著者
Rosen Alan ローゼン アラン
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学五高記念館館報
巻号頁・発行日
no.3, pp.100-109, 2018-03-15

ラフカディオ・ハーンは新聞記者や作家としてよく知られているが、理科学のさまざまな分野にも深い興味を持っていた。本稿ではハーンが書いた天文学に関する記事を紹介し、天文学の知識をどのように利用して文学的な記事を作ったかを分析する。
著者
山梨 八重子
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 : 熊本大学倫理学研究室紀要 (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.153-173, 2014-03

In this study, I examine the basis for justification of paternalistic acts in education. My assumption is that the theory of paternalism does not include apply to children, but accepts paternalistic intervention for children by adults and teachers. The reason behind this is that children are by nature inexperienced compared to adults. However, in reality it is a common occurrence for teachers to intervene excessively for children in the context of school education. Therefore, based on knowledge of paternalism theories, I attempt to define a standard to prevent excessive intervention by teachers with regard to children. In conclusion, I examine the basis of justification for teachers to intervene on behalf of children.
著者
内藤 幸一郎 城本 啓介
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では記号力学系理論とp-進数論に現れる非アルキメデス的性質等の特異性を利用した複雑性解析研究とその耐量子計算機暗号理論への応用を主目的とする。H27年度からの継続研究では、記号力学的に定義されるp-進数を振動数として持つ準周期的力学系の再帰的挙動解析を行い、軌道の予測不能性が生じるための十分条件を導いた。この研究結果は学術論文誌J.Nonlinear and Convex Anal.に掲載発表された。p-進多重近似格子に現れる最短ベクトル問題の計算困難性を利用した格子暗号系の提案とLLLアルゴリズムを用いたその安全性に関わる数値実験結果を学術論文誌Linear and Nonlinear Analysisに3編発表した。さらに、p-進馬蹄写像で定義される記号力学系のカオス性を証明し、この応用として擬似乱数生成器を提案し、生成されたp-進擬似乱数列の乱数度をランダム行列理論検定により評価した。この研究成果については国際学会NACA2017で基調講演発表を行い、同国際会議論文誌に掲載予定である。量子計算機の実現が予想される事例が頻繁に報告されている現在、特にランダム性を取り入れ安全性をより高めた暗号研究が早急に必要であるため、p-進擬似乱数生成器の提案は耐量子計算機暗号研究における重要な基礎研究成果である。分担者は暗号理論に関連する符号理論分野における研究成果を、国際学術論文誌Designs, Codes and Cryptographyに論文発表を行い、国際学会 5th International Combinatorics Conferenceで講演発表を行った。さらに、Melbourne 大学でのDiscrete Structures and Algorithms Seminarなど、国内外で複数の研究集会で最新の研究成果の講演発表を行っている。
著者
浦川 紘子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.183-201, 2005-03-31

本稿では、遺伝子スパイ事件決定を手がかりとして、日米犯罪人引渡し条約3条、逃亡犯罪人引渡法2条6号に規定されるいわゆる「証拠の十分性」要件の意義並びに解釈適用における問題点について、他国の実行と比較しつつ、国際法の立場から考察することを目的とする。
著者
宇佐美 しおり 西阪 和子 田中 美恵子
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度は九州管内の私立K精神病院にて、海外のアサーティブ・トリートメントモデル(以後ACT)が日本の精神障害者を対象として実施できるのかどうか、についてのパイロットテストを行った。GAF35以下、入退院を繰り返すか長期入院の患者で本調査に同意の得られた統合失調症患者5名(介入群)にACTを実施し、その評価を病状、日常生活機能、社会的機能、ケア満足度で行い、また介入内容を記録に残し、介入内容の検討を行った。介入は海外のスタンダードにそって実施し、介入にあたってはスタッフ訓練を行った。これらの結果を対照群5名の結果と比較した。その結果、ACTチームのフィディリティスケールが若干低いこと、地域資源をチームメンバーにいれることが困難であったが、海外のスタンダードにそって介入が可能であることがわかってきた。そこで、平成19年度は、ACTチームを固定化して、介入群10名、対照群10名で介入前後の比較を行った。ACT介入群の病状、日常生活機能、社会的機能は入院時、退院時、退院3か月後と改善し、対照群と有意な差がみられていた。また介入内容については地域での生活を念頭にいれた介入が中心的となっていたが、患者のニーズを中心とした支援より、再燃予防を目的とした介入であることが明らかとなった。今後、病状を含めた患者のニーズを中心とした介入の必要性が示唆された。
著者
渡辺 学 久ヶ枝 隆子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育実践研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.137-148, 1989-02-28

歌唱・器楽・創作といった各領域がそれぞれ系統化されてはじめて音楽科という教科が成り立っているという,他教科のそれにならってする理論立て-リズム・メロディ・ハーモニーという音楽の3要素を,それぞれ低・中・高学年のグレードとし,発達段階をふまえてする系統に見倣すような錯覚も含めて-をすることへの反省として,また,すべての子供に同一の課題を出し,一線にならべて競わせ,優劣を問うような音楽科でなく,それぞれが異る活動をしながら,全体が統一されていく集団的パフォーマンスとしてのミュージカル学習を想定し教材づくりをまとめた.実践を通して,稚拙で荒けずりではあっても,より自由にして自発的な表現そのものをまず認めるべきであるということを知ったことを特記したい.いうなれば,言語・音楽リズム・身体運動・造型性・社会性などのいわゆる保育目標を向上させると同時に,それぞれの領域に分離しない綜合的な表現をということになるのであるが,幼稚園・保育園のみならず,小学校もその延長線上にあることを認識したい.
著者
彭 柯然 ホウ カゼン Peng Keran
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.330-320, 2017

This paper is intended to discuss the features of novel in the Tang dynasty, which were translated by Kawabata Yasunari in 1926. Previous research focused on the translations by Kawabata is rather limited, so will be explored in this paper. Broadly there are three direct approaches: analysis by narration, conversation, and poetry. Finally there will be farther analysis, revealing the background of the translations by Kawabata Yasunari.
著者
溝渕 園子 ミゾブチ ソノコ Mizobuchi Sonoko
出版者
熊本大学
雑誌
Acculturation dans les epoques d'internationalisation / 国際化時代の異文化受容
巻号頁・発行日
pp.107-119, 2007

本稿では、この『コーカサスのとりこ』が、日露戦争期の日本において、どのような作品として翻訳されたのかを検証する。その目的は、従来のトルストイ受容史ですでに明らかにされている平和主義者トルストイ像の系譜とは異なる一面に光をあてることである。 まず、明治期の日本におけるトルストイ受容経路の概要を、先行研究に照らして確認する、そうしたトルストイ受容史をふまえた上で、『コーカサスのとりこ』が初期翻訳においてどのように捉えられていたのかを、媒体となった掲載誌の特徴を通して把握する。次に、初期翻訳を原文と対比させ、相違点を指摘することにより、『コーカサスのとりこ』が明治期の翻訳当初、どのような文脈におかれていたのかを論じる。最後に、これらの考察を通して、戦争との関わりからトルストイ受容史のさらなる一面の可能性を確認したい。