey was carried out in 2011. Subjects of the survey were as follows, head teachers of each grade, school nurses, special need education coordinators, and head teachers of career guidance in each high school in "P" prefecture. The data was compared with the results of former surveys conducted in 2007 and 2009 at the same field. On the whole, we could not find out drastic changes at each question in all subject groups, expect school nurses. During two years, they were more concerned with making "individualized educational support plan" and "individualized instructional program". This result indicated that importance of the role of school nurse was getting bigger and bigger in the system of special needs education at high school level. Judging from the point of developing process of the system, many data from the survey in high schools were stay lower than data from compulsory education level. This is one we have to discuss about to promote special needs education in high school level.
著者
辻田 賢一 ツジタ ケンイチ Tsujita Kenichi
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2007-03-27

Early coronary reperfusion limits myocardial damage and improves survival after acute myocardial infarction (AMI). However, growing evidence indicates that this lifesaving therapeutic approach can cause damage to the previously ischemic myocardium,known as post-ischemic myocardial reperfusion injury. There is now increasing evidence that reactive oxygen species cause reperfusion injury. On the other hand, Edaravone (3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one), a novel free radical scavenger, has been shown to inhibit lipid peroxidation and endothelial cell injury. We examined the effects of edaravone in patients AMI.
著者
篠崎 榮 シノザキ サカエ Shinozaki Sakae
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教養部紀要 (ISSN:03867188)
巻号頁・発行日
vol.20(人文・社会科学編), pp.113-124, 1985-01-31

この小論の目標は、その関連を可能な限り解き明かすところに設定されている。そのことを通して、我々にとって正義の理念の探求と、幸福な生を生きたいという欲求との調和は、どのようにすれば達成可能なのかということを考察してみたい。人生が全くの不条理であるとの立場に立たない限り、この正義と幸福の調和は探求するに値する課題であるのだから。
著者
八幡(谷口) 彩子 宮崎 晶子 ?島 亜希子 緒方 美智子 隅田 博美
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育実践研究
巻号頁・発行日
vol.23, pp.73-82, 2006-02-28
被引用文献数
1

本研究では、①中学校技術・家庭科向けに開発した家族の予算計画に関する教材「お金の使い方の選択ゲーム」について、パソコンを使った指導方法を開発すること、②中学校技術・家庭科向けに開発した収入を視野に入れた消費行動に関する教材「買い物ゲーム」と「支出をより少なくする方法」を、高等学校家庭科(家庭基礎)に導入する方法について検討すること、の2点を目的とし、それぞれの有効性について、実地授業を通して検証することとした。The purposes of this paper are 1) to devise a teaching method using the WebCT for family life planning based on the "card game: family finance" which we produced last year for junior high school students, and 2) to consider a method for introducing teaching materials targeting consumer skills, labelled the "shopping game" and one called, "activity: ways to spend less" which we produced two year ago for junior high school students, into the homemaking education in high schools in Japan.
著者
大林 武久
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2011

黄色ブドウ球菌は、血液凝固異常併発により治療困難となるグラム陽性菌敗血症や細菌感染による心内膜組織破壊によって誘発される細菌性心内膜炎の主要な原因菌である。この菌が分泌するシステインプロテアーゼであるスタホパイン(staphopain)には、スタホパインA(staphopain A)とスタホパインB(staphopain B)の2種類が存在し、いずれも敗血症などの感染症病態に密接に関与しており、重要な病原因子として認識されている。そこで、凝固異常と組織破壊に直結するスタホパインの病原作用を研究するために、スタホパインの血漿凝固誘導およびコラーゲン(主要な結合織成分の1つ)分解作用を調べた。