著者
水野 建樹 近藤 裕昭 吉門 洋
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.171-180, 1993-03-31
被引用文献数
9

関東地方では,移動性高気圧の後面から総観規模の寒冷前線が通過し去る間,内陸部下層に逆転層が形成され東京湾上に局地不連続線が生じる場合がある.初冬にはこの不連続線の形成に伴って大気汚染が悪化する.観測によれば,局地不連続線はそれまで関東平野部をおおっていた大気に比べて相対的に暖かい西よりの風が,中部山岳を北回りにあるいは南回りに関東内陸部上空に達したとき出現しており,これは関東内陸部では中部山岳部が壁となって下層によどみ域が発生する一方,関東南岸には障害物がないため西よりの風が卓越しているためと考えられる.局地不連続線は両者の気団間で出現する.このとき,館野上空 1000m程度の風向は約210〜310度にあり,館野高層データから求めたフルード数は風向によって変化するが,およそ0.3〜1.3程度であった.また局地不連続線は,それに先だって南〜西よりの風が少なくとも半日程度持続しているとき多く出現していることがわかった.
著者
後藤 隆雄
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.809-816, 2000-11-30
著者
高橋 忠司
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 = Tenki (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.215, 2008

rights: 社団法人日本気象学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation: IsVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110006655752/
著者
津田 敏隆 深尾 昌一郎 山本 衛 中村 卓司 山中 大学 足立 樹泰 橋口 浩之 藤岡 直人 堤 雅基 加藤 進 Harijono Sri Woro B. Sribimawati Tien Sitorus Baginda P. Yahya Rino B. Karmini Mimin Renggono Findy Parapat Bona L. Djojonegoro Wardiman Mardio Pramono Adikusumah Nurzaman Endi Hariadi Tatang Wiryosumarto Harsono
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.393-406, 1995-06-15
被引用文献数
20

日本とインドネシアの協力により1992年11月にジャカルタ近郊に赤道大気の観測所(6.4°S、106.7゜E)が開設され、流星レーダー(MWR)と境界層レーダー(BLR)が設置された。MWRにより高度75-100kmにおける水平風と温度変動が1時間と4kmの分解能で測定された。一方、BLRを用いて高度0.3-5kmの大気層の風速三成分を毎分100mの分解能で観測した。さらにBLRに音響発信器を併用したRASS(電波音響探査システム)技術により温度変動の微細構造をも測定した。これらのレーダーの運用は1992年11月のTOGA/COAREの強化観測期間に開始され、その後2年以上にわたって連続観測が続けられている。また、レーダー観測所から約100km東に位置するバンドン市のLAPAN(国立航空宇宙局、6.9°S、107.6゜E)において、1992年11月から1993年4月にかけて、ラジオゾンデを一日に4回放球し、高度約35kmまでの風速・温度変動を150mの高度分解能で測定した。その後、1993年10月から一日一回の定時観測(0GMT)も継続されている。この論文では観測所における研究活動の概要を紹介するとともに、観測結果の初期的な解析で分かった、TOGA/COARE期間中の熱帯惑星境界層の構造、対流圏内の積雲対流、ならびに赤道域中層大気における各種の大気波動の振る舞いについて速報する。
著者
鈴木 博人 加藤 亘 島村 誠 畑村 真一 野村 真奈美 日置江 桂
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.353-365, 2009-05-31
被引用文献数
1

本研究では,列車運転規制に利用することを目的に,日本海沿岸部における冬期(11月から3月)の寒冷前線に伴う突風に対して,レーダーエコーデータを用いた突風警戒基準を開発した.突風を発生させる可能性のある親雲の検出基準は,1km格子のレーダーエコーデータにおいて,80mm/h以上のエコー強度が10格子以上存在し,なおかつそれらの格子における最大のエコー頂高度が6km以上の場合とした.この基準を用いることで,2005年冬期から2008年冬期までの4冬期において,日本海及びオホーツク海の沿岸部で発生した人的被害を伴う全突風3事例を検出できる.また,人的被害のなかった事例を含めた全突風7事例のうち,4事例を検出できる.本研究で定めた突風検出基準を用いて,次のような列車運転規制方法を考案した.突風検出基準を超過するレーダーエコーが現れた場合には,その地点の北から南東までの方角において約38km以内の範囲を突風の警戒範囲とする.鉄道の線路がその警戒範囲内に含まれる場合には,その区間における列車の運行を停止する列車運転規制を実施することにした.この方法を羽越本線新津・酒田間及び白新線新潟・新発田間に適用したところ,これらの路線が突風の警戒範囲に含まれる時間及び回数は,4冬期の平均で1年あたり150分及び4.0回であることが分かった.この検証結果に基づき,上記区間において本研究で開発した列車運転規制の試行を2008年1月28日から開始した.
著者
三好 勉信 守田 治
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.529-544, 1993-08-25

水の物理過程が、地球の大気大循環にどの様な影響を与えているかを調べるために、水の物理過程を全て排除した大気大循環モデルを作成した。水の物理過程を排除したモデルで得られた大循環は、水の物理過程を全て含んだモデルで得られる大循環とは大きく異なった。例えば、地表のアルベドをすべての地点で0.1とした場合、水の物理過程を含んだ場合の地表付近の平均温度は289Kであるのに対して、水の物理過程を排除した場合は279Kである。地表付近での極と赤道の温度差は、水の物理過程を含んだ場合は約40Kであるのに対して、水の物理過程を排除した場合は約100Kである。気温の鉛直分布、南北分布についても、2つの実験で大きく異なった。帯状流は、水の物理過程を含んだ場合は緯度30-50゜で最大となるのに対して、水の物理過程を排除した場合は60-70゜で最大となる。直接子午面循環(ハドレー循環)の南北幅は、2つの実験でほほ同じになったが、循環の強さは、水の物理過程を排除した方がはるかに弱くなった。さらに、波の活動度、間接子午面循環(フェレル循環)の南北幅、強さも、2つの実験で大きく異なった。地表面及び大気の熱収支について詳しく調べ、それらを基に水の物理過程を含んだ場合と排除した場合の熱収支の違いについて議論を行った。また、水の放射過程が熱収支に及ほす影響、および水の蒸発、凝結、カ学による水蒸気輸送が熱収支に及ほす影響について議論を行った。
著者
牛山 素行 宮崎 敏孝
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.47-54, 1993-01-31
被引用文献数
6

1991年3月23日未明,長野県中部の山岳地帯で発生した雨氷現象について,発生時間中の移動調査や直後に実施した聞き取り調査などによって,発生の状況を詳しく調べた.今回の雨氷現象は,長野県中部の山脈の北側斜面のほぼ標高1200〜1800mの範囲内で確認できた.総観規模の気象データでは,雨氷発生の条件とされる0℃前後の気温逆転層は確認できなかったが,発生地付近の地上気温データからは,現象発生時に標高2000m付近に暖気が入ってできた0℃前後の気温逆転層が解析された.しかし,同時間帯に山脈の南側斜面では気温逆転は見られず,山脈の存在が現象発生に影響を及ほすものと考えられた.雨氷発生域内では,発生中の気温変化がほとんど無く,ほぼ0〜-1℃の範囲で安定していた.雨氷発生中の降水量は1〜3mm/hと少なく,このため森林等への被害には至らなかった.
著者
松下 拓樹 尾関 俊浩 西尾 文彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.675-680, 2005-09-30
被引用文献数
1

2004年2月に北海道の岩見沢周辺で発生した雨氷現象について, 地上気象観測資料と客観解析資料を用いた解析を行った.その結果, 岩見沢で着氷性降水があった期間は, 22日21時30分頃から23日5時頃までであり, 雨氷が発生した地域は, 岩見沢から滝川までの約40kmの範囲と推定された.着氷性降水時, 岩見沢における地上気温は-0.5℃前後で推移し, 雨氷の形成環境としてはそれほど低い気温状態ではなかった.しかし, 雨氷表面における理論的な熱収支計算によると, 北東からの6m/s前後の風による通風効果によって負の熱フラックスが増加し, 雨氷が発達しやすい大気環境であったことが示された.
著者
川村 隆一 村上 多喜雄
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.619-639, 1998-08-25
参考文献数
30
被引用文献数
10

赤外輝度温度、850hPa高度、風、気温、比湿データに調和解析を適用し、季節変化の長周期成分(第1から第3調和関数までの和)をLモード、残りの調和関数で表現される短周期成分をSモードと定義した。初夏の期間、Lモードはカムチャッカ半島-オホーツク海上のリッジと、中国北部(大陸の熱的低気圧の中心)から日本、さらに東方へ延びるトラフのブロッキング型循環パターンを示す。オホーツク海上の局所的なLモード高気圧セルの発達により、アリューシャン諸島付近から北日本へかけての下層東風偏差が強まる。この東風偏差と大陸の熱的低気圧の南東縁に沿った南西風偏差によって、日本付近で水蒸気収束を伴う強い低気圧性シアーが形成される。初夏にみられる東アジアと西部北太平洋との間の東西温度勾配の強化と関連した、Lモード下層トラフの発達は梅雨システムの形成に必要である。大陸スケールの熱的低気圧の発達に起因する、中国東岸に沿うLモード南西風は、モンスーン西風と中緯度偏西風をつなぐブリッジとなり、結果として南シナ海から中部北太平洋へ延びる対流圏下層の西風ダクトを生み出す。6月中旬の梅雨オンセット期には、対流起源のSモードonset cycloneが南シナ海上で発達し、ほぼ同時にSモードonset anticycloneがonset cycloneの北東側に組織化される。下層西風ダクト周辺のSモード擾乱の増幅が熱帯から日本南部へ、湿潤で温暖な空気の北向き移流をもたらしている。7月中旬までに、アジア大陸の熱的低気圧はそのピークに達し、関連して東南アジアの夏季モンスーンも最盛期が訪れる。7月下旬の梅雨明け頃は、大陸の熱的低気圧は地表面冷却により衰退し始めるが、Lモード太平洋高気圧は依然として北へ発達し、8月初めに最盛期を迎える。海陸間の東西温度勾配の弱化に伴い、日本付近のLモード下層トラフが消失し、一方では西太平洋モンスーン(WNPM)トラフが発達する。また、梅雨オンセットと同様に梅雨明け時にもSモード擾乱の発達がみられる。このように、大陸-海洋の熱的コントラストに関係する、Lモード循環の季節進行が、下層西風ダクト内および周辺のSモード擾乱の活動を強く規制している。そのメカニズムとして、西風ダクトがSモード擾乱の順圧ロスビー波の分散に対するwave guideとして働いている可能性や、水平シアーをもったLモード平均流の存在が、二つのモード間の順圧相互作用を通してSモード擾乱の発達と持続に重要な働きをしている可能性があげられる。いずれにしても、Lモード循環とSモード擾乱の複合効果が、梅雨オンセットや梅雨明けのようなローカルな気候学的イベントを非常に急速かつ劇的な変化にしていることに変わりはない。
著者
大久保 篤 柴田 のり子 根口 光太郎 辻本 嘉大 橘田 重延 大石 喜仁 武井 康郎 水野 康隆 宮原 寿夫 仲居 史志
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.363-369, 2004-05-31
参考文献数
4
被引用文献数
5

2003年10月13日に千葉県成田市と茨城県神栖町で発生した突風について,現地調査をもとに原因を推定した.突風は,強い雨の中である程度の広がりを持って一方向に向かって吹いた可能性が高かった.そして,日中にもかかわらず竜巻の目撃証言がなかった.これらから,突風の原因をダウンバーストと推定した.成田市の突風発生時の気象状況について,主にドップラーレーダーを用いて解析を行った.突風発生時はスパイラル状に組織化したエコーを伴った低気圧が,成田市付近に位置していた.そして,成田市宗吾で発生したダウンバーストは,スパイラル状エコーの通過時に発生した可能性が高かった.また,成田市赤荻で発生したダウンバーストの原因は,現地調査結果とあわせて考えることにより,低気圧の中心付近西側で発生したミソサイクロンを伴うストームによりもたらされた可能性が高いこともわかった.
著者
気象学会地球環境問題委員会 IPCC WG1国内支援事務局 林田 佐智子
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.189-193, 2008-03-31
被引用文献数
2

IPCCへのノーベル平和賞受賞は,地球温暖化現象の理解を科学的に評価し,それが高い確率で起ることを証明できたことに対する貢献に対して与えられた.このような地球規模の現象の科学的評価は非常に困難で, IPCCでは20年にわたり多くの研究者の貢献を基礎に,その評価に大きな努力をしてきた.この意味では,その基礎にある膨大な研究成果を生み出す土壌を醸成してきた気象学会等の研究コミュニティーの貢献が大きい.ここでは,近年の温暖化研究の情勢をまとめる意味で, IPCC WG1国内支援事務局の近藤洋輝氏(第1節〜3節および第5節)と,東北大学の中澤高清氏(第4節)にIPCC第4次報告書に関わる日本コミュニティーの貢献についてまとめて頂いた.
著者
黒田 賢俊 原田 朗 遠峰 菊郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.145-151, 1998-02-25

海面水温と台風の強度に関して, 統計的に解析した。海面水温に関しては, 緯度経度1゜の格子で, 0.1℃単位で得られた10日平均値を用いた。0.5℃の海面水温階級毎に求められた熱帯低気圧の強度の百分位数は, 海面水温の関数となっていることが示された。熱帯低気圧の可能最大強度に対する相対的強さを定義して, 観測時に28.5℃より高い海面水温上にあった熱帯低気圧について, 相対的強度の異なる熱帯低気圧を比較した。相対的強度がより強い熱帯低気圧は, 観測時の前1日もしくは2日間に, より高温の海面水温の海域にあったことかわかった。さらに中心気庄の低下の時間的速さが海面水温に依存していることがわかった。海面水温が高いほど中心気圧の低下が速い。
著者
加藤 輝之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.917-918, 2010-12-31