著者
小西 雅子
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.133-138, 2000-02-29
著者
森 真理子 高谷 美正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.567-581, 2004-08-31
参考文献数
34
被引用文献数
9

1996年から2001年にかけて,関東地方で降ひょうやダウンバーストによる被害が発生した1996年7月15日,2000年5月24日および2001年5月11日の3事例について,空港気象ドップラーレーダーや気象レーダー,高層気象観測,地上の気象データおよび被害調査等から解析を行った結果,以下のことがわかった.(1)いずれの事例も単一セル構造で,システムの中層にメソサイクロンとBWER(bounded weak-echo region),その上層にヴォールトを有しており,孤立したスーパーセルの特徴を備えていた.各事例の時間・空間スケールや擾乱の激しさの度合いは,大気の不安定度,風の鉛直シア,大気下層の収束場と密接な関連があった.(2)これらのシステムには,共通するライフサイクルがあった.始めに暖湿なS風と冷たく乾いたN風の収束領域で,南西端のエコーが発達してひょう域が生じ,それが一旦急減した後,システムは次第に発達してひょうコア(エコー強度60dBZ以上の部分)やWERが出現した.やがてシステムはNE風の領域に入り,BWERが形成された(形成期).その後システムは鉛直方向に急成長して発達期を迎え,その直後に顕著なダウンバーストが発生した.続いて上空でひょう域が拡がり成熟期となって,降ひょう被害が継続し,やがて衰退期に入りダウンバーストが発生した.この変化とともに,約18〜24分周期でひょうコアの降下や上昇の繰り返しがあった.
著者
藤部 文昭
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.643-653, 1998-08-31
参考文献数
19
被引用文献数
15

関東平野の内陸域で著しい高温(日最高気温≧36℃)の観測される日数が大幅に増えている実態を示し, それをもたらした要因を1961〜96年の気象官署資料等を使って検討した.猛暑日の一般風を西寄り(W型), 北寄り(N型), 弱風(C型)の3つに分け, それぞれについて日最高気温や850hPa気温の経年変化を観察した.その結果によると, 著しく高温な気団におおわれる晴天日(850hPa気温≧21℃で日照時間≧8時間)が1980年代以降に高い頻度で現れている.従って, 猛暑日数の増加, とりわけ38℃以上の極端な猛暑の頻発には総観的な要因がかかわっていると考えられる.一方, W型とC型については850hPa気温の変化を除いてもなお, 内陸域の日最高気温には明らかな経年上昇が認められ, これらの型の猛暑日数増加には都市化が影響していると推測される.
著者
高橋 劭 鈴木 賢士 Wang Caiwei Guo Changming
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.1191-1211, 1995-12-25
被引用文献数
1

「黒河流域における地空相互作用における日中共同研究」HEIFE プロジェクトの一環として中国・平凉での半乾燥地域に発達する夏の雲の降水機構の研究を行った。ビデオゾンデによる降水粒子の映像、レーダ、ゾンデ上昇速度、地上電場の測定から雲内での降水粒子の成長過程について解析を行った。この地域においては降水機構の全く異なる2つの降水雲システムが観測された。1つは電気的に活発な霰形成が主な雄大積乱雲で他は梅雨前線に伴う雪片形成で雨を降らす層状雲である。Hobbsの主張する "Generation Cell" の降水への役割については、本地域に現れた梅雨前線帯の層状雲では当てはまらないようである。
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.466-468, 2007-05-31

平成18年の梅雨入りは九州南部と東北南部を除いて平年より遅く,梅雨明けは南西諸島を除いて遅かった.梅雨前線は,6月前半は南西諸島から日本の南海上に位置することが多く,活動が活発だったが,下旬には西日本に停滞することが多くなった.7月に入ると,梅雨前線は本州上に停滞することが多かった.特に,7月15日から24日にかけては活動が非常に活発となり,九州から本州にかけての広い範囲で豪雨となり,甚大な被害が発生した.気象庁は,7月15日から24日に発生した豪雨について,「平成18年7月豪雨」と命名した.梅雨時期の降水量は,東北北部を除いて平年よりも多かった.5月下旬から6月中旬にかけては,活動が活発な梅雨前線の影響を受けた南西諸島で降水量が多くなり,奄美地方では梅雨時期の降水量がかなり多くなった.また, 7月は本州付近で前線の活動が活発となったために,西日本から東日本,東北南部で降水量が平年よりかなり多くなった地域があり,平成18年7月豪雨が発生し,記録的な大雨となったところがあった.一方,東北北部では,6月から7月の降水量が平年の8割程度となった.
著者
記載なし
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.400-403, 2004-05-31

(1)今年の梅雨入りは平年よりやや遅く,九州南部では10日程度遅れた.梅雨明けは九州南部でやや遅くなった他はほぼ平年並みであった.6月中旬から下旬は,梅雨前線が本州の南岸付近に停滞する事が多かった.7月上旬以降は,梅雨前線が日本海から東北地方に停滞して,東北地方や東日本で降水量が多かった.(2)台風の発生数は平年並で,7月には台風第6号,第7号が関東,東海へ相次いで上陸した.10月には台風第21号が関東に上陸して北日本を縦断した.
著者
楠 昌司 伊藤 明
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
大会講演予講集
巻号頁・発行日
vol.83, 2003-05-21
著者
Steiner Matthias Houze Jr. Robert A.
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.73-95, 1998-02-25

時間的に粗い観測に基づく降雨特性の評価には降雨の時空間的な変動によるあいまいさを伴う。この研究では, サンプリング頻度に依存した月平均レーダー反射強度のプロファイルと地上雨量分布の不確かさについて評価する。オーストラリア, ダーウィンにおいて1993年の終わりから1994年の春までのモンスーン期間に得られたレーダーデータと雨量計データを用いて, 観測頻度に対する月平均の三次元レーダーエコーと降水特性の感度を示す。観測データは, エコーの水平及び鉛直構造に基づいて, 「対流性」, 「層状性」と「アンビル」に分類される。解析結果は, 時間間隔の長い観測データを用いた降水特性の見積りの不確かさは降雨量に比例するという期待される傾向を明かにする。このことは, 回帰頻度の高い宇宙観測プラットフォームを用いた気候学的な研究に示唆を与える。500 km×500 kmの観測範囲をほぼ2回/日の頻度で回帰する熱帯降雨観測衛星(TRMM)搭載レーダーは, 熱帯のレーダー反射強度の鉛直プロファイルを評価する上で重大な問題に直面する。ダーウィンにおける半径150 kmのレーダー観測に基づく月平均反射強度の統計は, 雨と雪ともにサンプリング頻度に依存した, 約20%の不確かさを示す。また, TRMM衛星のレーダー信号は0℃層以下で強い減衰を受け, 降雨レーダーでは20 dBZ以下の反射強度は測定できないであろう。それゆえ, 衛星搭載レーダーでは降水の鉛直構造の観測において不明瞭な部分が残る。TRMM衛星データに基づく信頼できる反射強度の統計は, 地上高度5-7.5 kmの範囲に限定されると考えられるが, その高度範囲は, 液相と固相両方の降水過程が起きているので, 雲内の電荷発生には重要である。サンプリングの不確かさ, 信号の減衰及びレーダーの感度は降水タイプ毎に変化する。さらに, 対流性の雨の割合の評価は, Z-R関係の選択と同様にエコー分類におけるあいまいさにより困難になる。これらの結果は, TRMM衛星による降水特性の評価を改良するための地上設置の検証用レーダーによって得られる情報と, それから推定される潜熱の鉛直プロファイルに関する情報の重要性を意味する。