著者
長谷川 恵理 山下 進太郎 吉田 登 新島 新一 徳川 城治 菱井 誠人 尾﨑 裕 清水 俊明
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.36-41, 2018 (Released:2018-06-14)
参考文献数
16

We report a case of an interhemispheric cyst complicated by subdural hematoma in a 16-year-old boy. He was diagnosed with a right interhemispheric cyst on magnetic resonance imaging (MRI) of the head during examination for an afebrile seizure at 14 years of age. Approximately one year later, a head MRI was performed to investigate the cause of headaches. The interhemispheric cyst was found to have decreased in size, but subdural effusion continuing from the cyst at the right convexity was observed. Two months later, following a severe headache, a head MRI showed hemorrhage at the place of effusion in the subdural space. Additionally, displacement of the brain parenchyma was observed. Emergent drainage of the subdural hematoma was performed, and the patient was diagnosed with chronic subdural hematoma. In this case, the head MR images taken over time showed the development of subdural effusion from the interhemispheric cyst, followed by the development of a subdural hematoma. Slight trauma is known to cause subdural hematoma in patients with arachnoid cysts; upon diagnosis, it is important to inform patients of the precautions to prevent an increase in intracranial pressure and response to the symptoms of increasing intracranial pressure.
著者
山本 伸一郎 清水 俊一 森 泰生
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.3, pp.122-126, 2009 (Released:2009-09-14)
参考文献数
15
被引用文献数
2 6

Transient receptor potential channel(TRPチャネル)のmelastatin(M)ファミリーに属するTRPM2はカルシウムイオン(Ca2+)透過性のカチオンチャネルであり,単球/マクロファージや好中球など免疫系細胞において最も豊富に発現が認められている.また,TRPM2は過酸化水素などによる酸化的ストレスによって活性化される特徴を有しているが,詳細な機構には不明な点が多い.筆者らは,当初培養細胞を用いた実験で過酸化水素刺激によるTRPM2を介したCa2+流入が細胞死を引き起こすことを初めて明らかにした.しかし,TRPM2に対する特異的な阻害薬やknock out(KO)マウスがこれまで存在しなかったことから,生体内においてTRPM2がどのような生理的役割を担っているかについては明らかにされていなかった.最近,筆者らは単球/マクロファージにおいて過酸化水素刺激によるケモカイン産生誘導にTRPM2を介したCa2+流入が重要な役割を果たしていることを明らかにした.さらに,in vivoにおけるTRPM2の生理的役割を明らかにするためにTRPM2 KOマウスを作製し,炎症性疾患の発症や進展におけるTRPM2の役割を検証した.その結果,デキストラン硫酸ナトリウムを用いた炎症モデルマウスにおいて,TRPM2依存的な単球/マクロファージからのケモカイン産生が炎症部位への好中球の浸潤を惹起し,炎症の増悪を引き起こしていることを明らかにした.本稿では,我々が明らかにした単球/マクロファージにおけるケモカイン産生誘導および炎症におけるTRPM2の関与の詳細を述べ,炎症性疾患における新規創薬ターゲット分子としての可能性を有するTRPM2の重要性について議論し,筆者らが得ている新しい知見を加えて詳細が不明である酸化的ストレスによるTRPM2の活性化について再考する.
著者
清水 俊一 石井 正和 根来 孝治 根来 孝治
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

Transient receptor potential melastatin 2(TRPM2)は、酸化ストレスにより活性化される非選択的陽イオンチャネルであり、好中球や心筋細胞に発現が認められている。本研究は、酸化ストレスや炎症反応が関わっている心臓の虚血再灌流障害にTRPM2が関与しているかどうか検討した。野生型(WT)およびTRPM2欠損(KO)マウスの左冠動脈を結紮・開放することにより心臓の虚血再灌流モデルを作製した。その結果、虚血再灌流による心筋壊死はWTマウスと比較してKOマウスでは抑制されていた。一方、虚血のみによる心筋壊死はWTマウスとKOマウスで差が認められなかった。また、虚血再潅流による心機能低下もKOマウスで抑制された。さらに、再灌流領域における好中球の浸潤が、KOマウスで抑制されていた。次に、摘出心臓の虚血再灌流障害モデルを作製し、多形核白血球(PMNs)の導入を行ったところ、KOマウス由来のPMNsを導入しても心筋壊死は軽度であったが、WTマウス由来のPMNsを導入すると著しい心筋壊死の促進が認められた。そこで、WTマウス由来のPMNsにH_2O_2とleukotriene B_4(LTB_4)を添加したところ、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が認められ、この上昇は好中球の血管内皮細胞への粘着に関わっていた。以上の結果から、TRPM2は心臓の虚血再灌流障害の進展に関与していることが明らかとなった。この機構には、再灌流時に好中球のTRPM2が活性化され、その結果、好中球の血管内皮細胞への粘着亢進による心臓への遊走が関与していると思われる。
著者
清水俊二訳
出版者
西武タイム
巻号頁・発行日
1985
著者
黒崎 碧 田中 恭子 江原 佳奈 清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.490-495, 2013 (Released:2014-05-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的:被虐待児における認知および精神症状の特性について検討する.方法:当院を受診した被虐待児21例を対象に,臨床所見および心理検査所見を考察し,その特性につき検討を行った.結果:被虐待児の精神症状として,境界域知能,多動,衝動性,言語社会性の遅れなどがみられ,認知機能は偏りが大きく,特に習得度が低く,同時処理能力優位である傾向にあった.また,虐待の原因として考えられた要因には患児自身の疾病,養育者側の経済的問題や心身の疾患が存在するケースがみられた.結論:虐待の長期化は,子どもの発達を著しく阻害し,脳へのダメージも大きいといわれており,その後遺症として,発達障害に酷似した症状を引き起こすといわれる.虐待の早期発見と適切な介入等,長期的な心理社会的支援などの確立が急がれる一方で,虐待の影響が発達期の脳発達に及ぼす影響をさらに多角的に検討を深め,多様性に富む臨床像に対する支援の方向性を見出す必要性があるものと思われた.
著者
村田 卓士 岡本 奈美 清水 俊男 玉井 浩
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.101-107, 2007 (Released:2007-04-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1 6

PFAPA症候群とは,周期性発熱,アフタ性口内炎,頸部リンパ節炎,咽頭炎を主症状とし5歳以下の乳幼児期に発症する非遺伝性自己炎症性疾患である.病因,病態は現在不明であるが,サイトカイン調節機能異常は重要な病態の一つと考えられる.発熱発作の周期は規則的で通常3~6日間続くが,間歇期は全く症状を欠き活動性も正常である.その他,扁桃炎,倦怠感,頭痛,関節痛,腹痛,嘔吐,下痢,咳,血尿,発疹など多彩な症状を呈するが,いずれも後遺症は残さない.発熱時の非特異的炎症反応の他は特異的な検査所見はなく,診断にあたっては他の発熱性疾患の鑑別を含めた臨床診断が重要である.特異的な治療法はなく,有熱期間の短縮効果としてステロイド薬,寛解導入が期待できるものとしてシメチジンや扁桃摘出術などが考慮されることもあるが,症例の集積および検討を要する.他のautoinflammatory syndromeに比して予後は良好で,多くの症例では発症後経時的に発作間隔は広がり4~8年程度で治癒,成長および精神運動発達も正常である.口腔内病変をともなう小児期の反復性不明熱においては,本症を常に考慮する必要がある.
著者
後藤 淳 岩田 英信 清水 俊行 高橋 督 白形 昌人 佐藤 充則
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.415-420, 2008-07-28 (Released:2008-12-16)
参考文献数
25

慢性血液透析患者が安心してカリウム(K)含有量の多い食品を食べることを検証するために,透析開始直前のミカン摂取が透析前後の血清K値および透析によるK除去量におよぼす影響を検討した.過去3か月の透析前血清K値が6.0mEq/L以下の透析患者13名(男性6名,女性7名;平均年齢59.3±12.6歳)を対象として,ミカン非摂取日および摂取日の透析前後の血液と透析排液を採取して電解質濃度を測定した.ミカン摂取日は透析開始直前にMサイズのミカン5個(総重量0.5~0.55kg,K負荷量約15mEq)を摂取した.血清K値は,ミカン非摂取日は透析前4.8±0.5mEq/L,透析後3.3±0.4mEq/L,ミカン摂取日は透析前5.0±0.6mEq/L,透析後3.3±0.3mEq/Lであった.透析によるK除去総量は,ミカン非摂取日44.9±9.5mEq,ミカン摂取日51.5±9.6mEqであり,その差は6.6±7.1mEqでミカンによるK負荷量の44%が除去された.以上の結果から,普段の透析前血清K値が6.0mEq/L以下の透析患者においては,Mサイズのミカン5個程度までなら透析開始直前に摂取しても安全と考えられた.
著者
上村 和人 清水 俊幸 石畑 宏明 堀江 健志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1569-1577, 1995-07-15

LINPACKベンチマークに並列化とベクトル化を施し、NCA付きAP1000を用いて性能を評価した。LINPACKの並列化では負荷が均等でかつデータパラレル実行が可能となるようにデータを分散させ、ブロッキングを施すことによって行列積演算や外積演算といったベクトル化が容易でかつ高い性能が得られる演算に帰結させた。理論ピーク性能に対して、単体実行時で61%、並列実行時で47%の性能が得られた。また、1000×1000の行列を解く場合、NCAを付加した16セセルで、NCAを付加しない128セルのAP1000とほぽ同等の性能が得られた。
著者
内藤 結花 石井 正和 川名 慶治 坂入 由貴 清水 俊一 木内 祐二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.735-740, 2009-06-01 (Released:2009-06-01)
参考文献数
9
被引用文献数
5 8

Pharmacists in a community pharmacy may recommend an over-the-counter (OTC) drug to patients with headache. However, it is not clear how pharmacists should distinguish the symptoms of patients and facilitate appropriate self-medication. Here, we investigated the role of pharmacists in a community pharmacy in recommending OTC drugs for self-medication by patients with headache and elucidated their future needs using a questionnaire intended for doctors and pharmacists. More than half of the pharmacists surveyed did not have any experience with recommending OTC drugs for patients with headache. To distinguish between patients for whom pharmacists should “recommend OTC drugs” and patients who should be encouraged “to consult a hospital or clinic,” doctors thought that pharmacists should use an “assistance tool to diagnosis headache, such as a screener for migraine” and “guidelines for chronic headache.” However, few pharmacists used these tools. About 68% of doctors indicated that it would be “meaningful” for pharmacists to distinguish patients with headache. Moreover, both doctors and pharmacists thought that pharmacists should provide patients not only with “instruction on the use of drugs” but also suggest “when to consult a hospital or clinic.” However, 32% of doctors indicated that it is “meaningless” for pharmacists to attempt to distinguish patients with headache and expressed concern about the increase of patients who overuse headache medication. These findings provide useful information to guide pharmacists in community pharmacy when recommending OTC drugs for self-medication by patients with headache.
著者
池上 幸江 山田 和彦 池本 真二 倉田 澄子 清水 俊雄 藤澤 由美子 由田 克士 和田 政裕 坂本 元子
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.285-302, 2008-12-10
被引用文献数
3 7

食品成分表示・栄養教育検討委員会ではこれまで栄養成分表示に関する調査を行い,報告書として発表し,また栄養成分表示や健康強調表示に関するシンポジウムなどを開催してきた。前期の委員会では栄養成分表示と健康強調表示に関する意識調査を多様な対象者について行った。今期はこの調査結果を以前の調査と比較しながら,報告書としてまとめることとした。また,今後は新たな調査も加えて,栄養教育の観点から栄養成分表示や健康強調表示のあり方について,一定の見解をまとめた。本調査では,栄養成分表示,健康強調表示については,特定保健用食品や栄養機能食品,「いわゆる健康食品」について,認知,利用,情報源などについて調査した。その結果,<br>(1) 栄養成分表示は広く見られており,健康維持や増進のために利用されている。しかし,現状の表示は分かりにくく,また対象食品が限られていることから,消費者は改善を望んでいる。これらの結果は前回調査と同様であった。<br>(2) 特定保健用食品の認知度はきわめて高く,利用もされていた。とくに若い世代,学生での認知や利用が高いが,高齢者や生活雑誌読者での利用は低かった。他方,関心のある保健の用途は「体に脂肪が付きにくい」や「お腹の調子を整える」,「腸内環境を整える」などであった。しかし,保健の用途の関心と成分の関連には十分な認識がなく,消費者への情報提供が十分ではないと思われた。<br>(3) 栄養機能食品に対する認知や利用は特定保健用食品に比べると低かったが,世代間の傾向は(2)の特定保健用食品と同様であった。<br>(4)「いわゆる健康食品」の利用については特定保健用食品の利用とは異なる傾向を示した。すなわち年齢階層による差異が少なく,高齢者による利用も高く,特定保健用食品とは異なっていた。<br> 「いわゆる健康食品」に関する情報源はテレビや知人・友人からのものが多く,科学的な根拠の入手が困難な状況にあることを反映している。今後「いわゆる健康食品」の有用性や安全性の確保についてどのような制度を作るかが課題と思われる。