著者
後藤 隆昭
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.109-122, 2016

The purpose of this study is to explore affective changes in Japanese college EFL learners after extensive reading of English newspaper articles. The activity was conducted as part of a general class and a remedial class. Both students were required to bring a Japan-related article they found interesting, take turns reading and attach a glossary to facilitate their work. Finally, a questionnaire survey was implemented, with a Likert scale, text-mining and the KJ method. As a result, students' images of English newspaper articles changed positively, and their interest in reading had been increased. Although there was no significant difference between those two classes, the activity worked for the remedial class. The students also found unexpectedly English newspaper articles easy to read. There is a widely held negative image of English newspaper articles; the image will be changeable in class.
著者
飯野 直子 金柿 主税
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 (ISSN:21881871)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.343-348, 2015-12-18

In order to visualize the environmental radiation dose rate level, we carried out the car-borne survey of gamma-ray dose rates in Kyushu. The obtained data was illustrated on the topographic and geological maps in Kyushu along the run routes as teaching materials. It was found that the characteristics of the environmental-radiation-level in Kyushu Island are as follows: (1) lower tendency of the level is shown in northern Kyushu, (2) high-level tendency is shown at the Kyushu Mountains area and (3) middle-level tendency is shown in southern Kyushu. In addition, we established a website to provide these results for science education and energy-and-environmental education.教材として九州における平時の環境放射線レベルを可視化するために、各県の主に一般道を走行サーベイして得られたγ線線量率データを前報の環境放射線レベル分布図に追加し、九州における環境放射線のレベル分布について概観した.また、本研究で得られた結果やこれまでにモニタリングポスト近傍や航空機内などさまざまな場所で簡易測定器を用いて測定した結果をエネルギ環境教育や理科教育のための素材・教材として提供するためのウェブサイトを開設したので報告する.
著者
飯野 直子 後藤 将太 中村 恭浩 金柿 主税
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要. 自然科学 (ISSN:04546148)
巻号頁・発行日
no.61, pp.39-46, 2012

The advection and dispersion of Asian dust events from China to the Pacific Ocean around Japan in 2010 were investigated using the Multi-functional Transport Satellite (MTSAT) data. Aerosol Vapour Index images, taking the brightness temperature difference between 11 μm and 12 μm, were very effective for monitoring the Asian dust phenomenon in the East Asia region, with their capacity for detection during the day or night. The results were compared with suspended particulate matter concentrations measured at surface stations in Kyushu and with ground-based observations of sky in Kumamoto and Kagoshima. When a dense dust band was crossing over Japan, the rapid increase of SPM concentrations was observed at stations located in the dust path. The observed increase of SPM concentrations corresponded to the distribution of Asian dust shown in AVI images, the visibilities recorded by the Janan Meteorological Agency and the atmospheric turbidity shown in the ground-observation images.
著者
金山 剛
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.105-116, 2011-03-25

地方自治体では、政策形成行政運営に際し様々な統計データが活用されている。熊本市においても同様である。統計データは、主に他都市との比較や過去のデータとの比較による現状分析に用いられ、その対象は、熊本市全域である。今後熊本市では小学校区を単位とした参画および協働による市政やまちづくりを進めていくため、行政運営についても各校区の違いを把握した上で行う必要がある。本報告では、熊本市のまちづくりや政策への校区単位の統計データの活用について検討する。熊本市においては、各校区の違いを把握し、まちづくりや政策に生かしていくことが望まれる。The local government uses a variety of statistical data for policy formation and public management; the Kumamoto city also uses statistical data in a similar manner. The Kumamoto city uses statistical data for drawing comparisons with other cities as well as with the past. In the future, the Kumamoto city will undertake public management and "Machizukuri" by collaborating with citizens. The Kumamomto city considers the districts of elementary schools as separate units. This report examines the inflection of the statistical data to the district of an elementary school for "Machizukuri" and policy formulation in Kumamoto city.

1 0 0 0 IR 散髪令考

著者
三澤 純
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.154-174, 2002-03-20

神風連の乱の直接の原因とされる熊本県における散髪令は全国の散髪令と比較して特異な位置にあること、神風連の乱にのみ結び付けて理解すれば正当に評価できなくなることが明らかになった。各府県において出された独自の散髪令と士族との関係について、歴史的実情に沿った形での研究の深化が求められている。
著者
篠崎 榮
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.19-32, 2000-03-20

この論文で考えることは、「神の像(imago Dei)」という聖書の表現が、「人間とは何か」を考えるうえで、今日どれほどの哲学的・人間学的な意義をもちうるか、ということである。
著者
山田 高誌
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 (ISSN:21881871)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.235-248, 2014-12-12

本論文では,『阪大音楽学』第8号(2009)所収の拙論「18世紀後半のナポリにおける諸劇場所属"コピスタ"の同定」(以下,山田,2009)において銀行換金文書,公証人文書により明らかにした5人のオペラ,バレエのコピスタの名前,活躍の範囲の同定を踏まえ,これがナポリ音楽院付属図書館の筆写譜コレクション,つまり楽譜レベルの同定に結びつく可能性を探る試みを行うものである.同時に,一連の検証作業を通して,同図書館所蔵の「王妃マリア・カロリーナ・コレクション」に含まれる王立サン・カルロ劇場での上演作品の筆写譜についても,コピスタ別にグルーピングを行い,同図書館所蔵の筆写スコアに関する書誌学的基礎データを提示する.
著者
坂田 一浩
出版者
熊本大学
雑誌
国語国文学研究 (ISSN:03898601)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.80-93, 2003-03-25

現代語において「AもBは」という形式をとる、『彼も数学は苦手だ。』『そっくりな二人も、歯の色は違う。』『あの鬼社長もカミさんには滅法弱い。』『君もやる時はやるんだね。』のような諸例には、共通した或る特徴的な意味構造が見出される。そしてそれは、ここに現れている助詞「も」「は」がそれぞれ、「極端例の提示」および「対比・限定」という含みを帯びることによってはじめて明示され得るものと考えられる。本稿ではこのような現象と、その要因について、古典語、とりわけこの形式を意図的に修辞技法として用いたと見られる古典和歌に遡って検証することをその目的とする。
著者
三澤 純
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.1-20, 2000-03-20

本稿における第一の課題は、熊本県立図書館寄託藤岡家文書中の「密報」の年代比定に関する筆者のこれまでの見解の誤りを訂正しつつ、その後の知見を踏まえて水野公寿氏の批判に答え、そして新たな年代比定を行うことにある。第二の課題は「密報」の内容中、特に注目される日本における太陽暦採用とその社会的影響という問題の追究である。
著者
中内 哲
出版者
熊本大学
雑誌
大学教育年報
巻号頁・発行日
vol.14, pp.53-67, 2011-03

本稿は、熊本大学(以下、本学)で林一郎・本学法学部教授が2010(平成22)年度・前期・金曜5限(16時10分始業~17時40分終業、90分間)に開講された基礎セミナー「模擬国連から文明の衝突と対話について考える」の授業内容・方法等を参考に、大学教員のFD(Faculty Development)向上へのヒントを得ようと試みるものである。
著者
上田 富美子 柴山 謙二
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要. 人文科学 (ISSN:0454613X)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.47-54, 2010-12-03

本研究では、現代の大学生の職業選択を通して浮かび上がる心理的側面を他者の存在との関連に焦点を当てながら明らかにし、職業既決・未決定状態を規定する要因を検索することを目的とする。The present study was an attempt to identify contributing factors to both vocational decision and vocational indecision during adolescence, focusing on adolescent student's relations to their significant other and their psychological aspects seen through the process of vocational choices. Based on the results obtained from the study, career education which could possibly answer their needs was discussed. In this study, senior university students were surveyed by questionnaire to gauge their vocational awareness. As a result, it was revealed that for male students, independence from others contributed to vocational decision-making, and for female students, self-actualization was an important factor. It was also indicated that a coping strategy, in which a student changes his/her own cognition positively under stressful conditions to lessen stress responses, contributed to vocational decision.
著者
大熊 薫
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.17-40, 2006-03-31

本論文においては、神との出会いによって創作された『叡智』(sagesse,1880年)の中の数篇において、宗教的実存レヴェルにおける彼の魂の叫びがいかなるものかを考察する。これによって、彼の魂の状態が、常に「聖」と「俗」との間を彷徨っているということを立証する。
著者
川口 恭子
出版者
熊本大学
雑誌
法文論叢. 文科篇 (ISSN:04410173)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.23-41, 1972-12-20

細川三斎は茶道史上、利休七哲の一人として高く評価され、その茶法の伝統は今日まで受けつがれているが、伝来しているいわゆる三斎の茶書も少くない。刊本となったものもすでに早く寛文八年に開板された「細川茶湯之書」をはじめいくつかあるが、写本の類が多い。細川家永青文庫に伝わった「数寄聞書」をはじめ他所に蔵されるもので目にする機会のあった茶書をあつめ、三斎の茶書を概観してみたい。
著者
小川 久雄
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

最近、不安定狭心症患者の末梢血中のリンパ球や単球が活性化していることが報告された。冠攣縮は不安定狭心症および急性心筋梗塞などのような虚血性心疾患の病態において重要な意義をもつ。一方、nitric oxideは冠攣縮において重要な役割を果たす。以前に、我々は冠攣縮性狭心症患者の冠動脈においてnitric oxideの欠乏があることを報告した。また、nitric oxideは免疫応答に影響をおよぼすことが報告されている。本研究では、Th1 cellが産生するinterferon-gammaとTh2 cellが産生するinterleukin-4といった細胞内サイトカインを測定することで虚血性心疾患患者の循環血液中のT helper cellのTh1 cellとTh2 cellへの活性化について検討した。50人の冠攣縮性狭心症患者、23人の不安定狭心症患者、36人の安定狭心症患者、21人の対照患者から採血を行った。その血液をphorbol myristate acetateとionomycinを用いて活性化させた。そしてフローサイトメーターを用いて患者の血液中のT細胞のinterferon-gammaの産生とinterleukin-4の産生を検討した。冠攣縮性狭心症と不安定狭心症の患者のT細胞では対照者に比べinterleukin-4の産生亢進はなくinterferon-gammaの産生亢進状態が認められた。すなわち、これらの患者ではT細胞のTh1 cellへの活性化があることが明らかとなった。また、安定狭心症患者のT細胞では冠動脈病変の多少によるinterferon-gamma産生の差は認めなかった。最近、nitric oxideがTh1・Th2のサイトカイン産生に関与することが報告された。そこで患者血液をnitric oxideとともに培養してみたが、T細胞のinterferon-gammaの産生はnitric oxideにより抑制されることが分かった。これらにより冠攣縮性狭心症および不安定狭心症の患者においてT細胞のTh1 cellへの活性化があることおよびTh1 cellへの活性化はnitric oxideの作用にて減じることが証明された(Circulation 2003 in press)。