著者
山中 康裕
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.751-752, 1999-11-30
著者
内山 明博 浅野 正二 塩原 匡貴 深堀 正志
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.513-532, 1999-04-25
被引用文献数
1

気象庁気象研究所では、上層の氷雲の微物理特性と放射特性同時観測のために地上からの観測システムを開発した。観測システムは、雲粒子ゾンデ(HYVIS)、ライダーと各種放射計からなっている。本論文では、観測システムの概要と1989年6月22日, 30日に観測された梅雨前線に伴う巻層雲の構造と放射特性について述べた。HYVISによって観測された氷晶の粒径分布は、べき乗関数で近似でき、その指数は全層平均で3.2であった。粒径分布の顕著な温度依存は、見られなかった。全天日射量の透過率は、同時に測定したサンフォトメーターから推定した可視の光学的厚さに関係づけ、理論値と比較した。その比較は、氷晶粒子に対する非等方因子(asymmetry hctor)は球形の粒子に対するものより小さいことを示している。放射温度計の測定値から波長10.5μmでの有効射出率を推定した。さらに、フーリエ変換型赤外分光光度計のデータから波数800から1200cm^<-1>の間の有効射出率の波数分布も推定した。観測した巻層雲は可視の光学的厚さが1.0以上で有効射出率は0.4以上あり光学的に厚かった。
著者
近藤 純正 徐 健青
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.613-622, 1996-09-30
被引用文献数
8

小型蒸発計からの蒸発量が日射量に敏感であることを利用して, 中国大陸のルーチン気象資料から日射量と大気放射量の日平均値を推定する方法を示した. この方法は, 黄砂などの砂塵で太陽の散乱光は強いが直達光が弱くて, 日照計 (中国ではジョルダン日照計, またはカンベル日照計) が感じにくいときに利用できる. 中国乾燥域における日射量の観測値と, 本研究による計算値との比較では, 観測誤差や場所による違いの範囲内でほぼ一致した. しかし, 大気放射量では, 観測値が大きい場合と小さい場合がある.
著者
浅野 正二
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.83-89, 2002-01-31
被引用文献数
1
著者
三好 建正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1091-1095, 2011-12-31
著者
田阪 茂樹 松原 正也 田口 彰一 長田 和雄 山内 恭
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.31-38, 2011-01-31

第46次南極地域観測隊において,高感度ラドン検出器を南極観測船「しらせ」に設置し,2004年12月3日〜2005年3月19日まで南極海洋上大気中の^<222>Rn濃度を連続観測した.フリーマントルから昭和基地沖合まで(往路)の15日間,昭和基地沖合からシドニーまで(復路)の38日間を解析した.濃度の平均値は往路が39mBq/m^3,復路が48mBq/m^3であった.日平均した濃度と風速には相関があり,風速が5m/secの場合濃度は32mBq/m^3,13m/secに増加すると62mBq/m^3となった.寒冷前線に伴うラドン濃度増大現象(ラドニックストーム)時の濃度は,往路の事例では70mBq/m^3,復路の事例では114mBq/m^3であった.海洋からの放出量が風速の2乗に比例する条件を与えた全球移流拡散モデルを使ってラドン濃度を計算し,観測された風速依存性の検証を行った.
著者
神田 学 森脇 亮 鈴木 譲 マティアス ロート ティム オーク
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.493-501, 2000-07-31
被引用文献数
5

地表面被覆の幾何構造が異なる世田谷・銀座・バンクーバーの3都市のコンスタントフラックス層において超音波風速温度計によって計測された乱流データに基づき, それらの乱流統計量に関して考察がなされた.草原上の観察から得られた既存の相似関数と比較検討し, 以下の結果を得た.(1)運動量に対する熱の鉛直輸送効率を表すそれぞれの乱流相関係数の比は, 大気安定度パラメーターに対して3都市ともほぼ同一の関数で表現されるが, 草原上で得られた既存の相似関数と比べて全般に値が小さい.都市では建物のWake効果あるいは熱源の空間的非均一性により, 運動量の熱に対する相対的な交換効率が草原上よりも高いことが示唆された.(2)主流方向風速の標準偏差, 温度の標準偏差, 乱流運動エネルギー散逸率, および温度分散の散逸率の4つの無次元乱流統計量について, 本論で対象とした都市のコンスタントフラックス層で成立する相似関数式が試算された.
著者
早崎 将光 田中 博
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.123-135, 1999-02-28
被引用文献数
3

1989年2月にアラスカ付近を中心に典型的なΩ型ブロッキングが形成された. このプロツキング形成初期にアラスカにおいて, 地表面気温が約1週間で30K以上上昇する現象が観測された. 昇温は地表付近のみにとどまらず, 対流圏のほぼ全層におよんでおり, 成層圏の突然昇温に対して対流圏突然昇温とも呼べる現象であった. Tanaka and Milkovich (1990)の熱収支解析によると, 昇温初期に顕著な下降流があり, その後は低緯度からの水平温度移流が卓越していることが明らかとなっている. 本研究では, このような対流圏における突然昇温現象の水平・鉛直規模を把握し, 渦位(Q)や速度ポテンシャル・発散風などを用いることで昇温初期に発生した下降流の原因について考察した. 対流圏突然昇温の水平規模は経度幅で30〜50゜, 緯度幅で15〜20゜程度であり, 成層圏突然昇温と比べて局所的な現象であるが, 鉛直方向には300ないし400hPaより下層の対流圏のほぼ全層にわたって10〜40Kの昇温が見られた. また, 渦位・鉛直流・上層の収束場などの分布から, 昇温初期の明瞭な下降流の形成要因としては, 1)上層のHigh-Q移流に伴い日本付近で爆弾低気圧が連続して発生, 2)2つの爆弾低気圧の間で気塊が収束することで強い下降流が形成, 3)上層High-Qの移流に伴い収束・発散場も日本付近から北東へ移動, 4)強い下降流場も上層の収束場の移動によりアラスカ上に到達した, ということが明らかとなった. したがって, アラスカ上での対流圏突然昇温をもたらした顕著な下降流は, 日本付近で2つの爆弾低気圧が連続して発生した事が原因と判明した.
著者
高木 久之 北田 敏廣
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.827-846, 1994-12-31
被引用文献数
10

ドップラーソーダデータによって得られた乱流運動エネルギーの鉛直分布を1次元k-ε乱流モデルを用いて再現することを試みた.その過程を通じて,ε方程式中のモデルパラメータ値に対する検討及び,乱れの運動エネルギーの水平方向移流効果の影響についても考察した.混合層高度が大きく風速の弱い条件では鉛直1次元k-ε乱流モデルによる計算結果とドップラーソーダの観測結果はよく一致した.また,ε方程式中の浮力項を制御するモデルパラメータを変えた計算結果とドップラーソーダの観測結果との比較では,安定成層においても浮力効果を反映させた方が観測結果により近い値を示すことがわかった.海風通過後の水平風速が強い場合は水平方向移流効果を無視することはできず,観測結果を再現するには水平方向移流過程がkの保存式中に必要であった.